Volume 66,
Issue 12,
2011
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特集【人獣共通感染症の克服に向けて】
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最新医学 66巻12号, 2609-2611 (2011);
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対談
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最新医学 66巻12号, 2612-2622 (2011);
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特集【人獣共通感染症の克服に向けて】
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最新医学 66巻12号, 2623-2631 (2011);
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インフルエンザは,典型的な人獣共通感染症である.「鳥インフルエンザ」,「ブタインフルエンザ」および「新型インフルエンザ」は,いずれもヒトの病名として適切ではない.すべて「インフルエンザ」である.インフルエンザは,インフルエンザウイルスの感染,増殖に対する宿主動物の反応である.インフルエンザウイルスの病原性とは,ウイルスに感染した宿主の反応の強さである.ウイルスが当該宿主体内で激しく増殖するか否かが病原性を決定する.かかる単純明快な感染症の本質を総合理解したうえで,これまで人類が経験してきたパンデミックインフルエンザおよび季節性インフルエンザの発生と流行の事実を踏まえ,対策を講じていたならば,昨今の無意味な混乱は避けられたであろう.日本だけで毎年数千人を死亡させ,少なくとも数百人に脳症,多臓器不全を起こしている季節性インフルエンザの克服こそが,パンデミックインフルエンザ対策の基盤である.特に,現行のインフルエンザワクチンは,反応(自然免疫応答を含む)を除くことに主眼が置かれ,免疫力価を犠牲にして開発されたものであり,これが40 年間改良されず今日に至っている.ワクチンの抜本的改善と生物学的製剤基準の改正は,必須にして喫緊の課題である.
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最新医学 66巻12号, 2632-2640 (2011);
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インフルエンザの予防にはワクチン接種が有効であるが,ヒトの免疫圧による選択淘汰を受けてウイルスの抗原性が変化し続けるため,流行しているウイルスの抗原性に合うようにワクチン株を更新し続けなければならない.本稿では,バイオインフォマティクスを情報科学の生命科学への応用と位置づけ,バイオインフォマティクスを用いてインフルエンザウイルスの変異を予測する研究を概説する.
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最新医学 66巻12号, 2641-2648 (2011);
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ヒト以外の脊椎動物を宿主とするロタウイルスは非常に多いが,ヒトに感染するのはほとんどすべてヒトロタウイルスである.その意味では典型的な人獣共通感染症ではないが,ウイルスゲノムの構成を調べてみると,動物のロタウイルスがヒトロタウイルスの中に全粒子として,あるいは遺伝子分節再集合体として侵入してきている.このような種間伝播は,ロタウイルスの進化や新興株の出現に重要な役割を果たしている.
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最新医学 66巻12号, 2649-2654 (2011);
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2008 年に,ザンビア共和国で初めてヒト出血熱が発生した.この原因ウイルスは既知の病原体検査では検出できず,次世代シーケンサーを用いた網羅的解析により新規アレナウイルス(Lujo ウイルス)であることが明らかになった.このウイルスの感染経路および自然宿主動物は,いまだ明らかではない.本稿では,出血熱の発生とLujo ウイルスの発見の経緯,ザンビアでのアレナウイルスの自然宿主動物の探索の現状を紹介する.
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最新医学 66巻12号, 2655-2660 (2011);
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ウエストナイルウイルスは,1937 年アフリカで発見された.このウイルスにより現在,アフリカ,中近東,西アジア,ヨーロッパの一部,南北アメリカで患者が発生している.また,オーストラリアには亜型と言われるクンジンウイルスが生息している.抗ウイルス薬,ワクチンはないが,ワクチン開発に関しては不活化ワクチンとキメラウイルス生ワクチンの開発が進展しており,感染予防における有効性が確認されている.
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最新医学 66巻12号, 2661-2667 (2011);
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腎症候性出血熱(HFRS)とハンタウイルス肺症候群(HPS)を合わせ,ハンタウイルス感染症と総称する.げっ歯類を自然宿主とし,HFRS はユーラシア大陸全域で,HPS は南北アメリカ大陸全域で流行がある.ウイルスの型ごとに異なった種類のげっ歯類が自然宿主となり,病原性も異なる傾向がある.このため,流行ウイルスの型鑑別は予防,診断,治療に重要な情報を与える.本稿では,HFRS とHPS の概要および,迅速血清型鑑別法について紹介する.
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最新医学 66巻12号, 2668-2675 (2011);
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エボラウイルスおよびマールブルグウイルスは,ヒトを含む霊長類に重篤な出血熱を引き起こす病原体である.抗ウイルス薬およびワクチンは実用化されていない.これらのウイルスの自然界における存続メカニズムは不明であり,自然宿主あるいはキャリアーとなる動物を同定し,霊長類およびヒトへの伝播経路を解明することが重要な課題となっている.本稿では,エボラ・マールブルグウイルスの研究に関する最近の話題を中心に紹介する.
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最新医学 66巻12号, 2676-2681 (2011);
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ヒトへの主な感染源であるイヌにおいて狂犬病の伝播動態の一端が明らかになり,その防疫対策として,イヌのワクチン接種率の向上と個体数管理の両方が重要であることが分かってきた.また,狂犬病ウイルスの病原性発現機序に関する情報も少しずつ蓄積され,安全な生ワクチンの開発や治療法の確立のための基盤が形成されつつある.これらの知見は今後,狂犬病を制圧するうえで重要な情報となるであろう.
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最新医学 66巻12号, 2682-2688 (2011);
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狂犬病は紀元前の時代から致死的な伝染病として知られる人獣共通感染症である.ウイルス感染は神経組織に限定され,組織破壊のない,またウイルス血症のない特異な感染病態を示す.曝露後にも有効なワクチンがあるが,発症後の有効な治療法はない.アジア各国を含め世界で年間55,000 人の死亡者が報告され,日本人にとっても決して無縁な感染症ではない.
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最新医学 66巻12号, 2689-2696 (2011);
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ウシ型結核菌はウシのみならず,ヒトにも結核を引き起こす.近年のウシ結核撲滅キャンペーンは先進国におけるウシ型結核菌によるヒト結核を大幅に減少させたが,ラテンアメリカ諸国およびアフリカ諸国においてはいまだに数多くの症例が報告されている.ウシ型結核菌によるヒト結核を制圧するためには,従来の診断法に加えて遺伝子診断法を導入して大規模な調査を実施し,罹患動物を早期に摘発し,これを淘汰することが重要と考えられる.
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最新医学 66巻12号, 2697-2702 (2011);
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スピロヘータの一種レプトスピラ感染に起因する人獣共通感染症の1つで,感染症法では四類疾患に指定されている.レプトスピラは感染野鼠の尿中に排泄され,環境を長期間にわたり汚染する.ヒトや動物は汚染水や土壌を介して経皮・経口感染する.日本では,沖縄を中心に散発的な患者発生や輸入症例が報告されている.東南アジアや中南米の高温多雨な地域でたびたび大流行が起こっているが,実態は十分に調査されておらず,neglected infectious disease あるいはunderestimated infectious diseaseの1つである.
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最新医学 66巻12号, 2703-2712 (2011);
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偏性細胞内寄生体を原因とするQ熱およびオウム病について記述した.Q熱はコクシエラ菌による疾患である.ヒトは病原体を含む粉塵の吸入により感染し,呼吸器疾患や心内膜炎などを呈する.我が国のQ熱は感染源や伝播経路がはっきりしていない.オウム病はオウム病クラミジアを病原体とし,愛玩用鳥類やドバトからヒトに感染し,肺炎などの呼吸器感染症を引き起こす疾患である.非定型肺炎の1つとして的確な治療が必要である.
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最新医学 66巻12号, 2713-2720 (2011);
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ウシ海綿状脳症(BSE)およびその後の変異クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)の発生は世界を不安に陥れたが,BSE に対する管理措置が有効に機能し,2010 年以降の発生数は世界全体を合計しても100 例以下にまで減少し,社会的な関心も薄れている.プリオン病の1つであるBSE を撲滅できる日は遠くない.しかし,ヒトおよび動物ではBSE 以外のプリオン病は存在するとともに,プリオン病の病態機序は依然として未解明の要素が多く残されている.
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最新医学 66巻12号, 2721-2725 (2011);
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ツェツェバエに媒介されるTrypanosoma brucei に起因するヒトのアフリカトリパノソーマ症は,現在サブサハラの幾つかの国で発生が見られるneglected tropicaldisease である.本稿では,本感染症の最近の発生状況と,病態,診断,治療の研究の現状と制圧に向けた取り組みについて記述する.
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【連 載】
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最新医学 66巻12号, 2726-2730 (2011);
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がん患者において,うつ病や抑うつ気分を伴う適応障害は最も多く出現する精神疾患であるが,実際の臨床現場では治療されずにいる患者が多い.そこで,がん患者のうつ病に影響を与える危険要因や診断上の問題点を十分に理解し,うつ病を正当に評価する必要がある.治療はがん患者の特徴を把握したうえで,薬物療法と精神療法を併用する.これらによって,がんそのものの治療を円滑に継続し,患者のQOL を良好に保つことができる.
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最新医学 66巻12号, 2731-2735 (2011);
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【トピックス】
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最新医学 66巻12号, 2736-2740 (2011);
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Mucosal–associated invariant T(MAIT)細胞は,MR1 分子に拘束されT細胞受容体にインバリアントα鎖(マウスVα19Jα33,ヒトVα7.2Jα33)を発現するT細胞である.粘膜組織に多く存在し,自然免疫と獲得免疫の橋渡しをする自然リンパ球として機能すると考えられている.実験的自己免疫性脳脊髄炎では制御性に働くが,関節炎モデルでは病態悪化に関与する.ヒトでは,末梢血αβ T細胞の数% を占める大きな細胞集団であり,自己免疫疾患との関連が注目される.
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【症 例】
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最新医学 66巻12号, 2742-2743 (2011);
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【今月の略語】
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最新医学 66巻12号, 2744-2747 (2011);
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