Volume 68,
Issue 12,
2013
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特集【血管新生阻害薬の展開】
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最新医学 68巻12号, 2591-2592 (2013);
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座談会
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最新医学 68巻12号, 2593-2602 (2013);
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基礎研究
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最新医学 68巻12号, 2603-2608 (2013);
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出生後に生じる血管形成は,主に既存の血管から新しい血管の分枝が生じて炎症や虚血領域に血管が発芽伸長する,いわゆる発芽的血管新生の過程によって誘導される.これまでこの血管新生の概念として,既存血管の内皮細胞が一様に増殖移動して新しい血管分岐が生じるとされてきたが,近年血管新生の間には,Tip 細胞,Stalk 細胞,Phalanx 細胞といった少なくとも異なる3種の内皮細胞が存在することが知られてきた.
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最新医学 68巻12号, 2609-2614 (2013);
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VEGF とその受容体Flt ファミリーは,生理的血管新生のみならず腫瘍血管などの病的血管新生に中心的役割を果たす.すでにこのシグナル系に対する阻害薬は臨床開発されてがんなどに広く用いられているが,さらに詳しい作用機構と薬剤抵抗性の分子機構を明らかにすることは今後の重要な課題である.
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最新医学 68巻12号, 2615-2620 (2013);
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新生血管では,周細胞の内皮細胞へのリクルートなど組織学的な安定性と内皮細胞自身の生存シグナルの増強・細胞骨格再編成による細胞間接着の安定化が,血管全体の安定化に繋がる.安定化のためのAng1-Tie2 系,スフィンゴシン1-リン酸系,流れの重要性とVE-カドヘリン依存性接着とその制御が,いかに内皮細胞の安定性を維持しているかを概説する.
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最新医学 68巻12号, 2621-2625 (2013);
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血管新生とは,既存の血管から新しい血管ネットワークが形成される現象であり,その調節は促進因子と抑制因子とのバランスが巧妙に保たれることでなされている.これまでに報告されてきた血管新生抑制因子は主に血管外の細胞・組織に由来するものであったが,最近,血管内皮細胞が血管新生に際して産生し,自らを制御するフィードバック調節因子が同定され,血管新生制御のメカニズムに関する理解が深まっている.
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最新医学 68巻12号, 2626-2631 (2013);
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がんの血管を標的とした血管新生阻害療法が開発されて以降,幾つかの血管新生阻害薬が臨床応用されており,多くの患者の予後の改善をもたらした.しかし当初の予測と異なり,本治療法にも副作用,薬剤抵抗性という問題があることが報告されている.近年,血管新生阻害薬の標的となる腫瘍血管内皮細胞は,正常血管内皮と比較しさまざまな点で異なることが分かってきた.腫瘍血管内皮細胞の特性の解明が,血管新生阻害療法の問題点克服ならびに新しい治療戦略構築に重要である.
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最新医学 68巻12号, 2632-2638 (2013);
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血管研究の歴史の中で,血管新生を可視化するさまざまなin vivo モデルが開発されてきた.マウス網膜血管はその可視化・定量性における優位性から,その利用が世界的に急速に広まりつつある.特に,網膜血管新生病モデルである虚血性網膜症は,がん血管新生と細胞・分子メカニズムにおいて共通点が多く,その簡便性から腫瘍血管新生の分子標的を効率よく抽出する有用なシステムであり,実際多くのブレークスルーを生み出している.
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トランスレーショナル研究
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最新医学 68巻12号, 2639-2646 (2013);
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腫瘍組織では脈管系の形成が未熟とされ,粒径が70nm~数百nm 前後であるナノ粒子は容易に血管外へ漏出し,組織内に長く貯留すると考えられている.これに基づいてナノ粒子を利用した薬剤送達法が近年注目され,特に腫瘍領域において開発が盛んである.本稿ではこのナノ粒子を用いる視点からの解析を通じ,血管新生阻害薬などの他剤と併用した薬剤送達効率の改善戦略に関する最新の知見について総括する.
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最新医学 68巻12号, 2647-2652 (2013);
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腫瘍血管の新生を妨げて腫瘍の増殖や転移を抑制し抗腫瘍効果を示す血管新生阻害薬は,臨床での有用性が多く報告されているが,バイオマーカー研究により患者の絞り込みが可能となれば,その治療効果がより明確にされると期待される.ベバシズマブの臨床試験ではshort VEGF–A,VEGFR–1,NRP–1 の値と治療効果の関連性が認められ,2012 年から初めての前向き臨床試験として,short VEGF–A 値で層別化を行うMERiDiAN 試験が実施されている.
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臨床研究
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最新医学 68巻12号, 2653-2658 (2013);
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消化器がんの多くは進展過程で血管新生を誘導し,腫瘍血管に富む.本邦における消化器がんに対する血管新生阻害薬は,大腸がんに対するベバシズマブとレゴラフェニブ,肝細胞がんに対するソラフェニブが保険収載されている.最近の大規模臨床試験で有効性が示された分子標的薬もあり,消化器がんに対する抗血管新生治療の新たな展開が期待される.一方,抗血管新生治療に伴う耐性や悪性形質獲得機構が示唆されており,検討すべき課題である.
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最新医学 68巻12号, 2659-2664 (2013);
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現在本邦においては,呼吸器悪性腫瘍に対する血管新生阻害薬として,扁平上皮がんを除く非小細胞肺がんに対し,抗VEGF 中和抗体であるベバシズマブが認可されている.一定の抗腫瘍効果の増強が得られる反面,致死的な喀血が出現する場合があり,使用に当たっては患者選択が必要である.今後は,呼吸器悪性腫瘍の血管新生の特徴を明らかにし,疾患特異的な血管新生阻害療法の開発が必要であると思われる.
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最新医学 68巻12号, 2665-2671 (2013);
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乳がんにおける血管新生の制御には,VEGF をはじめ,多くの調節因子が関与することが知られている.抗VEGF 中和抗体による治療は臨床導入され,VEGF 制御の臨床的意義,あるいは課題が少しずつ明らかにされている.治療の奏効機序や耐性機構に関する研究も着実に進んでいる.VEGF を標的とする治療法以外にも,VEGF受容体に対する抗体療法,キナーゼ阻害薬,その他の受容体を抑制する治療法の臨床的検討も行われている.最近の知見を中心に,乳がんに対する抗血管新生療法の意義について概説する.
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最新医学 68巻12号, 2672-2678 (2013);
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脳神経外科疾患の治療に関しては,血管新生を促進することが有利に働く場合と,血管新生を抑制することが有利に働く場合とがある.前者の代表的疾患がもやもや病であり,後者の代表的疾患がグリオーマである.両者について,関連する基礎研究,臨床研究を解説し,血管新生の促進・抑制がどのように治療にかかわっているかを考察する.両者に共通のキーワードがありながら,一方では善玉として,一方では悪玉として扱われる点は興味深いところである.
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最新医学 68巻12号, 2679-2686 (2013);
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糖尿病網膜症などの眼内新生血管疾患における分子機構の基礎研究から,中心的な役割を果たしている分子がVEGF であることが示された.その結果,糖尿病網膜症のみならず,加齢黄斑変性,網膜静脈閉塞症などの網脈絡膜血管疾患における新生血管や血管透過性亢進を制御する目的で,抗VEGF 療法の臨床導入へと繋がった.
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【連 載】
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最新医学 68巻12号, 2688-2691 (2013);
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日本の気分障害の女性患者数は,平成8年以降一貫して男性の約1.5 倍前後であり,精神疾患が地域医療の重点疾患となった平成25 年は女性医療元年と位置づけられる.女性のうつ病に取り組むには,性ホルモンを中心とした生物学的性差(sexuality),心理社会的性差(gender),両者を人生の時間軸に乗せたライフサイクルへの理解が欠かせない.「弱り目に祟り目」という観点から,月経前不快気分障害,産後うつ病,閉経周辺期うつ病を描いた.
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最新医学 68巻12号, 2692-2698 (2013);
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最新医学 68巻12号, 2699-2703 (2013);
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【トピックス】
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最新医学 68巻12号, 2704-2710 (2013);
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ペルツズマブは,トラスツズマブとは異なる部位のHER2 の細胞外ドメインを標的としたヒト化モノクローナル抗体であり,CLEOPATRA 試験の結果を受け,本邦でも2013 年6月にHER2 陽性進行再発乳がんを対象として承認された.ペルツズマブはトラスツズマブとの併用による高い治療効果とおおむね良好な忍容性が示されており,現在進行中の臨床試験結果に加え,分子標的薬のみの併用療法など新たな治療開発への期待も高い.
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最新医学 68巻12号, 2711-2716 (2013);
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COPD は,全身性炎症を伴い,全身併存症を伴うことから,全身性疾患としてとらえられるようになった.近年の大規模臨床研究から,COPD の併存症の種類と頻度,およびそれらがCOPD の経過に与える影響が明らかになりつつある.COPD診療においては,併存する疾患に対する包括的な診療アプローチが必要であろう.
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【今月の略語】
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最新医学 68巻12号, 2717-2723 (2013);
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