Volume 266,
Issue 2,
2018
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特集 自動車を運転する患者のために
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医学のあゆみ 266巻2号, 127-127 (2018);
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医学のあゆみ 266巻2号, 129-134 (2018);
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わが国では通常,免許の種類ごとに決められた年齢に達し,試験に合格すれば,運転免許を取得することができる.しかし,免許の相対的欠格事由として定められている病気(一定の病気)と診断された場合,警察庁が定める運用基準にしたがって免許の可否が判断される.近年,運転者の健康状態に起因した事故が問題となっている.特定の病気に起因した事故に対しては,要件を満たせば危険運転が適用される.運用基準にしたがって,免許の取得・更新が認められた運転者は,運転に支障が生じないよう十分な注意が必要である.また,高齢者の運転も問題となっている.平成29 年(2017)の道路交通法(道交法)改正で高齢者の免許更新にかかわる制度が大きく変わり,免許更新にあたって医師の診断が必要となる高齢者の数が急増した.認知症を含む一定の病気に対する医師の診断は,患者の免許更新の可否に大きく関与するので,大きな役割と責任を伴う.良心と見識に基づき,医学的見地から診断を行うことが強く求められている.
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医学のあゆみ 266巻2号, 135-139 (2018);
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多くの自動車運転者が生活習慣病に罹患しているなか,運転者の体調変化に起因した交通事故を予防するためには,患者が安全に自動車を運転できるかどうかを判断する必要がある.すなわち,それぞれの疾患が自動車運転にどのような影響を与えるのかを理解したうえで,疾患を適切にコントロールすべきである.さらに,法律や指針に基づいて,自動車運転に関する療養指導を適切に行うことも重要である.
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医学のあゆみ 266巻2号, 140-144 (2018);
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超高齢社会である日本において,認知機能の変化と自動車運転の問題は喫緊の課題であり,高齢化が進む世界各国のモデルケースとなっている.本稿では,加齢と運転に関する疫学情報,加齢に伴う身体機能の変化と運転,認知症と運転,認知機能低下に伴う自動車運転能力の変化に対する国際社会の対応,そして今後必要とされる対策のなかで医師が担うべき役割について述べる.
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医学のあゆみ 266巻2号, 145-149 (2018);
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当院では,自動車運転を再開する脳卒中・脳外傷患者に対し,運転能力評価として,off-the-road 評価とon-the-road 評価に分け,前者は院内で,①医学的所見(傷病の安定性,合併症の有無,神経学的所見,日常生活能力評価),②画像検査,③神経心理学的検査,④ドライビングシミュレーター(DS)の評価を,後者は実車運転評価を教習所などで行っている.医学的に安定し,日常生活が自立し,自動車運転に必須とされる高次脳機能が保持されていることが自動車運転の前提条件である.運転が可能と判断されても,①運転ルートをシンプルにする,②渋滞などの妨害刺激の少ないルート,時間帯をあらかじめ選択し,③運転前に体調がよいことを確認し,さらに,④運転時間は短くし,こまめに休養をとる,⑤運転中は話をしない,速度を上げない,⑥悪天候時および夕方~夜間は運転をしない,⑦なるべく同乗してもらう,⑧適宜,運転能力をモニターし,随時,運転についての指示を受ける,⑨なるべく安全運転設備が装備された車で運転する,などの配慮を行う.
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医学のあゆみ 266巻2号, 150-153 (2018);
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脳神経疾患のなかで日常遭遇することの多い疾患は,認知症,頭痛,てんかん,脳血管障害,パーキンソン病などがあげられる.いずれも自動車運転に必要な高次機能や運動機能が障害される疾患であり,また,それぞれの治療薬も中枢神経系に作用して,自動車運転に影響しうることから,患者の交通社会への参加は必須の検討事項である.ここでは,脳・神経疾患と自動車運転について概説する.
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医学のあゆみ 266巻2号, 154-158 (2018);
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女性ドライバーが増えている車社会において,女性特有の事故内容が明らかとなっている.この背景に,女性のライフステージごとの性ホルモンの分泌状態がもたらす心身への影響がある.月経期や黄体期には性周期ごとの心身の変調の自覚とセルフケアへの指導が必要であること,妊娠期には母子の2 つの命を守るために,適切なドライビングポジションとシートベルトの着用方法についての指導が不可欠である.また,育児期の女性では,子どもの同乗によるストレスから注意力散漫になりやすいことや,チャイルドシートを外してしまいがちであることにも注意する必要がある.更年期の女性では閉経に伴う自律神経症状を中心とした心身の不調が自動車運転の安全性を低下させている.女性が心身ともに健康な日常生活を送り,安全な自動車運転ができるためには,セルフケア能力を身に着けられるように適切な保健指導と対処方法を伝えていく必要がある.
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医学のあゆみ 266巻2号, 159-164 (2018);
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疾患を有する患者が自動車運転をする際には,症状をコントロールする薬剤を確実に服用する必要がある.しかし,薬剤のなかには眠気や意識消失などの副作用により自動車運転に影響を及ぼすものがあり,添付文書に自動車運転の禁止が記載されているものが多い.日常的に自動車運転をせざるをえない患者に薬剤を処方する際には,患者の症状やライフスタイルを把握し,患者のquality of life(QOL)をできるだけ低下させない適切な薬剤を選択するとともに,患者自身が納得して取り組める対応について服薬指導することが重要である.とくに最初の投与時や,服用量を変更する際には,起こりうる症状を患者や家族に説明し,数日は運転を控えて眠気などの発現に留意するなど,投与初期の体調の変化を見逃さないよう情報提供しておく必要がある.運転再開後も,眠気やめまいなどの体調不良を感じた場合にはすぐに運転をやめて相談するよう伝え,必要に応じて処方変更するなど,患者とともに安全な運転ができるよう支援していくことが大切である.
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連載
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Sustainable Development を目指した予防医学 13
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医学のあゆみ 266巻2号, 169-174 (2018);
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◎環境汚染の事例から子どもは大人よりも環境の有害物質の影響を受けやすいことが示され,子どもの環境保健が世界的な課題となっている.国内でも発育,先天異常,アレルギー,代謝・内分泌,精神発達など,子どもの健康の近年の動向に懸念が示されている.そこで,子どもの環境保健の基盤となる知見を得るために,化学物質その他の環境要因と子どもの健康・発達との関連を調べる出生コホート研究が国内外で行われている.さまざまな疾患について環境要因のリスクを正しく評価するためには大規模な研究が必要であり,デンマーク,ノルウェーおよび日本では約10 万人の子どもを対象とした研究を継続している.出生コホート研究で信頼できる結果を得るためには追跡率を維持することが重要であり,長期にわたる調査には多大な費用と労力がかかるが,研究を適切に実施することにより科学的根拠に基づく政策・医療の提供につなげ,次世代の健康や発育をサポートすることが期待できる.
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移行期医療 ― 成人に達する/ 達した患者への医療 6
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医学のあゆみ 266巻2号, 175-180 (2018);
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◎成人先天性心疾患患者数は年々増加し,複雑先天性心疾患術後の成人患者も急増している.わが国では,すでに患者数が50 万人を越えるとされている.また,1 万人を越える冠動脈合併症遺残(冠動脈瘤,狭窄,心筋梗塞)を伴う成人川崎病患者も存在する.これら患者が成人患者として自立した生活を送るためには,小児期から成人にわたる移行医療,生涯にわたる医療体制の構築が必要である.これらの患者は,小児から成人へと向かうに従い,自分の病気と小児期に行われた治療の内容を理解し,成長とともに変化する病状や後期合併症に対する治療や対応も理解する必要がある.さらに,思春期をすぎると成人患者に対して専門的医療を行うための成人に向いた診療体制が必要となる.これら患者の自立を進めるには,小児期の患者教育体制と成人向きの診療体制確立の双方の視点から移行診療を円滑に行うことが必要である.
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TOPICS
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神経内科学
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医学のあゆみ 266巻2号, 165-166 (2018);
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救急・集中治療医学
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医学のあゆみ 266巻2号, 166-167 (2018);
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呼吸器内科学
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医学のあゆみ 266巻2号, 167-168 (2018);
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FORUM
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Choosing Wisely キャンペーンとは 10
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医学のあゆみ 266巻2号, 181-183 (2018);
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パリから見えるこの世界 70
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医学のあゆみ 266巻2号, 184-187 (2018);
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