Volume 65,
Issue 10,
2010
-
注目される RAS の臓器作用
-
-
Source:
最新医学 65巻10号, 2233-2239 (2010);
View Description
Hide Description
レニン・アンジオテンシン系(RAS)活性化は,血管内皮細胞への障害作用や血管壁細胞における細胞内情報伝達系の活性化により,動脈硬化の発症や進展に重要な役割を果たしている.RAS 活性化による血管内皮機能障害,そして動脈硬化症発症に至る系は,悪循環を形成しながら動脈硬化症を維持・進展し,動脈硬化巣の破綻を来す.RAS 阻害薬は,一酸化窒素(NO)の生物学的活性を増加させることによって血管内皮機能障害を改善することが可能である.
-
Source:
最新医学 65巻10号, 2240-2244 (2010);
View Description
Hide Description
脳内のレニン・アンジオテンシン系(RAS)は,血圧制御,飲水行動,記憶などの多くの生理現象を制御することで知られる.多くの実験的証拠からアンジオテンシンペプチドは神経伝達物質として作用するらしいと考えられているにもかかわらず,その産生経路,作用メカニズムはまだまだ驚くほど理解が進んでいないのが現状である.本稿では,その脳内RAS の制御系,分子機構について概説する.
-
Source:
最新医学 65巻10号, 2245-2252 (2010);
View Description
Hide Description
アンジオテンシンIIは腎臓局所で制御されており,この腎臓内局所で産生されたアンジオテンシンIIがさまざまな病態における腎障害の進展に重要な役割を果たしていると考えられている.一方,単なる電解質調節ホルモンであると考えられてきたレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)の下流因子であるアルドステロンの直接的な腎障害作用の重要性も指摘されている.本稿では腎内RAAS について,特にアルドステロンの腎障害作用を中心に,酸化ストレスの関与とともに概説する.
-
アルドステロン研究の最前線
-
-
Source:
最新医学 65巻10号, 2253-2260 (2010);
View Description
Hide Description
肥大心や不全心からのアルドステロン産生は亢進し,病態に悪影響を与える.アルドステロン合成酵素遺伝子(CYP11B2)プロモーターにDNA メチル化標的部位であるCpG ジヌクレオチドが散在する.アルドステロン産生副腎腫瘍(APA)では低CpG メチル化状態,非アルドステロン産生組織では高CpG メチル化状態で,CpGメチル化率とCYP11B2 mRNA レベルは有意な逆相関を示した.副腎皮質がん由来H295R 細胞を用いた検討でも,プロモーター活性はCpG メチル化により抑制された.以上より,CYP11B2 転写活性のCpG メチル化依存性が示された.興味深いことに,肥大型心筋症の心筋組織ではAPA と同程度の低CpG メチル化状態であった.肥大心からのアルドステロン産生亢進は,低CpG メチル化状態に関連するかもしれない.
-
Source:
最新医学 65巻10号, 2261-2269 (2010);
View Description
Hide Description
原発性アルドステロン症では,高アルドステロン血症による鉱質コルチコイド受容体(MR)の活性化が関与する.一方,肥満,メタボリックシンドローム,睡眠時無呼吸症候群,食塩過剰摂取,糖尿病などにおける治療抵抗性高血圧で,MR 拮抗薬の追加投与によって高血圧の著しい改善を認める病態では,血中アルドステロン濃度が正常範囲であってもMR のタンパク質修飾による活性化が推察され,「MR 関連高血圧」という病態としてとらえられる.
-
Source:
最新医学 65巻10号, 2270-2274 (2010);
View Description
Hide Description
食塩感受性高血圧では,血圧上昇のみならず不適切な鉱質コルチコイド受容体(MR)活性化を介した心血管・腎障害が起こる.メタボリックシンドロームは食塩感受性臓器障害と関連し,そこには脂肪細胞由来のアルドステロン放出ホルモンによる不適切なアルドステロン分泌が関与している可能性がある.また,最近MR 活性化の新規経路として見いだされたRac1 がメタボリックシンドロームにおいて果たす役割も明らかになりつつあるため,本稿にて概説する.
-
Source:
最新医学 65巻10号, 2275-2282 (2010);
View Description
Hide Description
アルドステロンを代表とする鉱質コルチコイドは,古典的標的臓器において体液貯留を介して血圧を調節するが,その生合成から効果器での作用発揮までには複数のステップを要する.中でも,受容体前の防御機構である11βHSD2 の異常は,遺伝性高血圧AME 症候群や甘草による偽性アルドステロン症を引き起こす.11βHSD1 とH6PDH による糖質コルチコイド作用増幅機構経路とのクロストークも重要である.
-
Source:
最新医学 65巻10号, 2283-2290 (2010);
View Description
Hide Description
アルドステロンの血管新生に及ぼす作用を検討した.アルドステロンはヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)のマトリゲル上の管腔形成を抑制し,エプレレノンはこの抑制反応を解除した.そのメカニズムとして,アルドステロンが直接またはPPARγの発現抑制を介してVEGFR-2 の発現を減弱させることによることが示された.アルドステロンの血管新生抑制作用が心血管系疾患の病態に果たす役割について,今後のさらなる検討が期待される.
-
【対 談】
-
-
Source:
最新医学 65巻10号, 2291-2300 (2010);
View Description
Hide Description
-
【トピックス】
-
-
Source:
最新医学 65巻10号, 2301-2305 (2010);
View Description
Hide Description
-
Source:
最新医学 65巻10号, 2306-2310 (2010);
View Description
Hide Description
-
【今月の略語】
-
-
Source:
最新医学 65巻10号, 2311-2317 (2010);
View Description
Hide Description