Volume 268,
Issue 12,
2019
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特集 創薬インフォマティクス
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医学のあゆみ 268巻12号, 965-965 (2019);
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医学のあゆみ 268巻12号, 967-972 (2019);
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2015年10月より,日本医療研究開発機構(AMED)において創薬支援インフォマティクス構築プロジェクトが始動し,医薬品の研究開発でボトルネックとなる薬物の体内動態・毒性(ADMET)を統合的に予測し,設計に活用するプラットフォームの構築が進められている.一方,ライフインテリジェンスコンソーシアム(LINC)のWG5 では,人工知能(AI)によるADMET の予測に加え,構造発生AI や合成経路AI を開発しており,それらを統合した同時最適化を可能にする構造提案AI をめざしている.本稿では,ADMET のなかでもとくに毒性予測の最近の状況について,AI 開発も含めて概観する.
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医学のあゆみ 268巻12号, 973-977 (2019);
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医薬品開発の低迷を打開する戦略として,既存薬の新しい効能を発見し,本来とは別の疾患に対する治療薬として新薬開発を行うドラッグリポジショニング(DR)が注目されている.近年の生命医科学や創薬科学では疾患,薬物,低分子化合物,遺伝子,蛋白質,代謝産物などに関する大量のオミックスデータが得られるようになり,このようなビッグデータのDR への有効活用が期待されている.本稿では,さまざまな医薬ビッグデータと機械学習(AI 基盤技術)を用いてDR を行うインシリコ(in silico)手法を解説する.とくに,分子プロファイルの比較,疾患の分子機序類似性,ポリファーマコロジー,パスウェイ制御の観点から,疾患に対する治療薬候補を網羅的かつ体系的に予測する手法とその応用例を紹介する.
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医学のあゆみ 268巻12号, 978-982 (2019);
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蛋白質はそれぞれ固有の立体構造を持つがゆえに,さまざまな機能を発現する.さらに,室温ではその立体構造は静的に止まっているわけではなく激しく動いており,そのダイナミクスが機能発現に重要な役割を果たしている.立体構造ベースの創薬においても,リガンドが標的蛋白質に結合し,それによって標的蛋白質の立体構造変化を誘起する一連の流れを考えても,構造ダイナミクスの重要性はよく理解できる.そのような分子の動きをコンピューターのなかで理論的に計算しようとする研究手法が分子動力学(MD)シミュレーションである.コンピューターの進歩に伴って,MD シミュレーションの適用範囲は拡大を続け,生体分子の立体構造解析に欠かせないツールとなってきた.本稿では,MD シミュレーションではどのようなことができるのかについて,解析例(代謝・解毒で働くシトクロムP450,回転分子モーターF1-ATPase,多剤排出トランスポーターAcrB,核内受容体であるビタミンD 受容体など)を示しつつ解説する.
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医学のあゆみ 268巻12号, 983-987 (2019);
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20世紀の創薬化学は1 製品当たり1,000 物質を合成できる強力な合成力と,1 週間で10 万物質をアッセイできる大規模実験の一次元と二次元の情報に支えられてきたといえる.近年の三次元の構造情報の活用は,標的蛋白質構造への薬物ドッキングやドッキングスクリーニングに代表される効率的な薬物の選択や分子設計など,少ない情報の有効利用を可能としてきている.決定的ではない弱い仮説程度であれば,効果の期待できそうな薬剤の提案や薬効を改善しうる可能性の高い薬剤の改変,新規薬物の提案ができる場合もある.本稿では,蛋白質の立体構造情報を用いて,ドッキング計算による活性評価手法を説明し,蛋白質と薬物分子の相互作用解析から薬物の効果の解析を,著者らの実例をあげて紹介する.これらはある程度の知識があれば,必要な機材・ソフトウェア・データは無償,あるいはきわめて安価な投資でできるものである.
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医学のあゆみ 268巻12号, 988-991 (2019);
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近年,医薬品の研究開発では創薬ターゲットの枯渇が深刻な問題となっており,従来の方法とは異なるアプローチが求められている.そこで注目されているのが人工知能(AI)である.医療におけるAI の応用では,画像診断分野がめざましい発展を遂げているものの,診療データとオミックスデータを統合しAI により創薬ターゲットを探索する分野は遅れを取っている.本稿では,これら2 つの異なるデータを利用して創薬ターゲットを探索する“新薬創出を加速する人工知能の開発”プロジェクトについて紹介し,プロジェクトの現状と当該分野の課題について概説する.
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医学のあゆみ 268巻12号, 992-997 (2019);
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計算創薬において,ターゲット蛋白質とリガンドとの間の“電子的な”相互作用を予測することができれば,多様な化合物に対してより信頼性の高い分子設計が可能となるはずである.量子力学の方程式に基づいて電子の挙動までを計算するためには,従来の古典力場を用いた古典力学計算と比較してはるかに計算量の多い量子化学計算を行う必要がある.蛋白質の量子化学計算はフラグメント分子軌道(FMO)法の出現によって,ここ20 年で方法論と計算ソフトウェアが大幅に発展し,現在ではスーパーコンピュータあるいは研究室レベルの計算機を用いても手軽に計算を行うことができる.構造生物学や創薬分子設計の研究において,実験研究者と現実的な時間内で議論を繰り返しながらの論理設計が可能な段階にきている.本稿では,FMO 法に基づく“FMO 創薬”の現状と産学官連携コンソーシアムの活動,そして今後の展望を交えて解説したい.
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連載
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医学・医療におけるシミュレータの進歩と普及 14
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医学のあゆみ 268巻12号, 1003-1008 (2019);
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◎今や,あらゆる目的にかなうシュミュレータが揃ってきた.そのなかで著者らは,手技をする際の質感,リアルさが,患者へ実際に手技をする時の感覚にきわめて近いシミュレータの開発を心がけてきた.最初に成人用腰椎穿刺シミュレータを開発し,次いで年齢10 カ月の小児腰椎穿刺シミュレータ,硬膜外麻酔の腰椎穿刺シミュレータを開発した.さらに,ドレナージ手技も学べる胸腔穿刺・心囊穿刺シミュレータを作成し,最近では腹部触診シミュレータを開発した.教育目標(B Bloom らによる分類)は,知識,手技,態度,の3つに分けられる.これらの3 つは教育目標であると同時に,教育評価対象でもある.このうち知識は多肢選択問題(MCQ)で評価されてきたが,手技と態度は,Haden らが提唱したOSCE で客観的に評価できるようになった.この手技と態度の評価には模擬患者(SP)とシミュレータの役割がきわめて大きい.シミュレータは,リアリティを提供して“触覚知”を習得させるものであることが重要と考える.
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健康寿命延伸に寄与する体力医学 2
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医学のあゆみ 268巻12号, 1009-1015 (2019);
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継続的な有酸素性トレーニングは,動脈の内皮機能を亢進・改善させ,平滑筋のトーヌスや増殖を抑制することで,動脈硬化に対して有益な効果を及ぼす.この血管収縮と弛緩の機序には,内皮由来血管拡張・収縮物質といった局所ホルモンの変動バランスも影響している.現在までに,内皮由来血管拡張物質としてNO,PGI2,CNP,EDHF,apelin,adropin などが,内皮由来血管収縮物質としてET-1,TXA2などが,運動効果の機序に関与する可能性が明らかにされている.また,有酸素性運動以外のレジスタンス運動や高強度インターバル運動,ストレッチ運動などの異なるトレーニング様式による検討も報告されている.トレーニング様式によって動脈硬化度や内皮機能に対する効果は異なるが,その機序にも内皮由来血管拡張・収縮物質の関与が報告されてきている.今後,さまざまなトレーニング様式に対する動脈硬化度や内皮機能の影響が検討されていくなかで,科学的根拠に基づく運動を提供するために,運動効果の機序を明らかにすることは重要な課題であると考えられる.
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TOPICS
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眼科学
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医学のあゆみ 268巻12号, 998-1000 (2019);
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公衆衛生
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医学のあゆみ 268巻12号, 1000-1001 (2019);
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脳神経外科学
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医学のあゆみ 268巻12号, 1002-1002 (2019);
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FORUM
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医師のバーンアウト(燃え尽き症候群)をふせぐためには?― 脳神経内科領域の取組みから学ぶ 6
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医学のあゆみ 268巻12号, 1017-1020 (2019);
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ヒューマンサービス従業者の職務ストレスとして知られているバーンアウトは,「それまで人一倍活発に仕事をしていた人が,何らかのきっかけで,あたかも燃え尽きるように活力を失った時に示す心身の疲労症状を呈する状態」をさす.医師の場合,仕事を通じて力を出し尽くし消耗してしまった状態で,患者に対する無情で非人間的な対応,職務にかかわる達成感の低下から成ると定義されている.とくに患者の命をあずかる医師のバーンアウトは,心身の不調,離職など医師自身への影響だけでなく,診療の質の低下や共感性の欠如といった患者への悪影響も懸念される.さらに,超高齢化社会となり人口が今後も減少する日本においては,医師以外の医療従事者不足は避けらない.著者らは,大学における燃え尽き症候群の実態調査把握を全国81 大学にアンケート調査を行い,その課題と今後の取り組みについての方向性を明らかとする.
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書評
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医学のあゆみ 268巻12号, 1021-1021 (2019);
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医学のあゆみ 268巻12号, 1022-1023 (2019);
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医学のあゆみ 268巻12号, 1024-1026 (2019);
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