Volume 67,
Issue 12,
2012
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特集【新世代のがん分子標的治療】
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最新医学 67巻12号, 2701-2702 (2012);
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座談会
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最新医学 67巻12号, 2703-2715 (2012);
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特集【新世代のがん分子標的治療】
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最新医学 67巻12号, 2716-2723 (2012);
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近年,分子標的治療薬は,がんの生物学的特性に関連した遺伝子の検索(シーズ検索)により創薬される.分子標的治療薬は,その標的因子から① 血管新生阻害薬,② 増殖因子受容体・シグナル伝達阻害薬,③ DNA 修復・転写制御因子阻害薬に分類される.がん細胞における遺伝子やタンパク質の発現解析に基づく開発も行われるため,分子標的療法の評価のためにヒトの体内で予想される標的に作用することを確認するPOC/MOA 試験が重要になる.
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最新医学 67巻12号, 2724-2730 (2012);
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2007 年にEML4–ALK 融合遺伝子を持つ非小細胞肺がんの存在が発見されてから5年余の間に,最初のALK 阻害薬であるクリゾチニブが臨床に供されるようになった.その間にもクリゾチニブに耐性となる機序が数多く報告され,すでに耐性克服のための新規化合物の臨床試験が数多く行われている.ALK 融合遺伝子の検出法など解決すべき問題も多いものの,その治療法は今後急速に発展することが期待されている.
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最新医学 67巻12号, 2731-2737 (2012);
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2012 年2月の『Nat Med』誌に日米の3つのグループから,2012 年3月の『Genome Res』誌に韓国のグループから,肺がんの新しい原因遺伝子としてKIF5B –RET 融合遺伝子を発見したことが報告された.2007 年の非小細胞肺がんにおけるALK 融合遺伝子の発見とその後のALK 阻害薬の臨床開発の成功により,固形がんにおける分子標的療法の新たな治療標的として融合遺伝子が注目されている.今後,RET 融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんに対するRET 阻害薬の治療開発が期待される.
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最新医学 67巻12号, 2738-2747 (2012);
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mTOR はPI3K-Akt-mTOR 経路に属し,種々の成長因子のシグナルや細胞の代謝状態を感知し,タンパク質合成,細胞の成長や増殖,血管新生などに重要な働きをしており,種々のがんの発生・進行・薬物療法耐性にかかわっている.腎細胞がんは血管新生が著明であり,また種々の機序でPI3K 経路シグナルが亢進していることから,mTOR 阻害薬の効果が期待される.mTOR 阻害薬エベロリムス,テムシロリムスは進行腎細胞がんにおけるエビデンスが確立し,日本でも2010 年に承認された.続いてエベロリムスが膵神経内分泌腫瘍(PNET)に対して承認され,乳がんをはじめその他の腫瘍についてもエビデンスが出始めている.
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最新医学 67巻12号, 2748-2754 (2012);
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RAF はMAPK 経路に含まれるセリン/トレオニンキナーゼであるが,2002 年にBRAF 遺伝子変異が報告され,BRAF 阻害薬の開発が進められてきた.特に悪性黒色腫ではBRAF 遺伝子変異の頻度が高く,BRAF 阻害薬の効果が期待されたが,BRAF 遺伝子変異陽性の悪性黒色腫に対するBRAF 阻害薬の優れた臨床効果が続けて報告され,2011 年8月にベムラフェニブがFDA により承認された.BRAF 遺伝子変異の発見,BRAF 阻害薬の作用機序,悪性黒色腫に対する臨床試験の結果を中心に概説する.
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最新医学 67巻12号, 2755-2762 (2012);
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VEGF に対する抗体薬であるベバシズマブは,切除不能進行・再発結腸直腸がんの初回化学療法/二次化学療法例を対象とした複数の第Ⅲ相試験において有効性が報告され,すでに臨床導入されている.その後,セジラニブ,スニチニブ,バタラニブ,アキシチニブなどの新規血管新生阻害薬の開発が行われたが,いずれも有効性を示すことができなかった.しかし近年,消化器がん領域においてアフリベルセプト,レゴラフェニブが全生存期間の有意な延長が報告され,本邦における承認が待たれている.
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最新医学 67巻12号, 2763-2769 (2012);
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HER2 陽性乳がんに対する抗HER2 療法は分子標的治療の先駆けであり,最も成功している治療の1つである.モノクローナル抗体であるトラスツズマブとチロシンキナーゼ阻害薬であるラパチニブがすでに広く使用されているが,近年,新しい抗HER2 療法薬であるペルツズマブやT–DM1 の成績が相次いで発表された.本稿ではこれらの薬剤について,第Ⅲ相臨床試験の結果を中心に概説する.
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最新医学 67巻12号, 2770-2776 (2012);
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2012 年5月29 日,世界に先駆けて成人T細胞白血病/リンパ腫に対する新規薬剤として,抗CCR4 抗体(モガムリズマブ,ポテリジオ)が上市された.一方,本薬剤は抗腫瘍免疫賦活化作用によるさまざまながん種への応用の可能性をも有している.本稿では,T細胞リンパ腫に対する新規抗体薬剤としての抗CCR4 抗体,抗Treg薬剤としての抗CCR4 抗体,がん免疫応答制御にかかわる抗体薬について,現状そして今後の展望を解説する.
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最新医学 67巻12号, 2777-2782 (2012);
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腫瘍組織は均一ながん細胞によって構成されているわけではなく,多彩な性質を持つ不均一な腫瘍細胞で構築されている.自己複製能と多分化能を有するがん幹細胞が起源となって,その不均一性が形成される.がん幹細胞は他の細胞に比べてさまざまなストレスに対する抵抗性を有していることから,現行の治療では完全に破壊することが困難であると考えられている.本稿では,がんの治療抵抗性を克服するための手段として,がん幹細胞を標的にした戦略について,将来像を含めて概説したい.
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最新医学 67巻12号, 2783-2790 (2012);
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EGFR チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR–TKI)やALK–TKI は,それぞれEGFR変異およびALK 融合遺伝子を有する肺がんに著効する.しかし,奏効例もほぼ例外なく1~ 数年で耐性を獲得し再燃することが問題となっている.近年その獲得耐性メカニズムとして,標的自身の二次的変異や,側副経路の活性化などの機構が次々に明らかにされてきている.耐性を克服するための新しい薬剤の臨床開発も進んでおり,本研究領域は急速に展開している.
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最新医学 67巻12号, 2791-2798 (2012);
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次世代シークエンサーがもたらしたがんゲノムの高精度な解析は,がん研究の方法論にも変化を起こした.同定された遺伝子変異をもとにがんの新たな生物学的特性が明らかになる一方,固形がんの変異の多様性も再認識され,がんゲノム像の再構築が求められている.一方,高速シークエンス技術のバイオマーカー診断への応用も現実的になりつつある.検出の技術的な改善に加え,遺伝子診断における倫理的・法的問題の解決を急ぐ必要がある.
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最新医学 67巻12号, 2799-2805 (2012);
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EGFR 遺伝子変異非小細胞肺がん症例やEML4–ALK 陽性症例におけるチロシンキナーゼ阻害薬の劇的な臨床効果を経験し,悪性形質の維持に大きく寄与している分子異常(driver oncogene)をとらえ,これらを標的とする分子標的治療薬を臨床開発していくことが予後不良の本疾患の治療開発戦略の重要な方向性であることが示されている.本稿では,進行非小細胞肺がんの個別化治療開発に向けた,西日本がん研究機構(WJOG)における取り組みを紹介する.
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最新医学 67巻12号, 2806-2811 (2012);
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乳がんは,ホルモン受容体,HER2 タンパク質/遺伝子増幅により古くから個別化医療への取り組みが行われてきた疾患である.その後分子プロファイルによるintrinsic subtype 分類が試みられ,近年は網羅的変異解析の報告も相次いでいる.さらに,単一の標的バイオマーカーの異常ではなく,伝達経路のクロストークの理解が深まっており,これらの知見を個々の患者にいかに還元していくかが今後の課題である.
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【連 載】
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最新医学 67巻12号, 2812-2816 (2012);
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2012 年7月に日本うつ病学会から発表された大うつ病治療ガイドラインは,我が国初の学会によるうつ病治療ガイドラインである.従来汎用されたガイドラインと異なり,軽症うつ病を中等症・重症うつ病とは別個に取り扱い,我が国の臨床実態に適合した基礎的介入として,全例に笠原の「小精神療法」を行うことを推奨している.薬物療法や体系化された精神療法については安易には行わず,患者背景や病態への理解を深めたうえでの導入が望ましいとした.ガイドラインを通じてうつ病治療全体への理解を深め,個々の患者に適した治療を模索する姿勢が求められている.
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最新医学 67巻12号, 2817-2820 (2012);
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最新医学 67巻12号, 2821-2827 (2012);
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最新医学 67巻12号, 2828-2830 (2012);
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【トピックス】
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最新医学 67巻12号, 2831-2835 (2012);
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我が国のB型肝炎ウイルス(HBV)感染予防は,HBs 抗原陽性妊婦からの出生児のみにB型肝炎ウイルスワクチン(HBワクチン)を投与するセレクティブワクチネーション方式であり,高力価抗HBs 抗体含有ヒト免疫グロブリン(HBIG)との併用により,これまで母児感染予防に対し高い効果を上げてきた.一方,諸外国では全出生児にHB ワクチンを投与するユニバーサルワクチネーション方式が主である.しかし,現在本邦では成人の水平感染が増加していることもあり,水平感染予防も考慮したユニバーサルワクチネーション方式への移行の必要性が大きく取り上げられている.そのユニバーサルワクチネーション方式導入に関する問題点についてまとめた.
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最新医学 67巻12号, 2836-2841 (2012);
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沈滞していた自己免疫性筋炎研究を打開するため,筆者らは新たなマウス多発性筋炎モデルを開発した.このモデルにより,T細胞による筋組織傷害,炎症性サイトカインの関与などが明らかになった.さらに,自己免疫による筋組織破壊には,獲得免疫である自己反応性T細胞の活性化と筋組織の自然免疫活性化とが協調することが大切と分かった.筆者らは,これを自己免疫のSeed & Soil モデルと名づけた.
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【今月の略語】
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最新医学 67巻12号, 2842-2847 (2012);
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