Volume 263,
Issue 6,
2017
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特集 血管炎の臨床UPDATE
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医学のあゆみ 263巻6号, 479-479 (2017);
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医学のあゆみ 263巻6号, 481-484 (2017);
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血管が一次的に炎症性に障害される疾患を血管炎という.血管炎は,①大型血管炎,②中型血管炎,③小型血管炎,④多様な血管を侵す血管炎,⑤単一臓器血管炎,⑥全身性疾患関連血管炎,⑦推定病因を有する血管炎,に分類され,小型血管炎はさらに,(1)抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎と,(2)免疫複合体性小型血管炎に細分される.血管炎の病因は不明であるが,他の膠原病・自己免疫疾患と同様に,血管炎はなんらかの遺伝要因を有する人に種々の環境要因が加わることにより発症すると考えられている.日本人集団における血管炎発症に関与する遺伝子としてHLA 遺伝子,IL12B 遺伝子,IRF5 遺伝子などが報告されている.また,環境要因としては感染,薬剤,喫煙,空気中の微小結晶などが血管炎発症に関連することが示唆されている.
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医学のあゆみ 263巻6号, 485-489 (2017);
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高安動脈炎は,大動脈とその分枝動脈や肺動脈ならびに冠動脈など大型血管に炎症を引き起こす血管炎である.本疾患はわが国から第一例が報告されたことにちなんで,日本人の名が冠されている.本疾患では全身倦怠感や発熱など全身の炎症に伴う症状や,大血管の持続的な慢性炎症による動脈の狭窄・閉塞による血流不全に伴った多様な臓器の虚血症状がみられる.本疾患は診断に苦慮する場合がしばしばあるが,不明熱や慢性炎症を呈する若年女性の症例に遭遇した場合には,本疾患を鑑別に入れて精査を進めていく必要がある.
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医学のあゆみ 263巻6号, 491-494 (2017);
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巨細胞性動脈炎(GCA)は,発症年齢ピークは70 歳代であることから,高齢者の血管炎として重要な疾患で,リウマチ性多発筋痛症(PMR)を約40%で合併する.側頭動脈や顎動脈,眼動脈などの頭蓋動脈が中心に侵される血管炎と考えられていたが,大動脈と大動脈分枝の血管炎を30~50%程度で認めることが明らかとなっている.診断にはGCA の分類基準の評価に加えて,大動脈病変の画像診断と除外診断が必要となる.頭蓋動脈の病変を認めない大動脈病変のみのGCA が存在することも明らかとなっており,高齢発症高安動脈炎との鑑別が問題となっている.長期の副腎皮質ステロイド療法がGCA の治療方法として確立されてきたが,その副作用も問題となっている.近年IL-6 阻害薬が有効であることがランダム化比較試験で明らかとなり,今後GCA の治療は大きく変化する可能性がある.
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医学のあゆみ 263巻6号, 495-500 (2017);
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川崎病は,川崎富作博士により1967 年わが国においてはじめて発見された原因不明の疾患である.病態は全身の中小動脈の系統的血管炎であるが,まだ原因は不明である1,2).γ-グロブリン治療が行われている現在においても約3%の患児に冠状動脈瘤を後遺症として発症させ,その4%に虚血性心疾患を引き起こし,その半数は突然死している.この病気は日本のみならず欧米,諸外国でも存在が認められ,子どもの後天性心疾患の1 番の原因疾患として広く認識されるようになってきた3).このため,小児救急の現場においても川崎病を的確に診断して治療することは重要である.
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医学のあゆみ 263巻6号, 501-504 (2017);
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結節性多発動脈炎(PAN)は「中・小動脈の壊死性血管炎で,糸球体腎炎あるいは細小動脈・毛細血管・細小静脈の血管炎を伴わず,抗好中球細胞質抗体(ANCA)と関連のない疾患」と定義される.わが国の指定難病受給者証所持者数は3,442 名,男女比は1:1~3,発症平均年齢は55 歳,7 年生存率は80%である.PANでは筋性動脈の血管壁に強い炎症と壊死が認められ,壊死部の血管にはフィブリノイド壊死,内・外弾性板断裂が認められ,しばしば動脈瘤が形成される.罹患臓器として皮膚,腎,腸管,神経,筋肉が代表的で,倦怠感,体重減少,発熱,関節痛などの全身症状と,虚血による臓器症状が出現する.疾患標識抗体はなく,生検によって確定診断する.中等症から重症のPAN の場合には,中等量から大量の副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン:PSL)と免疫抑制薬を併用し,軽症のPAN の場合にはPSL 単独で治療する.
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医学のあゆみ 263巻6号, 505-510 (2017);
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顕微鏡的多発血管炎(MPA)は,抗好中球細胞質抗体(ANCA)が病態に関与する全身の中・小型血管炎である.MPO-ANCA によるものが多いが,PR3-NCA 陽性の場合もある.ANCA が好中球を活性化し,血管内皮上で炎症を惹起することが原因と考えられている.臓器別では,腎,肺,皮膚,神経に現れることが多い.腎ではpauci-immune 壊死性半月体形成性糸球体腎炎の病理所見を示し,放置すると急速進行性糸球体腎炎の臨床経過をたどる.最近,肺限局型の存在も明らかになりつつある.治療は早期からの副腎皮質ステロイドとシクロホスファミド(CY)の併用が基本であるが,症例によってはCY の代わりにB 細胞をターゲットとする生物製剤リツキシマブ(RTX)も使用され,ほぼ同等の有効性を示している.
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医学のあゆみ 263巻6号, 511-515 (2017);
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多発血管炎性肉芽腫症(GPA)は上気道,肺における肉芽腫性炎症と,腎における壊死性糸球体腎炎をきたす原発性全身性血管炎である.1938 年にドイツの病理学者Friedrich Wegener によりはじめて報告されたことから1),以前はWegener 肉芽腫症の名称であったが,2012 年の新しい国際分類基準(CHCC2012)2)により,疾患名がGPA に変更された.本稿では,GPA の発症機序および臨床に即した症状,診断,治療,予後について述べる.
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医学のあゆみ 263巻6号, 517-520 (2017);
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好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は,①気管支喘息などのアレルギー性疾患,②末梢血の著明な好酸球増加,③組織学的に中小血管周囲の好酸球浸潤を伴う肉芽腫,という3 つの特徴によって,結節性多発血管炎から独立した血管炎症候群のひとつである.抗好中球細胞質抗体(ANCA)陽性率は40~50%であるが,ANCA 関連血管炎のひとつとされる.診断においてはほかの血管炎症候群との鑑別はもちろん,好酸球増多をきたす諸疾患との鑑別も重要である.血管炎症状は喘息などのアレルギー疾患,好酸球の増加の後に発症し,多発性単神経炎がもっとも多いが,皮膚血管炎,虚血性心疾患,虚血性腸炎,壊死性腎炎など全身の臓器に障害をきたすことがある.治療では通常ステロイドが著効するが,ときに難治例があり,免疫抑制薬が併用される.近年では抗IL-5,抗IgE 抗体製剤などが試みられ,注目される.
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医学のあゆみ 263巻6号, 521-524 (2017);
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ベーチェット(Behçet)病は多臓器性の炎症性疾患で,その病態には自己免疫,自己炎症の双方の要素が関与すると考えられているが,病理的には血管の炎症が基盤にある.Chapel Hills Consensus Conference(CHCC)2012 ではvariable vessel vasculitis(VVV)に分類され,その病変は血管のサイズを問わず,肺血管系を含め動静脈に分布する.頻度的には静脈病変優位であるが,喀血をきたす肺動脈瘤を含めた動脈病変や,Budd-Chiari 症候群などの静脈病変は生命予後にかかわる重症病態もきたしうる.これらの炎症病態を制御するため免疫抑制療法が治療の主役である.
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連載
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臓器移植の現状と課題 15(最終回)
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医学のあゆみ 263巻6号, 531-537 (2017);
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◎臓器移植において,拒絶反応の制御が重要であるが,古典的な移植免疫反応である細胞性免疫は免疫抑制療法の進歩により制御され,短期成績は改善してきた.しかし長期成績はいぜんとして課題が多く,それはドナー抗原に対する液性免疫反応である慢性的な抗体産生が原因であるとされる.心移植や腎移植では,慢性抗体関連型拒絶反応によって,微小血管硬化と間質性の線維化が進行し,長期的な臓器不全へとつながる.その免疫反応の制御は現在,困難とされている.一方,肝移植では抗体反応に対する影響が少ないといわれてきたが,最近のドナー抗体の検出方法の進化により,その影響が明らかになってきている.肝移植における術後抗体反応の移植臓器の対する病態は,急性期では急速な移植肝線維化と肝不全への進行がみられる.一方,慢性期では徐々に進行する中心静脈領域を中心とする移植肝線維化が特徴的であり,現在は予後に対する影響は明らかではないが,今後重要な課題となる.
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テレメディシン ― 遠隔医療の現状と課題 9
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医学のあゆみ 263巻6号, 539-546 (2017);
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◎医師不足,専門医の地域偏在などを背景に,既存の医療資源を有効活用して効率的な医療提供を実現する仕組みのひとつとして遠隔医療が推進されている.そのなかで映像の高品質化のニーズも顕在化しており,遠隔地へ臨場感と実物感がある高精細映像を伝えられる8 K 技術の応用が期待されている.そこで本研究においては,8 K 技術による映像高精細化が診断に大きな影響を与えるモデルとして,①遠隔診病理診断モデル,②遠隔診療支援モデル(皮膚科)を選定し,各モデルにおける8 K 技術活用の有効性の検証を行った.両モデルとも,8 K 遠隔と目視による診断結果の一致率は非常に高く,8 K 技術の活用により目視での診断と変わらない精度で遠隔診断できることが示唆され,8 K 技術の活用は遠隔医療のさらなる普及促進に貢献できることが示された.また,今回のモデルに限らず,実証を通じて医療分野における8 K 技術の活用の期待が多く寄せられた.
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TOPICS
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消化器内科学
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医学のあゆみ 263巻6号, 525-526 (2017);
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 263巻6号, 526-527 (2017);
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薬理学・毒性学
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医学のあゆみ 263巻6号, 528-529 (2017);
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FORUM
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生殖倫理の現況と展望 7
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医学のあゆみ 263巻6号, 547-550 (2017);
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パリから見えるこの世界 62
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医学のあゆみ 263巻6号, 551-555 (2017);
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