Volume 68,
Issue 11,
2013
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特集【結核-古くて新しい感染症-】
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最新医学 68巻11号, 2437-2438 (2013);
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座談会
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最新医学 68巻11号, 2439-2450 (2013);
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新しい診断法
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最新医学 68巻11号, 2451-2460 (2013);
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薬剤耐性結核菌の新興は深刻な問題であり,その伝播を阻止するためには迅速な薬剤耐性結核遺伝子診断法を開発することが必須である.結核菌は,ゲノム上の特定領域に変異を生じることによって薬剤耐性を獲得する.したがって,薬剤耐性遺伝子診断法ではこれらの変異を同定すれば良い.簡便で安価な遺伝子変異同定法として,ラインプローブ法がある.本稿では結核菌の薬剤耐性の機序を概説しながら,遺伝子診断法の必要性を考察する.
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最新医学 68巻11号, 2461-2466 (2013);
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約10 年前に,ツベルクリン反応より高特異度,かつ高感度の新たな結核感染診断法が2種類開発された.その1つであるQFT 検査は日本で2005 年に承認され,現在ガイドラインなどで使用が推奨されている.他方のT–スポット. TB 検査は2012年10 月に承認された.両検査ともIFN g の産生を指標とし,結核感染を診断するが,原理は異なっている.本稿では,両検査法の原理・検査上の注意点などについて述べる.
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最新医学 68巻11号, 2467-2471 (2013);
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結核感染の診断に用いられるインターフェロンg 遊離測定法は,細胞性免疫機能の低下が著しいHIV 感染症においても感度が良いと言われているが,T-スポットのほうがQFT–3G よりも感度が良く,免疫機能低下の影響を受けにくいという報告が多い.特異度に関しては両者ともに的確なデータが報告されているとは言い難い.判定不可に関しては両者とも報告間のばらつきが多く,両者の比較については一定の結論は得られていない.
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最新医学 68巻11号, 2472-2478 (2013);
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結核の確定診断には結核菌の分離を必要条件とする.しかし,結核菌は特に発育が緩徐であるため,培養検査では検出までに時間がかかりすぎ,迅速診断上の問題となる.これを感度・特異度の点でバランスを取りながら解決する方法が核酸増幅法であり,近年では結核菌の検出(同定)だけでなく,リファンピシンやピラジナミドの薬剤耐性変異を同時に検出できるキットが利用可能である.病態を考慮した効果的使用が重要である.
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結核ワクチン
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最新医学 68巻11号, 2479-2487 (2013);
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BCG は成人結核予防ワクチンとして無効である.したがって,成人の結核に対して有効な新しい結核予防ワクチンHVJ-エンベロープ/HSP65 DNA+IL–12 DNA ワクチンを開発した.プライム-ブースト法を用い,このワクチンはマウスの系でBCG よりも1万倍強力な結核予防ワクチン効果を示した.さらに,ヒトの結核感染に最も近いカニクイザルでも強力な結核予防効果(生存率改善,赤沈,胸部X線,T細胞免疫増強)を発揮した.他の新結核ワクチンについても言及した.
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最新医学 68巻11号, 2488-2495 (2013);
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多剤耐性結核(MDR–TB)は難治性で,有効な治療法はない.したがって多剤耐性結核に治療効果を発揮するHSP65 DNA+IL–12 DNA ワクチンを開発した.このワクチンはMDR–TB 感染マウスでMDR–TB 菌の減少,および超多剤耐性結核感染マウスで治療効果(生存率改善)を示した.さらに,ヒトの結核感染に最も近いカニクイザルで生存率改善などの結核治療効果を発揮した.したがって,臨床治験を計画している.このワクチンは細胞傷害性T細胞(CTL)分化増強を示した.ほかに,グラニュライシンやKsp37 のCTL 分化因子活性を有するタンパク質を発見した.これらの結核治療ワクチン効果についても述べる.
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結核菌ゲノムの分子疫学と応用
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最新医学 68巻11号, 2496-2502 (2013);
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結核菌分子疫学解析は,比較する結核菌同士のある特定の遺伝子配列部位に着目し,それに基づいて結核菌が同じ菌株か否かを判断する方法である.PCR を利用したVNTR 解析が報告され,結核菌分子疫学解析の標準法として広く使われ,また臨床応用も可能になった.現在,次世代シークエンサーが利用可能になり,全遺伝子配列全体の塩基配列を比較して同じか否かを判断することが可能になってきたが,コストが高く,現段階では実用的ではない.我々はVNTR 解析において簡便な汎用自動電気泳動システムであるQIAxcel Advanced を用い,各ローカスの出現頻度の高いリピート数が判明している複数のPCR 産物をVNTR ラダーマーカー(VNTR LadderMarker)として用いることにより,VNTR PCR 産物をおのおののリピート数の判明しているPCR 産物と直接比較し,リピート数を判定する解析法を開発した.VNTRLadder Marker を用いたQIAxcel Advanced によるVNTR 解析法は簡便でかつ正確であり,地方衛生研究所レベルの日常業務において有用であると判断する.
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最新医学 68巻11号, 2503-2507 (2013);
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結核菌を含めて現在のところ11 種類の菌が結核菌群として分類されている.それら菌種間では核酸レベルで99.9% 塩基配列が一致しているため,個別菌種の同定は難しい.しかし全ゲノム塩基配列分析により,ゲノム上に存在するregion of difference(RD)領域や1塩基多型が多数同定された.そのため迅速・簡便な同定が可能となり,菌種の発生経路や各菌種内での進化系統も解明されつつある.
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結核免疫
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最新医学 68巻11号, 2508-2511 (2013);
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多剤耐性結核の発生は,不適切な治療により結核菌ゲノムの中の薬剤効果に関連する遺伝子に変異が蓄積されていくことが最も重要なメカニズムであり,結核医療にかかわる人為的要因や制度上の問題が一義的と考えられている.しかし,その背景となる菌側のゲノム変異率や,宿主側の薬物代謝能・免疫応答にかかわる遺伝的背景なども,多剤耐性結核の発生に関与しているものと推測される.
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最新医学 68巻11号, 2512-2517 (2013);
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病原微生物から身を守るための免疫システムは,宿主細胞がパターン認識受容体を介して病原菌を異物として認識することからスタートする.とりわけ結核菌の認識には,自然免疫細胞のさまざまな場所に局在するTLR やCLR,NLR といった複数のパターン認識受容体がかかわっていることが知られている.また最近では,AIM2 という新たな受容体を介した感染防御機構も明らかになっており,いまなお結核菌認識機構の理解は発展し続けている.
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最新医学 68巻11号, 2518-2523 (2013);
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宿主に結核菌を感染させると強い防御免疫が発現し,菌の増殖を抑えることができる.しかし防御免疫が発現しても,抵抗性の強い結核菌を体内から排除することは容易ではない.その結果として,結核菌の持続的な感染が過剰な免疫応答を誘発し,結核に特徴的な肉芽腫内部の空洞化や感染局所周辺の重篤な組織傷害を招く.したがって,結核に対する感染防御を効果的に発揮するためには,防御免疫の発現を適切に調節する機序が重要となる.そこで本稿では,結核に対する感染防御の発現および制御機序に関する最近の知見についてまとめる.
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最新医学 68巻11号, 2524-2529 (2013);
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結核菌は細胞内寄生性細菌であり,マクロファージに貪食されても,そのマクロファージ内で増殖することができる.結核菌はファゴソーム成熟やオートファジー誘導を阻害することによって,細胞内増殖能を獲得している.筆者らはイメージ解析によって,結核菌感染マクロファージの細胞内小胞輸送機構を解析した.その結果,殺菌分解の場であるファゴソームが,結核菌の増殖に適したニッチへと変化していることが明らかになった.
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難治性結核治療
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最新医学 68巻11号, 2530-2535 (2013);
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多剤耐性結核は,イソニアジド(INH)とリファンピシン(RFP)の両剤に耐性を示す結核と定義される.多剤耐性結核は感染したときの影響が大きく,通常の感受性結核よりも厳重な感染対策をとる必要がある.再感染を防ぐために入院時には陰圧個室に隔離すべきであり,そのために耐性遺伝子による迅速診断が有用である.多剤耐性結核では,有効性の証明された潜在性結核感染治療のレジメンは存在しない.
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最新医学 68巻11号, 2536-2545 (2013);
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現在世界では,臨床試験第Ⅲ相:4,第Ⅱ相:9,計13 の臨床開発プロジェクト,前臨床段階のプロジェクト:8,リード化合物・最適化プロジェクト:9,リード化合物の探索・同定プロジェクト:14,合計44 の新抗結核薬開発プロジェクトが進展中である.2000~2010 年は「新規抗結核薬の研究開発の時代」,2011 年以降は「次世代の短期併用化学療法のレジメン開発の時代」,これがこの分野の<歴史的現在>を理解する象徴的なキーワードである.
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【連 載】
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最新医学 68巻11号, 2546-2549 (2013);
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精神分析が一般的な精神科でのうつ病臨床に貢献できるポイントを,筆者なりにまとめた.精神分析はパーソナリティに注目し,人生のある意味必然的な過程として病気をとらえるが,うつ病患者が喪失を十分悲しめないこと,情緒的に自他別が曖昧になりやすいことを見いだした.反復傾向と難治傾向があり,内的変化への動機のある患者への分析的セラピーと,難しい治療関係の打開という2点で,精神分析はうつ病治療に役立つだろう.
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最新医学 68巻11号, 2550-2556 (2013);
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最新医学 68巻11号, 2557-2560 (2013);
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【トピックス】
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最新医学 68巻11号, 2561-2569 (2013);
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自己炎症症候群は全身性の炎症を来す症候群で,感染症や膠原病に類似しているが,病原体は検出されず,自己免疫反応にも乏しい.遺伝性周期熱症候群が代表で,遺伝子変異によりコードするタンパク質の異常で病気が生じる.獲得免疫が主体の自己免疫疾患と異なり,自然免疫が大きな役割を果たしていて,自然免疫が主体の疾患も広義に分類される.臨床の場では特に不明熱・周期熱の鑑別疾患として,自己炎症症候群は認知されてきた.
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最新医学 68巻11号, 2570-2574 (2013);
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EBV 関連T/NK リンパ増殖性疾患は,免疫学的に正常で基礎疾患のない小児・若年成人に,EBV が感染したT細胞もしくはNK 細胞が増殖・臓器浸潤し,多彩な症状を起こす疾患群である.近年行われた前向き調査により,本疾患の臨床像・病理像・ウイルス学的特徴が示された.今後,EBV 関連T/NK リンパ増殖性疾患の発症病理・臨床病態が明らかにされ,治療法が確立されることを期待する.
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【症 例】
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最新医学 68巻11号, 2575-2577 (2013);
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【今月の略語】
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最新医学 68巻11号, 2578-2582 (2013);
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