Volume 62,
Issue 10,
2007
-
特集【内分泌代謝疾患と核内受容体】
-
-
Source:
最新医学 62巻10号, 2289-2289 (2007);
View Description
Hide Description
-
アプローチ
-
-
Source:
最新医学 62巻10号, 2290-2294 (2007);
View Description
Hide Description
核内受容体はリガンド依存性に標的遺伝子の転写制御を行う転写因子である.核内受容体は共役因子と複合体を形成し,核内クロマチンにおいて転写調節を行う作用発現機構の詳細が解明されつつある.核内受容体は組織特異的に多くの標的遺伝子の発現を制御し,ホメオスタシスを維持する極めて重要な因子である.これらの進歩は,器官の発生・分化・再生,転写因子病,共役因子病,染色体調節因子複合体病,メタボリックシンドローム,乳癌,前立腺癌の臨床領域に大きなインパクトを与えている.
-
内分泌疾患
-
-
Source:
最新医学 62巻10号, 2295-2301 (2007);
View Description
Hide Description
下垂体では哺乳類の転写因子研究の先駆けとしてPit-1 が単離され,1992 年に私はPIT1 異常症(先天性TSH・GH・PRL 複合欠損症)を新しい疾患単位として報告した. PIT1 異常症は,標的遺伝子や発現細胞が明快なことから,転写因子異常症の機序を説明するモデル疾患と言える.本稿では,その後15 年間に続々と解明されてきた転写因子異常による下垂体ホルモン複合欠損症についても述べる.
-
Source:
最新医学 62巻10号, 2302-2309 (2007);
View Description
Hide Description
副腎および性腺の分化にかかわる転写因子について,ヒトの疾患に関与するものを主として述べた.副腎分化にはSF1 とDAX1 が,性腺分化にはDAX1,WT1,SRY,SOX9,FOXL2 などが関与することが知られている.また,転写因子相互作用も解明されつつある.これらの知見は,ヒトにおける副腎・性腺分化異常症の原因解明に貢献すると期待される.
-
Source:
最新医学 62巻10号, 2310-2316 (2007);
View Description
Hide Description
染色体上での転写制御は,染色体構造調節を伴うことが明らかになりつつある.ビタミンDはカルシウム代謝調節主要因子であり,皮膚などの特異的標的細胞の増殖分化を制御することが,核内ビタミンD受容体(VDR)欠損マウスやヒト家族性くる病II型で確かめられている.我々は,VDR 機能を担う核内複合体群を同定する過程で,優性の先天性疾患であるWilliams 症候群の責任遺伝子と考えられてきたWSTFを含む複合体を見いだした.この複合体は染色体構造調節因子複合体であったことから,この疾患は染色体構造調節因子複合体病の初めての例と思われる.本稿では,この複合体の機能とWSTF の機能を概観する.
-
Source:
最新医学 62巻10号, 2317-2322 (2007);
View Description
Hide Description
甲状腺ホルモン不応症は,主に甲状腺ホルモン受容体β遺伝子の異常により発症し,変異甲状腺ホルモン受容体がドミナントネガティブ作用を示すことで優性遺伝形式を示す.核内受容体である甲状腺ホルモン受容体は,種々のコレギュレーターと相互作用してその活性を示す.一部の甲状腺ホルモン不応症の病態には,変異甲状腺ホルモン受容体とコアクチベーター,コリプレッサーとの相互作用の異常が関係していることが明らかとなってきた.
-
Source:
最新医学 62巻10号, 2323-2330 (2007);
View Description
Hide Description
アンドロゲン依存性増殖を示す前立腺癌において,増殖の鍵となる遺伝子はアンドロゲン受容体(AR)である.アンドロゲンを除去するとAR は核内に入ることができず,AR は活性を持たない.しかし,アンドロゲンを体内から完全に除去することは難しく,わずかなアンドロゲンでもさまざまな機序によりAR が活性化され,核内に移行して前立腺癌が再燃する.AR の関与する再燃の機序を明らかにすることによって,前立腺癌に対する治療戦略が立てられるだろう.
-
Source:
最新医学 62巻10号, 2331-2338 (2007);
View Description
Hide Description
乳癌は,その治療の主流が核内受容体を分子標的としている代表的腫瘍である.これまで核内受容体研究の進歩はエストロゲンの作用機序を解明し,その成果は内分泌療法という形で乳癌の臨床に多大な貢献をしてきた.さらに耐性の問題,治療選択,治療効果増強などの臨床上の問題解決のための基礎研究への期待は大きい.実際の患者組織内での細胞内リン酸化シグナル系との関係,共役因子等の動態などが重要な鍵となると思われる.
-
代謝異常
-
-
Source:
最新医学 62巻10号, 2339-2346 (2007);
View Description
Hide Description
Ad4BP/SF-1 は視床下部腹内側核(VMH)に発現している転写因子で,遺伝子破壊マウスの解析から肥満やエネルギー代謝を調節する機能を持つことが明らかになった.最近の研究により,脳由来神経栄養因子(BDNF)をはじめとしてVMH における本因子の標的遺伝子が幾つか明らかになっており,今後Ad4BP/SF-1 のVMH特異的エンハンサーを用いて生体レベルでさらに詳細な解析が進むことが期待されている.
-
Source:
最新医学 62巻10号, 2347-2352 (2007);
View Description
Hide Description
若年糖尿病(MODY)遺伝子にコードされる一連のHNF 転写因子は,インスリン分泌において重要である.新規のMODY 因子を探索する過程で,オーファン受容体SHP の遺伝子異常が若年糖尿病ではなく,出生時過体重,若年肥満,インスリン抵抗性を生じることが明らかとなった.さらに,HNF 転写因子や種々の核内受容体との協調で,SHP は肝の脂質代謝や動脈硬化などさまざまな代謝異常の複合に関与する可能性が示された.
-
Source:
最新医学 62巻10号, 2353-2359 (2007);
View Description
Hide Description
アンドロゲン受容体(AR)ノックアウトマウスでは,オス特異的に晩発性の肥満を来し,その成因としてエネルギー消費の低下と脂肪分解の抑制が認められることから,内因性AR には抗肥満作用があると考えられる.一方,核内受容体コレギュレーターの中には肥満に対して抑制的あるいは促進的に作用するものがあり,それらの食事性の発現変動が肥満の病態に関与している可能性がある.一方,PPARγのフルあるいは部分的アゴニストの生理作用の違いの一因は,PPARγ−コレギュレーター複合体構成の差異による.創薬の観点から副作用をより軽減し,抗糖尿病作用のみを示す選択的PPARγモジュレーター(SPPARγM)の開発が進められている.
-
Source:
最新医学 62巻10号, 2360-2366 (2007);
View Description
Hide Description
卵巣エストロゲンは,莢膜細胞で産生されるアンドロゲンを基質として顆粒膜細胞において産生される.2つのエストロゲン受容体(ERα およびERβ)は卵巣に発現しており,卵胞発育・成熟において重要な役割を有する.卵巣性ステロイドホルモンの産生は,ゴナドトロピンのみならず卵巣内フィードバック機構により調節される.
-
Source:
最新医学 62巻10号, 2367-2374 (2007);
View Description
Hide Description
細胞内グルココルチコイド活性化酵素11β-HSD1 はPPARγの標的遺伝子であり,チアゾリジン誘導体による内臓脂肪減少効果の担い手分子の1つである.その発現レベルは肥満動物や肥満者の脂肪組織において顕著に上昇しており,体格指数(BMI)やインスリン抵抗性指標とよく相関し,ストレスによる体重増加の病態とも深く関連している.遺伝子操作マウスの解析結果から,脂肪組織における11β-HSD1 阻害が糖脂質代謝改善に重要であること,11β-HSD1 低分子阻害剤が病態モデルマウスの代謝異常や動脈硬化を改善することが明らかになっており,メタボリックシンドローム診断・治療の分子標的として注目される.
-
Source:
最新医学 62巻10号, 2375-2379 (2007);
View Description
Hide Description
組織や細胞内において脂質が蓄積するような病態は脂肪毒性と言われ,インスリン作用の障害を引き起こす.栄養状態に応じて活性化し,脂肪酸,トリグリセリド合成酵素の発現を支配する転写因子SREBP-1c は,栄養の生理制御のみならず,肥満,脂肪肝,高脂血症などの脂質代謝異常や脂肪毒性の分子機序にかかわる.肝臓インスリン抵抗性や膵臓β細胞インスリン分泌障害に関与して,糖尿病の発症につながる転写因子と考えられる.
-
Source:
最新医学 62巻10号, 2380-2391 (2007);
View Description
Hide Description
骨格筋細胞における核内受容体PPARδの活性化は,脂肪酸β酸化,脂肪酸活性化,脂肪酸トランスポートなど,脂肪酸β酸化系の遺伝子の発現を包括的に誘導する.個体レベルでは,合成リガンドによるPPARδの活性化は高脂肪食による肥満を抑制し,メタボリックシンドロームにかかわるほとんどの症状を改善することを我々は明らかにした.PPARδは,骨格筋細胞のほか種々の細胞に発現しているが,膵ランゲルハンス島保護作用,インスリン分泌作用,心筋保護作用など,各種細胞における機能が次第に明らかにされてきており,メタボリックシンドロームの創薬の標的分子として明らかにされつつある.
-
【エッセー】
-
-
白血病医の御礼奉公(22)
-
Source:
最新医学 62巻10号, 2392-2394 (2007);
View Description
Hide Description
-
【対 談】
-
-
Source:
最新医学 62巻10号, 2395-2401 (2007);
View Description
Hide Description
-
【トピックス】
-
-
Source:
最新医学 62巻10号, 2402-2406 (2007);
View Description
Hide Description
-
Source:
最新医学 62巻10号, 2407-2413 (2007);
View Description
Hide Description
-
【今月の略語】
-
-
Source:
最新医学 62巻10号, 2414-2420 (2007);
View Description
Hide Description