癌と化学療法
Volume 37, Issue 2, 2010
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総説
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血清中のDNA のメチル化を用いた肺癌化学療法感受性予測
37巻2号(2010);View Description Hide Description原発性肺癌の進行例では,病理組織標本が得られる機会が少なく,これまで化学療法感受性の検討は困難であった。これは進行肺癌では手術的に原発巣が切除されることがまれで,内視鏡的に得られる標本の量も極めて少ない場合が多いからである。血液中に進行癌から癌由来のDNAが流出してくることは以前から知られており,様々な解析が行われてきたが,DNA メチル化の検出により肺癌化学療法感受性の検討が最近報告された。われわれも同様の検討を行ったので,その内容について触れてみたい。
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特集
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- 転移性腫瘍の診断・治療指針
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転移性肝癌の診断と治療
37巻2号(2010);View Description Hide Description本稿では,近年治療・診断技術の発展が最も著しい大腸癌肝転移に焦点を当て,転移性肝癌の診断と治療について解説したい。大腸癌症例では,その約35〜60%が肝転移を併発することが知られており,以前は全身疾患の一症状としてとらえられ治療不可能な疾患とされてきた。しかし,FOLFOX やFOLFIRIレジメンおよび肝切除技術の発展により治癒切除可能な症例がでてきた。さらに,近年では術前化学補助療法や新規分子標的治療薬を加えることで治癒切除適応症例が増え,生存率の上昇に寄与している。大腸癌をモデルに他腫瘍の転移性肝癌についても分子生物学的解明が進み,適切な治療法が確立されその治療成績が向上することを期待したい。 -
転移性肺腫瘍の治療戦略
37巻2号(2010);View Description Hide Description固形がんの肺転移は血行性の遠隔転移で,予後不良である。そのため,局所治療である肺転移巣切除の適応は議論のあるところである。しかし例外的に,原発臓器から遊離した癌細胞が,全身に撒布する前に肺にのみとどまっている場合がある。この状況においては,手術で治癒をもたらす可能性がある。転移個数は少ないほどDFIは短く,リンパ節転移がないものは予後はよいとされるが,どの程度までを手術適応とするのかの明確な基準はない。また原発臓器によって手術の適応も異なる。術式に関しては,転移を含んだ肺部分切除(楔状切除)が広く行われている。開胸方法では,VATSは転移性肺腫瘍に対して世界的に幅広く用いられている。しかし触診が開胸に比し十分に行えないため,高解像度CT を用いても転移巣を見逃すことにつながるといった議論もあるが,予後を検証するVATSと開胸との比較試験は存在しない。また,大腸癌におけるFOLFOXに代表されるような化学療法の進歩が著しく,各癌腫の治療成績が向上しており,さらにRFAに代表される新しい局所治療などの進歩もある。化学療法をいつどのように組み合わせて手術を行うかなど,転移性肺腫瘍に対する治療は非常に複雑になってきている。原発巣を管理している診療科との緊密な協調が不可欠である。 -
転移性脳腫瘍の診断と治療
37巻2号(2010);View Description Hide Description転移性脳腫瘍は,がん患者のQOL と生存期間を決定する病態として,質的にも量的にもますます重要な臨床課題になっている。患者のKPS,年齢,原発腫瘍の病理学的診断,転移腫瘍の個数,全身のがんの活動状況,それまでの治療経緯などの条件によって,治療ケアの適応が判断されている。多くの患者は,摘出術,定位的放射線治療,全脳照射を用いて治療を受ける。臨床の現場では,摘出術または定位的放射線治療に全脳照射をいつ加えるか,RCTの結果からは全脳照射併用が有利なのであるが多くの議論がある。また,摘出術または全脳照射に定位的照射をブーストとして加えるか,そのタイミングについても結論はない。多様な腫瘍組織,治療背景,全身状態を背景とする患者に,一つの標準治療を提供することは不可能である。本稿では最新の診断技術を紹介し,治療に関する信頼性の高いエビデンスと,将来の方向性を提示して,個々の患者に向き合う臨床現場における適応判断の一助としたい。 -
骨転移に対する診断と治療—Cancer Boardによる集学的チーム医療について—
37巻2号(2010);View Description Hide Description癌治療が進歩し延命が得られるようになった結果,QOL(quality of life)確保のために骨転移巣のコントロールが不可欠となってきた。四肢荷重骨においては骨折や骨折リスクの予防と支持性確保が,また脊椎においては脊髄麻痺の予防や治療が重要である。種々の画像診断,血液所見,生検によりできるだけ早期に効率的に診断し骨折麻痺リスクを評価して適切な治療を行い骨折や麻痺を予防することが必要である。それには整形外科を中心にチーム(Cancer Board)を組織し,効率的にかつ集学的な診断治療システムを構築することが有用である。 -
皮膚転移
37巻2号(2010);View Description Hide Description皮膚転移は臨床像,病理組織学的所見ともに多彩である。皮膚生検の結果,皮疹が皮膚転移と診断し得たならば,原発臓器の特定,病期の進行の程度を速やかに検索し把握した上で,可能な限り早く治療を開始する。さらに,内臓悪性腫瘍の既往歴,免疫組織化学所見,画像診断の結果を加味し,原発腫瘍の種類を推察する。原発臓器を確定できた場合は,原発腫瘍の専門科に精査,治療を依頼する。検索にもかかわらず原発巣が不明の場合は,皮膚科を含む関係専門科合同での診断,治療の検討が必要である。
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Current Organ Topics:婦人科がん ワクチンによる子宮頸癌の予防戦略
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原著
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喉頭癌に対するS-1,Nedaplatin/放射線同時併用療法の効果
37巻2号(2010);View Description Hide Description喉頭癌は頭頸部癌のなかでも頻度が高く,治療成績の報告も多数存在し,治療方法,成績に関してもある程度一定している。しかし,化学放射線同時併用療法が広く行われるようになり,T2〜4症例の喉頭温存率には施設間差が存在している。当科では臓器および機能温存の観点から進行癌に対し,化学放射線同時併用療法を行っている。今回われわれは,2005 年 4 月〜2008 年12 月までに当科でS-1,nedaplatin/放射線同時併用療法(以下SN 療法)を行った喉頭癌20 例について検討したので報告する。結果としてT4 症例を除くSN 療法のcomplete response(以下CR)率は82.4%であった。手術拒否のためT4 でSN 療法を行った3 例中2 例はCR となっており,SN 療法全体のCR 率は80.0%であった。SN 療法後の喉頭温存率は94.1%であった。 -
限局型小細胞肺癌化学療法中の骨髄抑制は予後因子か
37巻2号(2010);View Description Hide Description限局型小細胞肺癌において化学療法中の骨髄抑制が予後因子であるか検討した。1995 年11 月〜2007 年12 月の間にプラチナ製剤(cisplatinかcarboplatin)とetoposideかirinotecan併用療法を行った限局型小細胞肺癌患者76人を対象とし,後ろ向きに検討した。治療期間中の好中球減少,貧血,血小板減少の最低値がgrade 0〜2 の群とgrade 3〜4 の群に分け,生存期間,無増悪期間について検討した。単変量解析では,貧血あるいは血小板減少がgrade 0〜2 群のほうがgrade 3〜4 群よりも生存期間が有意に延長した。好中球減少は予後と関連しなかった。他に治療前のperformance status,neuron-specific enolase(NSE),pro-gastrin-releasing proteinが予後因子であった。多変量解析ではNSE のみが独立した予後因子で,化学療法中の骨髄抑制は予後因子ではなかった。プラチナ製剤を含む2 剤併用化学療法は抗悪性腫瘍薬の投与量が適切であると考えられた。 -
非治癒切除StageIV胃癌に対するS-1/Cisplatin 24時間点滴静注併用療法の検討
37巻2号(2010);View Description Hide Description当院にて2002 年12 月〜2008 年5 月までに胃原発巣を切除された非治癒切除stageIV胃癌15 症例を対象にして,手術後にS-1/cisplatin(CDDP)24 時間点滴静注併用療法を行い,有害事象と転帰について解析した。有害事象はCTCAE v3.0 に準じて評価し,生存率はKaplan-Meier 法にて算出した。最も高頻度にみられた副作用は食欲不振(grade 3: 33%)だったが,1 コース目の本療法施行中にgrade 4 の易疲労感が出現し,化学療法を中止した症例が1 例にみられた。化学療法開始後2 年以上生存したのは5 例(33%)で,15 例の生存期間中央値は31 か月だった。S-1内服にCDDP 24 時間点滴静注を併用した手術後化学療法は,非治癒切除stageIV胃癌症例の予後を改善する可能性が示唆された。 -
S-1投与からみた胃癌術後化学療法の問題点
37巻2号(2010);View Description Hide DescriptionACTS-GC の結果を受けて,T1を除いたStageII/III胃癌に対する胃癌術後補助化学療法はS-1 の1 年間投与が標準となっている。服薬率,有害事象,コンプライアンスなどからS-1 による補助化学療法の問題点を検証した。2006 年7 月〜2008 年12 月の期間に手術を行ったStageII/III胃癌症例は41 例で,S-1 の服用を開始できたのは28 例(68.3%)であった。1年間S-1完遂可能であったのは14 例(63.6%),そのうち7 例(31.8%)は減量あるいは投与スケジュールの変更が必要とされた。grade 3 以上の有害事象は認められなかったが,食欲不振,倦怠感,下痢,高度の皮膚障害,骨髄抑制による白血球減少などによって中止,減量,投与スケジュール変更となっていた。S-1を内服しなかったのは13 例で,2 例(4.9%)がUFT を選択,11例(26.8%)が年齢,併存症,その他の理由で無治療経過観察となった。今後の課題として服薬率およびコンプライアンスの向上,投与継続困難例やS-1 投与不適格例に対する治療計画の確立などがあげられる。 -
当院における胃癌のBest Supportive Careの成績
37巻2号(2010);View Description Hide Description胃癌のbest supportive care(BSC)に関する報告は少なく,また過去に報告がなされた1990 年代半ばと現在とでは在宅医療に関する支援体制も異なっているため,BSC の実施内容も変化してきていると思われる。今回,訪問看護ステーションと連携しつつ当院で経験した胃癌患者のBSC 症例を検討した。2005 年3 月〜2009 年4 月までの間に当院で加療した胃癌BSC 患者17 例を対象とし,年齢,性別,performance status(PS),BSC 時の主病巣を背景因子として,全体およびBSC 期間中に施行した栄養支持療法別の生存率,および在宅医療の有無とその内容を検討した。栄養支持療法は,経口摂取が可能で他病死した1 例を除いて末梢輸液のみを施行した7 例(末梢群)と中心静脈栄養などの積極的な栄養療法を施行した9 例(積極群)とに分類した。年齢およびPS の平均はそれぞれ76 歳および2.9 で,75 歳以上が12 例(71%),PS 3 以上が10 例(59%)を占めた。全体のmedian survival time(MST)は175 日で過去の報告でのMSTに比べて長く,また積極群のMST(190日)は末梢群のMST(77 日)に比べて有意(p<0.04)に延長していた。積極群の9 例中8 例(89%)で訪問診療・訪問看護を導入していた。他病死例を除く16 例中14 例(88%)でBSC 期間の全部または一部を在宅で実施しており,そのうち10 例で訪問診療・訪問看護を導入し,7 例(70%)が在宅で最期を迎えていた。訪問診療・訪問看護の導入により積極的栄養療法とBSC の在宅での実施が可能になり,胃癌BSC 患者の生存期間を延長することが示唆された。 -
高度進行胃癌に対するAdjuvant Surgeryの有用性に関する検討
37巻2号(2010);View Description Hide Description目的: StageIV胃癌で化学療法により奏効が得られた症例に対し肉眼的根治切除をめざして行う手術(adjuvant surgery)の有用性について検討する。対象と方法: 2003 年9 月〜2008 年12 月までの間で初診時に根治切除不能と診断された高度進行胃癌症例のうち,docetaxelとS-1併用療法を施行した後に肉眼的根治切除が可能と判断され,手術を行った20 例を対象とした。男性14 例,女性6例,平均年齢は58.8 歳であった。docetaxelは40 mg/m2,day 1 に投与し,S-1 は80 mg/m2をday 1〜14 に投与,3 週を1 コースとした。結果:術前に施行した化学療法は平均で4.4 コースで効果は20 例中PR 17例,SD 3 例であった。全症例の生存期間中央値は855日であった。肉眼的根治切除が行えた症例では2 年生存率80%,3 年生存率54.9%と良好であった。切除不能因子別検討では肝転移が切除不能因子の場合,生存期間中央値は865 日と良好であったのに対し,腹膜播種の場合は510 日と比較的不良であった。結語:肝転移やリンパ節転移により切除不能と診断されても化学療法により肉眼的根治切除が可能となれば,その時点で手術(adjuvant surgery)を行うことでさらなる予後の延長が期待できる可能性があると考えられる。 -
腸管GVHD 患者に対する経口ベクロメタゾン投与時の血中濃度に関する検討
37巻2号(2010);View Description Hide Description腸管GVHD に対してベクロメタゾン(BDP)を経口投与した患者を対象として,BDP およびその代謝物の血中濃度を高速液体クロマトグラフィを用いてLC-MS/MS で測定し,経口BDP の消化管からの吸収について検討した。全対象症例5 例よりBDP の主要活性代謝物である17BMP が検出された。5 例中4 例における17BMP の血中濃度は618〜1,749 pg/mLであり,吸入剤を投与した時と同程度あるいはそれ以下であった。1例は17BMPの血中濃度が2,439±161 pg/mL を示し,吸入剤投与時以上に血中濃度が上昇した。本症例における17BMP の血中濃度は,健常人にBDP 4 mg を単回経口投与した際の最高血中濃度と比較して高値を示したことから,GVHD 患者では健常人よりも血中濃度が上昇する症例が存在することが示唆された。腸管GVHD のstageが高い症例に17BMPの血中濃度が高値である症例が認められたことから,腸管粘膜障害とBDP 吸収の亢進との関連が示唆された。以上の成績から,腸管GVHD に対する経口BDP 投与は,必ずしも全身的副作用が無視できるものではない点に留意すべきと考えられた。 -
脂溶性白金錯体SM-11355(ミリプラチン水和物)による肝動脈化学塞栓療法—塞栓材併用時の安全性と有効性について—
37巻2号(2010);View Description Hide DescriptionSM-11355 はcisplatin の誘導体であり,ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステルへの親和性が高く,これまでに実施した臨床試験で肝細胞癌の治療に用いる薬剤としての有用性が示唆されている。一般に肝動脈化学塞栓療法では塞栓物質を併用する方法が選択されているが,これまでに実施したSM-11355の臨床試験では塞栓物質の併用経験がない。そこで今回,10 名の肝細胞癌患者を対象に,塞栓物質を併用した際の安全性および有効性について検討した。抗腫瘍効果は9 名中4 名でTE 4 が得られ,重篤な有害事象は認められず,肝細胞癌の治療を行う上で大きな問題は認められなかった。 -
Tamoxifen,Toremifene治療を受けた乳癌症例に生じた子宮体癌の臨床病理学的特徴
37巻2号(2010);View Description Hide Description目的: 近年の乳癌,子宮体癌の増加に伴い,乳癌後に子宮体癌を続発する例も増加している。乳癌と子宮体癌の一部の発生にはエストロゲンが関与し,抗エストロゲン剤であるtamoxifen(TAM)は乳癌の再発を減らす一方で子宮体癌を増加させることが知られているが,近年ではTAM 服用後に生じる子宮体癌は予後不良な高悪性度腫瘍が多いとする報告がある。そこでTAMまたはtoremifene(TOR)の使用が乳癌後に続発する子宮体癌に及ぼす臨床病理学的影響を明らかにすることを目的とした。方法: 2000 年1 月〜2008年12 月までに当科で診断された子宮体癌(異型内膜増殖症を除く)を対象とした。このうち乳癌後に続発した子宮体癌例について後方視的に検討した。成績:子宮体癌194 例中,乳癌後に診断されたのは18 例(9.3%)であった。年齢は53〜80(平均66)歳で,乳癌から子宮体癌診断までの期間は1.5〜32(中央値10)年であった。高悪性度腫瘍(漿液性腺癌,明細胞癌,癌肉腫,小細胞癌)を生じたのは9 例で,残りの9 例は類内膜腫瘍を生じた。高悪性度腫瘍では類内膜腫瘍に比べ有意に子宮外病変が多く(89% vs 11%),予後も不良であった(5 年疾患特異的生存率0% vs 88%,p<0.01)。乳癌後にTAMおよび/またはTOR を服用したのは16 例中10 例(63%)で,高悪性度腫瘍はTAM/TOR 服用10 例中6 例,非服用6 例中1 例に生じた(p=0.15)。TAM/TOR 服用例と非服用例の3 年生存率はそれぞれ62,53%で有意差はみられなかった(p=0.84)。TAM のみの服用例では乳癌から子宮体癌診断までの期間は10〜16 年であったが,TOR のみの服用例では5〜6 年と短かった(p=0.02)。結論: われわれの少数例の検討では乳癌後のTAM/TOR の服用は続発した子宮体癌の悪性度,予後に明らかな影響を及ぼさなかったが,今後も多数例の長期的観察が必要である。また,TORはTAMに比べ早期に子宮体癌を引き起こす可能性が示唆された。 -
がん疼痛コントロールのための標準プロトコール作成とその臨床評価
37巻2号(2010);View Description Hide Description適正なオピオイドによるがん疼痛緩和治療を推進させることを目的として,われわれはがん疼痛コントロールとオピオイド処方に関するポケットサイズのプロトコールを名古屋大学医学部附属病院の医療従事者に配布した。このプロトコールの有効性を評価するために,配布後に適切なレスキューオピオイドおよび予防的制吐剤の処方およびオピオイドの増量の実施率が配布前に比べて増加するかを調査した。レスキューオピオイド,制吐剤の処方実施率およびオピオイドの増量の実施率は配布後,有意に増加した。さらに,制吐剤の予防内服により悪心・嘔吐の頻度が減少した。これらの結果より,このプロトコールはオピオイドによる適正ながん疼痛緩和治療に寄与していることが示唆された。 -
保冷剤を用いた冷却法による酢酸ゴセレリン投与時の疼痛緩和の検討
37巻2号(2010);View Description Hide Description保冷剤を用いた局所冷却法による太針径LH-RH agonist 投与時の疼痛緩和効果を検討した。酢酸ゴセレリンの投与を受けている閉経前乳癌術後患者18 例を対象に, 1.無処置で酢酸ゴセレリンを投与する方法と, 2.保冷剤を用いて投与部位を冷却後に投与する方法の疼痛に関してアンケートを実施した。疼痛評価はNumerical Rating Scale(NRS)を用い,0〜10で評価した。酢酸ゴセレリン投与時疼痛は, 1.NRS 3.83±2.79, 2.1.39±1.29 で,冷却法にて疼痛は有意に軽減された(p<0.005)。また,疼痛軽減のための改善策が必要であるとの意見は, 1.66.6%, 2.0%であった。冷却法は簡便であり,酢酸ゴセレリンの投与時の疼痛緩和に活用できると思われた。
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症例
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S-1/Radiation併用療法によってCR が得られたGefitinib抵抗性の非小細胞肺癌術後再発の1 例
37巻2号(2010);View Description Hide Description症例は35 歳,女性。肺腺癌c-T2N2M0に対して術前CDDP+DOC を3 コース施行。NCの効果判定で左肺下葉切除術およびND2a 系統的縦隔リンパ節郭清術を施行した。p-T2N2M0 であった。術後療法としてgefitinib を投与。2 か月間の内服後の評価で気管分岐下リンパ節の腫脹とSLX の上昇を認めたため,gefitinib の投与を中止した。術後4 か月より縦隔へ放射線を総量50 Gy 照射した。術後5 か月よりS-1 化学療法を施行した。S-1 は100 mg/day で1 日二分割投与,4 週投与2 週休薬とした。S-1 の増量は行わず,6 コースの化学療法を施行した。縦隔リンパ節腫脹は消失,SLX も正常化し,complete response(CR)となった。その後UFT 内服にて外来経過観察中であり術後36 か月以上経過するが,現在のところ再発の徴候はない。 -
化学放射線療法(CRT),S-1+CDDP 投与にてCR が得られた切除不能進行食道癌の1 例
37巻2号(2010);View Description Hide Description症例は37 歳,女性。2004 年8 月より前胸部不快感を主訴とした気管浸潤と食道傍リンパ節転移を伴う切除不能の進行胸部上部食道癌(T4N1M0,Stage IVa)に対して,化学放射線療法(CRT: CDDP 40 mg/m2,5-FU 400 mg/m2,30 Gy)を施行。食道,リンパ節病変の縮小を認め手術を考慮したが,患者の希望からCRT を継続し,さらにCDDP+5-FU 2コース(計3 コース),放射線30 Gy(計60 Gy)を追加したところ,CT,内視鏡検査にてCR が得られた。その後外来にてCDDP 10 mg/m2/週投与で計10 週間投与したところ,腎機能障害が出現し中止となる。2005 年9 月よりS-1(100 mg/body/day)投与を開始し,2009 年3 月現在,CT,内視鏡検査で再発,転移所見は認めておらず,外来で治療継続中である。 -
食道胃接合部癌術後肺転移に対しPaclitaxelを投与し著明な膿胸を形成しながらもCR が得られた1例
37巻2号(2010);View Description Hide Description症例は57 歳,男性。食道胃接合部癌にて左開胸開腹胃全摘術,下部食道切除術,膵体尾部・脾臓摘出術,傍大動脈リンパ節郭清術を施行した。術後,S-1 内服による補助化学療法を施行した。術後1 年経過時の胸部造影CT にて右肺中葉に転移巣を認めたため,paclitaxel(PTX)による化学療法を施行した。化学療法開始約2 週間後に発熱と呼吸困難を訴え当院救急外来を受診した。胸部造影CT にて右膿胸と縦隔膿瘍を認め,胸腔ドレナージおよび縦隔ドレナージを施行した。1 か月のドレナージにて膿胸と縦隔膿瘍は改善し,退院時のCT では化学療法前に指摘されていた右肺中葉の転移巣は消失,画像上CR と判定された。以後化学療法は行わず経過観察中であるが,右肺転移巣は1 年間画像上CR を継続している。自験例は,PTXによる腫瘍の縮小に伴う腫瘍および周囲肺組織の壊死により膿胸が形成されたと考えられた。 -
Docetaxel,CDDP,5-FU併用療法により組織学的CR を得た胃扁平上皮癌の1 例
37巻2号(2010);View Description Hide Description患者は68 歳,男性。下血を主訴に当院に入院した。胃内視鏡にて胃体中部大弯側に巨大な2 型腫瘍および胃体上部後壁の粘膜下腫瘍様隆起を認め,いずれも生検にて扁平上皮癌の診断であった。CT では胃体中部大弯の壁肥厚およびNo.3,No.4d リンパ節が約5 cm 大に腫大し横隔膜,横行結腸間膜への浸潤も疑われた。根治手術は困難と判断し,docetaxel,CDDP,5-FU併用療法(DCF 療法)を3 コース施行した。原発巣,リンパ節とも著明に縮小しPR と判定した。患者と相談の上,胃全摘,脾摘,胆嚢摘出術,D2 郭清を施行した。病理組織検査では原発巣,リンパ節とも癌細胞の残存はなく組織学的効果はGrade 3 であった。胃扁平上皮癌はまれでありその治療法は確立していないが,DCF 療法は有用な化学療法と考えられた。 -
化学療法中に静脈血栓塞栓症を合併しWarfarinの併用療法が有効であった4 型胃癌の1 例
37巻2号(2010);View Description Hide Description症例は49 歳,女性。腹膜播種を伴う4 型胃癌に対してweekly paclitaxel(PTX 80 mg/m2)単独療法を2 コース施行。その後S-1(80 mg/m2)療法(4 週投与,2 週休薬)に変更。経過中に深部静脈血栓(DVT)と肺塞栓症(PE)を併発したため,heparinとwarfarinを投与した。静脈血栓塞栓症(VTE)消失後,定期的な凝固系のモニタリングをしながらS-1 とwarfarinの併用療法を継続し,1 年経過した現在も全身状態良好である。S-1,warfarinの併用療法はVTE を併発した4 型胃癌に対する今後有効な治療選択の一つとなり得る可能性が示された。 -
S-1の3週間投与にてpCR が得られた進行胃癌の1 例
37巻2号(2010);View Description Hide Description症例は67 歳,男性。食欲不振を主訴に受診した。精査の結果,MLU領域の4 型胃癌,cT3N1H0P0M0,stageIIIAと診断した。術前にS-1を投与したが,食事摂取が困難となったため3 週間で中止した。上部消化管検査では胃壁の硬化は軽度軽減していた。胃全摘術ならびにD2 郭清を行い,病理組織検査にて原発巣,リンパ節ともに癌細胞の遺残なく化学療法の効果判定はGrade3 と判定した。S-1単独の化学療法にてpCR が得られた症例はまれであり報告する。 -
早期胃低分化型神経内分泌細胞癌の1 例
37巻2号(2010);View Description Hide Description症例は45 歳,男性。健診で貧血を指摘され,当院内科を受診。上部消化管内視鏡検査にて胃角部前壁にIIa+IIc 型の腫瘍を指摘された。生検の結果は低分化型腺癌であった。腹部CT にて所属リンパ節腫大を認めた。幽門側胃切除術,D2郭清を施行した。病理組織所見では免疫染色にてchromogranin Aとsynaptophysin がともに陽性であり,Ki67 index 70%を示し,胃低分化型神経内分泌細胞癌と診断された。術後経過は良好で,S-1/CPT-11の術後補助化学療法を施行している。胃原発の低分化型神経内分泌細胞癌はまれな疾患であり,早期より遠隔転移を起こす予後不良な疾患である。今回われわれは,治癒切除が可能で術後補助化学療法を行い12 か月無再発生存中の1 例を経験したので報告する。 -
FOLFOX4 療法で左鎖骨上窩および大動脈周囲リンパ節転移が消失し原発巣切除に至った上行結腸癌の1 例
37巻2号(2010);View Description Hide Description左鎖骨上窩および大動脈周囲リンパ節転移,肝転移,腹水を伴った上行結腸癌に対し,転移巣にはFOLFOX4 療法が著効したが原発巣は変化なく切除を行った症例を経験した。患者は62 歳,女性。心窩部不快感,体重減少を主訴に近医を受診,FDG-PET で左鎖骨上窩および大動脈周囲リンパ節への集積から悪性リンパ腫の診断を受け,当院血液内科に紹介された。左鎖骨上窩リンパ節生検で未分化型腺癌であり,精査で上行結腸に1/2 周の中心に潰瘍をもつ腫瘍を認め高分化型と未分化型が混在する腺癌であった。FOLFOX4 療法を6 回終了後のCT で遠隔転移は不明瞭となってきたが,原発巣は縮小せず腹痛,微熱が出現したため切除した。切除標本では初回の内視鏡生検でみられた高分化型腺癌はなく未分化癌のみで,最終内視鏡生検組織よりさらに脱分化が進んでいた。原発巣に著変がないにもかかわらず組織学的脱分化を経時的に追うことができた興味深い症例と考え,ここに報告する。 -
FOLFOX4+Bevacizumab療法施行後に骨盤内臓器全摘術が可能となった壁外発育型S 状結腸癌の1 例
37巻2号(2010);View Description Hide Description症例は73 歳,女性。主訴は腹痛および下腹部膨満感。当院受診後,腹部CT 検査,膀胱鏡検査,下部消化管内視鏡検査にて骨盤内腫瘤,膀胱癌(腺癌),S 状結腸癌と診断された。手術を行ったが,腫瘍は仙骨前面および右総腸骨動脈に強固に固定されており,切除不能と判断し腫瘍生検,回腸瘻造設術を行った。生検の病理組織像でS 状結腸癌の組織像と酷似する所見を得たため,骨盤内腫瘍は壁外発育型S 状結腸癌の浸潤であると診断した。術後より化学療法として,FOLFOX4 3コースとFOLFOX4+bevacizumab 3 コースを施行した。終了後,腫瘍は著明に縮小し切除可能と判断し,骨盤内臓器全摘術を施行した。腫瘍は回盲部に瘻孔を形成し,回腸,膀胱に直接浸潤する壁外発育型S 状結腸癌であった。現在術後6 か月を経過しているが無再発生存中である。本化学療法は切除不能大腸癌に対して有効である可能性が示唆された。 -
FOLFIRI,FOLFOX 療法後のThird-LineとしてS-1単剤投与が奏効した大腸癌多発肝転移の1 例
37巻2号(2010);View Description Hide Description症例は70 歳台,男性。2006 年5 月,上行結腸癌に対し右半結腸切除術を施行した。同時性に腹部造影CT 検査で肝両葉および尾状葉に7 個の多発肝転移を認めた。6 月よりFOLFIRI 療法を施行しPR が得られたが,2007 年3 月より腫瘍マーカーの上昇を認めた。その後PD と判断し,7 月よりFOLFOX 療法へレジメンを変更した。2008 年1 月,肺転移も認めたためPD と判断した。third-lineの化学療法として,2 月よりS-1 の内服を開始したところ腫瘍マーカーの改善とCT にて肝転移巣の縮小を認めた。進行・再発大腸癌症例において,FOLFIRI療法,FOLFOX 療法後のthird-lineとして,S-1も治療の選択肢となる可能性が示唆された。 -
DSM-TAE,RFA およびTegafur/Uracil/Folinate療法が奏効した大腸癌多発肝転移の1 例
37巻2号(2010);View Description Hide Description症例は69 歳,男性。2007 年2 月近医外科にてS 状結腸癌に対してS 状結腸切除術を施行。以後,術後化学療法は施行せず経過観察されていた。12月腫瘍マーカーの上昇を認め,腹部CT にて肝右葉主体の多発肝転移の診断。S-1にて加療するも腫瘍マーカーは上昇し,2008 年2 月当院に紹介入院となった。転移性肝腫瘍に対しDSM-TAEおよびRFAを施行。同時にtegafur/uracil/ folinate 療法を開始したところ腫瘍マーカーは正常化し,CT 上も腫瘍性病変は著明に縮小した。転移性肝癌に対する腫瘍減量としてDSM-TAE,RFA による局所制御を施行し,かつ集学的治療の一選択肢として全身化学療法は有効と考えられ報告する。 -
直腸癌同時性多発肝転移に対しUFT+LV 療法でCR を得られた1 例
37巻2号(2010);View Description Hide Description症例は55 歳,女性。直腸癌の多発肝転移に対して低位前方切除後,肝動注化学療法を行った。しかし重篤な下痢が発生,肝動注療法は中止し,UFT(300 mg/day),LV(75 mg/day)の内服治療を開始した。投与直後からCEAは正常化し1年後のCT で肝転移巣は消失,CR と判定した。2 年後の現在も副作用は認めず継続治療が行われ,再発所見はない。UFT+LV 療法は進行再発大腸癌の化学療法の選択肢になり得ると考えられた。 -
肝細胞癌術後多発性肺転移と残肝再発に対してS-1が著効した1 例
37巻2号(2010);View Description Hide Description症例は73 歳,女性。2007 年7 月に肝細胞癌破裂による出血性ショックで当院に救急搬送された。transcatheter arterial chemoembolization(TACE)を施行され,9 月に肝部分切除術を施行された。2008 年3 月,外来にて術後経過観察中に多発性肺転移と残肝再発を認め,UFT 450 mg/body/day を開始した。しかし6 月には転移巣の増大を認めたため,S-1 100 mg/body/day 2 週投与1 週休薬を開始した。9 月にはCT にて著明な縮小を認めた。その後,副作用のため徐々にS-1を50 mg/body/day 2週投与2 週休薬まで減量した。2009年2月現在,肺転移はほとんど消失したままで増大傾向を認めず,残肝病変も指摘できなくなっている。再発とともに上昇していたAFP も正常範囲内まで改善している。遠隔転移を伴うHCC に対する治療法は確立されていないが,S-1は有望な選択肢の一つと考えられる。また,低用量でも有効である可能性が示唆された。 -
CHOP 療法が無効でSobuzoxane単独が奏効し寛解になった血液透析患者に発症した成人T 細胞白血病・リンパ腫
37巻2号(2010);View Description Hide Description7 年前から週3 回の血液透析を受けている66 歳,男性が左腋窩の腫瘤のため2006 年8 月上旬千葉県がんセンターに紹介された。CT で左腋窩に数個の腫脹したリンパ節の集塊を認めた。血清可溶性IL-2 レセプター値は47,500 U/ mL でHTLV-1 抗体陽性であった。患者の両親は九州出身。病理診断は末梢性T 細胞型リンパ腫(CD4 陽性)。臨床的に成人T 細胞白血病・リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma: ATLL),リンパ腫型,臨床病期IIと診断した。CHOP 療法を2コース施行したがまったく効果はなかった。患者は恒常的に血液透析を受けなければならなかったため,われわれはより強い治療よりも緩やかな救済療法を選択した。そこでsobuzoxane(SBZ)1,600 mg/日(分2)を5 日間経口で投与した。予期しなかったことに,その直後から左腋窩の腫瘤は急速に縮小しはじめ,4 か月後に消失した。SBZ療法は800 mg/日,3 日間として7〜8週間隔で2008年10 月まで続けられた。2009 年5 月の報告時点で患者は元気でありATLL の再発はなく,寛解は26 か月以上続いている。CHOP 抵抗性のATLL がSBZ 単独に劇的に反応した理由は明らかでないが,腎不全のためにSBZ の代謝産物の血中濃度が非常に高かった可能性と,ATLL 細胞由来の増殖因子や抗アポトーシス因子が血液透析で除去された可能性が考えられる。血液透析患者の左腋窩に腫瘤が現れ,ATLL(リンパ腫型)と診断された。CHOP 療法が無効でSBZ 単独が著効を示し,2 年以上の寛解が得られた。このSBZ の著効は腎不全および血液透析と関連している可能性がある。 -
骨髄非破壊的移植により造血回復および巨脾の縮小を認めた原発性骨髄線維症
37巻2号(2010);View Description Hide Description症例は60 歳,男性。健診で貧血,白血球増加を指摘され,近医にて原発性骨髄線維症(primary myelofibrosis: PMF)と診断された。少量melphalan 療法が無効であり,脾腫の増大,頻回の赤血球輸血が必要となったため,fludarabine+melphalan+全身照射を前処置として骨髄バンクドナーより骨髄非破壊的移植(reduced-intensity stem cell transplantation: RIST)を施行した。移植細胞数(0.4×10 8/kg)が少ないため血球回復の遅延がみられたが,徐々に脾腫および骨髄線維化は改善し,移植後約6 か月で輸血から離脱できた。移植後約1 年で肺炎を合併し死亡したが,RISTは巨脾を有するPMF に対しても有効な治療法であると考えられた。 -
下大静脈症候群を合併した後腹膜悪性線維性組織球症の1 例
37巻2号(2010);View Description Hide Description症例は77 歳,男性。右足の腫脹を主訴に来院。理学的所見で右下腹部に境界不鮮明な腫瘤性病変を触知。computed tomography(CT)所見では,病巣は下大静脈に主座を有し右内外腸骨動脈を圧排,腸腰筋内に浸潤発育していた。3 dimensional CT では,下大静脈は長径約8 cmにわたり腫瘤に置換されてはいたが腫瘤上下の静脈はよく描出された。試験開腹,生検を施行。病理所見で悪性線維性組織球症(MFH)と診断された。ifosfamide(IFM 3,000 mg)とdoxorubicin(DXR 30 mg)連日2 日間,4 週間ごとに5 回投与。grade 3 の顆粒球減少症,著明な食欲低下と全身倦怠感を頻回に認めたが保存的治療にて改善,治療開始6 か月で腫瘤は著明に縮小し,当初認められた右水腎症も改善,PRと判断した。その後DXR をepirubicin(EPI)に代えさらに5 コース投与。PRは約2 年間維持された。 -
心療内科医の緩和ケア領域における役割—2 症例からの考察—
37巻2号(2010);View Description Hide Description緩和ケアにおいては医療者は必然的に死と向き合い,患者の「生きてきた物語」を聞くことになる。しかし,患者の要求にすべて完全にこたえることが困難であるだけでなく時間的な制約もあり,主治医(緩和ケア医)へ過剰なストレスがかかってしまい,その結果,燃え尽きてしまったり,患者に対して興味,関心が失われたり,否定的な感情をもち態度にでてしまうという問題も起こり得る。このような問題に対し,今回,心療内科医が緩和ケアにかかわった代表的な2 症例について,患者の満足度および医師の負担をカルテ,退院サマリーなどの診療録を基に検討した結果,それらが改善される結果が得られたので,心療内科医には緩和ケアに貢献できる利点があると結論する。心療内科では身体疾患を身体的要因のみならず,心理・社会的要因などが円環的に作用しあって病態を形成していると考えるbiopsychosocial model に基づいた医療を実践しており,緩和ケアに通じる多くの共通点がある。心療内科医は身体疾患をもつ患者を,心と身体を分けずに治療に当たることに慣れている点や,コミュニケーションスキルのトレーニングを専門的に受けている点などから,自分が過剰なストレスを感じることなく,燃え尽きずに緩和ケアに貢献できるという利点がある。しかし,適応障害,うつ病,せん妄などの精神疾患の診断,治療のトレーニングを受けていないため,一定期間の精神科での研修などが今後の課題と思われる。
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癌診療レポート
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レジメン管理と安全ながん化学療法実施への薬剤師の取り組み
37巻2号(2010);View Description Hide Descriptionがん化学療法における安全対策の一環として2007 年4 月より院内レジメン登録制度を開始し,登録されたレジメン以外のがん化学療法は施行不可とした。2007 年7 月より,より安全ながん化学療法を行うため臨床検査値による中止基準を設定し,薬剤師にて調製前に中止基準の鑑査を実施した。レジメン登録制度の導入によりがん化学療法施行までの運用手順が標準化され,さらに中止基準による鑑査を実施することで安全な抗がん剤投与に寄与することもできた。しかしながら,疑義照会を行ったが医師の指示により施行された例もあった。今後も登録されたレジメンや中止基準に関して調査を継続するとともに,身体状態も考慮に入れた確認方法を医師,看護師とともに構築し,がん化学療法施行基準をより明確にする必要がある。
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Journal Club
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用語解説
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