Volume 40,
Issue 11,
2006
-
扉・目次
-
-
Source:
治療学 40巻11号, 1155-1157 (2006);
View Description
Hide Description
-
序説
-
-
間質性肺炎
-
Source:
治療学 40巻11号, 1159-1163 (2006);
View Description
Hide Description
「びまん性」という言葉は胸部 X 線写真における陰影の拡がりが左右両側,上下肺に及ぶ多彩な病態を包含する。もちろん画像上は感染症や腫瘍性病態もありうるが,「びまん性肺疾患」は炎症性肺疾患を中心とする病態をさす。現在の理解では,原因の明らかな間質性肺炎,特発性間質性肺炎(すなわち原因の不明なもので,中心となる特発性肺線維症とそれ以外の 6 種の病態が含まれる),肉芽腫性びまん性肺疾患,それ以外の遺伝性あるいは病態の明らかでない肺疾患に分けられている(図 1)1)。多くの場合,間質性肺炎は原因不明として扱われるが,その鑑別上,原因の明らかな間質性肺炎を除外する必要がある。したがって原因の明らかな間質性肺炎の十分な理解があって,特発性間質性肺炎が診断しうる。本特集を取り上げた理由は,これに加えて,近年,環境・職業誘発性間質性肺疾患や,薬剤性間質性肺炎の増加が危惧されているからである。
-
特集
-
-
Source:
治療学 40巻11号, 1165-1168 (2006);
View Description
Hide Description
-
膠原病性間質性肺炎
-
Source:
治療学 40巻11号, 1169-1173 (2006);
View Description
Hide Description
膠原病は全身性自己免疫性炎症性疾患である。おもな病変部位は全身の血管,結合組織であり,これらが豊富に分布する呼吸器(気管支,肺,胸膜)はしばしば膠原病固有の病態による病変を示す。膠原病のサブセットには,全身性エリテマトーデス(SLE),皮膚筋炎,多発性筋炎,強皮症,シェーグレン症候群,関節リウマチ,混合性結合組織病,抗リン脂質抗体症候群,抗アミノアシル tRNA 合成酵素抗体症候群などがある。膠原病固有の肺病変としては,表 1 に示すような多種多様な病変がある。それぞれのサブセットでの出現頻度の特徴もみられる(表 2)。本稿では,膠原病の肺病変のなかでも,病態の中心が線維化である間質性肺炎と血管炎に焦点をおくこととする。膠原病性間質性肺炎についての理解は,特発性間質性肺炎との比較からはじめることで理解しやすくなり,問題点も整理される。
-
Source:
治療学 40巻11号, 1175-1179 (2006);
View Description
Hide Description
関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)は,代表的な自己免疫疾患の一つである。RA における呼吸器系の病変(表 1)の特徴は,上気道,下気道,肺実質,胸膜にいたるさまざまな部位に病変が生じうることであり,とくに気道病変が多彩であることが,他の膠原病における呼吸器系の障害との相違である1)。さらに,肺の間質性病変も種々の病理学的パターンを呈し,そのパターンにより,病変の程度や進行具合,生命予後が異なる。RA の肺病変のほとんどは非特異的な病変であり,他のリウマチ膠原病疾患でも認められることがあるが,リウマチ結節のみは,RA に特異的な病変である。肺病変の程度と原病(関節炎)の程度はかならずしも並行せず,関節炎に先行して肺病変が発症し,後から関節炎が発症して RA との診断が確定する場合もある(肺病変先行型)。さらに RA では,RA原病による病変に加えて,感染症や治療薬剤による肺障害もしばしば加わり,病像を複雑にする。本稿では,この中で間質性肺炎(interstitialpneumonia:IP)について述べる。
-
Source:
治療学 40巻11号, 1181-1184 (2006);
View Description
Hide Description
多発筋炎および皮膚筋炎は全身系統的な炎症性疾患であり,さまざまな呼吸器病変が合併することが知られている。もっとも頻度が高いのは間質性肺炎であるが,骨格筋病変に伴う誤嚥性肺炎や呼吸筋力低下,治療薬剤による肺傷害,免疫能低下に伴う日和見感染症なども生じうる。本稿では間質性肺炎に焦点を当てて,現在の理解とこれからの課題について述べる。多発筋炎/皮膚筋炎に合併する間質性肺炎はステロイドに良好に反応する病態から,急速に進行し不幸な転帰をたどる急速進行性間質性肺炎まで変化に富んでいる。後者はとくに皮膚筋炎の予後を規定する因子としてきわめて重要であるが,さまざまな治療的取組みがなされてきたにもかかわらず,適切な治療方法の確立には至っていない。どのような病態が予後不良であり,今後の研究のターゲットとして重要であるのかという認識を共通のものにすることが,治療戦略を検討する土台として重要であり,本稿がその一助になればと考える。
-
Source:
治療学 40巻11号, 1185-1189 (2006);
View Description
Hide Description
全身性強皮症(systemic sclerosis:SSc)は,皮膚硬化を主体として種々の内臓臓器に線維化をみる疾患であり,びまん性皮膚病変型と限局型皮膚病変型に分類される。前者では抗トポイソメラーゼ I 抗体(抗 Scl-70 抗体)との相関が高く肺の間質性変化(SSc-ILD)を生じ,後者では抗セントロメア抗体が検出され,肺高血圧との相関が高い。肺の間質性病変は SSc 患者の80%にみられ,従来,通常型間質性肺炎(UIP)類似の病変と考えられてきたが,非特異性間質性肺炎(NSIP)の概念の導入後,NSIP パターンが注目されつつあり,治療法にも影響を与えている。
-
職業・環境因性間質性肺炎
-
Source:
治療学 40巻11号, 1191-1195 (2006);
View Description
Hide Description
-
Source:
治療学 40巻11号, 1197-1202 (2006);
View Description
Hide Description
-
Source:
治療学 40巻11号, 1203-1206 (2006);
View Description
Hide Description
きのこ栽培所では,大気中に径 4~8μm の多量の胞子が舞い,そのなかで箱詰め従事者は繰り返し胞子を多量に吸入する機会がある。その胞子が原因抗原となって過敏性肺炎を発症すると推測される。きのこ栽培者の過敏性肺炎は症状が比較的軽度であるが,胸部 CT では他の過敏性肺炎と同様,びまん性のすりガラス影と小葉中心性の粒状影を呈し,肺胞洗浄液中のリンパ球は著増し,CD4/CD8 比は低値を示す。肺組織像は胞隔炎と非乾酪性肉芽腫を主体とする。診断は,職業歴や症状出現様式などから本症を疑うことに始まり,きのこ胞子への曝露歴,臨床症状,画像所見,検査所見,病理所見などを総合的に判断し行われる。治療は,抗原隔離(仕事をやめる)することが最重要である。
-
Source:
治療学 40巻11号, 1207-1211 (2006);
View Description
Hide Description
石綿(アスベスト)は鉱物として繊維状であるのみでなく,耐熱性,耐摩耗性などの優れた性質をもち耐火建材,屋内配管の断熱材,火気を嫌う造船,ブレーキライニングなどに広範かつ大量に使用されてきた。しかし,同時に石綿の細かい繊維の吸入によって呼吸器系を主とする健康障害が多発することも知られてきた。最近問題となっている石綿曝露による健康障害でおもに取り上げられているのは,比較的低濃度の環境曝露で発生する胸膜中皮腫と肺癌の増加である。また石綿曝露の指標となる胸膜プラークも注目されている。しかし,石綿輸入量の増加し続けた時期にも労働環境は改善し,「じん肺」としての「石綿肺」は減少した。最近では,まれな疾患となっている。石綿肺は石綿による間質性肺炎と考えられるが,原因不明の間質性肺炎(UIP)と比べても肺癌,胸膜病変の合併が多い,進行も早いなどの特徴がある。
-
薬剤誘起性間質性肺炎
-
Source:
治療学 40巻11号, 1213-1215 (2006);
View Description
Hide Description
多くの抗癌剤の開発と一般臨床への浸透により,癌薬物療法の選択肢が広がり,一部の癌腫ではその治療成績が大きく向上した。とくに分子標的薬は従来の細胞傷害性薬剤とは全く異なった毒性プロファイルを有しており,治療に伴う副作用対策もこれまでの抗癌剤治療とは異なった知識を必要とするようになった。本稿では,抗癌剤による薬剤性間質性肺炎診療に伴う諸問題について概説する。
-
Source:
治療学 40巻11号, 1217-1220 (2006);
View Description
Hide Description
イレッサ(一般名:ゲフィチニブ)は,非小細胞肺癌において過剰発現している上皮増殖因子受容体(epidermal growth factor receptor:EGFR)のチロシンキナーゼ阻害を作用機序とした分子標的治療薬として,2002 年に世界に先駆けてわが国で承認販売された。開発段階では皮疹や下痢,肝機能障害などがおもな副作用として認められたものの,おおむねその程度は軽いとされ,従来の細胞傷害性の抗癌剤と比べて安全かつ有効な薬剤として大いに期待された。しかし,市販後わずか数ヵ月の間に本剤との関連性が否定できない間質性肺障害(interstitiallung disease:ILD)が多数報告され1),死亡例も短期間で数百例にのぼったことから,社会問題にまで発展したことは記憶に新しい。本稿では,イレッサによる ILD の特徴について現時点で得られている知見を概説する。
-
Source:
治療学 40巻11号, 1221-1225 (2006);
View Description
Hide Description
関節リウマチ(RA)では,原疾患自体によっても,あるいは使用する薬剤によっても間質性肺炎が起こりうる。RA による間質性肺炎の特徴としては,①RA の活動性が高いときに出現する,②発症は通常は緩徐であるが,ときに急性発症のものもある,③中年の男性に多く,喫煙歴を有する,④リウマトイド因子が高値である,⑤胸部 X 線写真上,中下肺野背側の胸膜直下に多い,⑥聴診上,fine crackles を聴取する,⑦呼吸機能上,拘束型を呈し,%DLCOの低下がみられる,⑧気管支肺胞洗浄液(BAL)では好中球が増加し,CD4/CD8 は低下する,などがあげられる。一方,RA の治療戦略上,第一選択薬剤となっている抗リウマチ薬(disease modifying antirheumaticdrugs:DMARDs)によっても間質性肺炎が起こりうる。症状の起始と経過には多少の違いはあるが,発熱,乾性咳嗽,労作時呼吸困難などの臨床症状は共通する。このため臨床の現場においては,間質性肺炎が出現した場合,それが原疾患によるものか,あるいは抗リウマチ薬によるものかの鑑別が必要となる。ここでは間質性肺炎を起こしうる代表的な抗リウマチ薬を列記しながら,その特徴を概説する。
-
Source:
治療学 40巻11号, 1226-1230 (2006);
View Description
Hide Description
-
診断のピットフォール
-
-
Source:
治療学 40巻11号, 1234-1237 (2006);
View Description
Hide Description
-
座談会
-
-
間質性肺炎
-
Source:
治療学 40巻11号, 1239-1250 (2006);
View Description
Hide Description
-
新しい治療
-
-
Source:
治療学 40巻11号, 1231-1232 (2006);
View Description
Hide Description
-
症例
-
-
Source:
治療学 40巻11号, 1251-1254 (2006);
View Description
Hide Description
肺非結核性抗酸菌症は,器質的肺病変を伴う場合や免疫抑制状態の場合に限らず,正常な宿主にも生じる一般的な疾患であり,近年増加傾向にある1)。非結核性抗酸菌は,肺にさまざまな病理組織学的病変をもたらすことが知られているが2),とくにシャワーや湯気などに含まれるエアロゾル化した MACを吸入することで過敏性肺臓炎様の症状を呈する症候群に関する報告が 1990 年代後半より相次ぎ,これらが 24 時間循環型の浴槽の使用と関係することから,hot tub lung と表記されるようになった3,4)。Hot tub lung が,感染症と過敏性肺臓炎のいずれの範疇に属するのかは依然として異論が多い4,5)。
-
Source:
治療学 40巻11号, 1255-1258 (2006);
View Description
Hide Description
レフルノミドは 2003 年末,本邦で承認され市販が開始されたが,その後の調査で間質性肺炎の高い発症と死亡率で大きな問題となった1)。当科においてもレフルノミドと関連が考えられた肺病変を来し,不幸な転帰をたどった症例を経験したので報告する。
-
Source:
治療学 40巻11号, 1259-1262 (2006);
View Description
Hide Description
閉塞性細気管支炎は慢性閉塞性肺疾患の範疇に属するまれな疾患であり,細気管支にほぼ限局した狭窄および閉塞を特徴とする。原因として膠原病・感染症・薬物・有毒ガス・その他・特発性などが報告されているが,近年骨髄移植および肺移植の普及に伴って本症の報告も増加している1)。本症の原因の一つとして,1995 年に台湾でサプリメントとして販売された「アマメシバ(Sauropusandrogynus)」が報告されている2)。われわれは「アマメシバ」摂取中に呼吸困難が出現し,閉塞性細気管支炎と臨床診断した症例を経験した。「アマメシバ」によるものと思われる閉塞性細気管支炎の本邦初発例として呈示する。
-
治療の歴史
-
-
Source:
治療学 40巻11号, 1263-1268 (2006);
View Description
Hide Description
原因が特定できない特発性間質性肺炎(idiopathicinterstitial pneumonias:IIPs)は,おもに病理組織パターンに基づき分類される1,2)。IIPs のなかで,特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)は慢性かつ進行性の経過をたどり,高度の線維化・不可逆性の蜂巣肺形成をきたす予後不良の疾患である。IPF は臨床病理学的な疾患概念であり,その病理組織パターンは通常型間質性肺炎(usual interstitialpneumonia:UIP)に限定される3,4)。これに対し非特異性間質性肺炎(nonspecific interstitial pneumonia:NSIP),特発性器質化肺炎(cryptogenic organizingpneumonia:COP), /離性間質性肺炎(desquamativeinterstitial pneumonia:DIP)などは,UIP とは異なる病理組織パターンを示す疾患群であり,IPFには含まれず,治療反応性や予後も異なる。従来のIIPs に対する治療戦略は,「慢性の胞隔の炎症から肺傷害,そして線維化に至る過程」をコントロールすることであると考えられてきた。そのためステロイドが治療の中心を担ってきた。しかしながら IIPs の代表的疾患である IPF では,ステロイドや免疫抑制薬に対する治療反応性は良好ではなく,今後は新しい治療戦略が必要とされている5~8)。本稿では肺線維症に対するステロイド療法・免疫抑制薬併用療法の歴史を概説し,現在進行中の新規薬剤の臨床治験についても言及する。
-
DI 室Q&A
-
-
Source:
治療学 40巻11号, 1269-1272 (2006);
View Description
Hide Description
-
suggestion
-
-
Source:
治療学 40巻11号, 1174-1174 (2006);
View Description
Hide Description
-
Source:
治療学 40巻11号, 1190-1190 (2006);
View Description
Hide Description
-
Source:
治療学 40巻11号, 1212-1212 (2006);
View Description
Hide Description