Volume 41,
Issue 13,
2014
-
総説
-
-
Source:
癌と化学療法 41巻13号, 2529-2534 (2014);
View Description
Hide Description
個別化医療とは,遺伝的背景や生理的状態など患者の個人差に考慮して各個人に最適な治療法を提供する医療と定義される。個別化医療の普及には,患者を適切に層別化するためのコンパニオン診断が不可欠であり,そのコンパニオン診断に用いられるコンパニオン診断薬が適切に開発,臨床応用されていくことが重要である。しかしながら,コンパニオン診断薬とそれを必要とする医薬品の開発は,製薬企業と診断薬企業の連携のあり方やそのビジネスモデル,また,コンパニオン診断薬に関連する規制のあり方など,未だ多くの課題が山積している。さらに,臨床現場においても,コンパニオン診断薬としてのlaboratory developed test(LDT)のあり方やコンパニオン診断薬の保険償還など,産官学で議論していくべき課題が多くある。本稿では,診断薬企業の観点から,コンパニオン診断薬の開発から臨床応用における様々な課題について考察する。
-
特集
-
-
最近の放射線治療の進歩
-
Source:
癌と化学療法 41巻13号, 2535-2538 (2014);
View Description
Hide Description
放射線治療においては,いかにがんに選択的に損傷を与えるかが最大の命題である。それを実現する方法には,生物的アプローチと物理工学的アプローチがある。前者には化学放射線治療,分子標的薬剤と放射線との併用などがある。後者には定位放射線治療,強度変調放射線治療,粒子線治療などがあげられる。これらの高精度治療の問題は動きに弱いことであり,放射線治療の四次元化が精力的に進展している。
-
Source:
癌と化学療法 41巻13号, 2539-2542 (2014);
View Description
Hide Description
強度変調放射線治療(IMRT)は,放射線療法の限界を解決できる先進的な照射技術である。IMRTでは標的体積およびリスク臓器の形状に合わせた線量を照射できるため,正常組織への影響を最小限に保ちつつ,腫瘍に対しては高線量照射が可能となる。IMRT が成功するか否かは,標的体積やリスク臓器の正確な輪郭入力によるところが大きい。頭頸部腫瘍に対するIMRT では,治療後の唾液腺機能や生活の質を確保することが可能となった。前立腺癌では晩期障害を増やすことなく安全に高線量照射でき,良好な治療成績が示されている。
-
Source:
癌と化学療法 41巻13号, 2543-2545 (2014);
View Description
Hide Description
体幹部定位放射線治療(stereotactic body radiotherapy: SBRT)は1990 年代に臨床応用され,2004 年から5 cm以下の原発性肺癌,転移性肺癌,原発性肝癌,転移性肝癌,脊髄AVMの5 疾患が保険適応となっている。SBRTは画像誘導を用いて短期間に高線量を照射する治療である。保険適応疾患のうち原発性肺癌への照射が最も多く行われており,SBRT 以前の治療と比較すると放射線治療による肺癌の治療成績は著しく改善した。1 回に照射する線量が大きく照射回数が少ない治療であるため,毎回の照射時の精度管理や呼吸性移動対策は特に重要である。本邦で行われたT1N0M0非小細胞肺癌に対する第Ⅱ相試験であるJCOG0403では,手術可能例・不能例ともに良好な成績を報告している。海外からも多数の報告がされているが,今のところ至適線量,分割方法,線量評価法は定まっていない。SBRTの臨床試験の結果を比較する際には,特に線量評価法の違いについて注意が必要である。また,臨床試験での手術可能例の良好な治療成績を基に,海外において縮小手術とSBRT の比較試験がいくつか実施されたが,症例集積不足でエビデンスの構築には至っていない。肝細胞癌に対するSBRT は手術不能例やradiofrequency ablation(RFA)が困難な症例に対する治療として期待されている。現在,多施設での臨床試験が行われており,今後のエビデンスの蓄積が期待される。
-
Source:
癌と化学療法 41巻13号, 2546-2549 (2014);
View Description
Hide Description
近年,陽子線や炭素イオン線による粒子線治療が癌治療に用いられるようになった。粒子線は,体内深部で飛程の終端近くでエネルギーを急激に放出して停止するという特性をもち,側方散乱が少ないため病巣に集中した線量分布を形成できる。この物理的特性に加え,炭素イオン線などの重粒子線は飛程に沿って密に電離を起こすため,X線や陽子線と比較して高い殺細胞効果を示すことから,これまで放射線治療抵抗性と考えられてきた難治性腫瘍の治療成績向上に期待がもたれている。日本においては,重粒子線治療の臨床試験は千葉の放射線医学総合研究所で1994 年に開始され,現在,国内では群馬大学重粒子線医学研究センターを含む4 施設が稼働している。これまでの臨床試験の結果,部位別では頭頸部癌,肺癌,肝癌,前立腺癌,骨軟部腫瘍,直腸癌術後骨盤内再発などで有効であったことが示されており,組織型ではX線抵抗性とされる肉腫,悪性黒色腫や腺癌系の腫瘍に対する有効性が報告されている。一部の疾患では重粒子線治療と手術療法や化学療法と組み合わせた集学的治療も開始されており,将来的には分子標的薬や免疫療法との併用療法も期待される。
-
Source:
癌と化学療法 41巻13号, 2550-2554 (2014);
View Description
Hide Description
小線源治療ではPTV とCTV の差が小さく,究極の高精度治療とされる。高線量率小線源治療では最初アプリケーターを体内に留置して,アプリケーターを留置した状態でCT やMRIを撮像することにより,三次元治療計画が可能となった。これをimage-guided brachytherapy(IGBT)という。IGBTにより,腫瘍や正常臓器のDVHが得られるようになり,また線量制約を満たすforward planningも可能となった。従来の,術者の技術の主観的な評価から客観的評価が可能となり,小線源治療の体系化に有用である。IGBT の技術を使用した,前立腺がん,子宮頸がん,乳がんの小線源治療について述べた。
-
Source:
癌と化学療法 41巻13号, 2555-2558 (2014);
View Description
Hide Description
非密封放射性同位元素を経口的もしくは経静脈的に投与し,親和性の高い組織もしくは腫瘍に取り込ませて放射線治療を行うという治療が,もうすでに半世紀以上続いている。病変部分に選択的に集積され,そこで放射線が投与されるので,その線量分布は外部照射による高精度放射線治療に劣らないと考えられる。その代表は分化型甲状腺癌に対するI-131 治療で,濾胞癌および一部の乳頭癌において用いられている。また,造骨性の骨転移に投与するSr-89や治療抵抗性の低悪性度または濾胞性B 細胞性非ホジキンリンパ腫,マントルリンパ腫などの悪性リンパ腫に用いられるY-90 を使用したイブリツモマブ(ゼヴァリン)も有名である。最近,Ra-223を用いたXofigo(Alpharadin)という製剤にも去勢抵抗性前立腺癌の骨転移治療に期待がもたれている。これらの4 薬剤のうち,骨転移に対しては3 種の薬剤がある。さらに高精度放射線治療の普及によって,特殊な治療方法も適応になってきた。今後ますます集学的治療が用いられるようになっていくと考えられる。
-
原著
-
-
Source:
癌と化学療法 41巻13号, 2571-2575 (2014);
View Description
Hide Description
頭頸部癌において化学放射線同時併用療法は,有害事象として口腔粘膜炎が高頻度でみられる。治療の完遂率を向上するためには口腔粘膜炎の管理が必須であるが,その出現時期についての詳細な報告はない。今回われわれは,頭頸部癌におけるS-1 併用化学放射線療法による口腔粘膜炎の出現時期について後ろ向きに検討を行った。対象は,S-1 併用化学放射線療法を施行した頭頸部癌患者11 例とした。口腔粘膜炎の出現時期は放射線治療開始後13.8±5.6 日目(20.4±8.1 Gy)であり,全例に認めた。また,口腔粘膜炎による疼痛の随伴症状として放射線療法終了までに摂取カロリー減少率24.4±31.1%,体重減少率5.2±5.2%,常食摂取を維持できた日数24.5±17.1 日であり,栄養状態への影響がみられた。口腔粘膜炎の出現時期が明らかになったことは,その重篤化を防ぐために患者自身が口腔ケアを積極的に実施する重要な動機付けとなり,口腔内のモニタリングや疼痛・栄養管理を行う上で必要な指標となり得る。
-
Source:
癌と化学療法 41巻13号, 2577-2582 (2014);
View Description
Hide Description
背景: tegafur-gimeracil-oteracil potassium(TS-1)は進行・再発乳癌において主に三次治療以降に使用される薬剤であるが,臨床効果に関する報告例は少なく,さらにup frontに使用した臨床研究はほとんどない。今回われわれは,進行・再発乳癌に対するTS-1 療法の有効性・安全性を検討した。患者および方法: 2005 年1 月〜2013 年1 月までにTS-1 を導入した進行・再発乳癌46 例をレトロスペクティブに検討した。結果:奏効率30.4%,clinical benefit(CBR)50.0%,time totreatment failure中央値は10.7か月であった。臓器別では局所(46.2%),リンパ節(40.7%),骨(42.9%),肺・胸膜(44.8%)で高いclinical benefitを得られたものの,肝(30.0%)での効果は低かった。臨床病理学的因子との関連においては,2年以上のdisease free interval(DFI)(p=0.039),三次治療までの使用(p=0.022),HER2陰性(p=0.020)およびcapecitabine(CAP)治療歴なし(p=0.049)で有意にRR が高く,内臓転移なし(p=0.032),三次治療までの使用(p=0.019),HER2陰性(p=0.045),CAP治療歴なし(p=0.006)およびtegafur-uracil/doxifluridine治療歴なし(p=0.031)で有意にCBRが高かった。さらに多変量解析の結果,RR において2 年以上のDFI(p=0.035,オッズ比0.104)が独立した効果予測因子であった。有害事象により治療を中止した症例は4例のみであり,忍容性は高かった。結語: TS-1は転移再発乳癌において有効性・忍容性が高く,up frontでの使用によりQOL を維持しつつ,高い臨床効果を上げられる可能性がある。
-
Source:
癌と化学療法 41巻13号, 2583-2586 (2014);
View Description
Hide Description
臨床的に治癒切除不能と診断された進行再発大腸癌に対し,一次治療として施行したS-1+oxaliplatin+bevacizumab(SOX+BV)療法の安全性および有効性について検討した。対象は当科で同療法を3 コース以上施行した大腸癌14 例である。投与方法はBV 7.5 mg/kgおよびoxaliplatin 130 mg/m2を第1 日目に点滴静注,S-1 は40〜60 mgを1日2回2週間内服投与し,以上を3 週間ごとに繰り返した。全例が投与を終了しており,投与回数は中央値9(範囲: 3〜17)コースであった。抗腫瘍効果はCR1 例(7.1%),PR9 例(64.3%),SD 3 例(21.4%),PD 1 例(7.1%)であり,奏効率71.4%,病勢制御率92.9%であった。baseline PD に基づく無再発生存期間は中央値12 か月,RECIST PD に基づく無再発生存期間は中央値10 か月であった。有害事象は,頻度が高いものとして末梢性感覚ニューロパチー100%,倦怠感68.3%,食欲不振57.1%,白血球・好中球減少35.7%などが認められたが,ほとんどはGrade 2 以下でコントロール可能であった。SOX+BV療法は,中心静脈ポートの造設なしでFOLFOX+BV 療法とほぼ同等の抗腫瘍効果が得られ,進行再発大腸癌に対する一次治療として有効な選択肢の一つであると考えられた。
-
Source:
癌と化学療法 41巻13号, 2587-2590 (2014);
View Description
Hide Description
pemetrexed(PEM)は,非小細胞肺癌に対して一次治療,二次治療ともに有効性が認められているキードラッグであるが / 1,2),血中濃度下面積の増加や半減期の延長が生じるため,クレアチニン・クリアランス(Ccr)45 mL/min 未満の患者への投与は,好中球減少などの頻度が上昇するため慎重投与とされている。今回われわれは,Ccr 45 mL/min 未満の腎機能低下患者におけるPEMの重篤な有害事象発現例の患者背景を後方視的に調査した。計38 例のうち,13 例(34%)でGrade 3以上の有害事象(好中球減少,血小板減少,悪心)を認めた。その患者背景はCcr 30 mL/min 未満(p=0.033),非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)の併用(p=0.012)の患者が有意に多かった。よって,Ccr 30 mL/min 未満での PEM の投与,NSAIDsとの併用は,可能な限り避けることが望ましいことが示唆された。
-
Source:
癌と化学療法 41巻13号, 2591-2597 (2014);
View Description
Hide Description
日本人未治療進行前立腺癌患者を対象に,非ステロイド性抗アンドロゲン剤であるflutamide にLH-RH アゴニストを併用する複合アンドロゲン遮断療法(F-CAB併用療法)による有効性を検討した。主要評価項目は全死亡例を対象とした生存期間とし,副次評価項目は原病死例を対象とした生存期間,前立腺特異抗原の低下,抗腫瘍効果,クオリティ・オブ・ライフ(QOL)および副作用発現率とした。観察期間中央値が1,293.5日の時点で,F-CAB 併用療法はLH-RH アゴニスト単独療法に比較して,有意に疾患特異的生存期間および無増悪生存期間を延長した(logrank test: p=0.0343 およびp=0.0017)。本試験の結果から,未治療進行前立腺癌患者を対象としたF-CAB 併用療法の有用性が示されるとともに,本試験結果から示唆された抗腫瘍効果を鑑みると flutamide の投与量は 375 mg/日が妥当であるが,合併症の存在や肝機能障害などの副作用が懸念される場合には250 mg/日も選択肢となり得ると考えられた。
-
臨床研究
-
-
Source:
癌と化学療法 41巻13号, 2599-2602 (2014);
View Description
Hide Description
2011年8 月より,切除不能胆道癌の標準治療として本邦でシスプラチン(cisplatin)+ゲムシタビン(gemcitabine)併用化学療法が使用可能となった。当院で施行した併用化学療法に関する毒性およびコンプライアンスを後方視的に調査ならびに評価を行った。期間は2011年11 月〜2012年7 月まで,cisplatin+ gemcitabine併用化学療法を施行した切除不能胆道癌10 人について検討した。grade 3 以上の血液毒性に関しては,好中球減少3 人,血小板減少2 人,発熱性好中球減少症が3 人に認められた。grade 2 以上の食思不振は多くのヒトに認められた。次コース投与の延期ならびに投与量の減量は8人に認められた。以上より,進行胆道癌患者へcisplatin+ gemcitabine併用化学療法を安全に施行するためには,血液毒性の管理ならびに食思不振の対応に十分な注意が必要である。
-
症例
-
-
Source:
癌と化学療法 41巻13号, 2603-2605 (2014);
View Description
Hide Description
肥満がん患者の抗がん剤投薬量決定に際し,実体重に基づくか標準(理想)体重に基づいて減量するかコンセンサスがない。われわれは,初診時体重132 kgの急性骨髄性白血病患者に対し,実体重に基づき算出した投薬量で寛解導入療法および地固め療法を行った。症例は47 歳,男性。汎血球減少症にて当院受診,急性骨髄性白血病(FAB分類M0)と診断した。初診時身長170 cm,体重132 kg,体表面積2.37 m2,PSや臓器機能はよく,実体重に基づき抗がん剤投薬量を決定した。寛解導入療法を開始し,その後完全寛解となった。続いて地固め療法を4 コース行った。各コースで発熱性好中球減少症を合併したものの,骨髄の回復とともに軽快した。血小板数回復が遷延した2 コース目を除き,4〜5週間隔で化学療法を行い,予定した治療を完遂することができた。米国臨床腫瘍学会(ASCO)のガイドラインは,肥満成人がん患者(特に「治癒」をめざす場合)の投薬量は,実体重に基づいて決めることを推奨している。したがって,肥満による高体重のみを根拠とした安易な減量はすべきでないと考える。
-
Source:
癌と化学療法 41巻13号, 2607-2609 (2014);
View Description
Hide Description
症例は65 歳,女性。約2 か月間続く左胸背部痛と動悸を主訴に前医を受診した。胸部CT で前縦隔腫瘤,縦隔リンパ節腫脹,左胸水,心嚢液貯留を認め,当院に紹介された。気管分岐下リンパ節に対する超音波気管支内視鏡下針生検および全身検索にて胸腺癌(正岡分類Ⅳb期)と診断した。carboplatin(CBDCA)+weekly paclitaxel(PTX)療法を4 サイクル施行後,腫瘍は著明に縮小し,心嚢液減少,左胸水消失を認めた。grade 1 の嘔気,grade 2 の貧血と脱毛以外に重篤な副作用は認められなかった。毒性が少なく,かつ腫瘍縮小効果が得られる治療法として,CBDCA+weekly PTX療法は胸腺癌に対する有用な治療選択肢の一つと考えられた。
-
Source:
癌と化学療法 41巻13号, 2611-2614 (2014);
View Description
Hide Description
多発骨転移を伴う早期胃癌に対して,化学療法で完全寛解(CR)を得られた症例を報告する。症例は70 歳,女性。定期検診の上部消化管内視鏡で早期胃癌の診断となった。腹部骨盤部CT 検査所見では原発巣は示現できず,リンパ節転移や肝転移は認めなかったが,腰椎,腸骨に多発する骨硬化所見を認めた。全身精査で他の重複癌は認めず,MRI,骨シンチグラフィ検査で胃癌の同時性多発骨転移と診断した。S-1+CDDP を15 コースおよびS-1 単剤を5 コース行い,画像上,骨転移がCR となった。化学療法開始33 か月後に,原発巣の胃癌に対して腹腔鏡下幽門側胃切除術,D1郭清を行った。病理診断では,原発巣は組織学的なCR であった。現在,化学療法を開始後48 か月が経過し,骨転移の再燃の所見は認めていない。早期胃癌の同時性骨転移自体が極めてまれであり,また化学療法が奏効した貴重な1例である。
-
Source:
癌と化学療法 41巻13号, 2615-2617 (2014);
View Description
Hide Description
3 重複大腸癌術後の異時性肝転移および腹膜播種再発に対して,外科的切除と化学療法を行うことにより長期予後を得ている1 症例を経験したので報告する。症例は76 歳,男性。下行結腸の3 重複癌に対して結腸左半切除術を施行した。術後30 か月後に認められた多発肝転移と限局性の腹膜播種再発に対し切除術を施行。その後,化学療法XELOXを8コース行った。現在,最終手術から45 か月間,無再発生存中である。腹膜播種を伴った肝転移再発であっても,症例を選択し化学療法を組み合わせることにより積極的な切除を行い,長期生存が得られる可能性を示した。
-
Source:
癌と化学療法 41巻13号, 2619-2622 (2014);
View Description
Hide Description
症例は78 歳,女性。2012年1 月に盲腸癌穿孔,腹膜炎にて手術(回盲部切除術,人工肛門造設術)施行。術後CT にて肝転移を認め,化学療法を行ったが10 月のCT にて右卵巣に径9 cm 大の腫瘤を認め,PET-CTでも原発性または転移性卵巣癌が疑われ,2013年1 月に手術(両側付属器摘出術)施行。病理組織学所見では腺癌を認め,免疫染色ではcytokeratin(CK)7(−),CK20(+)であり,盲腸癌の転移と診断された。
-
Source:
癌と化学療法 41巻13号, 2623-2625 (2014);
View Description
Hide Description
肛門管癌術後局所再発に対して,陽子線治療単独でcomplete response(CR)となり長期生存を得た症例を経験したので報告する。症例は77 歳,女性。70 歳時に肛門管癌に対して腹会陰式直腸切断術施行し,3 か月後に同時性肺転移に対して右肺中葉,右下葉部分切除術施行した。原発切除後1年8か月のCTで内腸骨末梢リンパ節領域に坐骨棘に接する腫瘍を認め,局所再発と診断。小児麻痺の既往(PS 2)があり,過大侵襲を伴う手術は適応外と判断した。そこで,本人希望により陽子線治療[70 Gy(RBE)/25 回/5 週]を施行。照射終了後1 年のCT で腫瘤陰影の消失を認め,CR と判定。陽子線治療後7 年が経過し,無再発生存中である。