Volume 258,
Issue 12,
2016
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あゆみ 指定難病とは?
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医学のあゆみ 258巻12号, 1095-1095 (2016);
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医学のあゆみ 258巻12号, 1097-1103 (2016);
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◎わが国の希少難病対策のモデルは,1960 年代に大流行したスモンの原因を短期間で解明して制圧したスモン対策事業である.ほかの原因不明の難病の研究と患者救済を目的として1972 年に難病対策要綱が策定され,難治性疾患克服事業がはじまった.それは国家政策として実施された世界初の希少難治性疾患対策事業であった.事業の発展・拡大のなかで顕在化したさまざまな制度疲労と財源問題を解決するために法制化が検討された結果,2014 年に難病法が成立し2015 年1 月に施行された.それによって医療費助成金は安定的持続的な義務的社会保障費から拠出されるようになった.疾患間の不公平性は是正されて,助成対象の疾患数は56 から306 に6 倍増,受給者数は78 万人から150 万人に2 倍増,国の助成額は440 億円から1,110 億円に2.5 倍増した.患者登録制度は指定医による発生時入力に変更された.都道府県ごとに難病支援センターが設置され,難病拠点病院も整備されることになっている.難病研究体制は,厚生労働省所轄の難病医療水準向上を目的とした政策研究と,2015 年度に設立された医療研究開発機構(AMED)所轄の新規治療薬・医療機器の研究開発を目的とする実用化研究に分離された.後者は基礎-臨床-製品化まで一貫した効率的研究開発により,早期の治療法の実用化をめざしている.
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医学のあゆみ 258巻12号, 1104-1110 (2016);
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◎わが国では,発病の機構が明らかでなく,治療方法が確立していない,希少な疾病であって長期の療養を必要とし,ほかの施策体系が樹立していない疾病を行政的に“難病”と定義し,調査研究の対象としている.2015 年1 月から施行された難病法により,難病のなかでわが国の患者数が一定の人数(人口の0.1%程度)に達せず,客観的な診断基準が確立しているものを,「患者のおかれている状況からみて良質かつ適切な医療の確保をはかる必要性が高いもの」として,厚生科学審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が指定することとなった.この指定難病は一定の重症度に至ればすべて医療費助成の対象となる.従来の特定疾患数は56 であったが,現在306 疾病が指定難病と認定され,疾病間の不公平感はかなり減少したと思われる.また,法律により国の支払い分が担保されることとなり,残り1/2 を負担する自治体にとっても朗報である.今後,拠点病院の整備や相談センターの設置など診療・福祉体制のさらなる充実が期待される.
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医学のあゆみ 258巻12号, 1111-1116 (2016);
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◎2014年5月23日に第186回通常国会で児童福祉法を一部改正する法律,難病の患者に対する医療等に関する法律が衆議院成立し,2015 年1 月1 日よりあらたな小児慢性特定疾病治療研究事業が施行された.この改正に伴い,小児慢性特定疾患児への支援のあり方において,医療助成の対象疾病の拡大や,自立支援事業などの福祉施策の充実のほか,慢性疾患を抱える小児の成人期移行に対する支援事業などのあらたな取組みがスタートした.ただし,公平に安定的な支援を行うという観点から,原資に限りがあるため,医療費助成における自己負担が改正された.本制度の大きな特徴は“小児慢性特定疾病児童等自立支援事業”の新設である.相談事業および小児慢性特定疾病児童支援員を必須事業として位置づけ,就労支援,交流支援,およびレスパイトなどを任意事業として位置づけている.小児慢性特定疾患は14 疾患群704 疾病に拡充され,指定難病では2015 年7 月から医療費助成対象の難病が306 疾病に拡充されている.両者の移行も大きな課題である.
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医学のあゆみ 258巻12号, 1117-1121 (2016);
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◎平成27 年(2015)1 月の難病法施行により,わが国における難病対策は大きく前進した.新制度開始から1年あまりが経過し,各都道府県においては具体的な難病対策が動きはじめている.難病法の基本理念にある「地域社会において尊厳を保持しつつ他の人びとと共生する」ことを実現するためには,地域,職域を問わず総合的に医療,保健,福祉に対応できる医師,すなわちかかりつけ医の役割が非常に重要になってくる.現在,かかりつけ医,難病指定医と専門的医療機関との有機的な連携をイメージした医療提供体制の構築が進められているが,一方で難病指定医の研修実施にかかわる地域差,指定難病患者データベース構築の遅れ,小児慢性特定疾病患者の成人移行の問題など,さまざまな課題が存在する.難病患者の期待に応え新制度をさらに充実したものとするためにも,速やかに解決する必要がある.また,日本医療研究開発機構(AMED)が進める未診断疾患イニシアチブ(IRUD)などの研究成果がこれからの難病対策に活かされることも期待している.
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医学のあゆみ 258巻12号, 1123-1127 (2016);
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◎難病に関する新しい法律も施行され,あらたな指定難病が追加されていくなかで,難病患者の実態把握がきわめて重要である.日本では1978 年から臨床調査個人票による難病患者の登録に合わせた調査をつづけてきており,これは世界的にも貴重な資料となっている.一方,これまでの紙ベースでの収集による手間や不整合などさまざまな問題が起こってきており,難病法の設立にあわせてオンラインによる新しい登録システムが稼働することになっている.しかし,厚生労働省によるオンライン登録システムの構築によるデータベース化は遅れており,疾患数も増えているなかでの都道府県における手作業による認定作業負担が課題になっており,さらに2015 年度と2016 年度は紙ベースの運用のため,入力されるのは2017 年度となっている.希少な疾患の多い難病はデータの収集と共有が重要であり,患者も自分たちのデータによる研究の推進を望んでいる.世界標準の項目による一刻も早いオンライン登録システムの稼働が期待されている.
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医学のあゆみ 258巻12号, 1128-1132 (2016);
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◎法律はつくられて終わりではない.施行と同時に抱えている課題や,施行のなかで,さまざまな課題にどう対処し,どう育てていくかが重要なのだと患者会は考えている.難病法(難病の患者に対する医療等に関する法律)は“指定難病”の医療費助成に関するだけの法律ではなく,難病の患者たちの生きる方向をも示す総合法である.障害者総合支援法による障害者福祉サービスの利用や,障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)や,就労支援,各県に設置された難病相談支援センターによる相談支援,教育・介護にわたるさまざまな法律がかかわっていく.患者会では施行後の患者の生活実態調査を実施している.自治体の取組みについての調査も行う予定である.難病法には,医療費負担の増加や重症基準の設定と軽症患者への影響などの課題もある.また,あらたな課題として,新薬の開発や治療法の発展による医療費の高騰と患者負担の増加が生じる現象も看過できない.難病法の成立についての衆・参両院厚生労働委員会の付帯決議の完全履行とともに,難病の慢性疾患化に対応する在宅医療を含めたあらたな対策が今後の重要な課題になるであろう.難病法成立の過程での議論とその精神を見失わないことが肝要と考える.
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医学のあゆみ 258巻12号, 1133-1137 (2016);
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◎平成27 年(2015)1 月1 日から“難病の患者に対する医療等に関する法律”(難病法)が施行された.難病法施行により医療費助成は法律に基づく安定的なものとなり,また対象疾患は従前の56 疾病から306 疾病に拡大し,より公平性の高いものとなった.さらに,難病患者に対する福祉サービスや就労支援を含む総合的な対策のための基本方針を2015 年9 月に告示している.本稿ではこれまでの検討の経緯や,医療提供体制,難病に対する研究,難病法に基づくこれからの難病対策の方向性について,あらたな医療費助成制度と拠点病院の整備に向けての取組みを中心に紹介する.
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医学のあゆみ 258巻12号, 1139-1142 (2016);
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◎わが国の厚生労働省の難病研究は1972 年以来,基礎研究,臨床研究,開発研究,政策研究などが統合的に実施されてきた.その後2015 年に国の難病制度が法制化されたことに伴って,①診断基準,重症度分類策定のための“難治性疾患政策研究事業”,②病因病態解明をめざす“遺伝子解析拠点”,さらに,③新しい診断法・治療法開発をめざす“難治性疾患実用化研究事業”に分けて研究が行われるようになり,このうち,①を厚労省が,②③を日本医療研究開発機構(AMED)が担当することとなった.今後,“指定難病”制度の円滑な遂行,病因病態の解明,新しい治療法開発は不可分であるため,これら研究班の有機的な連携をいかに構築するかが大きな課題である.
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連載
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グローバル感染症最前線―NTDs の先へ 6
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医学のあゆみ 258巻12号, 1149-1154 (2016);
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◎エンテロウイルス71(EV71),コクサッキーウイルスA16(CVA16),CVA6,CVA10 などはピコルナウイルス科エンテロウイルス属species A に分類されるウイルスで,ヒトの手足口病のおもな原因となっている.手足口病は一般的に予後良好である.しかし,近年のアジアにおけるEV71 の大規模な流行時には,無菌性髄膜炎,脳炎,急性弛緩性麻痺,神経原性肺水腫などを中枢神経合併症が多数みられたことから,神経病原性の強いウイルスとして注目されるようになってきた.このことが背景となり,ウイルスの粒子構造,ウイルス受容体,動物モデルなどの研究で大きな進展がみられている.本稿では,最近の研究の進捗状況を概説する.
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フォーラム
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医療機関のダイバーシティ 4
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医学のあゆみ 258巻12号, 1155-1158 (2016);
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医学のあゆみ 258巻12号, 1159-1161 (2016);
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TOPICS
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 258巻12号, 1143-1144 (2016);
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感染症内科学
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医学のあゆみ 258巻12号, 1144-1146 (2016);
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臨床検査医学
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医学のあゆみ 258巻12号, 1146-1147 (2016);
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