Volume 265,
Issue 12,
2018
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特集 心臓リハビリテーションの最前線
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医学のあゆみ 265巻12号, 989-989 (2018);
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医学のあゆみ 265巻12号, 991-994 (2018);
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心臓リハビリテーションは,急性心筋梗塞後の寝たきりの弊害をいかに防ぐかということからはじまった.現在では,冠動脈疾患のみならず,心不全や大血管疾患,末梢動脈疾患などが対象疾患となっており,運動療法のみならず危険因子の是正を含む患者教育による多職種協同でのチーム医療によって,動脈硬化悪化予防,再発・再入院予防を通じた生命予後の延長とQOL の向上を目的としている.1995 年に日本心臓リハビリテーション学会が設立され,心臓リハビリテーション指導士制度の発展とともに会員数が増加していき,現在では14,000 名に迫る勢いとなっている.これは,医療現場のみならず社会からの心臓リハビリテーションに対する大きな期待やニーズの表れととらえている.しかし,臨床での心臓リハビリテーションの普及はまだ十分とはいえない.
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医学のあゆみ 265巻12号, 995-998 (2018);
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PCI は,CABG と同等またはそれ以上の臨床的効果を低侵襲に行うことを目標に発展してきた.DES が登場し再狭窄の問題が克服され,1 年以内の短期予後は,高リスク患者においてもCABG と同等の効果が得られようになった.しかし,長期の予後はいまだPCI はCABG を超えておらず,循環器医がチーム医療で行う包括的心臓リハビリテーションの臨床的意義を理解し,DES に生活習慣改善とエビデンスのある薬物療法を組み合わせることにより,PCI 施行患者の長期予後は改善し,PCI はCABG を凌駕することになるであろう.そのためにDES(drug eluting stent)を植え込んだ患者には,長期予後改善のためにもうひとつのDES(diet,exercise, stop smoking)が重要であることを啓蒙しなければならない.
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医学のあゆみ 265巻12号, 999-1003 (2018);
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超高齢時代を迎えて心不全患者は爆発的に増加している.心不全に対する治療法の進歩により長期予後は改善したが,心不全増悪による再入院や,左室駆出率(EF)の保たれた心不全に対する有効な治療法は確立されていない.心不全に対する運動療法は国内外のガイドラインで,運動耐容能や心不全症状の改善および長期予後改善を目的にすることが推奨されている.また,高齢心不全患者の急増に伴い,再入院予防のための疾病管理を目的としたチーム医療の重要性も高まっており,運動療法を中心とする包括的心臓リハビリテーションが果たす役割は今後ますます大きくなるものと考える.しかし,わが国では心不全急性期に血行動態を安定化させるための治療に力が注がれる一方で,心臓リハビリテーションは十分に実施されておらず,さらに,標準的な方法も確立していなかった.日本心臓リハビリテーション学会から2017 年発表された「心不全に対する標準的心臓リハビリテーションプログラム」の内容に基づき,心不全に対する心臓リハビリテーションについて概説する.
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医学のあゆみ 265巻12号, 1004-1008 (2018);
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心臓血管外科術後のリハビリテーションは,術後合併症や身体機能低下予防および早期退院・早期社会復帰を目的として実施される.また,疾患の再発や心不全による再入院の予防のための疾患管理能力の獲得も重要な目的のひとつである.急性期では全身状態に合わせて離床を促進し,病棟での安静度や活動量を増加させていく.近年では術後リハビリテーションを積極的に実施する施設が増加しており,多くの症例が術後4~5 日程度で病棟内歩行の自立が可能となっている.一方で,術後リハビリテーションが順調に進まない症例も少なからず存在しており,理学療法士による個別的な術後リハビリテーションプログラムの実施や病棟での身体活動量を維持・増加させる取り組みが重要となる.回復期以降は心肺運動負荷試験の結果に基づく適切な運動処方に準じた運動療法に加えて,疾患管理能力獲得のための患者指導を継続して実施することが重要である.
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医学のあゆみ 265巻12号, 1009-1013 (2018);
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超高齢社会を迎え,アテローム性動脈疾患患者は増えている.とくに末梢動脈疾患(PAD)は行動の自由を脅かし,著しく日常生活動作(ADL)を低下させ,病態の進行により,下肢の疼痛や潰瘍・壊死を引き起こす疾患である.高血圧,脂質異常症,糖尿病などの生活習慣病や心房細動などの厳格な管理が求められるとともに禁煙の徹底が重要である.リハビリテーションの効果は,筋肉の酸素利用効率の改善,筋線維TypeⅠ,Ⅱa/TypeⅡb,Ⅱx 比の増加,側副血行路の発達,血管内皮機能改善効果,循環血液中の血管内皮細胞増殖因子や末梢血液中の血管内皮前駆細胞の増加を介した血管新生などが望める.リハビリテーションのメニューは下肢動脈疾患の病態に則したものが求められる.Fontaine 分類Ⅰ~Ⅱ度は運動療法が治療の中心となり,薬物療法がそれに続く.適正な運動療法には薬物療法を凌ぐ効果がある.Fontaine 分類Ⅲ~Ⅳ度では血行再開のための治療が優先される.そして創傷の治癒に向けた多職種医療スタッフの介入が重要である.
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医学のあゆみ 265巻12号, 1014-1017 (2018);
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肺高血圧症では,これまで運動耐容能と生命予後の関連性が示されてきており,6 分間歩行試験や心肺運動負荷試験がその予後予測に有用であることが知られている.その一方で,肺高血圧症において,心臓リハビリテーションが予後改善効果を有しているかどうかは,いまだ議論の余地が残されている.運動療法を主体としたリハビリテーションが,運動耐容能,身体活動,疲労度を有意に改善するなど,運動療法の有効性に関する報告が散見される一方で,有害事象も報告されている.慢性心不全の運動療法と異なり,薬物療法により循環動態が安定していれば運動療法を考慮してもよいが,肺高血圧症治療およびリハビリテーションの経験豊富な施設において,バイタルサインを監視のもと,過度にならないよう慎重に実施するべきであると考えられている.本稿では,肺高血圧症の一般的治療方針に加えて,運動療法に関しても概説する.
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医学のあゆみ 265巻12号, 1018-1022 (2018);
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古くは心疾患に対するレジスタンストレーニングは禁忌とされてきたが,1990 年代後半より広く心臓リハビリテーションにプログラムに取り入れられるようになった.心疾患に対するレジスタンストレーニングは,筋力や筋持久力の向上,筋量の増加が主目的であるが,近年の心臓病患者の重症化や高齢化に伴い,レジスタンストレーニングの目的や内容は,低下した運動機能を速やかに回復させることに加えて,生活機能の再獲得を意識したトレーニングに変化してきている.また,心疾患発症後の安静の影響を最小限に抑えるための電気刺激療法や低体力者であっても,初期の運動療法の導入を安全にかつスムーズにするためのインターバルトレーニングなど,さまざまな手法が試みられている.急性期の安静治療により,容易に骨格筋機能が失われることもあり,超高齢社会では心臓リハビリテーションにおけるレジスタンストレーニングの重要性が増している.
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医学のあゆみ 265巻12号, 1023-1029 (2018);
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心疾患患者の退院後のイベント発生率は依然として高く,退院後の疾病管理が重要である.「疾病管理プログラム」とは,多職種チームが標準的医療・セルフケア教育・追跡評価などの介入を統合的計画的に実施することにより再入院抑制・予後改善・医療費抑制をめざすものである.冠動脈疾患患者の長期予後改善のためには,冠動脈全体の動脈硬化進行抑制が重要であり,冠動脈疾患患者が外来心臓リハビリテーション(心リハ)に積極的に参加することにより,多重冠危険因子の改善を得ることができる.一方,再入院を繰り返すフレイル合併高齢心不全患者が増加しており,心不全の治療目標が従来の“標準治療薬による死亡率低下”から,“疾病管理による再入院防止+運動療法による運動耐容能向上”に変化しつつある.外来心リハは,運動耐容能改善・心不全病態改善・患者教育指導・増悪早期発見の点で有用であり,心不全の包括的疾病管理プログラムとして最適な場である.
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連載
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Sustainable Development を目指した予防医学 12
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医学のあゆみ 265巻12号, 1036-1041 (2018);
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わが国ではここ20 年来,児の出生時体重の減少が顕著であり,この世代が成人期に達したとき,疾病の発症が急増するのではと懸念されている.その根拠となっているのが,“胎児期・乳幼児期の環境の変化に対し不可逆的な反応(たとえば,エピジェネティックな変化)が生じて,これが成人期に種々の疾患を発症する”というDevelopmentalOrigins of Health and Disease(DOHaD)仮説である.さらには,生活習慣病に罹患しやすい遺伝子多型,すなわち倹約遺伝子型の関与も指摘されている.一方,出生時体重減少の要因としては,若年女性のやせの増加と妊娠中の厳格な栄養管理があげられる.したがって,この領域の予防医学では,より個別化した妊娠前および妊娠中の栄養指導を中心に据えた介入戦略が必要である.
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移行期医療 ― 成人に達する/ 達した患者への医療 5
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医学のあゆみ 265巻12号, 1042-1047 (2018);
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◎小児がんの治療成績は向上し,小児がん経験者に対するフォローアップを目的とした移行期医療の重要性が認識されるようになった.小児がん経験者には,どのような晩期合併症がどの程度のリスクがあるのかを個々の小児がん経験者の疾患や治療内容によって把握して必要なフォローアップを行うことが重要であり,そのための知識が求められている.また,思春期・若年成人(AYA)世代のがん医療は,わが国のがん対策のなかでも重点的な課題として取りあげられている.このAYA 世代に発症したがんは,小児がんと共通する特徴と,成人がんに共通する特徴,またどちらとも異なる特徴をもっており,AYA 世代特有の患者の問題にも配慮しながら治療を行うことが必要である.小児がんの移行期医療には,小児診療科と成人診療科が連携し,小児がん経験者が自立して長期のフォローアップを受けることができるような体制を構築していくことが望まれる.
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TOPICS
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遺伝・ゲノム学
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医学のあゆみ 265巻12号, 1031-1032 (2018);
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消化器内科学
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医学のあゆみ 265巻12号, 1032-1033 (2018);
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薬理学・毒性学
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医学のあゆみ 265巻12号, 1034-1035 (2018);
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FORUM
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Choosing Wisely キャンペーンとは 9
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医学のあゆみ 265巻12号, 1048-1050 (2018);
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医学のあゆみ 265巻12号, 1051-1052 (2018);
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医学のあゆみ 265巻12号, 1053-1055 (2018);
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