Volume 262,
Issue 4,
2017
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特集 アレルギー疾患の免疫療法
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医学のあゆみ 262巻4号, 265-265 (2017);
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医学のあゆみ 262巻4号, 267-271 (2017);
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アレルゲン免疫療法はアレルゲン(抗原)を投与してアレルゲンへの反応性を弱める治療といえる.Ⅰ型アレルギー疾患の長期寛解が期待できる.具体的には多くの治療法が考案されているが,投与経路,投与抗原および投与スケジュールによって分類できる.投与経路の面からは,皮下免疫療法,舌下免疫療法および経口免疫療法がおもな治療法となる.標準化抗原を用いることが望ましく,将来的にはIgE エピトープを含まないペプチドを用いる免疫療法の開発が期待される.投与スケジュールでは,導入療法と維持療法に分けることができる.アレルゲン免疫療法の作用機序はアレルゲンに対する免疫寛容の誘導であるといえる.とくにアレルゲン免疫療法では制御性T 細胞や制御性B 細胞が誘導され,IL-10 産生やIgG4 産生などを介してマスト細胞や好酸球,好塩基球などのエフェクター細胞の機能や鼻粘膜内浸潤を抑制する.さらにTh2 細胞のみならずILC2 細胞の活性化を抑制する.
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医学のあゆみ 262巻4号, 272-276 (2017);
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アレルゲン免疫療法では,アレルゲンの投与経路として従来の皮下と,最近開始となった舌下がある.本稿では,皮下免疫療法および舌下免疫療法について,有効性,治療中止後の効果持続期間,治療アドヒアランス,安全性,治療コスト,新規抗原および気管支喘息進展に対する抑制効果などについて双方を比較した.皮下免疫療法は複数の項目において,舌下免疫療法をしのぐ優位性とそのエビデンスをもち,今後もアレルギーの専門施設においては継続して施行されるべき治療である.一方,舌下免疫療法は全身副反応の危険性が皮下免疫療法よりも格段に低いため,今後はわが国の免疫療法の主流になることは間違いない.
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医学のあゆみ 262巻4号, 277-281 (2017);
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スギ花粉症の患者数は依然として増加していると考えられているが,いったん発症すると短期間では改善がみられることは少ない.現在,アレルゲン免疫療法はアレルギー疾患の自然経過を改善させうる唯一の治療であるが,従来の皮下注射法に加えて,安全性に優れる舌下免疫療法の登場は患者と医療者にとっても福音となることが期待されている.しかし,効果の持続期間・寛解率,副作用の内容・頻度の詳細,費用対効果,作用機序と治療効果を示すバイオマーカー,効果予測因子の解明など,課題が多い.本稿では,スギ花粉症に対する舌下免疫療法について,これまで明らかになった課題とその解決に向けた取組みについて現状を報告する.
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医学のあゆみ 262巻4号, 282-286 (2017);
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2015年のダニ抗原エキス舌下錠の発売に伴い,わが国における通年性アレルギー性鼻炎の治療は大きな変革期を迎えている.根治を期待できるアレルゲン免疫療法は皮下免疫療法その煩雑さと副作用,そして抗ヒスタミン薬をはじめとした薬物療法の発展に伴い減少傾向にあったが,舌下免疫療法により広く行うことが可能になり,ふたたび増加することが予測される.ダニ抗原エキスを用いた皮下免疫療法は通年性アレルギー性鼻炎の症状の軽症化および治癒を期待できると報告されているが,舌下免疫療法でも同等の治療効果を期待される.舌下免疫療法は皮下免疫療法に比べて投与量の一定であり,副作用がより軽症であると考えられており,アレルゲン特異的免疫療法の経験が少ない医師でも加療が可能である.長期的な治療効果の持続や喘息の発症の予防については今後の検討がまたれる.
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医学のあゆみ 262巻4号, 287-290 (2017);
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小児は成人よりも免疫学的可塑性が高いと想定されるため,小児喘息に対するアレルゲン免疫療法が成人よりも高い有効性を示すだけでなく,かつ真に疾患を治癒に導く可能性があるのではないかと期待される.しかし,現在までの報告では,システマティックレビューにおいてもその臨床効果は成人と同等で,報告数が少ないためにかえって低めの効果とされることもある.一方で,アレルギー性鼻炎患者における喘息発症の予防,新規アレルゲン感作の予防についての有効性は報告は増えている.これらは小児期におけるアレルギーマーチの進展阻止の可能性を示すものであるが,研究対象はおもに学童期以上であり,真にアレルギーマーチ予防,またはより高い効果をもたらすためには,さらに早期,すなわち乳幼児期で介入する必要がある.現行の方法では安全性と侵襲性の点から困難であり,新しい“アレルギーワクチン”の開発が望まれる.
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医学のあゆみ 262巻4号, 291-295 (2017);
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アレルゲン免疫療法は,アレルギー疾患の自然経過を修飾し,その寛解を誘導しうる治療法である.成人喘息におけるアレルゲン免疫療法の一般的な治療標的は,室塵ダニである.ダニアレルゲン免疫療法の一般的な適応は,軽症から中等症で呼吸機能が正常なアトピー型喘息である.ダニアレルゲンの関与が明確で,罹病期間は10 年未満であることが望ましい.著者らの検討では,その有効率は罹病期間10 年未満,一秒率70%以上の症例で高かった.また気管支喘息の50~85%でアレルギー性鼻炎の合併がみられる.アレルゲン免疫療法は,アレルギー性鼻炎ではすべての重症度における標準的ガイドライン治療であり,鼻炎合併の気管支喘息では,とくによい適応と考えられる.
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医学のあゆみ 262巻4号, 297-302 (2017);
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ハチ刺傷による死亡者数は毎年20 名前後報告されている.死因の多くは,ハチ毒アレルギーによるアナフィラキシーショックが考えられる.ハチ毒アレルギーの診断には,ハチ刺傷よる全身症状出現歴とハチ毒特異的IgE 抗体陽性が重要である.ハチ毒アレルギーの根本的治療として,体質改善を目的としたハチ毒エキスによるアレルゲン免疫療法が知られている.欧米諸国では30 年以上前より施行されており,その有効性(約80~95%)と安全性が確認されている.ハチ毒アレルギー患者では,最終刺傷から数年以内に再刺傷を経験すると40~70%の高い確率で全身症状が出現する.このため,ハチと同じ生活環境で作業するアウトドアワーカーや養蜂業者などのなかで,ハチ毒アレルギーと診断された患者は,アレルゲン免疫療法の絶対適応と考える.しかし,わが国ではハチ毒エキスを用いたアレルゲン免疫療法において,いまだ保険の適用がないため,実施している医療機関は一部に限定される.
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医学のあゆみ 262巻4号, 303-306 (2017);
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自然に耐性化が期待できない食物アレルギー患者に対する免疫療法として,食物を用いた経口免疫療法が,日本では多くの施設において研究的な治療として取り組まれている.しかし,副作用として摂取時の症状出現の問題,運動や体調不良による症状誘発など,真の耐性化にかならずしも到達できていない実態が明らかになってきた.副作用発現を抑えることを目的に,経口免疫療法に抗IgE 抗体を併用した試み,舌下免疫療法,少量目標量の経口免疫療法,そして経皮免疫療法などの研究,臨床試験が進んでいる.それらの先には感作があっても発症させない二次予防などの方向性がみえてくる.
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連載
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性差医学・医療の進歩と臨床展開 21(最終回)
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医学のあゆみ 262巻4号, 312-316 (2017);
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臓器移植の現状と課題 6
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医学のあゆみ 262巻4号, 317-322 (2017);
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◎iPS 細胞の開発によって再生医療技術が加速度的に進むなか,肝・腎・膵をはじめとした実質臓器再生については,その複雑な機能とスケールの問題からいまだ臨床応用には至っていない.しかし近年,立体的な実質構造を再現し,移植可能な臓器を再生するために数々の新しい技術が開発されてきている.本稿では,そのなかからとくに著者らが研究開発を進めてきた“脱細胞化臓器骨格”を用いた臓器再生技術についての詳細を,組織再生における細胞外マトリックス(ECM)の意義や具体的な技術背景を示しながら解説し,実際の細胞ソースとしてヒトiPS 細胞を用いた最新の知見について触れたうえで,今後の臨床応用の可能性と問題点を明らかにする.
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TOPICS
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薬理学・毒性学
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医学のあゆみ 262巻4号, 307-308 (2017);
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整形外科学
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医学のあゆみ 262巻4号, 308-310 (2017);
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循環器内科学
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医学のあゆみ 262巻4号, 310-311 (2017);
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FORUM
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研究医育成の現状と課題 10
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医学のあゆみ 262巻4号, 323-325 (2017);
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医学のあゆみ 262巻4号, 326-327 (2017);
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医学のあゆみ 262巻4号, 328-330 (2017);
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