Volume 259,
Issue 11,
2016
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あゆみ 未診断疾患イニシアチブ(IRUD)
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医学のあゆみ 259巻11号, 1105-1105 (2016);
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医学のあゆみ 259巻11号, 1107-1112 (2016);
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◎未診断疾患イニシアチブ(IRUD)は通常の診療で診断困難な未診断疾患において次世代シーケンサーを駆使した網羅的ゲノム解析により確定診断を行い,疾患研究を推進するプロジェクトである.未診断疾患に対してはすでに諸外国で複数の先行研究が成果をあげており,国際的な連携体制が構築されている.成人IRUD(IRUD-A)の中核をなす組織は,各地区のIRUD 拠点病院,IRUD 解析センター,IRUD データセンターである.とくに拠点病院における診断委員会が重要な役割を果たす.さらに,各拠点病院の専門家どうしの連携による専門分科会が構成され,診断に対して助言を行う.診断委員会を横軸,専門分科会を縦軸にしたIRUD 診断連携により,未診断疾患における地域性,専門性を網羅している.さらに,国際連携を視野に入れた,拠点病院間でのデータシェアリングを推進する枠組みが実装されている.IRUD-A は成人の未診断疾患の診断精度向上・病因解明に貢献することが期待される.
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医学のあゆみ 259巻11号, 1113-1117 (2016);
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◎未診断疾患に対する,次世代シークエンサーを活用した網羅的ゲノム解析による診断へのアプローチは世界的流れとなっている.わが国でも2015 年7 月より小児の希少・未診断疾患を対象とするナショナル・研究プロジェクト,小児未診断疾患イニシアチブ(IRUD-P)が開始された.本プロジェクトでは国立成育医療研究センター,慶應義塾大学を中央拠点とし,各地域のIRUD 拠点病院(クリニカルセンター),解析センターなどより構成され,全国体制で希少疾患や診断困難な患児の情報・検体を収集し,全エクソーム解析を中心としたゲノム解析などを行う.IRUD-P は研究プロジェクトであるが,ゲノムデータと臨床症状などを総合して診断などにつなげ,臨床現場で活用されることも目的のひとつとしている.開始後,約1 年で4,000 を超える検体(1,300 家系以上)が集積され,わが国においても未診断疾患患者の多さをうかがわせる結果となった.現時点で全エクソーム解析などによる診断率は31.2%である.
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医学のあゆみ 259巻11号, 1118-1121 (2016);
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◎希少疾患は数千種類あると考えられている.個々の疾患の患者数は少ないが,疾患の種類はきわめて多いため,全体としての希少難病の患者数は少なくなく,医療の対象として重要である.患者・家族に対する網羅的ゲノム解析を通じて未診断疾患の問題の解決をめざすプロジェクトが各国で進展している.あらたな疾患概念の確立を決定する明確な基準はないが,きわめて類似した表現型を有する非同一家系の2 名以上の患者について,同一遺伝子内に病的変異が同定されることは要件に含まれる.患者間の症状の類似度を客観的・数学的に表すために,human phenotype ontology(HPO)という症状名用語の体系が用いられており,個人情報に抵触しない形で国際間の未診断症例の相互比較が可能となっている.患者間の比較のための代表的なプロトコールが,Matchmaker Exchange である.
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医学のあゆみ 259巻11号, 1122-1126 (2016);
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◎遺伝学的検査が困難であった周産期の疾患でも,DNA マイクロアレイや次世代シークエンサー(NGS)を駆使したあらたな診断法開発や病態解明が期待されている.これらの技術は変異同定にとどまらず,従来のシークエンサーでは想定できなかった定量的・網羅的解析によるあらたな診断法がすでに実用化されている.一方で,同定される候補遺伝因子の大部分は病的意義が不明である.新しい遺伝学的検査の画期的な恩恵は同時に,偶発的所見などのあらたな課題も提起しており,十分な理解と配慮のうえで臨床応用を進めていく必要がある.
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医学のあゆみ 259巻11号, 1127-1129 (2016);
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◎東海地区の未診断疾患イニシアチブ(IRUD)の取組みを示す.東海地区は愛知県,岐阜県,三重県の3 県で構成され,IRUD 地区協議会のひとつである.愛知県小児臨床研究会(APeCS)での取組みを基盤として,ホームページで症例登録ができるシステムを構築した.このシステムを作成したことにより地域の病院からの症例登録が推進され,拠点病院の負担が軽減された.解析結果は検体を提出した主治医が参加する検討会で討議し,レポート作成を行っている.検討会の実施により遺伝学的解析結果の意義を主治医が理解し,患者家族に適切な説明ができることを保障している.まれな疾患の原因遺伝子変異がすでに複数同定されており,IRUDは未診断疾患の解決に強力な役割を示している.東海地区の取組みは最先端の技術を実地医療に位置づけるためのひとつの形ではないかと考える.
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医学のあゆみ 259巻11号, 1130-1136 (2016);
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◎全国遺伝子医療部門連絡会議は,遺伝子医療部門の存在する高度医療機関(大学病院,臨床遺伝専門医研修施設など)の代表者により構成されており,わが国の遺伝子医療(遺伝学的検査および遺伝カウンセリングなど)の充実・発展のための活動を行っている.平成28 年(2016)8 月現在,114 の医療機関(80 すべての大学病院と,34 のその他の病院・教育機関)が加盟し,遺伝子医療が抱える種々の問題解決のための活動を行い,その成果を報告書およびホームページ上で公表している1).その他,遺伝子医療実施施設検索システムの運営,GeneReviews 日本語版の支援,遺伝医学系統講義DVD の貸出し事業など,多彩な活動を行っている.全国遺伝子医療部門連絡会議,および大学病院をはじめとするその維持機関と密接に連携することにより,IRUD プロジェクトはさらに発展するものと思われる.
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医学のあゆみ 259巻11号, 1137-1142 (2016);
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◎次世代シークエンサーの技術は現在も進化を続けており,複数の企業がそれぞれ特徴あるシークエンサーを開発している.最近では1 分子シークエンス技術を用いた第三世代のシークエンサーの開発・展開に期待が高まっている.本稿ではIllumina HiSeq シリーズ,Thermo Fisher Ion Torrent PGM/Proton,PacBio RSⅡ/Sequel,ナノポアシークエンサーを紹介し,そのシークエンス原理と特徴について概説する.
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医学のあゆみ 259巻11号, 1143-1146 (2016);
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◎従来,希少難病の研究は当該疾患の病因・病態解明と治療法開発には役立つものの,それ以外の疾患に対しては無関係の存在と考えられてきた.しかし近年,希少難病研究から得られた知見をもとに,糖尿病,骨粗鬆症,高コレステロール血症などに著効を示す薬剤がつぎつぎと開発されている.
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連載
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グローバル感染症最前線―NTDs の先へ 14
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医学のあゆみ 259巻11号, 1152-1160 (2016);
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◎メタボロゲノミクスとは,細菌叢遺伝子を網羅的に解析するメタゲノム解析と,代謝物質を網羅的に解析するメタボローム解析の両方を組み合わせることで,生命現象を深く理解する研究概念・アプローチである.ヒトの腸管内には多種多様な腸内細菌が生息しており,それら腸内細菌叢は宿主細胞と相互作用することで複雑な腸内生態系,すなわち腸内エコシステムを形成している.腸内エコシステムの恒常性を維持することがヒトの健康維持に重要であることが明らかになりつつあるが,逆に腸内エコシステムのバランスが乱れると,炎症性腸疾患や大腸がんといった腸管関連疾患のみならず,アレルギーや代謝疾患といった全身性疾患につながることも報告されている.本稿では,腸内エコシステムが宿主の恒常性維持や疾患発症にどのように影響しているのかについて,メタボロゲノミクスによる全容理解に向けた近年の取組みについて紹介する.
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フォーラム
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医学のあゆみ 259巻11号, 1161-1163 (2016);
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医学のあゆみ 259巻11号, 1164-1167 (2016);
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◎本シリーズでは,医療者であり,建築学を経て病院建築のしくみつくりを研究する著者が,病院建築に携わる建築家へのインタビューを通じて,医療者と病院建築のかかわりについて考察していきます.
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パリから見えるこの世界 51
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医学のあゆみ 259巻11号, 1168-1171 (2016);
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TOPICS
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免疫学
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医学のあゆみ 259巻11号, 1147-1148 (2016);
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再生医学
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医学のあゆみ 259巻11号, 1148-1149 (2016);
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薬理学・毒性学
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医学のあゆみ 259巻11号, 1150-1151 (2016);
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