Volume 257,
Issue 13,
2016
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あゆみ いまこそ見直す右心機能の重要性
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医学のあゆみ 257巻13号, 1281-1281 (2016);
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医学のあゆみ 257巻13号, 1283-1287 (2016);
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右室は体のなかでもっとも前面にある心腔であり,胸骨の真後ろに位置している.左室壁の厚さが7~11mm であるのに対して右室壁の厚さは3~5 mm と半分程度であり,重量も左心のほうが重い.前面からみると三角形の形状をしており,また短軸の断面では円形の左室に対して右室は三日月型をしている.立体的には細長い左室に四面体のひとつの頂点を心尖部に向けて左室の曲面に沿うように張りついたような形をしている.一般的に左室から拍出された体循環は,すべて右心系に戻ってくる.つまり左室から拍出された血液を同じ量だけ右心系が受け入れて肺循環へ送り出すことができなければ,体静脈はうっ滞することとなる.右室の役割は単に体循環血流を肺循環に滞りなく拍出するだけではない.肺循環に安定した拍出を保つことで左室の前負荷の安定化,そして一回拍出量の安定化に寄与している.右室と左室は独立した別々の臓器ではなく,たがいに協調しながら働くことで効率的な循環を生み出していると考えられる.
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医学のあゆみ 257巻13号, 1288-1292 (2016);
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◎聴診をはじめとする身体診察は診療の基本であり,非侵襲的・安全でいつでもどこでも施行でき,結果をリアルタイムで得ることができる.右心不全の所見であるCVP の上昇,肺高血圧(PH)なども簡単に診断できる.頸静脈の怒張は右心不全では必発であり非常に重要なサインである.頸静脈拍動は収縮期に陥凹する拍動,呼吸性変化,体位による変化から同定することができ,右房の位置からの垂直距離でCVP が推定できる.座位で頸静脈拍動が確認できれば,それだけでCVP の上昇と判断できる.右心不全の原因として重要なPHは,ⅡP の亢進や傍胸骨拍動から判断できる.心尖部でⅡ音の分裂が確認できればⅡP の亢進と判断でき,また胸骨左縁に抬起的な傍胸骨拍動を触れれば右室圧の上昇が強く疑われ,いずれもPH の可能性が高い.右心不全の診断の端緒となるのは身体所見であり,これらの所見を駆使することで診断精度の向上が期待できる.
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医学のあゆみ 257巻13号, 1293-1300 (2016);
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◎右心不全を引き起こす最大の要因は,左心不全である.右心機能は慢性心不全患者の予後を規定する重要な因子であり,その評価法や治療に関心が高まってきている.右室は解剖学的にも機能的にも左室と異なる特性を有する.とくに右室は容量負荷(前負荷)に対しての予備能は高いが,圧負荷(後負荷)に弱いチャンバーであり,わずかな後負荷上昇が右室機能を破綻させうる.また,左室と右室は相互に密接に影響し合っている.右室不全の治療はその要因と重症度を適正に評価し,個々の右心機能に適した前負荷と後負荷の設定,必要に応じた肺血管拡張作用を有する強心剤の投与が鍵となる.また近年,高齢者心不全や移植待機期間の延長に伴い,補助人工心臓が重症心不全治療に使用される場面が増加してきた.左室補助人工装着後の右室不全は致死的な合併症であり,事前に右室予備能を予測し,適正な周術期および術後のマネージメントを行うことが求められる.
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医学のあゆみ 257巻13号, 1301-1305 (2016);
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◎先天性心疾患患者の多くが成人に至る現在,術後遠隔期の右心機能は,QOL や生命予後,致死性不整脈の発生や再手術の必要性にかかわる重要な因子である.成人先天性心疾患の右心不全やそれに伴う不整脈は再手術で軽快することが多い.そのため,右心機能評価のmodality としてエコー,MRI,心臓カテーテル検査を使用しながら,いかに右心機能低下を防ぐか,どのタイミングで再手術を施行するかを注意深く観察することが重要である.右心機能低下をきたしやすい疾患としては,体心室右室形態である完全大血管転位心房位血流転換術後や修正大血管転位,右心型単心室がある.また,Fallot 四徴症術後遠隔期には肺動脈弁逆流から右心不全をきたすことが知られている.これらの疾患では,右心機能および弁逆流の評価を経時的に行い再手術の時期を決定する.右心不全に対して有効であるという確固たるエビデンスのある薬剤はいまだなく,薬物療法に関しては今後の大規模study が待たれる.
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医学のあゆみ 257巻13号, 1306-1310 (2016);
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◎肺高血圧症(PH)は進行性で生命予後が不良な疾患と考えられている.PH が重症になりmean PAP が上昇すると,後負荷に耐えられなくなり,右心機能不全を引き起こし,最終的には右心不全から死へ至ることがある.すなわち,PH に右心不全が合併すると予後が不良になることから,生命予後を予測するために右室機能を評価する試みがなされている.また,最近ではPH に対する画期的な薬物療法が出現し,患者の生命予後は劇的に改善してきているのも事実である.PH に対する治療により肺血管抵抗を低下させても右心機能の低下が進行するという報告もあるが,それらの報告において肺動脈圧の低下は不十分であるという問題がある.右心機能からみた肺高血圧治療の目標は,原疾患にかかわらず“平均肺動脈圧をできるだけ正常値まで下げることをめざす”ことが重要ではないかと現在著者らは考えている.
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医学のあゆみ 257巻13号, 1311-1317 (2016);
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◎右心機能は総合的な評価が必要とされるため,その他の検査と比較したうえでカテーテル検査の特徴を把握する必要がある.右心不全の原因は,圧負荷,容量負荷,虚血,先天性心疾患,心膜疾患,の5 つに大別されるが,カテーテル検査では圧負荷を起こす肺高血圧症,先天性心疾患,心膜疾患,虚血の評価を得意とし,確定診断にも必須の検査である.右心カテーテル検査での血行動態評価はさまざまな情報を提供してくれるが,とくに肺血管抵抗(PVR)と心拍出量(CI)は右心カテーテル検査でしか得られない.診断,治療効果判定,治療経過を追うときにも重要な評価項目である.最近,注目されているSHD に対するカテーテル治療も右心カテーテル評価が基礎となる.右心不全が疑われる症例では積極的に右心カテーテル検査を行い,その他の検査モダリティーとあわせて総合的に評価していく必要がある.
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医学のあゆみ 257巻13号, 1318-1322 (2016);
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◎右室の形態は三日月形と表現され,左室と比較して複雑な構造を呈していることから,心エコー図で右心機能を評価することに限界は多い.また,右室の壁厚は3~5 mm 程度と薄く,容量負荷により右室腔は拡大しやすく,圧負荷により右室壁は肥厚し右室収縮能は低下していく.よって右心機能を考える際には容量負荷・圧負荷・右室収縮能の3 要素に分け,相互関係を理解することが必要である.心エコー図法はベッドサイドで利用できるツールであり,各種制限はあるものの,B モード法により右心サイズ(容量負荷の程度),ドプラ法により推定収縮期肺動脈圧(圧負荷の程度),そして右室サイズの変化率を求めることにより右室収縮能の計測を行うことが可能である.本稿では,心エコー図法により求められる右心機能指標について容量負荷・圧負荷・右室収縮能,の3 要素に分けて概説する.
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医学のあゆみ 257巻13号, 1323-1326 (2016);
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◎伝統的に右室(RV)は負荷に依存する導管,あるいは受動的心室と考えられてきた1).それゆえ,肺動脈性肺高血圧(PAH)や複雑な先天性心疾患(CHD)のような特殊な疾患を除いて,従来,関係者の興味は左室(LV)に向けられてきた2).RV の形態や動態が複雑で評価しにくいことも大きな要因で3),日常臨床の一貫としてのRV 容積・機能の計測は困難であった.しかし,心臓MR(I CMR)の実用化に伴い,低侵襲かつ正確にRV 容積や駆出率(EF)・心筋重量が計測できるようになり,研究が進められた結果,RV 機能がRV 起源の疾患のみならず心不全や冠動脈疾患・心筋症などLV 疾患の独立した予後因子であることが判明した2,4,5).multi-ethnicstudy of atherosclerosis(MESA)では4,144 例のCMR 検査から右室肥大が心疾患のない一般市民の心不全・心臓死の独立した危険因子であることも判明している6).LV 機能障害に合併するRV 機能障害は,複数の機序により生じるとされる.肺静脈圧や左房圧増加によるRV への負荷増,LV 心筋変性のRV への波及,冠動脈疾患での右室虚血合併,心室中隔や心外膜腔を介した心室間協調障害などである3).最終的にRV 機能障害は,体静脈うっ血から腎灌流を低下させ,神経体液性因子の持続的活性化を惹起する7).このようにRV の重要性が見直されている現在,RV 収縮能評価のゴールドスタンダードはCMR で計測した右室駆出率とされる8).これは心エコーとは異なり,window を選ばずどのような形態の心室(複雑な右室)でも正確に3 D で描出できるという機能に基づく.CT でも可能であるが,被曝量・造影剤・時間分解能の観点から現実的ではない.難点は撮影・解析が煩雑で時間と労力を必要とするという点である.代替指標を用いた心エコーでのRV 機能評価については多くの報告があるが,大部分はCMR との比較を根拠としている.本稿では,右心機能評価におけるCMR の解析・役割・適応について概説する.
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輝く 日本人による発見と新規開発 31
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医学のあゆみ 257巻13号, 1333-1336 (2016);
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フォーラム
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外国人にやさしい医療―言葉の壁をこえて 8
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医学のあゆみ 257巻13号, 1337-1339 (2016);
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医学のあゆみ 257巻13号, 1340-1342 (2016);
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医学のあゆみ 257巻13号, 1343-1344 (2016);
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医学のあゆみ 257巻13号, 1345-1346 (2016);
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TOPICS
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免疫学
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医学のあゆみ 257巻13号, 1327-1328 (2016);
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細胞生物学
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医学のあゆみ 257巻13号, 1328-1329 (2016);
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循環器内科学
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医学のあゆみ 257巻13号, 1330-1331 (2016);
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