Volume 37,
Issue 13,
2010
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総説
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癌と化学療法 37巻13号, 2809-2812 (2010);
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癌幹細胞は自己複製能と多分化能を有し,少数でも腫瘍形成能をもつ。また癌において階層構造をもち,多様な分化した癌細胞を生みだすとされる。癌幹細胞は抗癌剤および放射線抵抗性をもつともいわれており,これらが癌の進展・再発・転移に大きく関与している。造血系腫瘍においては以前から癌幹細胞の存在が認識されていたが,固形癌においても表面マーカーを用いた同定法が開発され,乳癌,前立腺癌,肺癌,脳腫瘍,大腸癌,膵癌などで近年多数の研究結果が報告されている。しかしながら現段階では癌幹細胞の機能や特性がすべて解明されたわけではなく,まだまだ不明点が多い。今後,癌幹細胞の本態が解明され,その特性を理解した上で癌治療のメインターゲットとなることが期待される。
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特集
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高齢者に対する癌治療の現況
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癌と化学療法 37巻13号, 2813-2816 (2010);
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食道癌はこの30 年の間に,飛躍的に5 年生存率の向上,生存期間延長を果たしてきた。食道癌診療において治療成績・生存率延長に大きく寄与したものは,表在癌の内視鏡診断法・治療法の確立と,頸部・胸部・腹部3 領域節郭清を伴う胸部食道全摘術の標準術式確立である。高齢化社会が進む日本において,年齢とともに罹患率が上昇する食道癌の診療は今後重要性を増してくることは必然であり,高齢者食道癌患者に対する手術をはじめ化学療法や放射線療法など有効性,安全性,危険因子に関する情報の重要性も高まっていくものと予想される。しかし,これまで主に75 歳以下を対象に進められてきた臨床研究によるエビデンスの蓄積は,平均寿命が女性86 歳,男性79 歳に達した日本ではもはや不十分といわざるを得ず,今後経験に頼ってきた高齢者食道癌診療に関し本当に何が重要なのか,研究・診療の両面から改めて見直す必要があると考えられる。
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癌と化学療法 37巻13号, 2817-2822 (2010);
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本邦における高齢者の胃癌死亡数は著明に増加しており,団塊の世代の胃癌発症ピークの2020 年ごろには,胃癌死亡数は7 万人に達すると推測される。手術,化学療法ともに高齢者に関する臨床試験はほとんどなく,試験に登録された高齢者のリスク・ベネフィットに関する情報も乏しい。単施設のケースシリーズでは,高齢者であっても若年者同様に有効で安全な胃癌手術可能との報告が多いが,national surveillanceなどの大規模なデータベースの解析では,年齢は独立したリスク因子となっている。化学療法においてもまったく同様の傾向があり,高齢者に関する試験も情報も乏しい。今後は,包括的老年学評価(CGA)や有害事象の予測モデルなどのリスク評価を標準化して,これを基にリスクに応じたプロトコール治療を設定した試験と,同様の標準的リスク評価を組み込んだ大規模な外科データベースが必要と思われる。
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癌と化学療法 37巻13号, 2823-2828 (2010);
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高齢化に伴い,高齢者の大腸癌手術例は近年増加している。安全に手術を行うためには術前評価が重要で,小野寺指数(小野寺指数(PNI: prognostic nutritional index)=血清アルブミン値×10+末梢血リンパ球数×0.005)は簡便で術式選択の参考になると思われた。術前合併症を75%の症例で有しており,術後合併症では呼吸器および循環器合併症が多かった。術前術後を通じて適切に管理することで安全に手術が可能で,高齢者でも治癒切除が行われれば,癌特異的生存率は他の年齢層と同様に良好で,5 年相対生存率も良好であり,高齢者といえども耐術可能なら治癒切除を行うべきである。また化学療法においても,治療前の日常生活の活動性を評価し,治療内容が選択されるべきである。
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癌と化学療法 37巻13号, 2829-2832 (2010);
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高齢者の乳癌は,腫瘤径が小さい,ホルモン受容体発現率が高い,HER2発現率が低い,核異型度が低いといった,比較的おとなしい生物学的特性を示す癌の割合が多い。乳癌の治療には,手術,薬物療法(内分泌療法,化学療法),放射線療法が存在する。治療方針は癌の生物学的特性(ホルモン受容体,HER2 の発現状況)と,リスクの大きさとを鑑みて決められ,それは高齢者においても同様である。手術,内分泌治療,放射線療法は,比較的侵襲が少ない治療であり,年齢でそれぞれの治療が差し控えられることはない。化学療法は特に副作用の面で侵襲の多い治療である。臨床試験には高齢者が参加していない点,化学療法が効きにくい群(ホルモン受容体陽性,HER2陰性)が大半である点から,高齢者に化学療法が有用であるという十分なデータはない。しかし,他の治療法では十分な効果が得にくい再発高リスクの群は存在しており,この群には侵襲が許す限り積極的な治療を行うことが望ましい。乳癌の治療は年齢によってではなく,個々の癌に対しての再発リスクと癌の生物学的性質,治療で得られる効果を鑑みて治療方針が決められる。高齢者では併存症を有する割合が高いため,平均余命,臓器機能などを考慮した上で治療が選択されている。
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癌と化学療法 37巻13号, 2833-2837 (2010);
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近年,高齢者の人口増加に伴い,肺癌の罹患例・死亡例に占める割合が増加しており,高齢者の非小細胞肺癌に対する治療の重要性が増している。しかし,高齢者肺癌に対する標準的な治療法は十分には確立されていない。その理由として実年齢(生理学的年齢)と暦年齢が各高齢者において大きく異なることがあげられるが,その一方,高齢者はほとんどの臨床治験の対象から除外されることもあげられる。実際に全身状態が良好な高齢者でも,非高齢者と同様な治療を行うと予期せぬ合併症や副作用を生じることが少なくない。そのため,高齢者に対する外科治療,放射線治療,抗がん剤治療においてある程度の指針は必要であると思われる。ここでは高齢者に対する各治療法の最近の治験を主体に述べる。
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癌と化学療法 37巻13号, 2838-2843 (2010);
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治療を必要としない癌,進行癌いずれも存在する前立腺癌であるがゆえに,高齢者の前立腺癌の治療の選択は容易ではない。一般に腫瘍の成長は緩徐であり,一方ですべての治療方法には生活の質を低下させる合併症が存在することから待機療法が最もふさわしいかもしれない。実際に過去の待機療法の報告では,低〜中リスクの前立腺癌患者における癌死率は低い。しかし,一方でPSA検診によりスクリーニングされることなく,結果的に局所進行癌で発見される高齢者の癌はまれではない。過去の報告も,比較的健康な高齢者の高リスク癌に対する内分泌治療,外照射,小線源療法の組み合わせによる積極的な治療を支持している。したがって,腫瘍の性格や合併症を十分検討した後に,生活の質を保つことを念頭において,待機療法,積極的治療どちらも高齢者に対して選択し得る。
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原著
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癌と化学療法 37巻13号, 2861-2865 (2010);
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cisplatin(CDDP)を含む化学療法を行った頭頸部癌患者に生じた低ナトリウム血症の臨床像について検討した。対象は2006 年1 月〜2008 年3 月までに東京医療センター耳鼻咽喉科にて,CDDP を含むレジメンの化学療法および化学放射線療法を開始し,1 回以上施行した頭頸部扁平上皮癌64 例である。初回投与時に低ナトリウム血症は64.1%にみられ,grade3 以上は20.3%と比較的高頻度であった。低ナトリウム血症の危険因子としては,体重60 kg 未満とクレアチニン・クリアランス60 mL/min未満,およびgrade 2 以上の食欲不振,嘔気・嘔吐,下痢が考えられた。抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone:SIADH)は低ナトリウム血症の4.9%であり,原因としては腎や消化管からの喪失が大半と考えられた。
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癌と化学療法 37巻13号, 2869-2873 (2010);
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はじめに: 進行期肺癌に対する積極的治療をいつまで継続すべきかについて明確な答えはない。目的:積極的治療後のQOL や予後の面からみた場合の理想的な積極的治療の行われ方や中止のあり方を模索する。対象と方法: 2003 年1 月〜2007年12 月までの期間に,肺癌の診断のもと全身化学療法and/or 放射線療法を開始したが,その後すでに積極的治療中止となっている症例30 例を対象とした。積極的治療の内容や期間と中止時および中止後の臨床像の実態調査と,どのような因子が積極的治療中止後のQOL や予後に関与しているかを検討した。結果:積極的治療中止後のQOL や余命を考える上で心掛けられるべき事項としては,治療中においては,特に治療に関連した重篤な有害事象の発症とPS の低下に留意することが重要と思われた。治療中止後においては,癌の進行のみではなく,肺炎などの他疾患の併発にも留意することが大切と考えられた。
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癌と化学療法 37巻13号, 2875-2879 (2010);
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非切除・再発胆道癌治療においては,近年gemcitabine,S-1 といった薬剤による化学療法が臨床に供され,一定のエビデンスが蓄積されているものの,臨床におけるこうした最新の治療法の評価はまだ端緒についたところである。このような現状から福岡,北九州地区において,胆道癌治療成績の現状をアンケート形式による後ろ向きコホート研究として調査した。特に非切除胆道癌に焦点を当てた。本報告においては,非切除例におけるBSC と化学療法の生存成績に対する年齢および占拠部位の影響について検討した結果,高齢者の基準を75 歳として,高齢者と非高齢者,占拠部位として肝内胆管癌,肝外胆管癌,胆嚢癌の各サブグループのいずれにおいても非切除例全体と同様,化学療法のsurvival benefit を認め,化学療法実施に適さないpopulationは同定されなかった。
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薬事
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癌と化学療法 37巻13号, 2881-2885 (2010);
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近年,quality of life 向上をめざすため,外来化学療法の役割がより重要視されている。NTT東日本関東病院では外来化学療法中の患者に対する業務の質改善を目的として,薬剤師と外来化学療法室看護師との間で外来化学療法連携ノート(以下,連携ノート)の運用を開始した。薬剤師は連携ノートをとおして2008 年2 月〜2009 年1 月の1年間で22 件の看護師の質疑に対し回答,対応した。その内訳は,業務改善に関するもの5 件(23%),副作用に関するもの6 件(27%),薬剤の取り扱いに関するもの5 件(23%),化学療法のレジメンに関するもの4 件(18%)であった。これらの質疑応答は薬学的知識によって解決され,薬剤師と看護師間のコミュニケーションが改善され有害事象に対する迅速な対応が可能となった。本研究結果より,連携ノートの活用は限られた時間,環境下における外来化学療法の質,業務効率の向上に有用であることが示唆された。
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癌と化学療法 37巻13号, 2887-2890 (2010);
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医療費の抑制を目的としてジェネリック医薬品(以下GE)の使用が推奨されている。当院でもGE の抗がん剤を採用し,GE の抗がん剤を使用することに対する意識調査を,乳がん患者を対象に実施した。結果はGEは一般によく知られているが,抗がん剤にGE があることはあまり知られていなかった。使用に関しては治療期間が長期にわたる進行・再発治療を受ける患者群でGE を選択する割合が多く,治療期間が限定されている補助化学療法群でGE を希望する割合は少なかった。薬剤の選択では,費用を重視する場合や効果を重視する場合など患者の背景によって大きな意識の違いがあった。GE の抗がん剤の有効性を示すエビデンスの集積などによって,先発品と効果における同等性を提示することが,さらにGE の抗がん剤の普及につながると考えられた。
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症例
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癌と化学療法 37巻13号, 2891-2895 (2010);
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症例は73 歳,男性。右精巣原発のびまん性大細胞型B 細胞性リンパ腫の診断時に広範な多発転移巣を認めた。また,化学療法・放射線療法施行中に食道扁平上皮癌と胃腺癌の合併を認めたが悪性リンパ腫の進行が著しく手術適応とならず,リンパ腫が進行し診断後約1 年で死亡した。剖検にて胃幽門腫瘍内で悪性リンパ腫と高分化型腺癌との衝突腫瘍が認められた。まれな三重癌であり文献的考察を加えて報告する。
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癌と化学療法 37巻13号, 2897-2900 (2010);
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頭頸部原発の腺癌は比較的まれな疾患であり,治療の方法としては外科的切除が第一選択である。今回頭頸部腺癌の切除不能例,再発例に対して外来にてweekly投与法によるdocetaxelの化学療法を行い,長期に患者のQOL を保つことができたので報告する。症例は顎下腺癌,耳下腺癌,副甲状腺癌の3 例であり経過観察期間はそれぞれ42 か月,76 か月,87 か月であった。docetaxelの投与回数は18 コース,19 コース,28 コースであった。有害事象に関してもgrade 3 以上は出現せず,腺癌に対しても患者のQOL を低下させることなく治療が可能であることが示唆された。
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癌と化学療法 37巻13号, 2901-2903 (2010);
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肝転移を来した多剤耐性手術不能乳癌症例に対し,S-1 を投与し著明な縮小を認め,良好なquality of life(QOL)が得られたので報告する。症例は53 歳,女性。2002年10 月,近医にて胸壁浸潤を伴う乳癌,頸部リンパ節転移,多発骨転移,両側胸水貯留と診断された[invasive ductal carcinoma,scirrhous type,ER(−),PgR(+),HER2(1+)]。手術不能進行乳癌に対する治療として,cyclophosphamide+epirubicin(CE)6 コースとweekly paclitaxel 3 か月を施行された結果,頸部リンパ節転移はPR,両側胸水も消失した。その後,アロマターゼ阻害剤(AI剤)が投与されたが原発巣・多発骨転移はNC となった。AI 剤+経口抗癌剤併用療法・経口抗癌剤を経て,2006 年9 月より症状緩和を中心とした治療に変更され,2007年1 月に当院へ紹介された。来院時に呼吸困難,両側胸水を認めたため,緊急入院となった。胸水を抜水後,胸膜癒着術の施行により症状が消失したため退院となり,その後,AI剤+bisphosphonateの投与を開始したが,全身倦怠感を認め,多発肝転移・腹水が出現したため12 月よりS-1(100 mg/day 4 週投与後2 週休薬)を開始した。投与開始6 か月後には多発肝転移の消失が認められ,腹水も少量となった。S-1の投与期間中,重篤な副作用は認めず,休薬・減量も行われず,亡くなる1 か月前まで外来通院のみで良好なQOL の保たれた治療が可能であった。多剤耐性となった症例に対して,S-1 投与は患者のQOL を考慮する上で非常に有用な治療法の一つとなり得ることが示唆された。
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癌と化学療法 37巻13号, 2905-2907 (2010);
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乳癌の再発肺転移に対し肺部分切除にて転移の確診を得た後,trastuzumab 単独投与を行い,再々発なく4 年経過した症例を経験したので報告する。症例は56 歳,女性。2004 年3 月左乳房温存術を施行した[浸潤性乳管癌,大きさ3.7 cm,組織学的異型度grade 3,ly1,v1,n(−),ER(−),PgR(−),HER2/neu(3+)]。術後放射線療法後にCMF療法を6 コース施行。術後14 か月の胸部CT で右肺上葉に7 mm の結節陰影出現,その後増大傾向を認めた。肺結節の個数は1 個で他臓器に転移を認めなかったため,胸腔鏡下に肺部分切除し,乳癌肺転移の確診を得た。trastuzumab単独投与を6 コース行い,2010 年3 月現在再々発を認めていない。
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癌と化学療法 37巻13号, 2909-2911 (2010);
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capecitabine 抵抗性であったが,S-1が有効であった再発乳癌の1 例を経験したので報告する。症例は50 歳台,女性。左胸筋温存乳房切除術施行。術後13 か月で局所再発+多発肺転移を来した症例であった。再発後ホルモン療法を継続していたが効果なく,再発後9 か月目に当科を受診した。capecitabine による化学療法を施行したが効果を認めず,3 か月後に抗癌剤をS-1 に変更した。S-1投与3 か月目のCT 検査にて再発・転移巣の著明な縮小がみられ,さらに長期にわたる病勢のコントロールが可能であった。重篤な有害事象はみられず,capecitabine 抵抗性の再発乳癌においてS-1が有用かつ安全に使用可能であることが示唆された。
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癌と化学療法 37巻13号, 2913-2916 (2010);
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われわれはanastrozoleに抵抗性となった症例に対するsecond-lineとしてletrozole(LET)が有用であった症例を経験したので報告する。患者は69歳,女性で初診主訴は背部痛であった。左乳房に皮膚浸潤を有する腫瘍を含む多発病変,左腋窩リンパ節腫大,多発骨転移を認めた。針生検の結果浸潤性乳管癌(硬癌)でER+,PgR+,HER2 陰性であった。13か月間のanastrozole とビスフォスフォネート投与で乳腺腫瘍は33%縮小したが,肝転移が生じた。2007 年1 月よりLET 投与に変更した。LET の最良効果は肝転移のCT 計測で約13 か月のlong SD と判定した。特記すべき副作用を認めず,QOLは良好であった。
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癌と化学療法 37巻13号, 2917-2920 (2010);
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症例は53 歳,女性。左乳房腫瘤を主訴に来院。精査にて左乳癌,T3N3(腋窩,鎖骨上)M0,StageIIICおよび右乳癌,T2N0M0,StageIIAと診断された。両者ともに原発腫瘍の針生検で浸潤性乳管癌,ER 陰性,PgR 陰性,HER2陽性と診断された。2004 年12 月,paclitaxel とtrastuzumab 併用療法を導入したがpaclitaxel 投与中にショック状態に陥ったため同療法を断念した。anthracycline含有レジメンとしてtri-weekly CTF 療法を導入したところ1 か月でリンパ節転移は完全寛解し,3 か月で左原発巣は最大の38.5%の縮小を認めた。無増悪期間は7 か月(9 サイクル)という長期間であった。この間,1サイクル目に発熱性好中球減少を認めたが,以後は安全に通院治療可能であった。anthracycline含有レジメンはtrastuzumabとの併用が困難なため,HER2過剰発現進行・再発乳癌治療では敬遠されがちである。しかしCTF 療法は心毒性が少ないことから長期投与に向いている他,脱毛の発生率が低くQOL にも配慮できる治療であるので,HER2過剰発現進行・再発乳癌では選択肢として活用できると考えられた。
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癌と化学療法 37巻13号, 2921-2924 (2010);
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横紋筋融解症を伴った進行胃癌の1 例を経験した。症例は29 歳,男性。嚥下困難,胸焼けを主訴に近医を受診。術前に投与されたプロトンポンプインヒビター(PPI)が原因と考えられた横紋筋融解症を発症した。その折胃全摘術を行い,術後に横紋筋融解症は軽快した。術後18 か月現在,無再発生存中である。
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癌と化学療法 37巻13号, 2925-2927 (2010);
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S 状結腸癌術後の多発性肝転移に対して,mFOLFOX6 療法施行中に十二指腸穿孔を来した症例を経験したので報告する。症例は68 歳の男性で,2007 年9 月にS状結腸癌に対してS 状結腸切除術(StageIIIb)を施行した。術後16 か月後に多発性肝転移を認め,2009 年1 月よりmFOLFOX6 療法を開始した。2010 年3 月,24 コースの5-FU 持続静注施行中に腹痛が出現し,同日緊急入院した。入院時vaital signには異常はなく,腹部所見では腹膜刺激症状はなかった。第1 病日の腹部CT 検査でfree air を認め,腸管穿孔の診断で緊急手術を施行した。開腹所見では腹腔内に膿性腹水を認め,腹腔内ドレナージ術を施行した。十二指腸近傍に留置したドレーンより術後消化液の排出がみられたが,徐々に減少し第28 病日には瘻孔閉鎖を認めた。
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癌と化学療法 37巻13号, 2929-2931 (2010);
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放射線療法およびS-1 が,結腸癌の多発リンパ節再発に奏効した1 例を経験したので報告する。症例は60 歳,女性で,便秘を主訴に来院した。上行結腸癌の多発リンパ節転移および肝転移に対して,右半結腸切除,肝部分切除,上腸間膜動脈周囲のリンパ節郭清が施行された。補助化学療法として,UFT/LV を投与されたが,術後10 か月に大動脈周囲リンパ節,左鎖骨上窩リンパ節転移を指摘された。左鎖骨上窩に64 Gy,大動脈周囲に40 Gyの放射線治療を施行された。その後,S-1 100 mg/day 分2 の4 週投与2週休薬が施行され,3 か月後に左鎖骨上窩リンパ節はほぼ消失し,大動脈周囲リンパ節の縮小も認めた。投与10 か月後のPET-CT にてすべての転移巣の消失が確認され,その後1 年6か月再発を認めていない。
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癌と化学療法 37巻13号, 2933-2935 (2010);
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患者は50 歳台,女性。S状結腸癌に対して高位前方切除術を施行した。病理病期がstageIIIb であったため,補助化学療法(mFOLFOX6)を開始した。標準的制吐療法を行ったが,4 コース目にgrade 3 の遅発性嘔吐が出現した。5-HT3受容体拮抗剤やデキサメサゾンの増量,メトクロプラミドやハロペリドールなどで制吐を試みたが,いずれも無効であった。抗癌剤を減量したが,5 コース目の途中で患者の希望により治療を中止した。6コース目から,予防制吐剤にアプレピタントを追加したところ,予定の12 コースを完遂するまで嘔吐はまったく認めず,grade 2以上の悪心も出現しなかった。
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癌と化学療法 37巻13号, 2937-2940 (2010);
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症例は62 歳,男性。検診で便潜血陽性を指摘され,当院を受診した。大腸内視鏡検査で直腸に3 型腫瘍を認め,生検では高〜中分化型腺癌であった。PET-CT検査で肝転移(S6)を認めた。術中所見で多発肝転移を認めたため,FOLFOX6療法を3 コース施行したが,CT でprogressive disease(PD)となったため,FOLFIRI療法を3 コース施行した。CTではpartial response(PR)となった。FOLFIRI療法6 コース施行後にbevacizumab(BV)を追加。その後7 コース施行した後,肝切除を施行した。病理検査結果では組織学的CR であった。
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癌と化学療法 37巻13号, 2941-2943 (2010);
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肛門管扁平上皮癌3 例に対しS-1+mitomycin C(MMC)併用化学放射線療法を行い,その安全性と有効性が示唆されたので報告した。化学療法はday 1 およびday 29 にMMC 10 mg/m2を静注し,S-1 を80 mg/m2/day 分2 でday 1〜14とday 29〜43 に内服投与した。放射線治療は骨盤照射およびブーストを合わせて55.8〜60 Gy/30〜31 回を週5 回で行った。3例のgrade 3 以上の有害事象は白血球減少100%,好中球減少100%,貧血33.3%,食欲不振66.7%であった。治療関連死は認めなかった。治療効果は3 例ともにcomplete responseでありそれぞれ2年7 か月,2 年4 か月,8 か月無再発生存中である。
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癌と化学療法 37巻13号, 2868-2868 (2010);
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癌と化学療法 37巻13号, 2908-2908 (2010);
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