治療学
Volume 41, Issue 3, 2007
Volumes & issues:
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扉・目次
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序説
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- DIC
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特集
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DIC の病態
41巻3号(2007);View Description Hide Description播種性血管内凝固症候群(DIC)の本態は,全身性持続性の極端な凝固活性化状態であるが,線溶活性化の程度には基礎疾患により差異がみられ,線溶活性化に乏しい凝固優位型 DICと線溶活性化が著しい線溶優位型 DIC に分類される(表 1)。前者は敗血症に合併した DICが代表であり,血中プラスミノゲンアクチベータインヒビターⅠ PAI が著増し,臓器症状が前面に出やすい。後者は,急性前骨髄球性白血病(APL)に合併した DIC が代表であり,血中プラスミンα2-プラスミン複合体(PIC)は著増し出血症状が前面に出やすい(図 1)。 -
DIC の鑑別診断
41巻3号(2007);View Description Hide Description播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascularcoagulation:DIC)では癌,白血病,敗血症,外傷,産科疾患などを基礎疾患として,組織因子の血中流入(ないし出現)あるいはエンドトキシン,TNF-α,IL-1βや活性化好中球の作用による血管内皮細胞障害などにより,凝固系が過度に活性化される。そのため主として全身の細小血管内に播種性に微小血栓が形成され,微小循環障害に伴う臓器機能不全をきたすとともに,二次線溶亢進および血小板や凝固因子の消費性低下による著明な出血傾向を生ずる。その結果,凝血学的検査所見として,血小板とフィブリノゲンの低下または急激な減少,フィブリノゲン/フィブリン分解産物(fibrinogen/fibrin degradation products:FDP)および安定化フィブリン分解産物(D ダイマー)の増加がみられる。また凝固活性化の指標であるトロンビン―アンチトロンビン複合体および線溶活性化の指標であるプラスミン―プラスミンインヒビター複合体が上昇する。他に症例によりアンチトロンビン,プロテイン C,プラスミンインヒビターの低下,破砕赤血球像などがみられる。実際の DIC 診断は,基礎疾患の存在,臨床症状および凝血学的検査異常から総合的になされる。したがって,DIC と鑑別すべき疾患・病態は,DIC のような臨床症状をきたすか,DIC でみられるような凝血学的異常を示すものということになる。以前から筆者ら1,2)および岡嶋ら3)により強調されてきたように,DIC では基礎疾患により発症機序,各種サイトカインをはじめとするメディエーターの関与,凝固・線溶活性化のバランスが大きく異なるので,個々の症例の DIC 診断および鑑別診断に際しても,DIC の病態の多様性を考慮する必要がある。 -
DIC 診断基準の変遷と現況
41巻3号(2007);View Description Hide Description播種性血管内凝固症候群(DIC)の診断に関する検討は,血液内科や外科ならびに救急・集中治療領域をはじめ多くの分野で行われてきたが,大規模臨床試験によるエビデンスが少ないことから,明確な結論が得られていなかった。それぞれの研究者の置かれた医療レベルやシステム,それぞれの止血系研究の歴史の違いなどもあり,DIC に対する研究者の考え方は種々雑多である。しかし,国際血栓止血学会(ISTH),日本血栓止血学会,日本救急医学会,日本 DIC研究会などで,近年活発な議論がなされた結果,DIC に関して一定の見解が得られつつある。 -
DIC の臨床検査
41巻3号(2007);View Description Hide Description播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascularcoagulation:DIC)は,種々の基礎疾患による全身性持続性の凝固活性化状態から,汎発性に微小血栓が形成される病態である。循環障害により臓器障害をきたすと同時に,血小板や凝固因子の消費性凝固障害に二次線溶の活性化が加わり出血症状をきたす。基礎疾患などの臨床病態については,基礎疾患と臓器症状ならびに出血症状は 1988 年の厚生省 DIC 診断基準でスコア化されている1)。また 2001 年に発表された国際血栓止血学会(ISTH)の科学的標準化委員会(SSC)の overt DIC 診断基準2)や,2005年に示された急性期 DIC 診断基準3)においても,基礎疾患は必須項目となっている。DIC の基礎疾患の有無は,DIC 診断においてもっとも重要な因子である。一方,臨床症状は臨床検査に置き換えられつつある。プロトロンビン時間(PT),フィブリノゲン,フィブリン・フィブリノゲン分解産物(FDP),血小板数の測定は,簡便で低コストであることから,一般止血検査として厚生省 DIC 診断基準,ISTH の overt DIC 診断基準,急性期 DIC診断基準においてもスコア化されている。また,止血系分子マーカーについても,DIC の早期診断,病型診断,予後予測の指標としての有用性も検討されてきた。DIC の進行と凝固線溶系マーカーの変化の概略を表 1 に示す。本稿では一般止血検査と止血・線溶系分子マーカー,ならびに近年注目されてきた凝固波形解析などについて述べる。 - 病態別にみた DIC の診断と治療
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1 感染症・敗血症
41巻3号(2007);View Description Hide Description臓器障害や低血圧を伴う重症敗血症症例では,その約 20~50%に播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)を合併し,DIC が敗血症の予後を規定する重要な病態となっている1,2)。敗血症は,菌血症(bacteremia;血液中に生きた病原微生物が存在する状態)に随伴して引き起こされる病態として認識されてきた歴史的経緯から,septicemia(病原微生物,もしくはその毒素が血液中に存在する状態)としばしば混用されてきた。米国胸部疾患学会(ACCM)および米国集中治療学会(SCCM)の合同会議は,感染症を原因とする全身性炎症反応症候群(SIRS:systemic inflammatoryresponse syndrome)を「セプシス」と定義することにより,この臨床的な病態の取り扱いを容易なものにした3)。これを受けて,後述するいくつかの重要な臨床試験が実施され,「セプシス」の,および「セプシス」に伴う DIC の生命予後を改善する新しい治療薬が提示されている。 -
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3 固形腫瘍
41巻3号(2007);View Description Hide Description今から約 140 年前,Armand Trousseau は,悪性腫瘍に静脈血栓が多発することを報告している1)。以来多くの報告があり,担癌患者は凝固・線溶異常をきたすことが知られている。播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascularcoagulation;DIC)は,種々の基礎疾患により血管内で血液凝固機序が活性化され,全身の血管,とくに細小血管内に血栓を多発する症候群である。固形腫瘍を基礎疾患とした DIC症例では,凝固後に引き続き起こる二次線溶や,凝固に必要な凝固因子や血小板が消費されて減少し,血栓傾向とは相反する出血傾向(消費性凝固障害)を呈することも多い。1992 年に行われた厚生省特定疾患血液凝固異常症調査研究班の統計によると2),内科領域では造血器悪性腫瘍,とくに急性前骨髄球性白血病が多く,ついで肝癌が多いとされている。外科領域では,胃癌,敗血症,大動脈瘤,大腸癌,肝癌の順であった。小児科では敗血症,新生児死亡,急性前骨髄球性白血病の順であり,産婦人科領域では,常位胎盤早期/ 離,子宮癌,妊娠中毒症の順であった。以上より,各科に共通の DIC の基礎疾患として悪性腫瘍が重要であることがわかる。その後 1998 年にも調査が行われたが3),固形腫瘍では絶対数は肝細胞癌,肺癌,胃癌,結腸癌が多いと報告されている。しかし,固形腫瘍の発症絶対数が多いため,DICの発症頻度としては,白血病や敗血症,劇症肝炎,前置胎盤などの産科疾患に比べて,各種疾患における DIC 発症頻度は低い。本稿では固形腫瘍による DIC について述べることとする。 -
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5 肝疾患
41巻3号(2007);View Description Hide Description播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascularcoagulation:DIC)は感染症・悪性腫瘍などの基礎疾患を有する患者に,凝固系活性化と炎症反応の異常および線溶系抑制の連鎖から,全身性の微小血栓形成に伴う虚血性臓器障害と,その一方で消費性の凝固因子・血小板減少による出血症状をきたす症候群である。これら血液凝固・線溶系の因子は,大部分が肝細胞において産生される。したがって,肝硬変など慢性的な肝合成能低下・肝不全時には,これら因子の血漿濃度が低下しており,主として感染症を契機に凝固促進・抑制系の平衡が容易に破綻し,DIC を発症しやすい病態下にあると考えられる。また,肝の微細構造は,実質細胞である肝細胞と微小循環をつかさどる肝類洞から構成される。肝類洞内には resident macrophage であるクッパー細胞が存在し,類洞内皮細胞が篩板構造を呈して類洞壁を形成している。その肝細胞側(ディッセ腔)からは,星細胞が突起を伸展し取り囲んでいる(図 1)。この構造上の特異性から,劇症肝炎などの急性肝不全では,クッパー細胞の活性化や類洞内皮細胞障害に起因した類洞内凝固が,広汎肝壊死をきたすとともに,より直接的に DIC を惹起する要因としても重要である。したがって,肝疾患に合併する DICの病態は,肝機能が正常である場合と異なるばかりでなく,当該肝疾患が慢性肝不全である場合と急性肝不全である場合とでも一律ではなく,診断・治療に際し十分な配慮が必要である。 -
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7 小児科領域
41巻3号(2007);View Description Hide Description小児科領域でみられる播種性血管内凝固症候群(DIC)の多くは新生児期に集中する。新生児は抗凝固機能が低く,凝固因子も低値1)であるため,いったん凝固が亢進すると制御困難となり,産生予備能力も低下しているため凝固因子は消費され,容易に枯渇し出血傾向がみられる(図 1,2)。出産時には,過凝固となるエピソードも多く,それらが重なり DIC が多発する。 - DIC の治療薬
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1 未分画ヘパリン
41巻3号(2007);View Description Hide Description播種性血管内凝固症候群(DIC)は多様な病態からなる症候群である。主治医が DIC に遭遇するとき,各症例ごとに原因となる基礎疾患,重症度および病期が異なっている。すなわちDIC の発症機序,各種メディエーターの関与する度合いが異なり,結果多様な凝血学的動態(凝固線溶マーカーの変動,とくに凝固線溶活性化のバランス,臓器障害への関与など)を呈する。臨床医は DIC の素早い診断を行ったうえで,的確な DIC 治療を行わなければならない。本稿では未分画ヘパリン(unfractionated heparin:UFH)の概説を行う。 -
2 低分子ヘパリン,ヘパラン硫酸
41巻3号(2007);View Description Hide Descriptionヘパリンは,古くから強力な抗血栓製剤として汎用され,DIC 治療においてももっとも安価な抗凝固療法剤として使用されているが,効き過ぎるとかえって出血症状を起こしてしまうため注意が必要である。こうしたヘパリンの出血性副作用を軽減させるため,未分画ヘパリン(分子量:3,000~100,000)を酵素的あるいは化学的に処理して低分子化した低分子ヘパリン(平均分子量 5,000 前後)製剤が開発された1)。また,ヘパリンとよく似た糖鎖構造をもつヘパラン硫酸を主成分とするダナパロイドナトリウムにおいても低分子化され,より出血性副作用の少ない DIC 治療における抗凝固薬として臨床応用されている2)。しかし,いずれもアンチトロンビンの抗 Xa 活性を促進することにより抗凝固活性を示すことから,アンチトロンビンの消耗性低下を示す DIC 症例においては,ともにアンチトロンビン補充療法下に使用する必要がある。 -
3 合成プロテアーゼ阻害薬
41巻3号(2007);View Description Hide Description播種性血管内凝固症候群(DIC)では合成プロテアーゼ阻害薬(PI)は保険適用でもあり,一般によく使用されてきた。ここでは,DIC 治療における PI の現在までのエビデンスについてシステマティックに考察する。 -
DIC における補充療法:濃厚血小板・新鮮凍結血漿・アンチトロンビン製剤
41巻3号(2007);View Description Hide Description播種性血管内凝固症候群(DIC)は,何らかの基礎疾患に基づく極端な凝固活性化により,全身の細小血管内に微小血栓が多発する病態である。凝固の活性化に伴い線溶の活性化が認められるが,その程度は基礎疾患によりさまざまである。また進行した場合には消費性凝固障害と線溶亢進による出血症状や,微小循環障害による臓器障害をきたす1)。治療は凝固亢進の原因となる基礎疾患に対する治療と抗凝固療法が中心となるが,消費性凝固障害(とくに血小板・凝固因子の低下)に伴う出血傾向をきたした場合には,対症的に濃厚血小板(PC)や新鮮凍結血漿(FFP)の補充療法が必要になる。また,生理的凝固阻止因子であるアンチトロンビンの濃縮製剤は,抗凝固作用のほかに大量投与時に抗炎症作用を有することが知られ,単なる補充療法を超えた積極的な抗凝固療法として使用されるようになった2)。
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治療のピットフォール
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DIC に対する線溶/抗線溶療法
41巻3号(2007);View Description Hide Description播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascularcoagulation:DIC)の本態は,基礎疾患の存在下における全身性持続性の極端な凝固活性化状態であり,主として細小血管内に微小血栓が多発する。凝固活性化とともに線溶活性化がみられ,これは生じた微小血栓を溶解し微小循環障害を阻止することで臓器障害進展を抑制する生体防御反応とも捉えることができる。この防御反応(線溶活性化)に過不足が生じると,出血症状,あるいは臓器障害の出現を認めるようになる。その過不足を補正するために治療を行うという考え方も成り立つものの,治療の適応や使用方法を誤ると重大な合併症をきたすことになる。
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座談会
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- DIC
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症例
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白血病に伴った DIC の 1 症例
41巻3号(2007);View Description Hide Description白血病,とくに急性前骨髄球性白血病(acutepromyelocytic leukemia:APL,FAB 分類 M3)は線溶優位型の播種性血管内凝固症候群(DIC)を惹き起こす基礎疾患として重要である。このタイプの DICは,血栓による臓器障害よりはむしろ重篤な出血症状が主である。化学療法による APL 細胞崩壊に伴い線溶優位型 DIC が必発するため,脳出血などの臓器出血を合併しやすく早期死亡例が多かった。しかし近年,APL に対するオールトランス型レチノイン酸(ATRA)を用いた分化誘導療法1)が登場してから,その抗 DIC 効果により出血死を阻止し高率に寛解導入することが容易になった。本稿では,APL のATRA 療法における凝固線溶分子マーカーの推移を経過とともに示す。 -
外傷に伴った DIC の 1 症例
41巻3号(2007);View Description Hide Description外傷は病的凝固線溶異常である播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)の原因の一つとして知られている1,2)。しかし,その病態を出血後の大量輸液による希釈性凝固障害のみで説明する誤った主張があるなど,正しい理解がなされているとはいい難い現状である3)。今回,われわれの経験した外傷早期(線溶亢進期)の外傷性 DIC の 1 例を提示するとともに,外傷性DIC の病態に関して文献的考察を行う。 -
敗血症に伴った DIC の 1 症例
41巻3号(2007);View Description Hide Description播種性血管内凝固症候群(DIC)は,さまざまな基礎疾患によって病的に凝固系が活性化され,全身の微小血管内に血栓(微小)が多発する病態であり,重症化すると微小循環不全による臓器障害や血小板,凝固因子の消費による出血傾向などをきたす症候群である。DIC を引き起こす基礎疾患としては,急性白血病,敗血症,固形癌,常位胎盤早期/ 離などの多くの疾患1)が知られているが,基礎疾患によって DIC の病態が大きく異なることが最近明らかにされている。すなわち,外科領域や救急領域の多くの DIC は炎症性サイトカインに伴う全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome:SIRS)の病態と密接に関係しており,それによって引き起こされる生体侵襲が DIC の引き金となる。内科領域の DIC でも,感染症(とくに sepsis)を基礎疾患とした DIC は外科領域や救急領域と同様にSIRS の病態と密接に関連している。一方,上記とは異なった病態をもつ DIC も内科領域には存在する。それは白血病や癌を基礎疾患とした DIC で,線溶系が著しく活性化され,出血症状を伴いやすい。このように DIC の病態は基礎疾患によって違いがあるため,DIC の診断や治療にはそれぞれの病態に応じた検査や治療が必要になってくる。本稿では,感染症(sepsis)を基礎疾患とした DIC 症例を呈示し,若干の解説を加えたい。
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新しい治療
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DIC 治療薬:生理的プロテアーゼインヒビター
41巻3号(2007);View Description Hide DescriptionDIC はさまざまな臨床病態に合併し,もっとも重要な基礎疾患として敗血症があげられる1,2)。炎症性サイトカインを中心とする免疫・炎症反応に関する研究の進展により,炎症反応が凝固線溶反応を惹起・促進するとともに,産生された組織因子などの凝固因子が炎症反応を増強することが明らかにされた3,4)。現在,トロンビンを主とする凝固線溶反応と炎症反応の連関が強く示され5),この全身性凝固・炎症反応としてとらえられる DIC においては,凝固の持続的亢進,凝固制御機能不全,線溶抑制の結果としての微小血栓形成が特徴であり,同時に血管内皮細胞障害が認められる6)。DIC に対しては,低下した抗凝固能を補充により回復させようとする治療法の発想はごく当然であり,抗凝固能を有する生理的なプロテアーゼインヒビターの投与は,抗凝固薬剤としてのみならず,基礎的検討から抗炎症作用が期待されている6)。抗凝固活性を有する生理的プロテアーゼインヒビターとしては,①アンチトロンビン(AT),②活性化プロテイン C(APC),③tissue factor pathway inhibitor(TFPI)が重要であり,また,血管内皮細胞表面に存在する糖蛋白であるトロンボモジュリン(TM)はトロンビンを阻害するとともにプロテイン C を活性化することから,DIC の治療薬剤としても注目されている4,7)。本稿では,AT とともに大規模臨床試験が行われた APC,TFPI,さらに TM に関して,その臨床検討結果を中心に述べる。
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治療の歴史
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わが国における DIC 診療
41巻3号(2007);View Description Hide Descriptionわが国における播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)の診療においては,厚生省(現 厚生労働省)特定疾患 DIC調査研究班が行ってきた疫学,成因,診断,治療および予後などに関する幅広い調査研究が重要な役割を果たしてきた。とりわけ,1980 年に設定されたDIC 診断基準は1),日常診療において広く用いられ,診断には欠かせないものとして重用されている。さらに,この診断基準を念頭に置いて,診療領域の特殊性を考慮した各科領域の診断基準の設定,新しい凝血学的検査項目を組み込んだ診断基準,予後の改善を目指した早期診断基準,効果判定基準の設定などの新しい試みも進められてきた。これらは,新しい DIC 治療薬の開発とともに,わが国における DIC診療の進歩に大きく貢献した重要な点と考えられ,本稿ではこれらを中心に概説する。
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DI 室Q&A
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合成プロテアーゼ阻害薬使用時の注意点
41巻3号(2007);View Description Hide Description現在,本邦では合成プロテアーゼ阻害薬としてメシル酸ガベキサートとメシル酸ナファモスタットが市販されており,DIC や膵炎などに対して使用されている。これらの薬剤の重大な副作用として,メシル酸ガベキサートでは静脈炎・皮膚障害,メシル酸ナファモスタットでは高カリウム血症の報告があり,注意が必要である。また,いずれの薬剤も配合変化を起こしやすい薬剤のため,他剤との配合に注意を要する。本稿ではこれらの点について解説する。
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suggestion
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