Volume 68,
Issue 10,
2013
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特集【リンパ系腫瘍-最新の病態解析と治療-】
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最新医学 68巻10号, 2273-2274 (2013);
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座談会
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最新医学 68巻10号, 2275-2287 (2013);
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最新医学 68巻10号, 2288-2292 (2013);
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濾胞性リンパ腫では t (14;18)転座を高頻度に認め,本転座によるBCL2 の高発現が疾患形成に深くかかわることが従来より認識されてきた.しかし,t (14;18)陽性のB細胞は健常人にも少数存在し,濾胞性リンパ腫の発症に至る過程にはさらに付加的遺伝子異常や生物学的背景が関与することが知られるようになってきている.本稿ではそうした知見を中心に,濾胞性リンパ腫の分子病態について概説する.
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最新医学 68巻10号, 2293-2301 (2013);
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2003 年のヒトゲノムプロジェクトの完了によって,我々はヒトゲノムの基本的な配列情報を手にした.その後の10 年間はこの配列をもとに,各種のがんを含め,さらに多くの疾患において遺伝子異常が同定された.特に次世代シークエンサーの登場は,ゲノム・遺伝子異常の解析環境を一変させ,多検体を短時間に解析することを可能にした.本稿では,次世代シークエンサーによって明らかとなったB細胞リンパ腫における遺伝子異常を中心に解説したい.
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最新医学 68巻10号, 2302-2307 (2013);
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ホジキンリンパ腫(HL)は,少数の腫瘍細胞と多様な背景の細胞からなる特異な組織像を有する.1832 年にThomas Hodgkin により疾患が認識されて以来,真の腫瘍あるいは炎症なのか,その腫瘍起源は,といったさまざまな疑問を生じてきた.これまでにその腫瘍化メカニズムも明らかにされつつある.HL の分子メカニズム,微小環境との相互作用を含めて,本腫瘍をめぐる「古くて新しい問題」について概説する.
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最新医学 68巻10号, 2308-2315 (2013);
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成人T細胞白血病(ATL)細胞の染色体コピー数異常と遺伝子変異の包括的解析,mRNA およびmiRNA 発現の包括的解析が進められ,エピジェネティック異常の解析情報も集積されている.しかし,ATL の多段階発がんにかかわる5つの遺伝子異常の実態はいまだに不明である.治療については多剤併用化学療法と造血幹細胞移植の組み合わせが標準的であるが,予後の改善は限定的であり,抗CCR4 抗体の導入によって予後の改善が期待される.
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最新医学 68巻10号, 2316-2323 (2013);
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Epstein–Barr ウイルス(EBV)は,ひとたびヒトに感染すると一生体内に潜み,感染細胞の腫瘍化の原因になることがある.EBV 陽性リンパ腫は複数の異なった組織型があり,このことは発症メカニズムの複雑さを物語っている.ウイルスの宿主細胞は主にB細胞であり,感染によって不死化したB細胞はT細胞機能の低下や環境などの発症因子の存在のもと,増殖し腫瘍化する.さらに,EBV はT,NK 細胞の腫瘍化の原因にもなる可能性が指摘されている.EBV 陽性リンパ腫は治療抵抗性のものが多い.発症機構の解明は今後新規治療法の開発に結びつくことが期待される.
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最新医学 68巻10号, 2324-2333 (2013);
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多発性骨髄腫における腫瘍化の初期変化は,IGH 転座と高2倍体である.二次的変化は-13/13q-,1p-,1q21+,17p-,8q24 転座などである.1q21+にはCKS1B,ANP32E,BCL9,PDZK1,1p-にはCDKN2C,FAF1,FAM46C が関与している.8q24 転座ではPVT1–NBEA とPVT1–WWOX のキメラが同定された.次世代シークエンサーによる解析では,FAM46C(13%)とDIS3(11%),RAS(24%),KRAS(27%),BRAF(4%)などに変異が認められる.
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最新医学 68巻10号, 2334-2340 (2013);
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哺乳類の骨髄の微小環境(ニッチ)は,正常の造血幹細胞を維持するためにニッチ細胞からさまざまなサイトカインや細胞外基質を提供し,生涯にわたって造血を維持している.造血器腫瘍の幹細胞もこうした骨髄ニッチの構成要素をうまく利用して自己複製し,増殖を行っていると考えられている.本稿では,骨髄腫幹細胞の探索と骨髄腫ニッチ研究の試みについて紹介したい.
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最新医学 68巻10号, 2341-2347 (2013);
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ABVD 療法を受ける進行期ホジキンリンパ腫(HL)の患者では,2コース後のinterim PET が陽性の場合,予後不良である.このため,interim PET 陽性例で途中から強化治療に変更する層別化治療を行う前向き臨床試験が複数進行中である.HL におけるinterim PET では,肝よりも強い集積(Deauville スコア4点以上)が陽性と定義されている.びまん性大細胞型B細胞リンパ腫でもinterim PET による予後層別化に関する同様の報告があるが,HL より陽性的中率が低い.また,陽性の定義についてコンセンサスが形成されていない.
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最新医学 68巻10号, 2348-2357 (2013);
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ベンダムスチンは,約50 年前に旧東ドイツで開発された薬剤であり,濾胞性リンパ腫をはじめとする低悪性度B細胞リンパ腫の再発・再燃患者に対して高い有効性が示されている.さらに,未治療低悪性度B細胞リンパ腫に対し,リツキシマブとの併用で従来の標準的治療法であるR–CHOP 療法を上回る有効性が示唆されている.抗腫瘍薬として分子標的薬の開発が注目を浴びる現在,分子標的薬にも劣らない高い有効性を発揮する古くて新しいユニークな薬剤である.
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最新医学 68巻10号, 2358-2363 (2013);
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B細胞リンパ腫の主な病型としては,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫,濾胞性リンパ腫,MALT リンパ腫,マントル細胞リンパ腫などがある.治療方針は,病型,病期,リスク因子,年齢,腫瘍量,臓器機能などを考慮する.B細胞リンパ腫の治療は,抗CD20 モノクローナル抗体リツキシマブによって大きく成績が向上した.近年,リツキシマブと至適併用化学療法の検討やリツキシマブ維持療法の有用性についての検討が進んでいる.
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最新医学 68巻10号, 2364-2372 (2013);
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T細胞リンパ腫は前駆型と末梢型に大別され,前駆型は急性白血病と同様に扱われる.末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)はCHOP 療法が実施されることが多いが,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に比較して予後が不良である.標準治療はALK 陽性未分化大細胞型リンパ腫はCHOP 療法であるが,それ以外の病型では未確立である.造血幹細胞移植の効果が期待されるが,結論は出ていない.新規薬剤が開発され,治療成績の向上が期待される.
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最新医学 68巻10号, 2373-2380 (2013);
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初発限局期ホジキンリンパ腫(HL)に対しては,ABVD 療法2~4コース後の病変領域に対する区域照射(IFRT),初発進行期に対してはABVD 療法6もしくは8コースが標準的治療法である.若年,初回再発HL に対しては,救援療法に奏効後に連続する自家末梢血幹細胞移植併用の大量化学療法が標準的治療法である.再発・難治HL に対して,キメラ型抗CD30 モノクローナル抗体ブレンツキシマブ・ベドチンが米国で開発・承認され,我が国でも開発治験が終了し,早期承認が待たれる.
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最新医学 68巻10号, 2381-2392 (2013);
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多発性骨髄腫は,治癒の困難な形質細胞腫瘍である.1960 年代に開発されたMP(メルファラン,プレドニゾロン)療法が30 年以上標準治療であり,生存期間中央値は約3年であった.サリドマイド,レナリドミドなどの免疫調節薬やプロテアソーム阻害薬であるボルテゾミブが登場し,1~2年間の生存期間延長が期待できる時代になった.さらに,抗体療法を含む有効な分子標的療法の開発も進んでいる.しかし,予後不良病型に対する分子標的薬の開発や,新規薬剤の効果と毒性を予測するバイオマーカーの同定による個別化治療など,効率的でQOL を重視した治療戦略を確立していく必要がある.
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【連 載】
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最新医学 68巻10号, 2394-2397 (2013);
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従来のうつ病,ことに遷延例を対象に,「あるがまま」を立脚点にした森田療法的な養生法を示し,うつ病の時期に応じた指導のポイントを紹介した.また青年期に好発する現代的な「うつ病」には,徐々に行動を増やしていくこと,生活リズムを整えること,グループを活用すること,薬だけで解決を図らないこと,当面仕事や職業的役割とどう折り合いをつけていくかを患者自ら選択できるように援助することを提唱した.
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最新医学 68巻10号, 2398-2404 (2013);
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最新医学 68巻10号, 2405-2409 (2013);
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【トピックス】
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最新医学 68巻10号, 2410-2414 (2013);
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頭痛や頭部外傷に際して行われた画像診断,あるいは脳ドックで偶然発見された下垂体病変を臨床的に下垂体偶発腫と総称するが,大半は非機能性下垂体腺腫とラトケ嚢胞である.実質性病変で視神経交叉に接触・圧迫する程度の病変は経蝶形骨手術が勧められるが,より小さな病変や嚢胞性病変は基本的に経過観察で良い.ただし,ラトケ嚢胞の中には下垂体機能不全を来すものがあるので,その予防的手術については議論のあるところである.
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最新医学 68巻10号, 2415-2419 (2013);
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低マグネシウム血症は抗EGFR 抗体に特徴的な副作用の1つであり,抗EGFR抗体による腎尿細管でのマグネシウムの再吸収障害がその本態と考えられている.発現頻度は報告により異なるが,全グレードが30~50%,グレード3/4が3~5% である.初期症状は非特異的であるが,高度低下例では神経筋症状や心毒性を呈するために,投与中は血清中電解質モニタリングが推奨される.補充は硫酸マグネシウム補正液を経静脈的に投与する.
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【今月の略語】
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最新医学 68巻10号, 2420-2427 (2013);
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