Volume 59,
Issue 11,
2004
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特集 【がんの化学予防】
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最新医学 59巻11号, 2367-2369 (2004);
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アプローチ
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最新医学 59巻11号, 2370-2376 (2004);
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がんの化学予防の研究は,最近,臨床レベルの報告が多くなってきた.そのためがんの予防とがんの治療が重複してきた感じがする.このアプローチの章では,私どもの内因性発がんプロモーターTNFαの研究から,多くのがん予防薬はTNFαを減少させることを紹介した.タバコタール抵抗性の黄色ブドウ球菌は,ヒト肺がん細胞にTNFαを誘導し,がん化を促進した.緑茶によるがんの予防に多大の関心を示されたDNA 二重らせん構造の発見者であるWatson 先生のお話を含めた.
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基礎
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最新医学 59巻11号, 2377-2381 (2004);
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化学物質ががん予防効果を持つ場合でも,予防効果が認められるのは一部の対象者に限られる.最近,イソチオシアネート摂取者で肺がんリスクが減少するのはGSTM1 およびGSTT1 の(−)型の人であったこと,アスピリンによる大腸腺腫の再発抑制が顕著であったのはODC A316G のAA 型の人であったことが報告された.有効な人の割合が小さければ,介入研究では予防効果を検出しえない.遺伝子型を考慮した研究が今後は必要となる.
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最新医学 59巻11号, 2382-2389 (2004);
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新しいがんの化学予防薬を開発する研究は,made in Japan の「緑茶によるがん予防」を生みだした.しかも,緑茶は薬ではないので「がん予防物質」という新しいカテゴリーに入る.現在,臨床医を中心に再発がん予防の臨床研究が進められている.一方,米国では緑茶エキスをがん予防薬とする臨床試験が進んでいる.本稿では,国内での緑茶のがん予防に関する基礎研究の結果とその作用機構をまず始めにまとめた.次に,米国での臨床試験について簡単に紹介する.
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最新医学 59巻11号, 2390-2395 (2004);
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レチノイドは細胞の分化,増殖,形態形成などの特異的な調節因子であり,その作用は核内受容体を介して発揮される.がんの治療ならびに予防薬としてのレチノイドの有効性は古くから注目されてきたが,詳細な作用機構の解明と合成レチノイドの創製により,がん,特に白血病の治療ならびに外科治療後の「発がんハイリスク群」に対する予防に有効であることが明らかにされてきた.
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最新医学 59巻11号, 2396-2402 (2004);
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腫瘍発生を抑制し,その進展を阻止するがん化学予防(発がん抑制)候補物質を見いだす前臨床的な試験に,標的とする臓器における動物モデルが使用されている.その多くはこれまでに開発された動物発がんモデルであるが,近年遺伝子改変動物が,がんの化学予防研究に利用されるようになってきた.いずれの動物モデルも,腫瘍発生にかかわる遺伝子と環境要因の解析やがん化学予防(発がん抑制)候補物質の有効性を評価する将来の臨床研究に有用と考えられる.
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最新医学 59巻11号, 2403-2408 (2004);
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肝がん細胞では,レチノイド核内受容体(RXRα)がMAP キナーゼによるリン酸化を受けて機能不全に陥っており,これによりがん細胞はレチノイドによる増殖抑制・アポトーシス誘導に対して不応性になっている.非環式レチノイドはこのリン酸化を抑えてRXRα の機能を回復させる作用を有し,下流の遺伝子発現を介して肝がん細胞に増殖抑制・細胞死を誘導する.この際誘導される遺伝子には,インターフェロン(IFN)の細胞内情報伝達タンパク質であるSTAT が含まれており,レチノイドとIFN の併用による相乗的な発がん抑制効果も期待される.
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最新医学 59巻11号, 2409-2414 (2004);
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胃がんは大きく分化型と未分化型に分けられており,おのおのの発症経路は異なり関連する遺伝子も違っている.がん化は発生・分化と関連があり,腸特異的転写因子CDX2 は胃の前がん病変である腸上皮化生の形成に関与している可能性が高い.遺伝子のメチル化頻度と食習慣との関連では,緑茶や十字科野菜の摂取が多いほどメチル化の頻度は低いようである.
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臨床
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最新医学 59巻11号, 2415-2423 (2004);
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胃がんの成因には多くの因子が複雑に関与しているが,中でもH. pylori 感染は最重要な因子である.ほとんどの胃がんは慢性胃炎を背景とした胃粘膜から発生し,持続炎症から発がんの過程をとるが, H. pylori 感染により胃粘膜は慢性胃炎,萎縮へと変化する.これまで疫学的成績や動物実験からH. pylori と胃がんとの関連が示されているが,介入試験による成績は十分ではない.胃がん予防としてのH. pylori 除菌の可能性は高いが,まだ解決しなければならない問題もある.
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最新医学 59巻11号, 2424-2430 (2004);
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大腸がんは,adenoma-carcinoma sequence の分子機序が解明されていることから,化学予防の格好の対象となってきた.大腸がんの化学予防に関する臨床試験では,まず葉酸,ビタミンD,カルシウムなどの有効性が報告された.その後,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の一種であるスリンダクが家族性大腸腺腫症(FAP)のポリープ数を減少させること,またNSAIDs の服用により散発性ポリープの発生が抑制されることが報告された.最近,NSAIDs の標的分子の1つであるCOX-2 の選択的阻害薬がFAP のポリープ数を減少させることが明らかにされた.COX-2 以外にも,種々の分子を標的とした予防薬の臨床試験が行われている.
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最新医学 59巻11号, 2431-2437 (2004);
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増加の一途である肝がん死亡を減少させるためには,ハイリスク群(ウイルス性慢性肝炎)を対象に発がん予防(1次予防),再発予防(2次予防)の対策を講じることが重要である.1次予防はインターフェロン(IFN)治療などによりウイルス駆除を最優先に考え,困難な場合は抗炎症療法に主眼を置く.2次予防は1次予防と同様,可能であれば抗ウイルス治療を検討するが,困難な場合が多い.将来的には,現在臨床試験中の非環式レチノイドやビタミンK2 製剤などが期待される.
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最新医学 59巻11号, 2438-2446 (2004);
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成人T細胞白血病(ATL)はHTLV-Ⅰのプロウイルスが潜伏感染して起こるT細胞の白血病である.ATL の発症予防には,免疫エフェクターでHTLV-Ⅰ感染T細胞を排除するか,化学物質でHTLV-Ⅰ感染T細胞にアポトーシスを誘導して死滅させるか,2つの方策が考えられる.本稿では,緑茶ポリフェノールによるHTLV-Ⅰ感染T細胞のアポトーシスとHTLV-Ⅰプロウイルスの抑制効果について,最近の研究を紹介する.
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最新医学 59巻11号, 2447-2453 (2004);
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口腔領域では前がん病変として白板症がよく知られ,“field cancerization”によって口腔がんが発生・悪性化進展すると考えられている.事実,口腔がん患者には,高い頻度で口腔がんのみならず肺がん,食道がんなど上部呼吸・消化器に2次がんが発生する.したがって,口腔がんの臨床において化学予防が果たすべき役割は大きい.本稿では,これまで取り組まれてきた試みを概説し,今後の展望について述べた.
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【エッセー】
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解剖学者がみたミケランジェロの彫刻(11)
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最新医学 59巻11号, 2454-2458 (2004);
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【対談】
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最新医学 59巻11号, 2459-2471 (2004);
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【トピックス】
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最新医学 59巻11号, 2472-2478 (2004);
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最新医学 59巻11号, 2479-2483 (2004);
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【今月の略語】
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最新医学 59巻11号, 2484-2489 (2004);
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