Volume 65,
Issue 12,
2010
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特集【骨髄異形成症候群(MDS)】
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最新医学 65巻12号, 2477-2478 (2010);
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アプローチ
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最新医学 65巻12号, 2479-2483 (2010);
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MDS の診断は形態学が基本となり,病型分類では従来のFAB 分類から新しいWHO 分類にシフトしつつある.なお,分子病態に関する研究も大きく進みつつあり,遺伝子診断も次第に導入されていくものと予想される.治療はIPSS といったリスク分類に基づいて行われているが,新規治療薬が次々に登場してきており,治療アルゴリズムも次第に変わっていくものと思われる.その他,輸血後鉄過剰症に対する鉄キレート療法がMDS 患者の予後を有意に改善することも注目される.
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病態と診断
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最新医学 65巻12号, 2484-2489 (2010);
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特発性骨髄不全のうち,血球減少の程度が軽い例では骨髄造血巣が残存していることが多く,また程度の差はあれ何らかの形態異常が見られることから,MDS と診断されることが多い.しかしその中には,通常の再生不良性貧血以上に免疫抑制療法に反応しやすい良性の骨髄不全(実体は非重症再生不良性貧血)が含まれている.非重症の骨髄不全を診る際に最も重要なことは,そのような免疫病態による骨髄不全をMDS の範疇に押し込めないことである.
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最新医学 65巻12号, 2490-2497 (2010);
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MDS の分類は,FAB 分類から2001 年,2008 年のWHO 分類へと変遷するに従い,予後スコアリングシステムも変化している.IPSS は,骨髄中の芽球比率,染色体異常,血球減少を示す系統数を点数化し,予後を予測したもので,現在でも実地医療の現場で治療方針の選択に広く用いられている.さらに,輸血依存性を考慮したWPSS も提唱されている.現況に合った予後スコアリングが今後も提唱されることが重要である.
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最新医学 65巻12号, 2498-2504 (2010);
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小児MDS はまれな疾患で,個々の施設における経験症例も少数にとどまる.成人例と比較して骨髄が低形成を示す症例が多く,とりわけ再生不良性貧血や先天性骨髄不全症候群との鑑別が困難である.2008 年改訂版WHO 分類では,小児MDS について独立した章が設けられ,暫定的な疾患単位として“refractory cytopenia of childhood(RCC)”が提唱された.本疾患の臨床的意義については,今後の前向き検討が必要である.
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最新医学 65巻12号, 2505-2511 (2010);
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MDS の診断の基本は細胞形態学的評価となるが,その評価は検鏡者間で異なることがある.形態学的異形成には,クローン性疾患に特異性の高いものと,非クローン性疾患でも認められるものがある.MDS の診断には,異形成の種類に診断的重みづけをしたうえでの定量的評価が望ましい.WHO 分類第4版の病型診断には,芽球と前骨髄球の鑑別,異形成の定量的評価,環状鉄芽球の評価などが必要となる.
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最新医学 65巻12号, 2512-2516 (2010);
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今世紀に入り,MDS の分子病態解明には大きな進歩があり,多数のゲノム異常が同定された.その多くは新生AML と共通の異常であり,MDS の骨髄増殖性疾患としての側面を示すものであると考えられる.今後,骨髄異型性や疫学データなどMDS の疾患特異性を,エピゲノム制御異常との関連のうえで理解していく方向で研究が進展していくことが期待される.
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最新医学 65巻12号, 2517-2524 (2010);
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MDS とその関連疾患は,血球産生の異常と白血病への移行を特徴とする難治性造血器疾患である.現時点で根治的な治療手段は同種造血幹細胞移植のみであるが,本症の多くを占める高齢者への適応は難しく,予後は不良である.その本質は,造血前駆細胞に由来する異常クローンの拡大による腫瘍性疾患であって,造血前駆細胞に生ずる一連のゲノム異常が本症の発症と進展にかかわっていると考えられる.MDS においては,これまでにも多数の染色体・遺伝子の異常が報告されているが,本稿では高密度SNP アレイを用いたMDS のゲノム異常の網羅的な探索,特にゲノムコピー数とアレル不均衡のゲノムワイドな解析と,こうした解析を通じて同定された遺伝子変異について解説する.
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治療
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最新医学 65巻12号, 2525-2530 (2010);
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一部のMDS 患者においては,シクロスポリンや抗胸腺細胞グロブリンを用いた免疫抑制療法により造血回復が得られる.特に,FAB 分類で不応性貧血に分類される患者のうち,若年,HLA-DR15 を持つ,PNH 血球陽性といった特徴を併せ持つもので有効率が高いが,効果予測因子の検証は不十分である.免疫抑制療法は造血回復効果の持続性に優れ,低リスクMDS における重要な治療選択肢であり,新規薬剤との使い分けは今後の課題である.
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最新医学 65巻12号, 2531-2536 (2010);
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MDS の治療戦略にかつてない進展が見いだされつつある.その一翼を担うと目されているのは,サリドマイド誘導体のレナリドミドである.染色体異常5q−を有する病型に対しては貧血改善効果に加えて細胞遺伝学的効果も期待できることから,画期的な新薬として注目を集めている.いよいよ本邦でも使用可能となったが,今後有効症例の抽出とともに長期的効果についても注視していく必要がある.
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最新医学 65巻12号, 2537-2544 (2010);
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今まで決定的な薬剤がなかったMDS に対してデシタビン,アザシチジンが有効であることが分かり,欧米ではすでに使用されている.in vivo での低メチル化と抗腫瘍活性との関係は必ずしも明らかではないが,第III相臨床試験の結果はこれら薬剤がMDS に対して有用であることを示している.
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最新医学 65巻12号, 2545-2550 (2010);
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[MDS の治療では,本邦の医療事情からやむをえず化学療法を行っている実態があった.その効果を前提に考えると,IPSS ではInt-2 の良好核型がAML に準じた化学療法の適応と考えられる.しかし,脱メチル化薬の登場や造血幹細胞移植の適応年齢の拡大によって化学療法の役割は変わりつつあり,化学療法のみで治癒を目指す症例はごく限られる.また,高齢者では化学療法の成績は不良である., MDSの治療では,本邦の医療事情からやむをえず化学療法を行っている実態があった.その効果を前提に考えると,IPSSではInt-2の良好核型がAMLに準じた化学療法の適応と考えられる.しかし,脱メチル化薬の登場や造血幹細胞移植の適応年齢の拡大によって化学療法の役割は変わりつつあり,化学療法のみで治癒を目指す症例はごく限られる.また,高齢者では化学療法の成績は不良である.]
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最新医学 65巻12号, 2551-2558 (2010);
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近年MDS の病態生理が少しずつ明らかになり,新規治療薬の開発により特定のMDS 病型に恩恵がもたらされつつあるが,現時点でもなお造血幹細胞移植は唯一治癒の期待できる治療手段である.一方で移植関連合併症・死亡やQOL の低下などの問題もあり,実際の適応は綿密な予後予測に基づきながらも個々の患者,家族の意思を尊重し,shared decision making(意思決定の共有)のもとに判断されるべきである.
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最新医学 65巻12号, 2559-2565 (2010);
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MDS は同種造血幹細胞移植が唯一の治癒を期待できる治療法であり,有効な薬剤が存在しないのが現状である.メチル化阻害薬やレナリドミドなどが臨床応用されているが,さらに有用な薬剤の開発が望まれている.海外ではすでに承認された薬剤も含めてMDS に対する多くの新規治療薬の臨床試験が進行している.しかしながら単剤での効果は限定的であり,有害事象も問題となることが多く,薬剤の併用やさらに新たな薬剤の開発が行われている.
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最新医学 65巻12号, 2566-2573 (2010);
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MDS などの難治性貧血では,頻回の赤血球輸血によって鉄過剰症を発症するリスクが高い.鉄過剰症はさまざまな臓器障害を引き起こすことが知られているが,十分な鉄キレート療法が低リスクMDS など一部の骨髄不全症において予後改善効果を持つことが明らかになってきた.本稿では,最近策定された輸血後鉄過剰症診療ガイドを含め,鉄過剰症の病態とその治療意義について概説する.
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【対 談】
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最新医学 65巻12号, 2574-2586 (2010);
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【トピックス】
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最新医学 65巻12号, 2587-2592 (2010);
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最新医学 65巻12号, 2593-2598 (2010);
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【今月の略語】
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最新医学 65巻12号, 2599-2604 (2010);
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