Volume 262,
Issue 7,
2017
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特集 神経内分泌腫瘍UPDATE
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医学のあゆみ 262巻7・8号, 693-693 (2017);
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【病理】
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医学のあゆみ 262巻7・8号, 695-699 (2017);
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神経内分泌腫瘍の病型分類であるWHO2010 は平易で優れた病型分類であったが患者の臨床予後および治療への反応性などの点から改定が望まれてきた.そこで今回,膵原発の神経内分泌腫瘍に限るが新しい病型分類WHO2017 が発表された.大きな改定点としては,神経内分泌腫瘍を高分化と低分化に形態学的所見から分類し,前者を細胞増殖動態から従来のようにG1,G2,G3 に細分化し,後者は組織所見から小細胞癌と大細胞癌に分類したことである.また高分化型神経内分泌腫瘍の分類の根幹となるKi67 指標の算出法も規範し,さらに外分泌成分との混合腫瘍に関しても,MiNEN(mixed neuroendocrine non-neuroendocrineneoplasm)という新しい病名を提唱している.すくなくとも膵神経内分泌腫瘍の診断と治療に従事する者は,この新しい分類を十分習得しておく必要があるものと考えられる.
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【遺伝学】
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医学のあゆみ 262巻7・8号, 700-703 (2017);
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腫瘍の発生には遺伝要因と環境要因,そして加齢という時間要因が関与するが,神経内分泌腫瘍(NEN)においては,その発症に関与する環境要因についてほとんど明らかとなっていない.本稿では,NEN のうちとくに膵に発生する腫瘍について,その遺伝子レベルでの特徴を紹介し,それに続いて膵NEN を発症する遺伝性腫瘍症候群について概説する.
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【診断】
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医学のあゆみ 262巻7・8号, 704-708 (2017);
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神経内分泌腫瘍(NET)の診断においてはWHO 分類2010 による正確な組織診断が重要であるが,画像診断においては腫瘍の存在診断・局在診断にて腫瘍の進達度,転移の有無を正確に評価する必要がある.NETは肝転移の頻度がもっとも高く,次いでリンパ節転移であるが,骨転移も比較的頻度が高く,各種画像検査で総合診断を行っていく必要がある.2015 年に『膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)診療ガイドライン』が出版され,NET 診療の向上に役立っている.さらに,2016 年にソマトスタチン受容体シンチグラフィ(SRS)が日本でも承認された.インジウムペンテトレオチド(111In)を用いるもので,NET の局在診断,遠隔転移の検索,治療効果判定などに貢献することは間違いない.
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医学のあゆみ 262巻7・8号, 709-714 (2017);
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膵神経内分泌腫瘍(P-NEN)は,多発することや,インスリノーマやガストリノーマのように,1 cm 以下の小さい腫瘍でありながら,強いホルモン症状を呈することはまれではない.このため,P-NEN の存在診断を行う際にはCT,MRI のみならず超音波内視鏡(EUS)を行うことが推奨される.EUS-guided fine needleaspiration(EUS-FNA)でのP-NEN の診断能は高いが,線維化に富む場合など,診断困難な症例も存在する.共焦点レーザー内視鏡やオクトレオスキャンなども代替診断として有用である.悪性度診断もEUS-FNA にて行われるが,一致率はそれほど高くない.2017 年改訂予定のWHO2017 分類でのNET-G1~G3 とNEC-G3 を正しく診断することがもっとも重要である.
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【治療】
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医学のあゆみ 262巻7・8号, 715-718 (2017);
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神経内分泌腫瘍(NEN)に対する外科切徐は,①localized disease,②regional disease,③distant disease,いずれのstage においてもまず考慮すべき治療法である.①Localized disease,②reginal diseaseについては外科切徐により根治が期待できるが,経過観察のみで切除を要しない小病変が存在するのか,至適なリンパ節郭清範囲はどうか,遠隔転移の予測マーカーは何か,などの点が明らかになっておらず,当面は一定の切除基準,一定の術式の適応による症例集積が必要なのではないかと考えられる.一方,肝転移を中心とする③distant disease に対する外科切除の意義は,肉眼的治癒切除をめざした切除,集学的治療の一部としての減量切除のいずれにおいても,近年登場した抗腫瘍薬や,今後わが国にも取り入れられる可能性のある放射線核種標的ペプチド治療(PRRT)との比較によって再評価すべき時期にきている.また最近,NEN 肝転移に対する肝移植の意義を再評価する報告もみられ,注目に値する(「サイドメモ」参照).
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医学のあゆみ 262巻7・8号, 719-724 (2017);
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神経内分泌腫瘍(NET)に対する内科治療としては,ラジオ波焼灼術や肝動脈化学塞栓療法などの局所療法と,薬物療法に分けられる.これまで薬物療法のみでランダム化比較試験が行われており,現在,薬物療法が内科治療の中心となっている.薬物療法は高分化と低分化の分化度や原発巣によって大きく異なる.高分化NET ではソマトスタチンアナログ,分子標的薬としてエベロリムス,スニチニブ,化学療法薬としてストレプトゾシンが用いられ,増殖速度と腫瘍量に応じた治療選択が推奨されている.海外ではテモゾロミドや177Lu-Dotatate ペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)の有用性が報告され,日本でも導入が期待されている.一方,NEC に対する標準治療は確立しておらず,類似の疾患である小細胞肺がんに準じた治療選択が推奨され,シスプラチンとエトポシドあるいはイリノテカンとの併用療法が用いられている.
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連載
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臓器移植の現状と課題 7
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医学のあゆみ 262巻7・8号, 731-738 (2017);
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◎生体防御をつかさどる免疫機構は獲得免疫と自然免疫に分けられる.臓器移植後にアロ抗原に反応するリンパ球が特異的に増殖するのは獲得免疫反応であり,免疫抑制剤は獲得免疫反応を有効に抑制する.一方,マクロファージやナチュラルキラー細胞などによる自然免疫は,免疫抑制剤の影響は受けにくい.臓器移植後には必要最小限の獲得免疫応答の抑制を実践すること,可及的に自然免疫応答を促進することが望まれる.
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テレメディシン ― 遠隔医療の現状と課題 NEW
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医学のあゆみ 262巻7・8号, 739-739 (2017);
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テレメディシン ― 遠隔医療の現状と課題 1
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医学のあゆみ 262巻7・8号, 741-746 (2017);
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2017年6月に発表された「未来投資戦略2017」で,2018年度からの遠隔医療の診療報酬化が明記された.大きな効果が期待される一方で,遠隔医療の課題とその解決について,以下の議論が必要である.いかに医療の質や安全を確保あるいは免責するか,いかに医師法や薬機法を遵守あるいは規制緩和を含めた妥協点を見出すか,いかに効果/コスト評価を実施するかなど,遠隔診療が評価され許容される方策を十分に議論しておく必要がある.また,惹起される情報爆発への対応も医療側の過度の負担を避けるために必要である.IoT 機器の通信の標準化やデータの質保証の遅れから,ビッグデータ解析が期待されているIoT データの考え方・取扱い方の議論も望まれる.遠隔医療システムと電子カルテだけで完結するのではなく,PHR や介護,健診システムなどとの連携も考慮しなければならない.高齢者を含む利用者の尊厳を考慮した健全な情報取扱い事業者の増加に伴う領域の成熟が望まれる.
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TOPICS
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脳神経外科学
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医学のあゆみ 262巻7・8号, 725-726 (2017);
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加齢医学
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医学のあゆみ 262巻7・8号, 726-727 (2017);
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臨床検査医学
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医学のあゆみ 262巻7・8号, 728-729 (2017);
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FORUM
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医学のあゆみ 262巻7・8号, 747-749 (2017);
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パリから見えるこの世界 59
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医学のあゆみ 262巻7・8号, 750-754 (2017);
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