Volume 61,
Issue 12,
2006
-
特集【アルツハイマー病研究の最前線】
-
-
Source:
最新医学 61巻12号, 2353-2354 (2006);
View Description
Hide Description
-
アプローチ
-
-
Source:
最新医学 61巻12号, 2355-2359 (2006);
View Description
Hide Description
2006 年にはアルツハイマー病の記載百周年に因んで,チュービンゲンにおける記念集会やアルツハイマー病特集誌の出版事業などが行われる.これらの活動を通してアルツハイマー病研究の歴史と現状,そして根本治療を指向した今後の方向性について展望し,特に客観評価法の策定を目的として開始されるJ-ADNI 研究についても言及する.
-
総論
-
-
Source:
最新医学 61巻12号, 2360-2367 (2006);
View Description
Hide Description
近年の疫学調査から,認知症は著しく増加し,病型では脳血管性認知症に代わってアルツハイマー型認知症が多くなってきている.アルツハイマー型認知症の危険因子について,加齢,頭部外傷,アルツハイマー型認知症の家族歴,母親の高齢出産,ダウン症候群,アポリポタンパク質E4 などが報告されているが,両親の高齢出産や喫煙は重要と考えられる.調査法の問題点としてスクリーニング段階で認知症患者がもれており,その解決策としてタッチパネル式コンピューターを用いた簡易スクリーニング法が有用と考えられる.また,この機器を利用した認知症予防検診および予防教室は認知症の早期発見,早期治療に役立ち,さらに予防による経済効果も大いに期待される.
-
Source:
最新医学 61巻12号, 2368-2373 (2006);
View Description
Hide Description
平均寿命が延びて高齢者の数が増える中で,認知症の患者数も今後飛躍的に増大するものと思われる.今後15 年間で認知症にかかわる介護費用は倍増し,年間10兆円に達するとも予想される.その一方で,認知症の発症を2年遅らせるということの経済効果は年間1兆円以上にもなると考えられる.認知症は介護者の精神的・肉体的負担も大きい.Zarit 介護負担尺度などが用いられ,介護負担の大きさについての検討がなされるようになった.最近では,認知症患者の車の運転による交通事故の問題なども増えている.
-
Source:
最新医学 61巻12号, 2374-2378 (2006);
View Description
Hide Description
認知症の病理概念の変遷は,脳の萎縮・変性部位と臨床症状とを対応させることで疾患概念を確立しようとする機能解剖学的アプローチと,異常蓄積する物質ならびにその過程に注目し分類していく生化学的アプローチの両方が併存してきた.ゲノム研究の発展に伴ってこの両者ともに正しいことが実証されつつあり,第3のアプローチとしてのゲノムプロファイルの構築が認知症病理に新しい展開をもたらしつつある.
-
Source:
最新医学 61巻12号, 2379-2385 (2006);
View Description
Hide Description
認知症の原因疾患には,脳内蓄積物質の存在によって特徴づけられるものがある.また,家族性に発現する認知症の原因遺伝子産物が,前述の蓄積物質と一致することが明らかにされてきた.これらの知見は,認知症脳に蓄積する分子が認知症の病因物質あるいは病因関連物質であることを強く示唆するものであり,このような分子の異常が発現する機構や神経細胞を障害する機序を明らかにすることが,認知症の治療や予防の開発に重要である.
-
Source:
最新医学 61巻12号, 2386-2391 (2006);
View Description
Hide Description
アミロイドβタンパク質(Aβ)の脳内蓄積は,アルツハイマー病の中核的病理所見である.しかしながら,本来可溶性のAβが重合して不溶性のアミロイド線維となり,老人斑の形成にまで至る分子機構の詳細は依然不明である.これまでの研究では,アルツハイマー病患者の大部分を占める孤発性アルツハイマー病において,Aβの産生や処理過程に明白な異常は認められていない.脳内におけるAβの重合と蓄積は老化に依存し,領域特異的に生じる現象である.この時空間的特性に重要な解決の緒が隠されているのかもしれない.
-
Source:
最新医学 61巻12号, 2392-2397 (2006);
View Description
Hide Description
アルツハイマー病患者脳に蓄積する老人斑の主要構成成分は,アミロイドβタンパク質(Aβ)である.遺伝学・生化学的解析から,Aβ産生および蓄積過程がアルツハイマー病発症に深く関与していることが示唆されている.そのためAβ産生にかかわるβ,γ セクレターゼは重要な創薬ターゲットと考えられてきた.近年になってこれらセクレターゼの分子的な実態が明らかとなり,その特異的な阻害剤も開発され始め,米国ではごく最近治験が開始されている.
-
Source:
最新医学 61巻12号, 2398-2404 (2006);
View Description
Hide Description
アミロイドβペプチド(Aβ)の蓄積は,アルツハイマー病の発症に中核的役割を果たす.最近,脳内のAβ分解システムが明らかにされ,Aβ分解活性の低下がAβ蓄積をもたらし,アルツハイマー病発症に深くかかわるとする知見が集積してきた.本稿では,Aβ分解酵素ネプリライシンによるAβ分解機構とアルツハイマー病発症との関連性,およびこの分解システムを用いた治療戦略について概説する.
-
Source:
最新医学 61巻12号, 2405-2410 (2006);
View Description
Hide Description
アルツハイマー病の遺伝的危険因子としてのApoE4 の発見や,スタチン服用群でアルツハイマー病有病率が低いという疫学調査報告以後,動物・細胞モデルを用いた実験を通してApoE,コレステロール代謝とアミロイドβペプチド(Aβ)産生・沈着の密接な関連が明らかにされてきた.脳内コレステロール代謝の特殊性,ApoE の役割および膜ラフトと呼ばれるコレステロールに富む膜のマイクロドメインとAPP代謝との関連について概説する.
-
Source:
最新医学 61巻12号, 2411-2419 (2006);
View Description
Hide Description
タウタンパク質は,アルツハイマー病の病理的変化の1つである神経原線維変化の主要な構成成分である.神経原線維変化が生じる脳の領域内では,神経細胞死また神経活動の低下が顕著である.この30 年の間,神経原線維変化の研究は病理学的研究から分子生物学的研究へと広がりを見せている.前頭側頭型認知症の1つFTDP-17の責任遺伝子がタウ遺伝子であることから,タウの異常が認知症と密接にかかわることが明らかになっている.ここでは,タウ研究の歴史的な背景と神経原線維変化形成機構について概説する.
-
Source:
最新医学 61巻12号, 2420-2427 (2006);
View Description
Hide Description
認知症の臨床において,形態画像(脳萎縮)や機能画像(脳血流・脳糖代謝の変化)が早期診断や重症度の評価を補助する指標として有用であることが,これまで多くの研究によって示されてきた.一方,近年ではアミロイド線維や活性化グリア発現タンパク質に代表される病理特異性の高い分子を標的とした画像技術の開発が進んでおり,診断精度を高めるのみならず,治療法の作用機序を確認するのに大いに役立つと期待されている.
-
Source:
最新医学 61巻12号, 2428-2433 (2006);
View Description
Hide Description
アミロイド前駆体タンパク質遺伝子トランスジェニックマウスをアミロイドβタンパク質で免疫することにより老人斑アミロイドの形成が予防され,できた老人斑の除去も可能であることが分かり,アルツハイマー病のワクチン療法として注目されている.筋注するタイプのワクチンAN-1792 は副作用としての脳炎が起こったため開発は中止されたが,それに代わって抗体療法,経口ワクチン,経鼻ワクチン,DNA ワクチン,Cop-1 ワクチンなどの開発が進んでいる.
-
アルツハイマー病研究関連分子
-
-
Source:
最新医学 61巻12号, 2434-2441 (2006);
View Description
Hide Description
神経変性疾患における形態変化として,異常線維状構造物が観察されることが多い.この病態の分子背景となる分子構造物の物理的サイズはプロテアソームの分解口径の制限を超えるため,ユビキチン修飾された異常標的タンパク質が分解できない.その結果細胞内封入体として,またあるときは核内封入体として蓄積すると考えられる.一番初めに分子同定された封入体はアルツハイマー神経原線維である.その後,変性疾患の普遍的分子マーカーとしてユビキチン分子が確立してきた.
-
Source:
最新医学 61巻12号, 2442-2448 (2006);
View Description
Hide Description
αシヌクレインは,家族性パーキンソン病の原因遺伝子であり,パーキンソン病の特徴的病理構造物レビー小体の主要成分である.ヒトαシヌクレインはアルツハイマー病との関連からクローニングされた経緯があるが,タウと多くの共通点を有している.比較的低分子で扱いやすいαシヌクレインの研究から,アルツハイマー病における神経変性のメカニズムを解明する手掛かりが得られるかもしれない.本稿ではαシヌクレインの歴史的背景を振り返りながら,その生化学を中心に概説したい.
-
Source:
最新医学 61巻12号, 2449-2453 (2006);
View Description
Hide Description
本稿では,1970 年代後半から85 年にかけての時期の我が国のアルツハイマー病研究に対する雰囲気および我が国の研究上の問題点に関して述べる.
-
【エッセー】
-
-
白血病医の御礼奉公(12)
-
Source:
最新医学 61巻12号, 2454-2456 (2006);
View Description
Hide Description
-
【対 談】
-
-
Source:
最新医学 61巻12号, 2457-2470 (2006);
View Description
Hide Description
-
【トピックス】
-
-
Source:
最新医学 61巻12号, 2471-2477 (2006);
View Description
Hide Description
-
Source:
最新医学 61巻12号, 2478-2484 (2006);
View Description
Hide Description
-
【今月の略語】
-
-
Source:
最新医学 61巻12号, 2485-2489 (2006);
View Description
Hide Description