Volume 66,
Issue 11,
2011
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特集【骨髄増殖性腫瘍(MPN)の最新の進歩】
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最新医学 66巻11号, 2449-2450 (2011);
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座談会
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最新医学 66巻11号, 2451-2462 (2011);
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特集【骨髄増殖性腫瘍(MPN)の最新の進歩】
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最新医学 66巻11号, 2463-2471 (2011);
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WHO 分類第4版は,2008 年9月に公刊された.2001 年にWHO 分類第3版が刊行されて以来,造血器腫瘍の病態解明がさらに進んだこともあり,第4版では真性赤血球増加症,本態性血小板血症,原発性骨髄線維症に共通して見られるJAK2 遺伝子変異の発見などの研究成果が診断基準の中に盛り込まれている.慢性骨髄増殖性疾患という名称も,「腫瘍性」を強調して骨髄増殖性腫瘍に変更されている.しかし3年が経過し,問題点も幾つか指摘されている.
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最新医学 66巻11号, 2472-2478 (2011);
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骨髄増殖性腫瘍(MPN)の分子病態においては,JAK2 変異による細胞内シグナル伝達分子の活性化が重要な役割を果たしている.一方,最近の研究により,DNAのメチル化やヒストンの機能調節にかかわる多くの分子の変異も見いだされている.これより,MPN の分子病態については,シグナル伝達経路の活性化変異とエピジェネティックな遺伝子発現の調節経路の変異が複雑にかかわるとする新たなモデルが提唱されている.
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最新医学 66巻11号, 2479-2487 (2011);
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2005 年のJAK2 V617F 発見以降,骨髄増殖性腫瘍(MPN)に関する研究は目覚ましい進歩を続けている.近年ではJAK2 V617F のJAK2 全遺伝子量に対する比(JAK2 V617F allele burden)と疾患の予後に相関性があるとの報告もあり,変異を検出するだけでなく定量することの重要性が増してきた.一方,近年の分子生物学的手法の発展により,JAK2 V617F 以外の変異が次々と同定されている.本稿では,最新のJAK2 V617F allele burden 定量技術を紹介するとともに,JAK2 V617F 以外の変異にも言及し,その役割を概説する.
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最新医学 66巻11号, 2488-2496 (2011);
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骨髄増殖性腫瘍(MPN)は,造血幹細胞を起源とする,終末分化を伴った骨髄系細胞のクローン性増殖によって特徴づけられる腫瘍性疾患である.広義にはbcr/abl融合遺伝子による慢性骨髄性白血病,慢性好中球性白血病,異型慢性骨髄性白血病などが含まれるが,通常はより狭義に,真性赤血球増加症(PV),原発性骨髄線維症(PMF),および本態性血小板血症(ET)を含む疾患単位である.JAK2 の活性化型変異(V617F)が,PV では実質的にほぼ全例で,またPMF およびET においても50% 内外の頻度で認められ,MPN の重要な遺伝学的特徴となっているが,クローナリティ解析の結果からは,しばしばJAK2 陰性の腫瘍クローンの存在が示唆されること,また急性骨髄性白血病(AML)への移行に伴ってJAK2 変異が検出されなくなる症例が存在することなどから,MPN の発症初期には他の遺伝子変異が関与している可能性が示唆されている.一方,MPN ではdel(20q)をはじめとする特徴的な染色体異常が報告されており,MPN の発症や急性転化にかかわっていると推定されるが,こうした遺伝的変化の詳細はなお十分解明されているとは言い難い.本稿ではそうした遺伝的変化に関して,SNP アレイ解析を通じて得られる知見について,我々の解析例を中心に解説する.
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最新医学 66巻11号, 2497-2501 (2011);
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変異JAK2 発現マウスは骨髄増殖性腫瘍(MPN)を発症する.変異JAK2 の発現量が増加する血球系統に影響を与えており,変異JAK2 の発現量が多いと主に赤血球が増加し真性赤血球増加症を,少ないと血小板が増加し本態性血小板血症を発症する.MPN initiating cell は正常造血幹細胞と同様,LSK(Lin low Sca1-cKit high)分画に存在している.JAK2 の変異は造血幹細胞に増殖優位性を付与しないため,MPN の発症にはJAK2 変異に加え,増殖優位性を付与する遺伝子変異が必要と推測される.
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最新医学 66巻11号, 2502-2511 (2011);
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本態性血小板血症(ET)と真性赤血球増加症(PV)の生命予後を規定する血栓症の主なリスク因子は年齢60 歳以上と血栓症の既往であり,最近,白血球増加が報告されている.またJAK2 V617F allele burden は,ET では血栓症のリスクであり,PV では骨髄線維症への進展のリスクである.白血病化のリスク因子はET では貧血と血小板増加,PV では高齢であり,ヒドロキシ尿素の投与はリスク因子とはならない.原発性骨髄線維症(PMF)では,IPSS,DIPSS,DIPSS Plus などの新しい予後スコアが報告されている.
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最新医学 66巻11号, 2512-2518 (2011);
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骨髄増殖性腫瘍(MPN)は造血幹細胞のクローン性疾患であり,最近ではJAK2 V617F 遺伝子変異がこのMPN の主たる変異であることが分かってきた.動脈血栓症,静脈血栓症は頻度が高く,血小板活性化,白血球活性化そして赤血球粘着能亢進がそのメカニズムの主たる原因であるが,その分子生物学的なメカニズムも次第に明らかにされてきている.
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最新医学 66巻11号, 2519-2526 (2011);
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真性赤血球増加症や本態性血小板血症の予後は良好であり,いかに血栓症の合併を予防するかに治療の主眼が置かれ,血栓症のリスクの高い患者にはヒドロシキ尿素を中心とした抗腫瘍薬投与が行われている.一方,原発性骨髄線維症は一般に予後不良であり,予後予測モデルを活用していかに予後不良群を抽出し,造血幹細胞移植を行うかが重要な鍵になる.現在ではJAK2 阻害薬が開発され,これらの治療法は大きく変わろうとしている.
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最新医学 66巻11号, 2527-2532 (2011);
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JAK2 遺伝子変異の発見に始まった骨髄増殖性腫瘍(MPN)の分子病態の解明は,これまで合併症の予防と対症療法が中心であったMPN の薬物療法を大きく変化させようとしている.JAK2 阻害薬が開発され,臨床試験において原発性骨髄線維症を中心に,脾腫の縮小,全身的な症状の改善が得られている.MPN 治療は新しい時代を迎えようとしている.
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最新医学 66巻11号, 2533-2540 (2011);
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JAK2 阻害薬を除く骨髄増殖性腫瘍(MPN)に対する新規治療薬としては,ペグインターフェロン,免疫調整薬,メチル化阻害薬,ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬などがあるが,一定の効果は認められるものの,その効果はいまだ限定的で,今後のさらなる治療法の開発が期待される.
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最新医学 66巻11号, 2541-2551 (2011);
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本稿では,慢性骨髄性白血病(CML)および骨髄線維症に対する造血幹細胞移植の現時点での戦略を解説する.イマチニブの登場後,CML の治療は激変し,移植の適応はより慎重に判断されるようになった.骨髄線維症に対する造血幹細胞移植では,従来高い治療関連死亡率が問題となっていたが,骨髄非破壊的前処置の導入により移植成績は向上している.
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最新医学 66巻11号, 2552-2557 (2011);
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遺伝性あるいは家族性の骨髄増殖性腫瘍(MPN)には,高度な遺伝浸透度を持ち,反応性に単一血球系の増加を来す症候性のMPN と,低遺伝浸透度ながら腫瘍性の多系統血球増加を来すMPN がある.前者は,さまざまな遺伝子の異常によって引き起こされる増殖刺激因子またはその受容体の増殖促進的機能異常により生じる.後者には,MPN を発症しやすい何らかの遺伝的素因があると考えられ,JAK2 遺伝子ハプロタイプとの関連が推測されている.
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最新医学 66巻11号, 2558-2565 (2011);
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近年,慢性好酸球性白血病・特発性好酸球増多症候群(CEL/HES)の原因として,PDGFRA,PDGFRB,FGFR1 などの受容体型チロシンキナーゼ異常が次々と発見された.2008 年の新WHO 分類では,これらの分子異常に基づく骨髄系/リンパ系腫瘍という新たなカテゴリーが設けられた.本稿では,さらに2008 年WHO 分類以降に明らかになった最新の知見を加味して,HES の診断と治療の現状を概説する.
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【連 載】
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最新医学 66巻11号, 2566-2569 (2011);
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いまやうつ病も糖尿病も有病率の高い国民病となっている.うつ病は見逃されやすく,糖尿病は未治療のまま放置する患者が多いので,医療従事者としては注意が必要である.うつ病患者は糖尿病になりやすく,また糖尿病患者もうつ病になりやすい.特にうつ病と糖尿病が併発した場合は予後が悪いことが分かっており,糖尿病の治療中にうつ病が疑われた場合は早期に精神症状を評価して,うつ病の治療を考慮することが大切となる.
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最新医学 66巻11号, 2570-2574 (2011);
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最新医学 66巻11号, 2575-2579 (2011);
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【トピックス】
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最新医学 66巻11号, 2580-2586 (2011);
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microRNA(miRNA,miR)は,ヒトにおいて約1,000 種類が報告され,遺伝子の50% 以上を制御しているとの報告がある.miRNA は種を越えて保存されており,個体発生のみならず,多くの重要な生命現象をつかさどっていることが明らかになってきた.今後,疾患の早期診断や治療への応用に向けた研究がますます発展してくるものと考えられている.
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最新医学 66巻11号, 2587-2593 (2011);
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BCR–ABL は,t(9;22)(q34;q11)転座によって形成されるBCR–ABL 融合遺伝子の転写・翻訳産物であり,その恒常的なチロシンキナーゼ活性を介して,慢性骨髄性白血病や一部の急性白血病の発症に深く関与する.これらの白血病の治療成績は,ABL キナーゼ活性の特異的阻害薬イマチニブの導入によって大きく向上したが,BCR–ABL 遺伝子の点突然変異によるイマチニブ耐性の克服が新たな課題となっている.
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【今月の略語】
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最新医学 66巻11号, 2594-2599 (2011);
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