癌と化学療法
Volume 41, Issue 6, 2014
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総説
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NCCN Asia Consensus Statement―NCCN ガイドラインはアジア人に通用するか―
41巻6号(2014);View Description Hide Description2009 年にNCCN ガイドラインをアジアに広く普及させることを目的に,アジア版のガイドラインの作成を意図して作成メンバーが結成され,腎癌のAsia Consensus Statement(ACS)が同年に発刊され,次いで2011 年には前立腺癌のACSも発刊された。引き続いて腎癌,前立腺癌ともに2011 年と2013 年に第2 版が発刊されている。これらのNCCN ガイドラインACSの作成経緯と内容を概説した。
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特集
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- G-CSFの適正使用について(G-CSF適正使用ガイドライン・2013 年版)
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G-CSF適正使用ガイドライン(2013 年版)の概要
41巻6号(2014);View Description Hide Description日本癌治療学会のG-CSF適正使用ガイドラインが12 年ぶりに改訂された。G-CSF適正使用ガイドライン(2013 年版)と前版との相違点はclinical question 形式を採用し,エビデンスレベルの分類,その推奨度はMinds の診療ガイドライン作成の手引き(2007年版)に沿っている。欧米のガイドラインを二次資料としているが,ある種の抗がん薬には発熱性好中球減少症(febrile neutropenia: FN)発症の頻度に人種差が推定され,可能な限りわが国で実施された臨床試験が調査されている。バイオシミラー,ペグフィルグラスチム(国内未発売),投与量・投与方法(保険診療)についても記載し,G-CSF一次予防的投与を判断するためのわが国におけるレジメン特異的なFN の頻度,造血器悪性腫瘍におけるG-CSF 使用に関する項目が大幅に強化されたことなどである。また,作成委員として医師のみならず看護師,薬剤師が参加し,幅広い医療従事者を対象としている。 -
G-CSF―一次予防的投与と二次予防的投与(発熱性好中球減少症も含めて)―
41巻6号(2014);View Description Hide Description本邦のG-CSF 適正使用診療ガイドラインの一次予防的投与,二次予防的投与についての記載は海外のガイドライン,国内外の最新のエビデンスに基づき今回改訂された。それぞれに定義付けを行い,投与目的を明確化した。一次予防的投与はFN 発症率による推奨基準を示し,発症率20%以上の抗がん薬治療の際の使用を強く推奨し,それ未満は一部の患者のみ使用を推奨した。二次予防的投与に関しては,抗がん薬の減量やスケジュール変更を行うことが望ましくない患者に対してのみ治療強度を維持する目的での投与を推奨した。本改訂は使用を決して制限するものではなく,患者個々の多様性とエビデンスの双方を考慮しながら,実地臨床においてG-CSFが適正に使用されることを期待している。 -
造血器腫瘍におけるG-CSF の適正使用
41巻6号(2014);View Description Hide Description造血器腫瘍の治療は強力な化学療法と,適応に応じて造血幹細胞移植療法が選択される。造血幹細胞移植療法におけるG-CSF は,造血幹細胞/造血前駆細胞の末血液への動員と,移植後の重篤な好中球減少に伴う致死的合併症への治療的あるいは予防的投与で使用される。急性白血病におけるG-CSFは,寛解導入療法・寛解後療法後の重篤な好中球減少に伴う発熱性合併症への治療的あるいは予防的投与で使用される。リンパ腫におけるG-CSF は治癒をめざして,発熱性好中球減少症(FN)の発症が20%を超えるような強力な化学療法では一次予防的投与での使用が推奨される。FN の発症が20%以下の治療では前コースの治療でFN の発症があり,治療強度の減弱につながる場合は二次予防的投与で使用される。多発性骨髄腫では,大量化学療法時やFN 発症のリスクが高いと予想される場合にG-CSF の予防的投与が使用される。いずれの場合も海外のASCO,EORTC,IDSA,NCCN や,わが国のJSCO-2013のガイドラインを参考にしたG-CSFの適正使用が勧められる。 -
ハイリスクグループ(高齢者・合併症を有する患者)に対するG-CSF使用,放射線併用時の注意点およびG-CSFの有害反応
41巻6号(2014);View Description Hide Description癌化学療法において,好中球減少に伴う合併症は重要な用量規定毒性(dose limiting toxicity: DLT)である。好中球減少時に発熱を伴った場合(発熱性好中球減少症: FN),適切な抗菌薬投与が速やかに実施されないと重症化し致死的状態になることはまれではない。FN の発症および重症化のリスクは,疾患,化学療法レジメン,患者側のリスク因子,治療目的により異なる。悪性リンパ腫は化学療法により治癒の期待できる疾患である。標準治療であるR-CHOP療法時のFN の発症率は20%近い。65歳以上の高齢者悪性リンパ腫に対して治癒ならびに高いquality of life(QOL)をめざす化学療法を行う場合は,G-CSF の一次予防的投与は推奨されている。また,年齢以外でも個々の患者でFN 発症の可能性が高い因子をもつ場合には,G-CSF の一次予防的投与は考慮されるべきである。一方,放射線同時併用化学療法時,特に縦隔領域が照射内に含まれる場合はG-CSFを投与することは推奨されない。G-CSFにより臨床的に問題となる有害反応は少なく忍容性にたいへん優れるが,重篤なものも報告されているので投与中の経過には十分注意をする必要がある。2013 年にG-CSF 適正使用ガイドラインが発刊された。これを基に,上記の問題点について考察した。
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Current Organ Topics:Central Nervous System Tumor: Glioma 脳腫瘍:グリオーマ
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原著
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K-Ras遺伝子野生型切除不能・再発大腸癌に対するPanitumumabの有効性と安全性の検討―一次治療を中心として―
41巻6号(2014);View Description Hide DescriptionK-ras遺伝子野生型切除不能・再発大腸癌に対し,panitumumab併用あるいは単剤化学療法を施行した治療成績と有害事象について一次治療を中心に検討した。2010 年10 月からpanitumumab を投与開始した18 症例を対象とした。治療ラインは一次/二次/三次以降の治療が9 例/4 例/5 例,奏効率は全体で27.8%,一次治療で使用した症例では55.6%であった。有害事象はGrade 1 あるいはGrade 2 の皮膚障害が多く,またGrade 2 の間質性肺炎を1 例(5.6%)認めた。Grade 3 以上は,末®神経障害1 例(5.6%),好中球減少1 例(5.6%)であった。治療が奏効し,転移巣切除を施行した症例を3 例認めた。今回の検討において,Grade 3 以上の有害事象は末®神経障害1 例,好中球減少1 例のみであり,十分にコントロール可能と思われた。panitumumabをどの治療ラインで使用するかは未だcontroversialであるが,panitumumabの腫瘍縮小効果により転移巣切除が期待できる症例には積極的に一次治療からの導入を検討すべきであると考えられた。 -
進行・再発大腸癌に対するFirst-LineでのCapeOX療法におけるベバシズマブ併用の検討
41巻6号(2014);View Description Hide Description進行・再発大腸癌に対する化学療法は進歩してきている。今回,2009 年10 月〜2012年6 月まで当科で治療した進行・再発大腸癌患者の一次治療としてCapeOX 療法とCapeOX 療法にbevacizumab(BV)を併用した際の有効性,安全性をretrospectiveに検討した。解析対象の全38 例中CapeOX 療法(A群)は18 例,CapeOX+BV 療法(B群)は20 例に施行された。A 群の奏効率16%,B 群の奏効率は55%であり,BV 併用群でより高い奏効率を認めた。PFS 中央値はA群8.0か月(95% CI: 3.0-16.5),B 群12.8か月(95% CI: 6.4-NR)であった(HR: 0.60,log-rank検定,p=0.1980,Wilcoxon検定,p=0.0928)。OS中央値はA群21.6 か月(95% CI: 9.6-NR),B群は34.0 か月(95% CI: 13.2-NR)であった(HR: 0.40,log-rank検定,p=0.1089,Wilcoxon検定,p=0.0687)。CapeOX療法は3 週ごとの外来通院で投与可能であり,患者の通院にかかる負担の軽減が期待される。BV に不適な症例を除き,CapeOX+BV 療法は,進行・再発大腸癌の一次治療として有用性の高い併用療法であると考えられた。 -
大腸癌術後補助化学療法におけるXELOX 療法の忍容性について
41巻6号(2014);View Description Hide DescriptionXELOX 療法は結腸癌術後補助化学療法の標準療法の一つとなったが,本邦における忍容性の報告はほとんどない。今回われわれの施設において治癒切除大腸癌21 例を対象として,XELOX 療法による術後補助化学療法8コースの治療継続性や有害事象について後方視的に検討した。XELOX 療法の8コース治療完遂率71.4%,カペシタビンおよびオキサリプラチンの相対用量強度中央値は85.0%,75.0%であった。Grade 3 以上の手足症候群は14.3%であったが,末æ神経障害は0%であった。当院におけるXELOX 療法は高い治療継続性が得られており,日常診療においても忍容性が高いと考えられた。 -
アルコール含有ドセタキセル製剤投与後の呼気中アルコール濃度の検討
41巻6号(2014);View Description Hide Descriptionドセタキセル(DOC)のアルコール含有製剤(OTX)を投与された乳癌患者を対象に,呼気中アルコール濃度(breathalcohol concentration: BAC)を測定し,外来でのOTX投与の安全性を検討した。対象と方法:外来化学療法室で,OTXによる化学療法を受けた乳癌患者20 例を対象とした。BAC は点滴投与直後,30 分後,60 分後の3 回測定した。結果:レジメンとしてOTX 100 mg/m / / 2 5 例,75 mg/m2 13 例,60 mg/m2が2 例で,すべて女性であった。投与後にアルコールに起因すると思われるhot flush,酩酊様症状は認められなかった。BAC は投与直後10 例(50%),30 分後7 例(35%),60 分後に1 例(5%)に観察され,酒気帯び運転の定義に当てはまる症例は1 例(5%)に認められた。しかし,30 分後には全例で規制値を下回り,60分後には1 例を除いて検出不能となっていた。結論: OTX投与を投与した乳癌患者には,hot flushや酩酊感などの症状を訴える患者はみられず,少なくとも60 分以上経過すればアルコールの影響は消失し,安全に帰宅可能と考えられた。 -
Seasonal Variations in Breast Cancer Diagnosis in Osaka, Japan
41巻6号(2014);View Description Hide Description現在までに乳癌診断時期に季節変動があることが諸外国で報告されているが,本邦における報告はない。本研究では大阪府がん登録を用いて1976〜2005 年までの乳癌診断の季節変動を調査した。四季別の診断件数は,1976〜1985 年は春2,595例(26%),夏2,739例(27%),秋2,585例(26%),冬2,120例(21%),1986〜1995年は春4,219例(26%),夏4,581例(28%),秋4,262例(26%),冬3,466例(21%),1996〜2005年は春6,299例(25%),夏6,852例(28%),秋6,368 例(26%),冬5,335例(22%)であった。すべての年齢階級,すべての罹患年で乳癌診断件数は初夏に多く,冬に少なかった。ほとんどの症例が症状を契機に発見されていた。乳癌検診の普及により,このような季節変動が今後置き換わっていく可能性がある。今後も慎重な観察が必要である。
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症例
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Tegafur-UracilとZoledronic Acid の投与で長期生存を得ている肺癌術後骨転移再発の1 例
41巻6号(2014);View Description Hide Description症例は84 歳,男性。肺癌根治切除後3 年後に腰椎への骨転移で再発し,carboplatinとpaclitaxelによる化学療法と骨転移に対し姑息的照射を行った。しかし,骨転移による疼痛の悪化と肺転移の出現を認めた。zoledronic acid とtegafururacil投与を行ったところ肺転移は著明に縮小し,骨転移巣も縮小,疼痛も緩和した。再発後6 年経過し肺転移の新たな出現を認め,腰痛が再び悪化しているが生活の質は維持されている。肺癌自体の特性が関与している可能性があるが,二次治療以降で骨転移により患者の全身状態が不良な場合は,zoledronic acid 投与に加えtegafur-uracil の投与が有効な場合もあると推察された。 -
肺腺癌に対するPemetrexed維持療法の外来移行に伴うQOL 変化
41巻6号(2014);View Description Hide Description進行非小細胞肺癌の新たな治療戦略として維持療法が注目されている。日常生活や社会生活を行いつつ生活の質(quality of life: QOL)を維持することは外来化学療法の主たる目的の一つである。今回われわれは,信頼性の証明された調査票を用いてQOL を客観的に測定し,その因子を解析することを目的として本臨床研究を行った。PS 0〜1 の肺腺癌患者7名,平均71.9(67〜78)歳に対してpemetrexedによる維持療法を行い,入院から外来への移行に伴うQOL変化を厚生省栗原班「がん薬物療法におけるQOL 調査票」を用いて検討した。overall QOL score および各因子いずれも低下することなく入院から外来への移行が可能であることが明らかとなり,肺腺癌患者に対するpemetrexed による維持療法の外来化学療法における有用性がQOL の観点から示された。 -
シスプラチン+イリノテカン併用療法が奏効した胆囊原発神経内分泌癌の1 例
41巻6号(2014);View Description Hide Description臨床的に通常型の胆囊癌,肝転移が疑われた52 歳,女性患者に対して肝生検を施行。胆囊原発の神経内分泌癌,肝転移と最終診断した。全身化学療法としてイリノテカン+シスプラチン併用療法にて治療を開始。3 か月後のCT では腫瘍の著明な縮小がみられ,現在まで良好な抗腫瘍効果が持続している。肝の半分以上を占拠する多発塊状の肝転移を有し,胆囊原発の腺癌であれば極めて予後不良が想像される状況であったことから,治療前の病理組織確認の重要性を強く認識した。 -
化学療法後に細菌性髄膜炎を発症した進行乳癌の1 例
41巻6号(2014);View Description Hide Description症例は76 歳,女性。右乳房腫瘤と皮膚潰瘍を自覚し,当院を受診した。進行乳癌T4bN2M1(lung),Stage Ⅳと診断され,化学療法FEC100 を施行したところ,12 日後に発熱性好中球減少症の診断で当科に入院となった。翌日に項部硬直が出現し,髄液検査で細菌性髄膜炎と診断された。細菌性髄膜炎診療ガイドラインに沿って,抗菌薬投与を行い軽快し,24日後に退院した。化学療法に伴う細菌性髄膜炎はまれではあるが,重篤な経過をたどることもあるため,本疾患も念頭に置き早期に発見して治療を開始することが重要と考えられた。 -
S-1が著効し10年以上無再燃生存中の胃癌腹膜播種症例
41巻6号(2014);View Description Hide Description症例は50 歳,女性。胃癌の診断にて手術を施行し,広範囲に多数の腹膜播種を認めたため,減量手術とcisplatin(CDDP)の腹腔内投与を行った。術後化学療法を施行するに当たり,患者はQOLを重視したため,術後第13 病日からS-1の単独投与(4週連日投与,2週休薬)を開始した。その後,外来にて経過をみていたが再燃徴候は認められず,5 年後にS-1 隔日投与に変更した。術後8 年目の精査でも再発所見なく,以後はS-1 内服を終了し,11 年経過した現在も無再発生存中である。 -
Bevacizumab/FOLFOX4 療法にて組織学的CR が得られた局所進行S状結腸癌の1 例
41巻6号(2014);View Description Hide Description症例は65 歳,男性。腹痛を主訴に当院入院。S 状結腸癌による大腸イレウスと診断。横行結腸人工肛門造設後,切除目的に手術を行ったが膀胱,骨盤壁浸潤のため根治切除不能と判断された。術後 bevacizumab/FOLFOX4(2 週間ごと点滴投与)による化学療法を行った。12 コース終了後腫瘍の著明な縮小を認めたため,膀胱壁の一部を合併切除しS 状結腸切除術を施行した。切除標本では組織学的に腫瘍細胞を認めなかった。術後経過良好にて第17 病日目に退院した。術後1年6か月現在,無再発生存中である。進行結腸癌に対する術前化学療法で原発巣の組織学的CR 症例はまれであり,切除不能・進行結腸癌に対するbevacizumab/FOLFOX4 療法は有用と考えられる。 -
Azacitidine投与が奏効した染色体異常del(20q)を有する慢性骨髄単球性白血病
41巻6号(2014);View Description Hide Description症例は71 歳,男性。白血球増加・貧血のため当科紹介入院となり,末ó血液像・骨髄検査の結果,del(20q)を含む染色体異常を有する慢性骨髄単球性白血病(chronic myelomonocytic leukemia: CMML)と診断した。azacitidine での治療を開始して以降,効果は速やかに得られ,単球数正常化・輸血依存性の離脱が可能であった。CMMLにおけるdel(20q)は0.7〜1.0%にみられるまれな異常であるが,予後に対する影響など今後の症例蓄積による多数例での解析が望まれる。また,本例では治療開始以降症状が改善するとともにWT1 低下がみられたが,急性骨髄性白血病や骨髄異形成症候群で報告されているのと同様に,効果を反映して低下したものと考えられた。 -
幽門輪温存膵頭十二指腸切除術後の挙上空腸に発生した原発性小腸癌の1 例
41巻6号(2014);View Description Hide Description幽門輪温存膵頭十二指腸切除(以下,PPPD)術後の挙上空腸に発生した原発性小腸癌の1 手術例を経験したので報告する。症例は84 歳,男性。1996年に胆管癌の疑いにてPPPD 施行。病理結果は悪性所見なしであった。胃腺腫のfollow up目的の上部消化管内視鏡検査で,挙上空腸に全周性の腫瘍性病変が認められた。生検ではGroup Ⅴであった。挙上空腸に発生した原発性小腸癌と診断し,挙上空腸部分切除,胃部分切除,横行結腸部分切除を施行し,胃空腸吻合にて再建した。病理組織診断ではpor2>tub2,muc の空腸癌であった。PPPD 術後16 年目の挙上空腸に発生した原発性小腸癌は極めてまれであり,若干の文献的考察を加えて報告する。 -
集学的治療を行った腹膜播種を伴う原発性小腸癌の1 例
41巻6号(2014);View Description Hide Description症例は55 歳,女性。腹部膨満感,嘔吐で近医を受診し,精査加療目的で当科紹介となった。精査にて空腸癌,左卵巣腫瘍の診断で手術を行った。卵巣は転移が疑われたが他に播種巣を認めなかったため,空腸部分切除および左卵巣摘出術を施行した。術後S-1による化学療法を継続したが,術後6 か月目に右卵巣転移を認めたため右卵巣摘出術を施行した。その術後2 か月目に肺転移,腹膜播種再発を認めたためXELOX,FOLFIRIによる化学療法を行ったが,各々アレルギー反応および間質性肺炎を来したため中止した。その後はcetuximab を単独で投与し病勢コントロールがついたが,初回術後33 か月目に死亡した。原発性小腸癌はまれな疾患で,本例のように進行した状態で発見されることが多く予後不良とされている。今回,腹膜播種を伴って発見され集学的治療で良好なQOLを得た小腸癌の1例を経験したので,文献的考察を加え報告する。
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