Volume 267,
Issue 4,
2018
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特集 AI は画像診断を変えるか?
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医学のあゆみ 267巻4号, 263-263 (2018);
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【総論】
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医学のあゆみ 267巻4号, 265-267 (2018);
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人工知能(AI)による画像の自動認識技術の開発により,画像診断の機械による自動化が現実のものとなった.膨大な情報の処理を可能とする技術革新によるところが大きい.一方で,AI には正確な情報を与えないと,想定外の結果を招いてしまうこともわかってきている.この領域における現状を認識しつつ,今後の医療に貢献するためにはどのような課題があるのかを頭に浮かべながら,本特集を読み進めていただければ幸いである.
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【画像診断領域とAI 研究の実例】
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医学のあゆみ 267巻4号, 268-273 (2018);
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CIRCUS(Clinical Infrastructure for Radiologic Computation of United Solutions)は,CAD(computeraideddiagnosis/detection)ソフトウェアの開発や利用を促進するために,アルゴリズムの開発,ソフトウェアの実装,臨床使用,知見のフィードバック,アルゴリズムおよびソフトウェアの改善,さらなる臨床使用の循環を実現することを目的とした統合的なCAD 開発プラットフォームである.CAD を利用するための環境であるCIRCUS clinical server は,検診画像に対して肺結節検出や脳動脈瘤検出,内臓脂肪測定などで運用をしている.またCAD を開発するための環境であるCIRCUS database には,開発に必須のラベルづけを支援する機能やソフトウェアの施設ごとの最適化に必要なフィードバック収集機能を備えている.CIRCUSはフリーソフトとしてソースコードを含めて公開している(http://www.ut-radiology.umin.jp/ical/CIRCUS/index.html).
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医学のあゆみ 267巻4号, 274-278 (2018);
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心臓MRI 診断の現場においてコアとなる課題が列挙されるが,心臓MRI 検査を日々12~16 件を行う心臓画像診断特化型クリニックでは,検査から診断までのスループットが最も大きな医療的,また経営的な課題としてあげられる.技術的にもまだまだこれからの心臓MRI 診断が,より心臓画像の分野で大きな力を発揮するためには,AI のような革新的な技術のサポートは不可欠である.医療現場としてその診断現場をみれば,健全な経営や永続性のある医療サービスの提供が根底になければならない.プライベートクリニックが試用するAI やわが国でもっとも心臓MRI 画像を管理する現場が生み出そうとするAI 診断アシストの実例を知っていただき,われわれの携わるわが国の医療が,AI によって革新的な成長とともに,より多くの方々の健康を守るものになることを期待したい.
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医学のあゆみ 267巻4号, 279-282 (2018);
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現在の人工知能(以下,AI)の中心的手法は,ディープラーニングとよばれる技法である.ディープラーニングは画像認識からはじまっているので,まず臨床応用される分野は画像診断である.その研究開発の現状を米国,中国,日本で比較検討した.AI 開発には国境はない.米国や中国は国家的プロジェクトとして膨大な予算を背景にAI などIT 技術の研究開発および商業化に邁進している.日本がこれらの国々と同じ研究分野や製品分野でまともに競争することは非常に困難な状況といえる.したがって,画像診断AI については,米国や中国などがどのような製品を研究しようとしているかを冷静に分析し,日本は自らの国のデータを使って独自のAI 画像診断支援装置を開発し,競争に勝ち抜く必要がある.
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医学のあゆみ 267巻4号, 283-287 (2018);
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人工知能(AI)は画像診断を変えつつある.当科の人工知能研究室ではマンモグラフィによる乳癌診断,MRA での脳動脈瘤診断,胸部X 線写真およびCT による肺癌診断などの人工知能のアルゴリズムを開発している.驚くべきことには,そのいずれでも診断精度は読影専門医に近く,凌駕すらしつつある.さらに,実際にAI 補助下での画像診断をいち早く臨床研究している.AI の補助により画像診断は見逃しが減り,より心強く,より科学的になる.AI は画像診断のみでなく医療のあらゆる分野に同様の体験をもたらし,日常診療を変えていく.AI は使いこなすものであり,恐れるものではない.けっしてブラックボックスではなく,むしろその逆で,すべてがオープンである.今後,多岐にわたる医師の専門分野のひとつとして,AI を理解することでAI を使いこなし,そのリスクを管理・運用することが求められるであろう.
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医学のあゆみ 267巻4号, 288-292 (2018);
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厚生労働省の保健医療分野におけるAI 活用推進懇談会において,AI 開発の重点領域に画像診断支援も選定されている.今後は深層学習,ビックデータを活用したAI による画像診断支援も加わったあらたな診断支援技術の開発の方向性へと変わっていくことが考えられる.がんの総合診断における類似画像検索システムは,多彩な過去の症例を集積し,そのなかから視覚的類似症例を高速画像検索できるように画像の特徴量を工学解析し,キー画像を設定することによって,PACS とも連動させたデータベースを構築し,診断医のワークフローのなかに上手に組み込むことによって,がん診断支援システムとして大きな役割を果たしていく可能性が考えられる.
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医学のあゆみ 267巻4号, 293-298 (2018);
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びまん性肺疾患は罹患患者数が多く,一般病院でも診療機会が多い疾患であるが,疾患種が多く,画像も多彩で,画像診断の専門医にとっても診断が難しい症例が数多く存在する.著者らは富士フイルム(株)との共同研究により,びまん性肺疾患を広くカバーした69 疾患191 症例からなる胸部CT 画像の症例データベース(DB)を構築し,新規病変画像を入力して,このDB 中から,画像マッチングで類似症例を検索するプロトタイプシステムを開発した.このシステムは,8 種類の基本画像パターンとの一致度を判定する判別器をベースとしている.虎の門病院で実施した,5 名の内科研修医を被験者とした5 症例を用いての読影実験により,本システムを併用することで,全被験者の症例での平均疾患診断能が,統計的有意差をもって向上することが確認された.本システムは,とくに呼吸器専門医や呼吸器画像診断医がいない施設においても,画像診断の支援を期待できることが示唆された.
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連載
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移行期医療 ― 成人に達する/達した患者への医療 16
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医学のあゆみ 267巻4号, 305-310 (2018);
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◎アレルギー疾患は成人でも有病率が高く,成人期医療への移行を必要とする患者が多いが,小児期発症患者の特徴に基づく対応が必要である.気管支喘息,食物アレルギー,アトピー性皮膚炎は乳幼児期に発症し,加齢とともに自然寛解する率が高いと考えられてきた.アレルギー性鼻炎は就学前から学童期に発症しその後も持続しやすい.アレルギー疾患は慢性疾患のため症状がなくても予防的な治療や医療ケアを継続することが重要である.また環境整備,アレルゲン除去,増悪因子回避などの日常生活での対策も不可欠である.年少児発症の場合は保護者が中心にこれらを行っているが,成長に伴い治療の主体を患者自身に移行し自己管理できるようにしたい.小児気管支喘息では自然寛解率はかならずしも高くなく,小児期の呼吸機能低下が成人期にも持続し将来的な慢性閉塞性肺疾患のリスクになることが明らかとなり移行期医療の重要性が再認識されている.食物アレルギーでは小児期発症と成人発症ではフェノタイプが異なることに注意する.
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地域包括ケアシステムは機能するか 3
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医学のあゆみ 267巻4号, 311-316 (2018);
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日本の村落では高度成長期の頃まで濃密な社会関係に基づく互助慣行がみられた.それは田植えや稲刈りでの労力交換のユイ,道路や溝を清掃する共同作業のモヤイ,冠婚葬祭で手助けするテツダイの行為である.この伝統的な互助慣行からみた地域社会のケアシステムは,ムラ社会の共同生活を維持するため“自生的な社会秩序”として機能した.そこでは地域住民の相互(交換)性や親密性から隣保共助の仕組みがつくられた.この相互扶助に基づき医療保険制度も生まれたが,共助だけでは難しく,公助や自助も求められる.地域社会のケアシステムは共助を中心に,公助と自助,三位一体の補完性原理に基づく.このシステムが持続するためには,地域社会の深層に位置する住民のつながりや絆という社会的連帯による支え合いが肝要である.伝統的な互助慣行やその精神の現代的な再生から,地域社会のケアシステムとして地域包括ケアシステムを捉え直すべきである.
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TOPICS
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遺伝・ゲノム学
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医学のあゆみ 267巻4号, 299-300 (2018);
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医療
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医学のあゆみ 267巻4号, 300-301 (2018);
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細菌学・ウイルス学
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医学のあゆみ 267巻4号, 301-303 (2018);
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FORUM
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がん教育の現状と課題 4
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医学のあゆみ 267巻4号, 317-319 (2018);
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著者は十数年来,がん専門医としてさまざまな形でがん啓発に携わってきたが,啓発したい人びとが一向に啓発の場に来てくれないことが大きな悩みであった.伝えたい人に届かないジレンマを抱え,最近では啓発活動の限界を感じるようになっていた. そんな時出会ったのが学校教育である.学校ではすべての子どもたちに平等に教育が行われること,そしてそれは究極の啓発であることに気がついて,いまではその絶大な力にすっかり魅了されてしまった.特別支援学校自立教科一種免許状,中学校・高等学校保健科一種免許状の3 つの教員免許を取得して,ここ数年は全国各地の学校に出向いて授業を行うようになった.本稿では,医師が学校で外部講師としてがん教育を開始する前に理解しておくべき具体的な事項について概説する.
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医学のあゆみ 267巻4号, 320-321 (2018);
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医学のあゆみ 267巻4号, 322-325 (2018);
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