癌と化学療法

Volume 42, Issue 6, 2015
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総説
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がんの新規診断・治療標的としてのエクソソームの応用と展開
42巻6号(2015);View Description
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エクソソームは,エンドソームに由来する約40〜200 nm の非常に小さな膜小胞であり,その発見からおよそ30 年経った現在になって実臨床における有用性に期待が高まっている。その理由の一つとしてあげられるのは,この非常に小さな膜小胞のなかにはタンパク質分子だけでなく,mRNA やmicroRNA(miRNA)などの核酸分子をはじめ様々な分子が内包されており,細胞間のコミュニケーションに用いられていることであろう。特に,がん細胞においては細胞間コミュニケーションが重要であることはすでに知られているが,エクソソームはがん細胞がコミュニケーションを取る際に使用するÏ言語Òのような役割を果たしている。がん細胞が発する言葉であるエクソソームの意味を理解することは,がんのバイオロジーの理解だけでなく,新規診断法や治療法の開発など臨床応用にもつながる。本稿では,がんにおけるエクソソームの生物学的意義に加え,その診断・治療への応用の取り組みについて概説する。
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特集
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- 甲状腺癌の治療戦略
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わが国の甲状腺癌診療
42巻6号(2015);View Description
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日本甲状腺外科学会と日本内分泌外科学会は2010 年に甲状腺腫瘍診療ガイドラインを公開した。わが国の甲状腺癌診療の質向上を願ってのことである。甲状腺全摘術の適応や放射性ヨウ素内用療法,そしてTSH 抑制療法など,わが国の医療事情に即した指針が患者の予後と生活の質向上に役立つのか,今後の検証が不可欠である。 -
甲状腺癌の外科治療
42巻6号(2015);View Description
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甲状腺癌の外科治療戦略は組織型によっても大きく異なる。大半を占める乳頭癌では,本邦においては5 cm 以上,N1,EX2,M1などの高リスク群の場合は全摘を,T1N0M0の低リスク群の場合は葉切除を行う。当科ではさらに年齢の予後因子も加えた治療方針を作成している。リンパ節郭清は中央領域は予防的郭清を行うが,外側領域では術前診断がついたもののみ実施する。濾胞癌は微少浸潤型では片葉切除のみ,広範浸潤型では全摘ないし術後補完全摘を選択している。脈管侵襲のある微少浸潤型では補完全摘術を追加するか異論のあるところである。髄様癌,低分化癌,未分化癌,甲状腺悪性リンパ腫についてもそれぞれに異なった方針で対処する。分子標的治療薬や放射性ヨウ素治療との兼ね合いからも外科治療の戦略確立は重要である。 -
甲状腺がんに対する放射線治療
42巻6号(2015);View Description
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甲状腺分化がんにおける131I 内用療法はすでに1940 年代より施行され,確立された治療法であり,生命予後の延長も認められている。一方,体外照射に関しては甲状腺分化がんにおいてその有効性について局所制御では認めるが,生命予後を延長する効果はないとされてきた。これまでは副作用の観点から体外照射はあまり積極的に用いられてこなかったが,放射線治療技術の向上により副作用の軽減や治療効果の向上がみられることから今後が期待される。また,甲状腺未分化がんは極めて予後が悪く,集学的治療によりごくまれに長期生存を得ることができる。甲状腺未分化がんに対する当施設でのhypofractionによる体外照射の治療成績を限定的ではあるが紹介する。 -
甲状腺癌の薬物療法
42巻6号(2015);View Description
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再発を有する甲状腺癌患者がヨード治療不応になった場合は,有効な抗がん剤もなく,予後は限られる。最近,甲状腺癌にも分子標的治療薬の開発が進み,第Ⅲ相試験にてプラセボと比較して統計学的に有意に無増悪生存(PFS)を延長させる報告が相次いでいる。これまで有効な薬剤がなかった甲状腺癌にもようやく新薬が誕生したことは,たいへん喜ばしいことである。しかし,再発を来しても非常にゆっくり増大し,無症状である場合もあり,すべての再発患者が適応になるわけではない。また,副作用も決して軽いとはいえず,投与期間も1 年以上になることもあることから,適切な支持療法の実践,適切な患者教育をしなければ,かえって患者のQOL を悪化させることになる。
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Current Organ Topics:Central Nervous System Tumor: Glioma 脳腫瘍:グリオーマ
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特別寄稿
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家族性大腸腺腫症に対する化学予防
42巻6号(2015);View Description
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大腸癌が国民病となった現在,大腸癌の一次予防の必要性が増してきた。ことに遺伝性の大腸癌は,そのリスクの高さからも化学予防剤の開発が求められる。なかでも家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis: FAP)では,予防的大腸切除により大腸癌による死亡が激減した。しかし,患者のQOL が何らかの形で損なわれることも多かった。有効な化学予防剤が開発されれば,予防的大腸切除の時期を遅らせたり,手術そのものが必要なくなる可能性もでてくるため,患者に対するメリットも大きい。ここでは,FAPに対する化学予防剤開発のこれまでの取り組みおよび今後の展望について述べる。
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原著
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腎機能低下進行非小細胞肺癌におけるPemetrexed単剤療法の検討
42巻6号(2015);View Description
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2009年5 月〜2012年5 月に岐阜大学医学部附属病院において進行非小細胞肺癌に対して,pemetrexed(PEM)単剤療法(維持療法を除く)を施行した27 例を対象に,腎機能低下群[クレアチニン・クリアランス(Ccr)45 mL/min 未満]10例と腎機能非低下群(Ccr 45 mL/min以上)17 例について安全性・有効性を後方視的に検討した。年齢中央値は腎機能低下群78.9歳,腎機能非低下群65.2歳で,腎機能低下群が有意に高齢であった。Grade 3 以上の好中球減少は,腎機能低下群30%,腎機能非低下群6%で認め,腎機能低下例では好中球減少症の頻度が高く,投与の際は減量を検討するなど注意が必要と考えられた。非血液毒性は両群間で差は認めなかった。治療関連死は認めず,血液毒性・非血液毒性ともに忍容可能であった。治療効果については,病勢制御率および無増悪生存期間中央値は腎機能低下群ではそれぞれ60%,2.8か月,腎機能非低下群では70%,2.9か月であり,腎機能低下群でも非低下群とほぼ同等の効果が得られた。 -
乳癌補助化学療法としてのTC 療法の副作用発現に関する検討
42巻6号(2015);View Description
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海外ではUS Oncology 9735 試験が実施され,非anthracycline 系レジメンであるTC 療法(docetaxel+cyclophosphamide)の有用性が示されたことにより,早期乳癌に対する術後補助療法としてTC 療法に対する期待は大きい。2008年8 月〜2009 年11 月までに当科にてTC 療法を施行した乳癌患者38 例を評価対象とし,副作用発現に関して検討した。TC療法は皮疹,浮腫に対する適切なマネージメントができれば外来にて継続可能な治療と考えられた。 -
HER2 陽性進行再発乳癌に対するペルツズマブの有効性と安全性の検討
42巻6号(2015);View Description
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ペルツズマブはトラスツズマブとドセタキセルとの併用療法によって,トラスツズマブとドセタキセルのみの対照群と比較して前治療歴のないHER2 陽性転移・再発乳癌の無増悪生存期間(PFS)および全生存期間を有意に延長したことが報告され(CLEOPATRA 試験),本邦でも2013 年に使用が承認された。本稿では2013 年9 月〜2014 年8 月までに当院でHER2 陽性進行再発乳癌に対し,ペルツズマブの投与を受けた10 例を対象にその有効性および安全性について報告する。年齢中央値は52(45〜66)歳,ER(+)7 例,ER(−)は3 例であった。転移・再発乳癌に対して前治療歴のない症例は6 例,他は比較的前治療歴の多い症例であった。8 例はペルツズマブ,トラスツズマブとドセタキセルの併用で開始したが,2 例はペルツズマブとトラスツズマブで開始した。部分奏効4 例,安定(SD)6 例,6 か月以上のSD 3 例,奏効率40%,臨床的有効率70%,PFS中央値は7.3(2.5〜11.5)か月であった。有害事象はGrade 1〜2 がほとんどであったが,Grade 3 の好中球減少1 例,Grade 3 の過敏症を2 例認めた。いずれにおいてもGrade 4 の有害事象は認めず,忍容性は良好であった。今後,さらなるデータの集積やペルツズマブの新たな治療戦略に期待する。 -
フルダラビン・ブスルファンによる骨髄非破壊的前処置における移植関連死亡の検討―単施設後方視的解析―
42巻6号(2015);View Description
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骨髄非破壊的前処置(RIC)により同種造血幹細胞移植は,合併症をもつ患者や高齢者においても治癒を期待し得る手段の一つとなったが,一定の移植関連死亡や再発が生じ得る。2005 年1 月〜2012年12 月に当院で施行したRICを用いた同種造血幹細胞移植37 例を後方視的に解析した。全例がfludarabine(FLU)180 mg/m / 2,busulfan(BU)静注6.4 mg/kgまたは内服8 mg/kgと全身放射線照射(TBI)(0〜4 Gy)の前処置で,graft-versus-host disease(GVHD)予防はcyclosporine/tacrolimusと短期methotrexateを用いた。ドナーは血縁末Î血4 例,血縁骨髄8 例,非血縁骨髄25 例。基礎疾患は様々で,27例が標準リスクであった。day 7 で腫瘍死した1 例を除き,全例が生着した。観察期間中央値は28.5 か月で,1 年・5年の移植関連死亡率は13%・20%であった。移植関連死5 例中,急性GVHD 2 例,間質性肺炎・閉塞性気管支炎・肺炎を1例ずつに認めた。FLU/BU によるRIC は,生着や移植関連死亡率から考えると安全に実施し得るが,移植後合併症の低下に向け改善の余地がある。 -
肺がん患者におけるカルボプラチンを含む化学療法に対するアプレピタント使用前後の制吐効果の検討
42巻6号(2015);View Description
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NK1受容体拮抗薬であるアプレピタントは,高度催吐リスク化学療法による急性および遅発性の悪心・嘔吐に対し,従来の制吐療法に追加投与することが,ASCOなどの制吐療法ガイドラインで推奨されている。一方,中等度催吐リスク化学療法に対するアプレピタントの有効性を検討した報告は少ない。そこで今回,カルボプラチンを含む化学療法を施行した肺がん患者を対象として,5-HT3受容体拮抗薬およびデキサメタゾンを予防投与したにもかかわらずCINV を発現した症例に,次のコースでアプレピタントの追加投与を行い,制吐効果を検討した。その結果,全期間の嘔吐発現率が59%から0%,悪心発現率が91%から64%と有意に低下した。また,全期間の食事摂取量においても有意な改善がみられた。以上の結果から,カルボプラチンを含む化学療法を施行した症例のうち,悪心・嘔吐のコントロールが不十分な症例に対して,アプレピタントを追加投与することは,より優れた制吐効果が得られることが示唆された。
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症例
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S-1療法2コースによりpCR が得られた進行胃癌の1 例
42巻6号(2015);View Description
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症例は77 歳,男性。心窩部痛で近医から紹介。上部消化管内視鏡検査にて胃幽門前庭部後壁に進行胃癌を認めた。腹部CT 検査では胃幽門前庭部周辺のリンパ節腫大を認めるも,遠隔転移は認めなかった。手術を勧めるが拒否され,抗癌剤治療を希望された。S-1による抗癌剤治療を開始した。2 コース終了後に貧血による怠感と頻回の嘔吐を認めた。上部消化管内視鏡検査にて幽門狭窄所見と胃癌の縮小を確認した。幽門狭窄症のため幽門側胃切除術,D2 郭清を施行した。切除病理組織標本では切除胃,リンパ節に遺残する癌細胞は認めなかった。 -
化学療法が著効した慢性腎不全を伴う進行胃癌の1 例
42巻6号(2015);View Description
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慢性腎不全で7 年前より血液透析中の80 歳,女性が,便潜血陽性で当科に紹介された。2 か所の結腸癌と胃癌が診断された。腹腔鏡下手術時に胃癌の肝転移と腹腔内播種が確認され,胃癌は切除しないで横行結腸切除とS 状結腸切除が施行された。術後,胃癌に対してヒトアルブミン結合型パクリタキセル(アブラキサン(R))と tegafur/gimeracil/oteracil合剤(TS-1(R))が1 年間投与された。投与に先立ち,TS-1(R)40 mgの投与での5-FU 血中濃度が測定された。1 年投与後,上部消化器内視鏡検査と腹部dynamic CT で胃癌の原発部と肝転移巣が消失し,化学療法終了後6 か月経過するが再燃を認めていない。進行胃癌ではCDDPやCPT-11,5-FU 製剤,PTX,DTXが投与されるが,このうち肝で安定に代謝されるのは5-FU 製剤,PTX,DTX で,CPT-11は個人差がある。慢性腎不全を有する進行胃癌の患者には化学療法施行が難しいが,薬理作用を詳細に検討し積極的な抗癌剤治療を行えば,自験例のようにQOLを害さず良好な予後が得られる可能性が示唆された。 -
癌性リンパ管症併発を疑うスキルス胃癌に対し化学療法にてCR 後根治切除し長期生存中の1 例
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症例は58 歳,女性。癌性リンパ管症を伴うスキルス胃癌に対し,S-1+CDDP 化学療法10 コース施行しCR を得た。3 年6 か月後に根治切除施行。切除標本の病理結果はtub2>por,pT1a,N1(No. 7),M0,CY0,P0,HER2(3+)であった。その後,鎖骨上窩リンパ節再発を来し,trastuzumab+capecitabine併用化学療法施行。1 年6 か月,画像上病巣は認めていない。切除不能スキルス胃癌に対しても長期にわたる化学療法,手術治療など集学的治療が有用であると考えられた。 -
進行大腸癌に対してSOX+Bevacizumab併用療法が有効であった1 例
42巻6号(2015);View Description
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進行・再発大腸癌に対して新たにSOX 療法,またbevacizumab(BV)を併用したSOX+BV 療法が使用されるようになった。今回,当院で初めてSOX+BV 療法を使用した症例を経験した。症例は69 歳,女性。回盲部に狭窄を伴う全周性腫瘍,多発肝転移,肺転移,腹膜播種を認めた。結腸切除の後,SOX+BV 療法を開始したところ肺転移はほぼ消失し,肝転移も縮小した。軽度の食欲不振,下痢を認めたが,投与量の調整で治療の長期的継続が可能であった。SOX,SOX+BV 療法は適正な使用により患者にとって効果とともに認容性も高く,今後は進行・再発大腸癌における化学療法の選択肢の一つとして有用であると考える。 -
直腸巨大絨毛腺腫に癌を合併し広範なリンパ節転移を認めた1 例
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症例は72 歳,男性。下部消化管内視鏡検査にて,直腸S 状部(RS)から下部直腸(Rb)にかけて顆粒状隆起が集簇した全周性の絨毛病変を認めた。また,その中央部の赤色調粗大結節には腺癌の合併を認めた。腹腔鏡補助下括約筋間直腸切除術(ISR)+D3郭清を施行し,病理診断では主リンパ節も含めた多発リンパ節転移を認めた。XELOX による補助化学療法を施行したが,術後6 か月目のCT・PET 検査にて領域外となるS 状結腸間膜内のリンパ節に転移再発を認め,新たにFOLFIRI ベースの化学療法を開始した。術後9 か月目には大動脈周囲・側方リンパ節に,11 か月目には左鎖骨上リンパ節にも転移を認めた。今回われわれは,巨大絨毛腺腫の一部に癌を合併し広範なリンパ節転移を来したまれな症例を経験したので報告する。 -
Paclitaxel, Bevacizumab併用療法により長期生存が得られた乳癌術後癌性胸膜炎の1 例
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乳癌術後癌性胸膜炎に対してpaclitaxel(PTX)+bevacizumab(BEV)併用療法が著効し,長期生存が得られた症例を経験した。症例は61 歳,女性。乳癌手術より3 年6か月経過し,癌性胸膜炎の診断となった。胸水穿刺後PTX+BEV 併用療法を開始,投与後よりCEAの著明な減少を認め,画像検査では改善が確認された。6 サイクル実施後,さらにPTX 3 サイクルを単剤で追加し,ホルモン療法へ薬物療法を変更した。併用療法開始後より2 年4か月経過した現在,胸水の再貯留は確認されていない。癌性胸膜炎に対してPTX+BEV 併用療法が有効であり,長期生存が得られる可能性が示された。 -
全脳照射およびLapatinib・Capecitabine併用療法が奏効したHER2 陽性乳癌多発脳転移の1 例
42巻6号(2015);View Description
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症例は48 歳,女性。多発肝転移を伴ったHER2 陽性・ホルモン感受性陰性の乳癌患者である。FEC 6 サイクル施行後,docetaxel+trastuzumab(TZB)の併用療法を行い,肝転移はCR の状態が維持されていた。15 サイクル施行後にめまいと嘔気が出現し,精査にて多発脳転移を認めた。全脳照射(33.6 Gy)とともに,lapatinib(LAP 1,250 mg/day,連日経口投与)・capecitabine(CAP 2,000 mg/m / 2day,2週連日経口投与1 週休薬を1 サイクル)併用療法に変更した。6 週後のMRIにて,脳転移の著明な縮小が確認された。以後,1 年7 か月後の現在まで臨床的完全寛解が得られている。TZB 治療中の脳転移が問題とされるなかで,LAPは分子量が小さく血液脳関門(blood-brain barrier)を通過することが知られており,LAP・CAP併用療法はTZB の効果が及ばない乳癌脳転移に対して有力な治療法になり得ると考えられた。 -
成人Still病様皮疹を合併した急性リンパ性白血病の1 例
42巻6号(2015);View Description
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症例は 62 歳,女性。2010 年 4 月に B 細胞性急性リンパ性白血病(B-ALL)を発症し,rituximab併用 hyper-CVAD/MA療法により完全寛解となった。2011年12 月にALL再発のため,rituximabを併用したJALSG ALL202プロトコールにより再寛解を得た。2012年7 月より発熱と皮疹のため再診となり,咽頭発赤と頬部・後頸部・上腕に境界不明瞭な紅斑を認めた。血清フェリチンとtumor necrosis factor(TNF)-a,CRP の高値,腹部CT で軽度肝脾腫を認め,成人Still 病様の病態であると判断し,8 月より副腎皮質ステロイド療法にて緩解した。9 月にALLの第二再発を認め,JALSG ALL202プロトコールにて再寛解したが,2013 年4 月にALL の第三再発のため永眠された。本症例は,ALLの寛解期に一致して成人Still病様皮疹が顕性化した。 -
白血球除去療法が奏効した慢性骨髄性白血病急性転化に伴う呼吸不全
42巻6号(2015);View Description
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白血球数 10×10 4/ mL 以上の白血球増多症を認めた場合,肺あるいは中枢神経系に白血球停滞を生じ,死に至る例が多い。このような症例に対して,速やかな白血球除去療法が有効という報告がある。今回,慢性骨髄性白血病急性転化における白血球停滞に伴う呼吸不全に対して,白血球除去とイマチニブ併用療法が奏効した1 例を経験したので報告する。
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