癌と化学療法

Volume 42, Issue 9, 2015
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総説
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リンパ球を用いたがん治療は,今―リンパ球はがん細胞を知っているのか―
42巻9号(2015);View Description
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interleukin-2(IL-2)の実用化に伴って可能となった活性化自己リンパ球移入療法(adoptive cell therapy: ACT)は,数々の工夫と創意の下に変遷を重ねてきた。再生医療新法の成立を受け,培養施設やプロトコールおよび研究組織が審査されて安全性が確保されるとともに,今後はtumor-infiltrating lymphocytes(TIL),cytotoxic T lymphocytes(CTL),naturalkiller T(NKT),gdT 細胞療法が先進医療として評価されていく。治験や早期承認制度を経て承認される日が期待される。一方,抗原受容体遺伝子がクローニングされ,遺伝子導入によって抗原特異性を付与した抗原受容体遺伝子改変リンパ球chimeric antigen receptor gene-modified T(CAR-T),T cell receptor gene-modified T(TCR-T)細胞を用いたACT が注目されている。顕著な有効性とともに有害事象も明らかとなり,抗原選択の重要性が課題となっている。リンパ球は間違いなくがん細胞を知っている。今後はTIL,変異抗原をキーとした個別化ACTへの展開が期待される。
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特集
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- がん研究―基礎と臨床の融合
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癌細胞を標的とした癌治療
42巻9号(2015);View Description
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癌治療を困難にしていることの理由の一つに癌の多様性がある。近年,この多様性を説明するものとして癌幹細胞モデルが注目されている。癌幹細胞は正常組織における幹細胞と同様に自己複製能と多分化能を有するものとされ,その存在が白血病や脳腫瘍,膵癌,胃癌,大腸癌など多くの悪性腫瘍性で報告されるようになってきている。本稿では癌幹細胞に対する最近の知見について限定的ではあるが紹介する。 -
がん免疫療法に資する免疫核酸医薬を基盤としたアジュバントの開発
42巻9号(2015);View Description
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1991年のがん抗原の発見により,がん免疫療法の開発研究が急速に発展し,がんワクチンの開発も精力的に進められてきた。しかしながら,自己の蛋白由来であるがん抗原やペプチドのみを投与しても期待されるほどの効果が得られず,有効症例も少ないのが現状である。近年,より効果的な新規ワクチン開発のために自然免疫応答を活性化するアジュバントが注目されている。そのなかでもCpG オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)などの免疫核酸医薬は,強力な自然免疫活性化能を有していることからその期待も大きい。これまでに多種多様のアジュバントの開発研究が行われており,ペプチドワクチンを含むがんワクチンの効果を増強させることに成功している。いくつかのアジュバントはそれ自身で抗腫瘍活性を有しており,ワクチンアジュバントとしてのみではなく,単剤での抗腫瘍薬としても期待されている。さらには,近年注目されている免疫チェックポイント阻害薬との併用療法も検討されており,核酸医薬はがん免疫療法において大きな可能性を有している。本稿では,免疫核酸医薬の特にCpG ODN のがん免疫療法剤としての可能性について述べる。 -
がん分子標的療法と免疫療法の融合
42巻9号(2015);View Description
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分子標的療法と免疫療法は作用機序が異なること,前者は即効性,後者は遅効性であることから,互いに補い合い併用効果が期待できる。また,分子標的薬は免疫細胞にも作用し得ることから,両療法の相乗効果も期待できる。抗腫瘍免疫反応は複数のステップからなり,これらの各ステップに作用する分子標的薬が報告されている。今後,分子標的療法と免疫療法の合理的な併用を行うとともに,併用によって新たに起こる副作用に注意しながら臨床試験を進めることにより,がん治療が格段に進歩することが期待される。
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Current Organ Topics:Upper G. I. Cancer 食道・胃癌
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原著
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アフェレーシス検体から血中循環癌細胞の分離,培養の試み
42巻9号(2015);View Description
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多くの血中循環腫瘍細胞(CTCs)を分離するため,樹状細胞ワクチン療法の際に行われる成分採血(アフェレーシス)にて得られる大量の血球成分に着目した。樹状細胞ワクチン療法を行った大腸癌7 例,乳癌5 例,胃癌3 例を対象とし,アフェレーシスで末n単核球分離後,残りの血球成分よりCTCs の分離を試みた。CTCs の同定,分離はCellSearchシステムを用いた。すべての症例においてCTCs が検出され,その平均は大腸癌17.1(10〜34)個,乳癌10.0(2〜27)個,胃癌24.0(2〜42)個であった。また,大腸癌1 例,乳癌2 例,胃癌1 例においてCTCs の培養が可能であり,免疫組織学的染色にてサイトケラチン発現が確認された。アフェレーシス検体から得られた血球成分のなかから,多くのCTCs を分離することが可能であった。今後は本検体を用いることでCTCs の分子生物学的解析のみならず,CTCs の抗癌剤感受性試験の可能性も期待される。 -
口腔癌化学療法(TPF療法)後の好中球減少症に対するフィルグラスチムBS1の臨床的検討
42巻9号(2015);View Description
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口腔癌に対してdocetaxel,nedaplatinあるいはcisplatin の白金製剤(5 日間分割投与),5-fluorouracil 3 剤併用術前化学療法(TPF 療法)を実施した後,好中球減少を来した患者を対象に,G-CSF製剤としてフィルグラスチムBS1あるいはレノグラスチムを皮下投与し,好中球の回復期間に関して両剤を比較検討した。1.化学療法後の白血球および好中球数の最低値には有意な差はなかった。2.化学療法後の白血球および好中球数の最高値には有意な差はなかった。3.化学療法後および最低値からの白血球数(>4,000/mm3)あるいは好中球数(>2,000/mm3)の回復期間および投与日数は,フィルグラスチムBS1 群のほうが短い傾向にあった。以上より,フィルグラスチムBS1は化学療法(TPF療法)後の好中球減少症の治療に,他の先行G-CSF 製剤同様に有用であると考えられた。 -
C 型肝硬変合併肝細胞癌に対する経皮的動脈化学塞栓療法におけるデクスメデトミジン鎮静の安全性と実行可能性
42巻9号(2015);View Description
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背景: 中枢性a2 受容体作動性の鎮静剤であるデクスメデトミジン(プレセデックス®)は,2013 年6 月に「局所麻酔下における非挿管での手術および処置時の鎮静」に対して追加承認された。デクスメデトミジンは,肝機能障害のある患者に対しては代謝が遅延するために慎重投与となっている。目的:肝機能障害を有する患者に対する経皮的動脈化学塞栓療法におけるデクスメデトミジンを用いた鎮静の安全性と実行可能性の評価。方法:関西医科大学附属滝井病院において施行されたC 型肝硬変を合併した肝細胞癌に対する経皮的動脈化学塞栓療法の連続30 症例。男性23 例,女性7 例。年齢74±5.9(中央値: 73)歳。体重62.7±12.3(中央値: 58.9)kg。Child-Pugh A 23 例,Child-Pugh B 7 例。血管造影室の前室からデクスメデトミジンの投与を開始。3 mg/kg/時×15 分間の初期負荷投与が終了後,0.4 mg/kg/時で維持投与を行った。必要に応じて維持投与量を増減した。鎮静レベルはRamsay スコアで評価した。結果: 30 例全例でデクスメデトミジン鎮静による経皮的動脈化学塞栓療法は施行可能だった。30 例中 27 例で 0.4 mg/kg/時の維持投与量で手技を完遂した。3 例で手技中に体動があったため,0.6 mg/kg/時へ維持投与量を増加させた。デクスメデトミジンの投与時間は82±30(中央値86)分だった。手技終了時のRamsayスコアは29 例で3 点,1 例で5点だった。終了時にRamsayスコアが5 点であった症例は,デクスメデトミジン投与中止後に速やかに覚醒した。1 例で初期投与時の点滴漏れ,1 例に覚醒時の嘔吐,1 例では覚醒時の回転性めまいが生じた。結語:肝機能障害を有する患者に対する経皮的動脈化学塞栓療法におけるデクスメデトミジンを用いた鎮静は,安全に実行が可能だった。 -
乳癌術後補助化学療法FEC-DOC 療法において投与順序変更による有害事象の比較
42巻9号(2015);View Description
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浸潤性乳癌の術後補助化学療法として,アンスラサイクリン系とタキサン系薬剤を順次投与するレジメンが確立されている。しかし,投与順序が効果や副作用に与える影響に関しては明らかではない点が多く,タキサン系先行によって副作用が軽減されたという報告もある。当院では再発高リスク症例に対し,5-FU,EPI,CPA(FEC)→ドセタキセル(DOC)を行っていたが,2013 年1 月からDOC の副作用軽減を目的に投与順序を逆にする試みを開始した。今回,投与順序が与える影響を明らかにするため,2012年1 月〜12月にFEC→DOC の順で行った46 例(AT群)と,2013 年1 月〜12月にDOC→FEC の順で行った42 例(TA群)の,それぞれのrelative dose intensity(RDI)と有害事象について後方視的検討を行った。FEC による血液毒性と発熱性好中球減少症(FN)の発現率は同等であり,RDIもAT 群0.98,TA 群0.94 で有意差はなかった。DOC によるGrade 2 以上の手足症候群(HFS)は,AT 群25 例(54%)に対しTA 群14 例(33%)であり,AT群で高率に出現していたが(p<0.05),RDI はそれぞれ0.97,0.95 で有意差はなかった。両群に共通して,DOCの投与減量・延期・中止の理由は皮膚障害が最も多く,特にHFS は冬季(11〜2 月)に実施した症例に増悪する傾向があった(p<0.05)。
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調査報告
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ホスピス・緩和ケア病棟の入院予約と外来機能に関する全国実態調査
42巻9号(2015);View Description
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緩和ケア病棟の入院予約と外来機能の実態を把握するための全国調査を行った。緩和ケア病棟243 施設のうち18%が「抗がん治療中の患者の入院予約は行わない」と返答した。外来機能がある施設は82%であった。利用できるまで11 日以上の待ち時間がある施設が20%以上あり,希望した全員が入院できている施設は10%であった。希望するがん患者が緩和ケア病棟を利用しやすくなる体制について,がん治療医と緩和ケア医で話し合う必要がある。
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症例
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Gefitinib奏効後の再発に対してS-1単剤治療が著効した高齢者肺腺癌の1 例
42巻9号(2015);View Description
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症例は83 歳,女性。肺腺癌,cT3N3M1a,Stage Ⅳの診断となった。高齢であり,一次治療としてvinorelbine(25mg/m 2,day 1・8,静注)単剤治療を行うも腫瘍病変の増悪を認めた。gefitinib(250 mg/day,分1,経口)を投与し,約16か月間の長期間,病変の制御が維持された。増悪後,S-1(80 mg/day,分 2,経口)単剤治療にて,再び著明な腫瘍縮小効果を認めた。gefitinib およびその後のS-1 単剤治療により高齢者ながら約27 か月の長期生存が得られ,S-1 治療がgefitinib耐性化後の後治療として有用である可能性が考えられた。 -
80歳以上の非小細胞肺癌に毎週投与のNanoparticle Albumin-Bound Paclitaxel単剤治療により完全奏効を維持できている2 症例
42巻9号(2015);View Description
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症例1: 86 歳,男性。気管支鏡による擦過細胞診で平上皮癌もしくは大細胞癌が示唆され,cStage ⅡA と診断された。docetaxel単剤,vinorelbine(VNR)単剤,S-1内服を行い,partial response(PR)を得られた。その後,nanoparticlealbumin-bound paclitaxel(nab-PTX)を用いて4 コース目でcomplete remission(CR),計15 コース投与しCR を維持できている。症例2: 79 歳,男性。右肺下葉部分切除術施行,病理診断は大細胞癌,pStageⅠAであった。3 年後,肺内転移,多発リンパ節転移を認め,83 歳からVNR 単剤による治療を4 コース行い,PR であった。血管炎のためnab-PTXに変更した。3 コース施行後CR,その後も計12 コース投与しCR を維持できている。高齢者非小細胞肺癌の二次治療以降で,nab-PTX単剤治療は有力な選択肢の一つになり得る。 -
術前化学療法により原発巣の完全消失を得たが術後早期に傍大動脈再発を来した進行食道癌の1 例
42巻9号(2015);View Description
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症例は78 歳,男性。嚥下困難を主訴に他院で食道癌と診断され,当科に紹介。門歯列から36 cm を中心としたLtAeGに3 型腫瘍を認め,No. 3 リンパ節に転移あり,cT3N1M0,cStage Ⅲの診断。5-FU+nedaplatin による術前化学療法を2コース施行後,cPR と判断し根治手術を施行した。病理結果では原発巣に癌細胞の遺残を認めず,No. 3 リンパ節の1 個にのみviable な癌細胞を認めた。補助療法は行わなかったが,術後3 か月に腹部傍大動脈リンパ節再発を認めた。その後,化学療法を行うも術後7 か月で原病死した。術前化学療法により原発巣が完全消失(pCR)しても,リンパ節に遺残を認める症例は早期再発の可能性があり,術後補助療法の適応も検討すべきと考えられた。 -
DCF 療法による導入化学療法と化学放射線療法が著効した高度進行食道癌の1 例
42巻9号(2015);View Description
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cT4 食道癌においては化学放射線療法(CRT)が標準療法とされるが,その生命予後は不良である。今回われわれは,気管狭窄を伴うcT4 頸部食道癌に対して導入化学療法後のCRT が著効した症例を経験したので報告する。症例は61 歳,女性。呼吸苦および嗄声を契機に,切除不能高度進行頸部食道癌(cT4N2M0,cStage Ⅳa)と診断された。DCF 療法による導入化学療法を2 コース施行し,著明な腫瘍縮小を得た後にCRT を施行した。CRT 施行後,weekly PTX療法を7 か月,S-1投与を5 か月継続したがCR を維持したため,以降は無治療で経過観察している。治療開始から22 か月にわたり無増悪生存中である。導入化学療法後のCRT は,本症例のような高度進行食道癌に対する有効な治療法となり得るものと考えられた。 -
尋常性乾癬治療中に再発した肝細胞癌にソラフェニブが奏効したWilson病の1 例
42巻9号(2015);View Description
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症例は55 歳,男性。19 歳時にWilson病と診断され,D-ペニシラミンによる治療が開始となった。35 歳から尋常性乾癬にてシクロスポリンの投与を受けていた。2012年,肝細胞癌(HCC)に対し肝部分切除術を施行した。2014 年に腰背部痛があり,腹部造影CT 検査にて肝後区域に右門脈腫瘍栓を伴う多発腫瘍を認めた。多発再発HCC と診断し,ソラフェニブによる治療を開始した。ソラフェニブ開始後も,D-ペニシラミンとシクロスポリンは継続投与した。ソラフェニブ開始3 か月後と6 か月後に施行した造影CT 検査では,肝後区域の腫瘍と門脈腫瘍栓は著明に縮小していた。ソラフェニブ投与開始後9 か月現在,尋常性乾癬とWilson病の症状は悪化なく,ソラフェニブによる治療を継続している。 -
肝細胞癌肝外転移巣に対し集学的治療を行い長期生存した1 例
42巻9号(2015);View Description
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症例は38 歳,男性。肝右葉を占拠する巨大肝細胞癌(HCC)の診断にて肝右葉切除術を施行。術後4 か月で残肝再発および右肺転移を認めた。肝内再発が肝動脈化学塞栓術(TACE)不応であったため肝切除を行い,その後ソラフェニブを開始。1 年後に肺転移巣の増悪および縦隔リンパ節転移を認めたため,これらを切除した。その7 か月後に腹腔内傍大動脈リンパ節転移を認め,摘出。さらに3 か月後には右鎖骨上窩リンパ節転移を認めたが,粒子線治療により完全寛解を得た。その1 年後には両肺に1 か所ずつ転移巣が出現したため,再度病変を切除。さらに6 か月後に左副腎転移を認め,摘出。現在,初回手術より4 年6か月経過したが,明らかな再発なく経過している。肝外転移巣の治療はソラフェニブが第一選択であるが,本症例のように積極的に外科的切除を追加することで長期生存を得る可能性が示唆された。 -
再発乳癌に対する化学療法により再活性化したB 型肝炎の1 例
42巻9号(2015);View Description
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B 型肝炎ウイルス(HBV)の再活性化は化学療法後の合併症として重要であり,致死的な重症肝炎を発症し得ることが知られている。症例は72 歳,女性。35 歳時に左乳癌に対し定型的乳房切除術を施行。2008年1 月遠隔再発を認め,化学療法を開始した。fourth-lineとしてS-1を選択したが,7 コース時にgrade 3 の貧血を生じ,輸血療法が行われた。輸血後5か月で肝機能マーカーの上昇とHBs 抗原陽性が判明し,輸血後肝炎が疑われた。しかし,輸血前の保管検体からもHBVDNA陽性が判明したため,既往感染からの再活性化型肝炎(de novo B 型肝炎)と診断された。HBV 既往感染症例では化学療法を安全に行うために,再活性化リスクの認識とガイドラインに沿った適切な対応が必要である。 -
Bevacizumab併用化学療法により腹水が著明に改善した上行結腸癌の1 例
42巻9号(2015);View Description
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症例は68 歳,女性。腹部膨満を主訴に2010 年7 月に当院を受診した。腹部CT にて著明な腹水貯留と腹腔内の巨大腫瘍を認め,精査の結果,上行結腸癌による癌性腹膜炎・左卵巣転移と診断した。双孔式回腸人工肛門造設術を施行後,panitumumab+mFOLFOX6 療法を施行したが,有害事象を認めたため中止となった。腹水の著明な増加のため,二次治療としてbevacizumab(BV)+FOLFIRI併用療法を施行した。BV 併用療法後,原発巣および転移巣の縮小は認めないものの腹水の著明な減少を認め,qualityof life(QOL)の改善が得られた。BV はvascular endothelial growth factor(VEGF)による血管透過性亢進を阻害することで,腹水減少に関与すると考えられた。 -
妊娠合併子宮頸癌ⅠB 期の管理
42巻9号(2015);View Description
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診断妊娠週数・患者の挙児希望から異なる対応を必要とした妊娠合併子宮頸癌ⅠB 期4 例を経験したので報告する。症例1: 29 歳,未経産。妊娠7 週に紹介され,妊娠12 週に子宮頸部円錐切除術を施行した。子宮頸癌ⅠB1期と診断確定したが,患者の強い妊娠継続希望のため妊娠29 週まで継続し,帝王切開同時広汎子宮全摘術を施行した。症例2: 26 歳,1 回経産。妊娠23週に紹介され,子宮頸癌ⅠB1 期と診断した。妊娠期間を5 週間延長し,妊娠28 週に帝王切開同時広汎子宮全摘術を施行した。症例3: 36 歳,7 回経産。妊娠18 週に子宮頸癌ⅠA期の疑いで紹介され,妊娠21 週に人工妊娠中絶同時準広汎子宮全摘・骨盤リンパ節郭清術を施行し,術後の病理学的診断結果でⅠB1期と診断した。症例4: 33 歳,2 回経産。妊娠30週に紹介され,子宮頸癌ⅠB2 期と診断した。妊娠31週に帝王切開同時広汎子宮全摘術を施行した。 -
CV カテーテルが抜去不能であった2 症例
42巻9号(2015);View Description
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皮下埋没型中心静脈ポート(以下CV ポート)が抜去困難であった2 症例を経験したので報告する。症例1 は50 歳台,女性。急性リンパ球性白血病の治療のため,約11 年間CV ポート挿入。症例2 は80 歳台,男性。下顎歯肉癌の治療のため,約6年4か月間CV ポート挿入。いずれの症例も左前腕から挿入されたカテーテルが静脈と強く固着しており,抜去困難であった。CVポートの抜去困難な症例に対する対処法につき,文献的考察を加え報告する。
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