Volume 264,
Issue 6,
2018
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特集 大改定:血液製剤の使用指針
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医学のあゆみ 264巻6号, 505-505 (2018);
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医学のあゆみ 264巻6号, 507-510 (2018);
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平成29 年(2017)3 月に厚生労働省の血液製剤の使用指針が改定された.12 年前に作成された旧使用指針は,赤血球,血小板,新鮮凍結血漿(FFP),アルブミン,の4 製剤や新生児・小児に対する輸血療法の使用基準を示しており,臨床医にとって非常に有用であった.しかし,旧使用指針の多くはエキスパートの意見に基づいて作成されており,科学的根拠に基づく改定が望まれていた.日本輸血・細胞治療学会は,使用指針の改定のためガイドライン委員会を組織し,下部委員会として4 製剤に対応するタスクフォースなどで活動を行ってきた.推奨度とエビデンスの強さを示すためには,網羅的な論文検索,収集とその評価が必要であり,「科学的根拠に基づく輸血ガイドラインの策定等に関する研究」班(代表研究者:松下 正先生)と協力し,科学的根拠に基づいた使用ガイドラインを作成した.そこに示された推奨度やエビデンスレベルを参考にして,厚生労働省の血液製剤の使用指針が改定された.
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医学のあゆみ 264巻6号, 511-515 (2018);
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日本輸血・細胞治療学会では,3 年間をかけて,「赤血球」「血小板」「FFP」「アルブミン等の分画製剤」の適正使用と「小児(新生児)の最適な輸血」についてのガイドラインを策定した.各専門家からなるガイドライン委員会では,CQ を設定,個々のエビデンス(文献)の単なる質のみならず“アウトカム:当該CQ に対する有用性”を評価した.策定の方法としては,わが国で広く用いられているMinds2014 の手法に原則沿い,文献の系統的検索,一次・二次スクリーニング,バイアスリスク・非直接性・非一貫性・不精確・出版(報告)バイアスなどの評価に続くエビデンス総体の評価をもとに血液製剤の推奨すべき適正使用を提言した.
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医学のあゆみ 264巻6号, 517-523 (2018);
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厚生労働省は「血液製剤の使用指針」および「輸血療法の実施に関する指針」を1999 年に策定し,その後数回改定し,最近では2016 年に一部改正した.いままでエビデンスに基づいた推奨レベルの設定は行っていなかった.最近,非制限的(liberal)輸血が,制限的(restrictive)輸血を上まわるベネフィットを患者にはもたらさないことを支持する論文が多く報告されている.今回,輸血・細胞治療学会が中心となって赤血球製剤ガイドラインを作成した.「血液製剤の使用指針」第2 章「赤血球濃厚液の適正使用」にある適応疾患に含まれる12 個の病態と,「輸血療法の実施に関する指針」第11 章「自己血輸血」にある適応について,具体的な疾患は記されてなかったため,現在多く自己血輸血が行われていると思われる5 つの疾患について,Clinical Question(CQ)を設定し,それぞれのCQ に関して解説を加え,推奨文を作成した.詳細に関しては原文1)を参考にしてほしい.
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医学のあゆみ 264巻6号, 525-528 (2018);
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血小板製剤の使用目的は,血小板減少または血小板機能異常による出血予防と出血治療である.血小板減少患者の管理や抗がん化学療法・手術・処置の安全性確保,出血の予防・治療において,血小板製剤の有効性は高い.一方,血小板製剤は副反応をきたす恐れがあり,発熱や蕁麻疹のみならず,アナフィラキシーや輸血関連急性肺障害など重篤な合併症も生じうる.血小板輸血の繰返しにより同種抗体が誘導され,免疫性血小板輸血不応に陥る可能性もある.したがって,血小板製剤は,必要に応じ適切に使用すべきと同時に,最少にとどめる必要がある.本稿では,日本輸血・細胞治療学会「科学的根拠に基づいた血小板製剤の使用ガイドライン」の概要を紹介する.
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医学のあゆみ 264巻6号, 529-533 (2018);
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血液製剤の使用指針(以下,使用指針)は,血液製剤に対する濫用を防止し,献血制度に基づく輸血医療の維持を図るとともに,患者の安全性を守る目的で平成17 年に公開された.使用指針は,厚生労働省医薬・生活衛生局が知事・市長・特別区区長を通じ医療機関に示す通知である.法的強制力はないが,公的な指針であることから遵守が求められる.一方,科学的根拠に基づく新鮮凍結血漿の使用ガイドライン(以下,科学的ガイドライン)は,はじめに日本輸血・細胞治療学会がタスクフォースをつくり,後にAMED(日本医療研究開発機構)の助成研究「科学的根拠に基づく輸血ガイドラインの策定等に関する研究」として結実した,エビデンスを重視した使用ガイドラインである.科学的ガイドラインの成果を使用指針は一部反映させ,2017 年3 月に改定されているが,科学的ガイドラインはクリニカルクエスチョン(CQ)に対する回答の形式で書かれ,より具体的な根拠内容を含んでいる.科学的ガイドラインは改定を継続しており,使用指針にも反映されていくものと思われる.FFP 使用の効果と限界を把握していただくために使用指針改定の基となった科学的ガイドラインを取り上げた.まず,科学的ガイドラインを記載し,その後解説を加える.
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医学のあゆみ 264巻6号, 534-538 (2018);
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アルブミンの適正使用を推進する目的で,2015 年6 月に日本輸血・細胞治療学会から「科学的根拠に基いたアルブミン製剤の使用ガイドライン」1)が発表され2 年経過した.このガイドラインでは,出血性ショック,重症敗血症,重症熱傷ではアルブミンを用いても入院期間や死亡率などが改善しないこと,また脳虚血(頭部外傷)ではアルブミン使用で死亡率が増加するため,アルブミン投与を推奨していない.一方,凝固因子の補充を必要としない治療的血漿交換療法,肝硬変に伴う腹水やそれに伴う合併症,他の輸液製剤での代替が困難な場合にはアルブミンの使用が推奨された.本ガイドラインについては2016 年に本誌でも概説をしたので2),そちらも参照いただきたい.
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医学のあゆみ 264巻6号, 539-542 (2018);
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1995 年から2014 年までの国内外の知見を参考として,厚生労働省「血液製剤の使用指針」の<新生児・小児の輸血療法>における各項目に対する科学的な根拠を示すことを目的として研究を行った.Clinicalquestion として,赤血球輸血・血小板輸血のトリガー値,サイトメガロウイルス陰性血の適応疾患,をあげた.対象はおもに4 カ月未満乳児とした.急性期を過ぎて状態が安定している児の赤血球輸血のトリガー値はヘモグロビン7~8 g/dL,臨床的に安定し出血症状がない児の血小板輸血のトリガー値は血小板数2~3万/μL とした.CMV 抗体陰性血液の適応に関しては,白血球除去フィルターの効果により感染の可能性が低下しているが,その適応を明らかにするエビデンスレベルの高い研究は十分ではなく,従来のガイドラインを参照するにとどめた.新規知見が報告され,国外のガイドラインの改定もあり,ガイドラインの改定も定期的に行う予定である.
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テレメディシン―遠隔医療の現状と課題 17
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医学のあゆみ 264巻6号, 549-554 (2018);
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◎電子カルテの普及により,分散していた患者の診療情報が電子的に一元的に管理されるようになった.臨床研究における情報の収集方法や利用方法は大きく変わり,今後は研究手法そのものも変化する可能性がある.病院内の電子データを集約したデータウェアハウスの活用だけでなく,SS-MIX を用いて施設横断的に診療情報を収集する手法による研究なども進められており,MID-NET やJ-DREAMS など,各施設で入力された電子カルテ情報をダイレクトに臨床研究に活用する時代になってきた.400 床以上の病院での電子カルテ普及率が70%を超え,次世代医療基盤法の成立により法的枠組みも整理されるなど,その環境は整いつつある.一方,研究利用可能な形式と質での診療記録の記載や,標準マスタなどを採用した電子カルテを各医療機関が導入する必要性など,電子カルテ情報を臨床研究にスムースに橋渡しするには解決すべき課題も残されている.
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救急医学―現状と課題 8
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医学のあゆみ 264巻6号, 555-561 (2018);
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◎敗血症は,年齢や診療科を問わずに遭遇しうる重篤な病態であり,早期に認知して適切な抗菌薬使用をはじめとする感染症の治療を開始するとともに,積極的な輸液・血管作動薬の使用などの循環管理をはじめとした集中治療室(ICU)での集学的な治療が必要となる.2016 年から2017 年にかけて敗血症の定義や診療ガイドラインが改訂され,敗血症は臓器不全を伴うものに限られるようになり,診断基準からSIRS が外れてSOFA スコアが用いられるようになった.また近年短期的な救命率は改善がみられているものの,生存退院しても短期間で死亡したりQOL の低下が問題となる症例が多いことが改めて認識され,ガイドライン上でも救命治療の後を見据えた対応についても言及されるようになった.今後これらの変更に伴うICU 退室後も含めた治療成績の向上が期待される.
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TOPICS
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消化器内科学
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医学のあゆみ 264巻6号, 543-544 (2018);
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脳神経外科学
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医学のあゆみ 264巻6号, 544-545 (2018);
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循環器内科学
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医学のあゆみ 264巻6号, 546-547 (2018);
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FORUM
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パリから見えるこの世界 65
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医学のあゆみ 264巻6号, 562-566 (2018);
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