Therapeutic Research
Volume 34, Issue 8, 2013
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バイオシミラーの現状と将来
34巻8号(2013);View Description Hide Description日本の医療費は右肩上がりに増加しており,その一因として,診療費のなかに占める薬剤費のウェイトが大きくなってきていることが挙げられる。そのため,政府もジェネリック医薬品の積極使用を答申している。さらに近年,主流となりつつあるバイオ医薬品はキレ味が鋭くなった反面,薬価が高く,今後いっそう薬剤費は拡大すると予想される。そうした状況のなかで,バイオ医薬品の後続品であるバイオシミラーが日本にも登場してきた。一見,化学合成医薬品と後発医薬品(ジェネリック医薬品)との関係に似ているようであるが,ジェネリック医薬品とバイオシミラーとはどこが違うのかといった基本的な点を含め,今後増えるであろうバイオシミラーに対して医療関係者はどのように対応していけばよいのか。医師,薬剤師それぞれの立場から議論していただいた。
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Symposium:第 41 回埼玉不整脈ペーシング研究会
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- 一般演題
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通電中に興味深い局所電位の変化を示し,Broad Accessory Pathway の存在が示唆された左前側壁副伝導路の 1 例
34巻8号(2013);View Description Hide Description症例は 19 歳女性。主訴は動悸。中学 1 年生時の健診心電図にて WPW 症候群を指摘された。その頃より,年 3~4 回の 10~20 分程度持続する動悸を認めていたが,症状が軽いため経過観察となった。今回,これまでとは異なり呼吸ができないほど強い動悸発作を認めたため,カテーテルアブレーションを希望され当院へ紹介された。心電図上,A 型デルタ波を認め,心室ペーシング時の冠静脈洞カテーテルでの心房早期興奮部位を左側壁側に認めたことから,左側副伝導路と診断した。経中隔にて左房にアプローチし,心室ペーシング中に僧帽弁輪をマッピングしたところ,左前側壁にて心房最早期興奮部位を認めた。同部位にて通電施行するも,副伝導路は離断できなかった。しかしながら,通電中のアブレーションカテーテルにて記録された局所電位では,通電に伴い徐々に局所のVA 時間が延長する現象を認めた。通電部位を徐々に頭側に移動させてゆくと同様の現象を伴うとともに通電開始から副伝導路離断までの時間が徐々に短縮した(16 秒→1 秒)。最終的に通電開始部位から 13.9 mm 頭側にて通電を施行したところ,通電開始 1 秒にて副伝導路離断に成功した。同時にデルタ波も消失した。以後は,外来フォローにてもデルタ波の出現は認めていない。これらの所見から左側壁~前側壁にかけての broad accessory pathway の存在が示唆されたが,明らかな器質的心疾患を伴わない左側 broad accessory pathway は比較的まれと考えられるため文献的考察も含め報告する。 -
焼灼したMitral Line 上に頻拍周期の半分以上のWide Double Potentialsを認めたにもかかわらず僧帽弁輪を旋回するマクロリエントリーと考えられた長期持続性心房細動アブレーション後心房頻拍の1例
34巻8号(2013);View Description Hide Description -
左室前乳頭筋起源の心室性期外収縮に対してCARTO SOUNDによる超音波ガイド下のアブレーションが有効であった1例
34巻8号(2013);View Description Hide Description症例は62 歳,男性。持続する動悸を主訴に受診し,12 誘導心電図にて右脚ブロック・下方軸型の頻発する症候性の心室性期外収縮(PVC)を認めた。CARTO SOUNDを用い,右室側から詳細な左室および両乳頭筋のイメージを構築しえた。経中隔穿刺後にCARTO SOUNDガイド下にマッピングを施行し,左室前乳頭筋領域に最早期興奮および良好なペースマップを確認した。同部位はインピーダンスの上昇を認め,CARTO SOUNDにて左室前乳頭筋の基部側(心室付着部)であることを確認した。また経中隔アプローチが同領域のマッピングに有用であった。イリゲーションカテーテルによる通電にてただちに反復性心室応答が出現し,同部位がPVC起源の近傍と考えられた。計2 回の通電にて反復性心室応答およびPVCの完全な消失を確認し手技終了とした。CARTO SOUNDおよび経中隔アプローチが左室前乳頭筋基部起源のPVCのアブレーションに有用であった1例を経験したので報告する。 -
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原因不明の失神発作で心原性か非心原性かを見極めるためにILR(Implantable Loop Recorder)が有用であった 1 例
34巻8号(2013);View Description Hide Description -
出血性ショック心臓における致死性不整脈の機序に関する実験的検討―活動電位不均一性とConnexin43変化について―
34巻8号(2013);View Description Hide Description出血性ショックにより平均全身血圧が40mmHg以下に低下遷延すると,不可逆性心筋障害が発生し,いわゆる“出血性ショック心臓”といわれる致死性の病態を呈するとされている。しかし,致死性不整脈の発生機序に関する検討は少ない。そこでわれわれは,実験的に検討した。方法:SD rat( n=32)に30%出血性ショック状態を作製し,非蘇生群,洗浄赤血球蘇生群,生理食塩水蘇生群,5%アルブミン蘇生群の4群間で心筋を摘出Tyrode液で灌流後Na channel感受性色素を用いたoptical mapping system(OMP)で興奮伝播・活動電位持続時間不均一性(action potential duration dispersion :APDdispersion),致死性催不整脈性を検討した。また,心筋組織のconnexin43 (Cx43)発現を免疫組織染色にて検討した。結果:蘇生群では,3 群とも全例蘇生に成功した。しかし,生理食塩水群,5%アルブミン群ではOMPで著明な左心室伝導遅延とburstpacing による心室細動が全例で誘発されたのに対し,洗浄赤血球蘇生群では,伝導遅延・心室細動誘発ともに認められなかった。生理食塩水群,5%アルブミン群では著明にAPD dispersion値が増大したが,洗浄赤血球群では正常に保たれていた。connexin43 発現は生理食塩水群,5%アルブミン群では異常が認められたものの,洗浄赤血球群では正常に保たれていた。結語:出血性ショック心臓では,左心室伝導遅延とAPD dispersion増大およびconnexin43発現異常を惹起し,電気的不安定性から致死性不整脈が誘発されることが示唆された。洗浄赤血球治療はこれら指標の保持と予防効果を有した。 - 教育講演
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- 特別講演
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Symposium:第 25 回神奈川心不全研究会
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- 一般演題
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希望する医療を実現しえたカテコラミン依存末期心不全患者の 1 例
34巻8号(2013);View Description Hide DescriptionThe patient was a 63-year-old woman with severe heart failure due to dilated cardiomyopathy diagnosed at the age of 34. In 2007, she presented to our hospital with sudden ventricular tachycardia and ventricular fibrillation and received appropriate treatment including cardiac resynchronization therapy defibrillator implantation for severe heart failure and arrhythmia. While heart failure gradually exacerbating, she presented to our emergency room with dyspnea in March, 2011. Detailed evaluation resulted in left ventricular systolic dysfunction and left ventricular remodeling. Neither ventricular assist system nor heart transplantation was available because of complications such as cerebellar infarction and kidney cancer. Then, we initiated the treatment with adaptive-servo ventilation(ASV)for dyspnea, tolvaptan for diuretic resistance. A port was also installed beneath the skin of the right forearm. Since the patient was eager to spend her limited life at home, she was discharged from the hospital in March 2012 under close observation with continuous dobutamine infusion, ambulatory care once a week, home nursing twice a week, and domiciliary care in nursing home every week.Throughout the admission and home nursing, our heart failure team provided the patient various support, such as adequate education about chronic heart failure by medical nurses, cardiac rehabilitation by physiotherapists, medical compliance instruction by pharmacists, management of ASV by clinical engineers, mental care by clinical psychologists, and management of home healthcare by social workers. Here, we report our specific medical support for a patient with end-stage heart failure. -
貧血を合併した閉塞性肥大型心筋症にDDD ペーシングが有効であった1 例
34巻8号(2013);View Description Hide DescriptionWe experienced a case of 80s –year–old woman with hypertrophic obstructive cardiomyopathy complicated with anemia. Her examinations revealed a left ventricular outflow tract –pressure gradient(LVOT–PG)of 224 mmHg and normocytic and normochromic anemia with a hemoglobin level of 6.7 g/dL. Metabolism of iron showed a pattern of iron deficiency. However, the number of fragmented red cells was very large which was 11% of a count of red cells and a haptoglobin level was very low(3 mg/dL). These data showed a cause of anemia was both iron deficiency and a red cell fragmentation syndrome, that is, mechanical intravascular hemolysis due to LVOT obstruction. She was not able to be treated with either cibenzoline succinate or atenolol because of dizziness and bradycardia. We therefore tried to DDD pacing therapy for relief from LVOT obstruction. LVOT–PG was decreased to 140 mmHg after the therapy. Moreover, administration of metoprolol tartrate up to 40 mg/day resulted in decrease of LVOT–PG to 21 mmHg, finally. Systolic anterior motion of mitral valve leaflet was disappeared and mitral regurgitation was diminished concomitantly, and a NYHA functional class was improved from III to II and a hemoglobin level was gradually improved up to 12.3 g/dL. - 特別講演
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原著
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当院における降圧配合剤の使用経験-カンデサルタン8 mg/ ハイドロクロロチアジド6.25 mg 配合錠およびカンデサルタン8 mg/アムロジピン5 mg 配合錠の有効性についての検討-
34巻8号(2013);View Description Hide Description目的:高血圧患者における実地臨床での降圧配合剤使用の有用性を検討する。方法:当科外来通院中の本態性高血圧患者のうち,カンデサルタン8 mg/ハイドロクロロチアジド6.25 mg 配合錠( エカード 配合錠HD,以下ARB/DU)服用者92 名およびカンデサルタン8 mg/アムロジピン5 mg配合錠(ユニシア®配合錠HD,以下ARB/CCB)服用者109名につき,投与後1 年間の血圧その他の臨床指標の変化について後ろ向きの検討を行った。結果:ARB/DUおよびARB/CCBの投与により,12 ヵ月後の収縮期血圧はそれぞれ8.1 および8.5 mmHgの有意な低下を認め,拡張期血圧は3.7 および4.3 mmHgの有意な低下を認めた(すべてp < 0.01)。降圧薬服用錠数も有意に減少した(3.0±1.9→2.3±1.4錠,p=0.01および2.5±1.6 → 1.3±0.7 錠,p < 0.01)。降圧配合剤使用後の血圧変化は,変更前の血圧と有意な負の相関を認めた。ARB/DU投与前に最大用量のアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬を服用していた患者においても,変更後血圧の有意な悪化は認めなかった。両剤でeGFRの推移に有意な差を認めず,糖尿病合併患者におけるARB/DUの使用により,HbA1cの有意な悪化は認めなかった。結論:実地臨床におけるARB/DU,ARB/CCBの使用は,血圧コントロールを改善し,服用錠数を減少させた。特に血圧コントロールが不十分な患者では,降圧配合剤の積極的な使用を考慮すべきと思われた。 -
原発性骨粗鬆症患者に対するエルデカルシトール0.75μg/日とアルファカルシドール 1.0μg/日の前腕骨骨密度増加効果の比較―続報:症例の追加集積による再検討―
34巻8号(2013);View Description Hide Description -
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