最新医学
Volume 69, Issue 10, 2014
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特集【骨粗鬆症-新たな骨粗鬆症治療薬と治療ストラテジー-】
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- 【座談会】
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- 【骨粗鬆症治療薬】
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ビスホスホネート治療の進歩と今後の展開
69巻10号(2014);View Description Hide Descriptionビスホスホネート製剤はあらゆる骨粗鬆症のあらゆる骨折種に対する抑制効果が臨床試験によって確認されている唯一の薬剤であり,疫学的にも大腿骨近位部骨折の発生率減少に貢献したことが示されている.さらに,骨折抑制効果のみでは説明できない生命予後改善効果も確認されている.一方で,顎骨壊死や非定型大腿骨骨折などのまれであるものの重篤な副作用との関連も指摘されており,投与期間や治療目標の設定が待たれる. -
選択的エストロゲン受容体モジュレーター 治療の進歩と今後の展開
69巻10号(2014);View Description Hide Description選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)製剤はその組織特異性により複数の効果があり,骨粗鬆症と乳がんの予防・治療に適応がある.ラロキシフェン(RLX)は,我が国の特定調査成績で安全性とともに骨粗鬆症患者に対するQOL の改善が実臨床で初めて確認された.さらに新世代のバゼドキシフェン(BZA)は,55歳という若い年代であってもRLX よりも費用対効果に優れていることが欧州から報告されている.また,米国で最近使用可能となった結合型エストロゲン(CE)とBZA の合剤の骨密度増加率は,SERM 単独よりも有意に大きかったという. -
活性型ビタミンD3 とその誘導体
69巻10号(2014);View Description Hide DescriptionビタミンDは腸管カルシウム吸収,骨石灰化の維持に必須であり,その不足は骨粗鬆症のリスクとなる.天然型ビタミンDを処方できない我が国では活性型が代替的に汎用されてきたが,単独での骨折抑制効果は弱く,むしろ併用薬としての有用性が高い.新規誘導体エルデカルシトールはビタミンD作用に加えて骨吸収抑制,骨密度増加効果を有し,活性型ビタミンD3 より優れた椎体骨折抑制効果が示されている. -
抗 RANKL モノクローナル抗体 デノスマブによる治療と課題
69巻10号(2014);View Description Hide Description破骨細胞分化に必須のreceptor activator of NF–kB ligand(RANKL)を標的とした抗RANKL モノクローナル抗体デノスマブは,骨粗鬆症に対する複数の大規模臨床試験において,高い骨密度増加作用と骨折予防効果を持つことが示されている.一方,低カルシウム血症や顎骨壊死などが報告されており,これらの発症機序の解明,予防が今後の課題となる. -
骨形成促進薬テリパラチドによる治療と課題
69巻10号(2014);View Description Hide Description骨粗鬆症は,骨折を来し,ADL,QOL を低下させる重篤な疾患である.テリパラチド[parathyroid hormone(PTH)1–34 peptide]は骨形成促進作用を有し,骨密度増加と骨折予防効果の高い新規の薬剤である.骨粗鬆症を基盤とする骨折の防止には,骨折リスクの高い方への治療が効率的である.すなわち,大腿骨近位部骨折あるいは脊椎骨折を来した方にその次の骨折を予防すること(骨折連鎖を断つ)であり,その観点でPTH は有力な薬剤である. -
新規の骨粗鬆症治療薬と今後の展望
69巻10号(2014);View Description Hide Description骨粗鬆症の治療には,骨吸収を抑制するか骨形成を促進するという2つの道がある.骨代謝調節機構の解明が分子レベルまで到達したことに伴い,特異的な分子標的薬の開発が進められている.従来の骨吸収抑制薬に加えて,骨コラーゲンの分解酵素であるカテプシンKを阻害する薬剤の臨床応用が期待されている.また,骨形成促進作用を持つ薬剤として,スクレロスチンに対する中和抗体が開発されている.すでに第Ⅲ相臨床試験に進んでいる抗体製剤もあり,今後の展開が期待されている. - 【治療ストラテジー】
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骨粗鬆症の診断基準,薬物治療開始基準,そして治療標的
69巻10号(2014);View Description Hide Description骨粗鬆症の診断基準と薬物治療開始基準は,骨折リスクの評価を念頭に整備されてきた.骨密度のカットオフ値は変わらないが,骨折リスクとしての脆弱性骨折の意義が部位別に評価し直されたことが重要である.一方,治療標的の設定については世界的にも議論が盛んである.この場合の臨床的指標として,大腿骨近位部の骨密度の位置づけが高い.一方,末梢骨の骨密度測定値も汎用されている我が国の現状に合わせた議論も必要である. -
骨粗鬆症診療における骨代謝マーカーの適正使用の考え方
69巻10号(2014);View Description Hide Description骨粗鬆症を治療するうえで,骨代謝状態を把握することは非常に重要である.しかし,そのゴールドスタンダードである骨生検は侵襲性が高く,日常診療の中で実施することは現実的ではない.そこで,骨代謝マーカーの測定が推奨されている.骨代謝マーカーの測定により,その時点での骨代謝状態を正確,かつ簡便に把握することができる.骨代謝マーカーは骨粗鬆症治療薬の選択やその効果判定を行う際に有用であり,このほど『骨粗鬆症診療における骨代謝マーカーの適正使用ガイドライン(2012年版)』も発表された.ここでは現在保険収載されている8種類の骨代謝マーカーについて,その適正使用の考え方につき概説する. -
骨粗鬆症における新規バイオマーカーの開発と展望 ― 先制医療の実践に向けて―
69巻10号(2014);View Description Hide Descriptionバイオマーカーは,生物学的・病理学的反応過程を科学的に反映し,治療的介入に対する薬理反応として客観的に測定・評価された分子に適合する分子として,今後は診断,個別化医療,創薬の分野で大いに期待されている.多因子疾患の1つである骨粗鬆症においても,今後種々のオミクス技術を活用しさらなる研究開発が進めば,新たな治療薬開発やコンパニオン診断の確立などにもつながるかもしれない. -
骨粗鬆症薬物治療の継続・休薬・変更の考え方
69巻10号(2014);View Description Hide Descriptionビスホスホネートは第1選択薬として使用されている.ビスホスホネートで治療を受けている患者において,治療を中止しても効果が持続することや長期使用で見られる有害事象の報告から,休薬について議論されている.最近,治療目標(骨密度やFRAX など)を設定することにより効率良く骨折を抑制することができることや,治療目標が達成された患者では休薬を選択することにより有害事象の発生を抑制することができるとするGoal–Directed Treatment という概念が提案されている.本稿では,この概念を考慮に入れた薬物治療の継続・休薬・変更について概説する. -
併用療法の現状と今後の展開
69巻10号(2014);View Description Hide Description骨粗鬆症の治療法の進歩に伴い,強力に骨折を抑制する幾つかの薬物が臨床応用されている.にもかかわらず,これらのみで治療のゴールへ到達するのはいまだに困難である場合が多い.併用療法はそのような重症例に対し有用となっていくであろう.特に骨吸収抑制薬と骨形成促進薬の併用は有望である. -
ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドラインの改訂版をめぐって
69巻10号(2014);View Description Hide Description10年ぶりに改定されたステロイド性骨粗鬆症(GIO)の管理と治療ガイドラインは,国内のGIO のコホートの解析により独自の骨折危険因子を抽出して,初めてスコア法を薬物療法開始の基準判定に導入した.すなわち,1,047 例の解析により得られた骨折予測因子である既存骨折,年齢,ステロイド投与量(mg/日),腰椎骨密度をカテゴリー化してスコアを与え,症例ごとの骨折リスクを総スコアで評価する.スコア3以上であれば薬物療法の適応とした.薬物療法の推奨については,骨密度減少と骨折の抑制効果があり,かつ一次予防と二次予防の両者において有効性が確認されているアレンドロネートとリセドロネートが第1選択薬として推奨された. -
生活習慣病関連骨粗鬆症の管理と薬物治療の考え方
69巻10号(2014);View Description Hide Description生活習慣病の中で骨折リスク上昇のエビデンスが豊富なのは,2型糖尿病と慢性腎臓病(CKD)であり,骨質劣化の関与が大きい.これらの疾患においても原発性骨粗鬆症と同じく,X線で椎体骨折,問診で大腿骨近位部骨折の既往を評価することが重要である.いずれかが存在し,年齢が50 歳以上であれば薬物治療を開始する.骨折がない場合,2型糖尿病あるいはCKD の存在を,骨量減少閾の骨密度での薬物治療開始の基準とすることを提案したい.
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【連 載】
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現代社会とうつ病(41) 新しいうつ病治療―薬物療法―
69巻10号(2014);View Description Hide Description1957年にイミプラミンに抗うつ作用が発見されて以降,多くの抗うつ薬がモノアミン病態仮説に基づき開発され,うつ病の薬物療法は目覚ましい発展を遂げた.一方で,薬物療法抵抗性うつ病など,薬物療法の限界にも関心が高まっている.これらを背景として近年,異なる薬理作用を有する抗うつ薬の開発が模索されている.特に,ケタミンなどのNMDA 受容体拮抗薬や,うつ病の炎症仮説に基づく新規薬剤の可能性について概括した. -
トップランナーに聞く(46) 絶食/摂食応答シグナルとその障害の分子機構の解明 ―糖尿病に対する創薬の新しい分子標的の同定を目指して―
69巻10号(2014);View Description Hide Description -
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【トピックス】
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高分子ナノテクノロジーを利用したナノメディシンの開発
69巻10号(2014);View Description Hide Description合成高分子材料をプラットフォームとして,薬剤や機能性分子を創り込むことにより構築されるナノメディシンは,効果に優れ,副作用の少ない理想的な薬剤を合理的に設計するための極めて有効なアプローチである.本稿では,国内外で臨床試験が進められている高分子ミセル型ナノメディシンの開発現状と,高分子ナノテクノロジーを利用したナノメディシンの将来展望について概説する.
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【症 例】
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【今月の略語】
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