Volume 264,
Issue 12,
2018
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特集 DAMPs と疾患・創薬
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医学のあゆみ 264巻12号, 1009-1009 (2018);
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医学のあゆみ 264巻12号, 1011-1015 (2018);
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非ヒストン性DNA 結合蛋白質であるHMGB1 は,細胞壊死や活性化に伴って核から細胞外へと局在移行を果たし,細胞外でパターン認識受容体であるRAGE やTLR-2/4 などを刺激することによって,サイトカイン様のさまざまな起炎性活性を発揮する.代表的DAMPs であるHMGB1 による自然免疫応答の過剰亢進は,多くの加齢関連疾患や生活習慣病への関与が報告されており,HMGB1 の病態生理学的意義の解明と,HMGB1 を標的にした分子標的治療法の開発が精力的に進められている.本稿では,HMGB1 制御の方策を概説するとともに,著者らがこれまでに進めてきたHMGB1 特異的抗体による治療的アプローチについて述べる.
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医学のあゆみ 264巻12号, 1016-1019 (2018);
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ヒトが100 年近く生存し続けるには,さまざまなストレスに対応できる周到な“脳を守る”仕組みが備わっているはずである.もっとも強度なストレスとしての脳虚血では,DAMPs という神経炎症性物質などによる拡散性のネクローシス性細胞死が生じる.その細胞死もいずれ収束するが,そうした保護機構にネクローシス性ストレスを受けた神経細胞などから分泌されるプロサイモシンα(ProTα)が鍵的役割を果たす.その仕組みの一部にはミクログリア上の自然免疫TLR4 受容体の活性化が関与するが,炎症性の下流MyD88 系シグナルではなく,保護性のTRIF 系シグナルのみを駆動させる.このほかGPCR を介する新しいProTα受容体機構の可能性も見出され,さらにはストレス時の非小胞性のProTα遊離機構にも新規性に富む仕組みが含まれていることが明らかとなっている.
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医学のあゆみ 264巻12号, 1020-1024 (2018);
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脳におけるさまざまな病態で炎症が関連する.損傷した脳組織では病原体の関連しない無菌的炎症が惹起され,神経機能予後に影響を与える.無菌的炎症では,組織の細胞死に伴って自己由来の炎症惹起分子(DAMPs)が放出される.DAMPs は,脳細胞や脳に浸潤した免疫細胞が発現するパターン認識受容体を活性化し,炎症性因子の産生を誘導する.DAMPs が惹起する脳内炎症はあらたな治療標的として注目されており,今後も詳細な分子メカニズムを解明する必要がある.
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医学のあゆみ 264巻12号, 1025-1028 (2018);
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敗血症は「感染に対する制御不能な宿主応答により,生命を脅かすような臓器障害を引き起こした状態」と定義されている.臓器障害を引き起こす宿主応答の実態として,細胞の核から放出されるDAMPs 群の関与が注目されているが,そのなかでも,細胞外ヒストンは,血小板および血液凝固反応を活性化することによって,血管内血栓形成を引き起こすことが知られている.また,血管内皮細胞や心筋細胞を傷害し,遠隔臓器障害を引き起こすことも報告されている.敗血症モデル動物においては,ヒストンの作用を抑制することで生存率を改善できることから,新規治療ターゲットとして期待が高まりつつある.
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医学のあゆみ 264巻12号, 1029-1035 (2018);
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Interleukin-1(I L-1)ファミリーに分類されるIL-33 は,おもに上皮細胞や血管内皮細胞の核内に恒常的に存在しており,これら細胞が破壊される際に細胞外に放出されて免疫応答を誘導するDAMP(damage-associatedmolecular patterns)のひとつである.IL-33 はマスト細胞やTh2 細胞からの2 型サイトカインの産生を誘導し,寄生虫に対する感染防御に重要なサイトカインとして同定された.一方で,その過剰・不適切な作用は,喘息などのアレルギー疾患の発症および病態の形成にも深くかかわる.これまでにIL-33 はさまざまな細胞の活性化を介して免疫応答を誘導し,自己免疫疾患の発症や腫瘍免疫などにも関与するだけでなく,制御性T 細胞やミエロイドサプレッサー細胞の誘導を介して免疫応答を抑制する作用ももつ.本稿では,IL-33 の産生機序や細胞外への放出後の機能を中心として“DAMP としてのIL-33”についての最近の知見を概説する.
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医学のあゆみ 264巻12号, 1036-1040 (2018);
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尿酸は,ヒトおよび近縁の霊長類では,プリン塩基の最終代謝産物であり,血清尿酸レベルは,産生と排泄および尿細管再吸収による保持機能に依存するが,とくに尿酸排泄に寄与するトランスポーターの遺伝子多型に基づく機能低下により高尿酸血症と痛風発症のリスクが大きく上昇する.痛風関節炎は,高尿酸血症にともない関節腔内に析出した尿酸塩結晶が好中球の浸潤と活性化を起こすことにより惹起される急性炎症である.尿酸塩結晶は,danger signal として,自然免疫関連受容体であるNLRP3 を包含するNLRP3 インフラマソームを活性化し,炎症性サイトカインIL-1β,IL-18 の産生を誘導する.このインフラマソーム形成には,微小管を介するミトコンドリアの移動と小胞体との会合が必須であり,尿酸塩結晶に起因するミトコンドリア障害がSIRT2 によるαチューブリンの脱アセチル化を低下させ,インフラマソーム形成過程を促進することが明らかになった.いくつかのあらたな創薬標的候補が見出されており,あらたなコンセプトの痛風関節炎治療薬の開発につながるものと期待される.
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医学のあゆみ 264巻12号, 1041-1046 (2018);
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Adenosine 5’ -triphospate(ATP)はエネルギーの通貨であるが,細胞外に放出されて細胞間情報伝達物質として機能する.とくに細胞死および傷害の最初期に放出・漏出される分子であることから,最初期DAMPsとしての役割に注目が集まっている.細胞外ATP および他ヌクレオチドは,各種P2 受容体に,また代謝されてadenosine としてP1 受容体に作用することで,周辺細胞にその情報を伝える.脳卒中初期に細胞外ATPは上昇する.このATP は脳に対して保護作用も傷害作用も示す,両刃の剣として機能する.これら脳卒中後のATP による複雑な作用は,グリア細胞-神経細胞連関による脳機能制御と大きく関係している.細胞外ATP はまずミクログリアが感知して活性化型となり,遊走や貪食により傷害部位に集積し,死細胞の除去やリモデリングを行う.さらにミクログリアの情報はアストロサイトにも伝達され,少し遅れてアストロサイトが活性化型となる.アストロサイトはATP を感知すると脳保護型に変化し,内在性の強力な脳保護作用である“虚血耐性”が誘導される.このようなDAMPs シグナルATP による脳機能の制御について,グリア-神経連関に注目して論じる.
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医学のあゆみ 264巻12号, 1047-1053 (2018);
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われわれの身体の病気は,軽いものから重篤なもの(風邪や創傷,糖尿病,神経変性疾患,動脈硬化,がんなど)まで,ほとんどが炎症を伴う.この炎症は生体の防御反応に必要であるが,過剰となれば病気の増悪ループの形成につながるやっかいなものである.近年,炎症の起始および増悪過程へのダメージ関連分子パターン(DAMPs)の大きな役割が注目されており,その制御手法開発に重篤炎症疾患の治療への大きな期待がもたれている.有効な治療法を確立するためには,DAMPs の本態を広く深く理解する必要がある.DMAPs炎症機能発現には受容体が必須であり,その重要な受容体のひとつとして,終末糖化産物受容体(RAGE)がよく知られている.これまでRAGE を標的としたさまざまな製剤が開発されてきているが,不思議といまだに臨床に応用できずにいる.これには,まだ十分な理解に至っていないRAGE の複雑な分子機能が大きくかかわってきていることがわかってきた.本稿では,DAMPs-RAGE の多様な生理機能制御につながる下流信号伝達制御機構の最新の知見について概説し,RAGE 本態の深い理解につなげていきたい.
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連載
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救急医学―現状と課題 13
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医学のあゆみ 264巻12号, 1060-1068 (2018);
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◎救急・災害医療への医師会の貢献を,首都東京を例に概説しているが,前編では,“休日・全夜間診療事業”による常時救急応需の体制確立や,“救急医療の東京ルール”による搬送先選定困難患者の激減,専門性の高い各種救急疾患への対応に触れた.この後編では,救急需要対策と災害医療を詳述する.救急医療需給バランス改善のため全国に先がけ電話救急相談事業を開始,そのセンターに医師会員が常駐し医学的助言を行う.消防救急車による転院搬送抑制のため病院救急車と民間救急車の活用を提言.稼働中の“病院救急車による患者搬送システム”は全国が注目する.災害対策基本法上の指定公共機関である都医師会は,都の防災計画立案・訓練での協働は元より,都外のさまざまな災害にも積極的に組織的支援を行ってきた.救急委員会が核となるJMAT 研修の質は他道府県の耳目を集める.集団災害対策の経験も積み,現在は東京オリンピック・パラリンピックの医療支援計画に尽力中である.
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Sustainable Development を目指した予防医学 3
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医学のあゆみ 264巻12号, 1069-1073 (2018);
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TOPICS
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アレルギー学
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医学のあゆみ 264巻12号, 1055-1056 (2018);
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免疫学
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医学のあゆみ 264巻12号, 1056-1057 (2018);
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癌・腫瘍学
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医学のあゆみ 264巻12号, 1058-1059 (2018);
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FORUM
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医学のあゆみ 264巻12号, 1074-1075 (2018);
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医学のあゆみ 264巻12号, 1076-1077 (2018);
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医学のあゆみ 264巻12号, 1078-1079 (2018);
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