Volume 262,
Issue 3,
2017
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特集 血管性認知症の新しい展開
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医学のあゆみ 262巻3号, 197-197 (2017);
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医学のあゆみ 262巻3号, 199-204 (2017);
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脳小血管病は血管性認知症の主要な原因であり,大部分は孤発性で加齢,高血圧,高脂血症,糖尿病などの危険因子を背景とする.これに対して,CADASIL,CARASIL,Fabry 病などの遺伝性脳小血管病は,頻度こそ少ないが原因遺伝子の研究を通じて,血管病自体の病態解明が進むと考えられる.本稿では遺伝性脳小血管病に関する最近のトピックスとして,①常染色体劣性遺伝形式をとるCARASIL の原因遺伝子HTRA1 ヘテロ接合体の発症とメカニズムの解明,②新しい疾患Cathepsin A-related arteriopathy with strokes andleukoencephalopathy(CARASAL)とその遺伝子Cathepsin-A(CTSA)の同定,③Pontine autosomaldominant microangiopathy with leukoencephalopathy(PADMAL)の原因遺伝子Ⅳ型コラーゲンα1 鎖(COL4A1)の同定,の3 点に着目する.
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医学のあゆみ 262巻3号, 205-209 (2017);
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糖尿病,高血圧,脂質異常症などの生活習慣病は,動脈硬化を促進して血管性認知症(VaD)のリスクを上昇させることが知られている.最近の研究結果から,これらの生活習慣病が,血管性認知症(VaD)のみならずアルツハイマー病(AD)の独立した危険因子にもなっていることが明らかになり,注目を集めている.このことは,VaD とAD の間に共通の分子病態が存在することを示唆する.生活習慣病とVaD,AD の間には複雑な病態修飾関係があり,個々の認知症患者の病態を考えるうえでこの病態連関を考慮することが重要である.AD に関連する分子が脳血管障害(CVD)を引き起こすことも明らかになってきており(脳アミロイドアンギオパチー),VaD とAD の関連,またそれに対する生活習慣病の影響を理解するうえで重要な病態と考えられる.
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医学のあゆみ 262巻3号, 211-215 (2017);
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血管性認知症(VaD)の最大の危険因子は高血圧であるが,高血圧はVaD だけでなくアルツハイマー病(AD)にも影響を与えていると考えられる.レニン-アンジオテンシン系(RAS)は高血圧の誘導因子としてだけでなく,組織でも発現し血管障害や神経障害に深く関連することから,認知症の発症・進展にも影響を与えている可能性が報告されている.降圧薬であるRAS 遮断薬により血圧を下げることで,脳卒中や脳血管障害が予防され,VaD 発症の抑制につながることが想定される.疫学研究や基礎研究からは,RAS の制御により,軽度認知障害の進展予防効果やAD を含む認知症全般の発症抑制効果が報告されている.高齢者においては,AD とVaD が混在した混合型認知症の割合が増加することから,RAS が血管障害だけでなくアミロイドβの代謝に関連するなどの報告もあり,AD の発症にも影響を与えることからも,VaD とAD 両者に共通した関連因子である可能性が示唆される.
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医学のあゆみ 262巻3号, 216-220 (2017);
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血管性認知症(VaD)は病巣の局在や広がり,成因によっていくつかの病型に分類されるが,そのなかで小血管病性認知症(多発小梗塞型とBinswanger 型)は頻度が高く,アルツハイマー病(AD)との鑑別が重要である.MRI では多発する小梗塞や微小出血,虚血性白質病変が,脳血流SPECT では前頭葉連合野の血流低下が特徴的にみられ,AD の画像所見(MRI による海馬の萎縮とSPECT による頭頂側頭葉の血流低下)とは対照的である.高齢者では,純粋なVaD よりも脳血管障害を伴うAD や狭義の混合型認知症の割合が増えてくるため,形態・機能画像所見を組み合わせてAD 優位かVaD 優位か,あるいは同等であれば混合型認知症と診断するのが現実的といえる.最近のアミロイドやタウPET はAD 病理像を特異的に描出できるため,AD や混合型認知症の診断・鑑別もさらに向上してきた.
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医学のあゆみ 262巻3号, 221-226 (2017);
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アミロイドβ蛋白の脳内蓄積を端緒とする神経変性疾患であるアルツハイマー病(AD)と,さまざまな脳血管障害を基盤として発症する血管性認知症(VaD)は,臨床的に遭遇する頻度が高い二大認知症疾患である.AD は記憶障害で発症し緩徐な進行を呈することが多いのに対し,VaD では脳血管障害を生じた機序の違いによる臨床亜型に応じて,AD とは異なった臨床所見と進行様式を示す.両者の典型例の鑑別においては,頭部MRI や脳血流SPECT といった画像所見が重要であるが,臨床的にAD と診断された症例の頭部MRI においても脳血管障害や大脳白質病変が高頻度に認められることが明らかとなり,AD の病態における血管性危険因子の密接な関与が明らかになっている.
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医学のあゆみ 262巻3号, 227-230 (2017);
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日本を含めた先進諸国は超高齢社会を迎え,アルツハイマー病(AD)をはじめとする認知症患者の急激な増加が社会問題となってきている.最近の研究成果によって,高血圧,糖尿病,高脂血症,肥満などの生活習慣病とそれによって引き起こされる血管病変が,AD などの認知症の発症・増悪に大きく関与することが示唆されている.とくにAD の原因物質とみなされているアミロイドβ蛋白を脳内から排出するperivasculardrainage pathway が機能不全に陥ると,脳内にアミロイドβが大量に蓄積し,AD を引き起こすと考えられている.当科で行った検討でもガランタミンやスタチン,テルミサルタン,シロスタゾールが脳血管の炎症抑制効果を示しており,今後認知症発症の早期予防にも応用できる可能性がある.
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医学のあゆみ 262巻3号, 231-235 (2017);
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血管性認知症(VaD)は脳卒中に起因する認知症で,認知症の原因疾患のなかでアルツハイマー病(AD)に次いで多い疾患である.AD では記憶障害が前景に立つが,VaD では遂行機能障害や注意障害が多い.VaD を正確に診断するためには,臨床症候と関連した皮質または皮質下梗塞や他の血管性病変を脳画像で確認することが重要である.VaD は,背景となる血管病理,脳障害の病型,病変の局在や広がりを考慮し病型分類されている.多発梗塞性認知症,小血管病性認知症,戦略的部位の単一病変による認知症,低灌流性認知症,脳出血による認知症,遺伝性VaD,混合型認知症などである.
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医学のあゆみ 262巻3号, 237-242 (2017);
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血管性認知症(VaD)は,アルツハイマー型認知症(AD)と異なる特徴として,想起に時間がかかることがあることから,それを考慮し,反応を待つこと,どうしても想起困難な場合は手がかりを与えて誘導することなどの対応の工夫が必要である.Apathy や社会遂行機能障害に基づく病態把握の深刻さに欠ける神経心理学的特徴をよく理解し,通院・治療の継続に対する支援が必要である.認知機能障害に対する承認薬剤はないため,原因となる血管障害の再発予防とリスク管理が機能障害の進行を抑制のために重要となる.また生命予後の改善には身体合併症の管理と治療も大切となる.
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連載
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性差医学・医療の進歩と臨床展開 20
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医学のあゆみ 262巻3号, 247-249 (2017);
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◎自己免疫疾患の多くで患者数は女性優位であるが,中枢神経自己免疫疾患である多発性硬化症(MS)も例外ではない.その背景要因として,性ホルモンによる胸腺AIRE 遺伝子発現の制御が注目を集めている.一方で,MS の性差(女>男)は近年世界的に増大傾向にあり,環境要因による腸内細菌叢偏倚なども考慮する必用がでている.臨床では性ホルモン投与によるMS 治療や性特異的治療(gender-specific therapy)にも興味が集まっており,将来の治療は性差を考慮したものになるかもしれない.
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臓器移植の現状と課題 5
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医学のあゆみ 262巻3号, 250-255 (2017);
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◎膵移植は重症糖尿病に対する根治療法としてミネソタ大学において初めて実施され,2014 年末までに40,000 例以上が実施されている.成績も年々向上し,2010~2014 年のアメリカで実施されたデータの集計では患者生存率はSPK で1 年97.4%,膵1 年生着率も91.3%と良好で重症糖尿病の治療法として確立されている.生体膵移植もミネソタ大学で開始された.わが国では臓器移植法施行後,2016 年末までに311例の膵移植が実施されている.わが国ではマージナルドナーが多いにもかかわらず,アメリカを凌ぐ好成績をあげている.藤田保健衛生大学では,2017 年4 月末現在,膵移植を59 例(脳死56 例,心停止1 例,生体2 例)実施,患者3 年生存率94.4%,移植腎3 年生着率95.5%.移植膵83.0%と良好な成績を示した.千葉東病院において実施した生体膵移植でも,脳死膵移植と同等の成績が得られている.課題として,血栓症,感染症などの周術期合併症の克服,小児への適応,膵島移植の適応などがあげられる.
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TOPICS
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循環器内科学
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医学のあゆみ 262巻3号, 243-244 (2017);
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麻酔科学
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医学のあゆみ 262巻3号, 244-245 (2017);
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耳鼻咽喉科学
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医学のあゆみ 262巻3号, 245-246 (2017);
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FORUM
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研究医育成の現状と課題 9
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医学のあゆみ 262巻3号, 257-259 (2017);
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医学のあゆみ 262巻3号, 261-263 (2017);
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