Volume 41,
Issue 11,
2007
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扉・目次
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治療学 41巻11号, 1109-1111 (2007);
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序説
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外来がん化学療法
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治療学 41巻11号, 1113-1114 (2007);
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特集
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治療学 41巻11号, 1115-1118 (2007);
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外来がん化学療法(外来化学療法)は急速に普及している。がん患者の QOL(quality of life)を維持しながら生活の中にがん治療を取り込むことは,外来化学療法の重要な目的のひとつである。“外来化学療法加算”など,医療経済的・社会的な要因も,外来化学療法普及の流れを後押ししている。現在,“がん対策基本法”が成立し,地域がん拠点病院を中心に外来化学療法の整備が進められつつある。米国と比較してわが国における外来化学療法の歴史は浅い。米国では,がん薬物療法のシステムが早くから整備されたこと,保険制度の差により高額医療の問題が生じやすいことなどの理由で,他国より早く外来化学療法が導入された。施設面,それに携わるマンパワーを比較すれば,現在も米国はわが国よりはるかに充実している。一方,わが国と欧米では,医療制度,生活スタイル,文化,倫理感が異なる。さらに,がんの治療体系そのものもグローバルに日々変化している。すなわち,わが国における“外来化学療法”の固定されたモデルはないといえよう。われわれは,刻々と変化するがん薬物療法のエビデンスをしっかりとらえながら,わが国における基本的なスタイル,あるいは各医療施設の規模や地域医療に適したスタイルを形成していく必要がある。国立がんセンター中央病院では,わが国でもいち早く外来にがん化学療法を取り入れた経緯がある。比較的大規模ながん専門病院としての当センターでの取り組みと,今後の課題について述べる。
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治療学 41巻11号, 1119-1122 (2007);
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わが国における腫瘍内科学の発展とともに,がん治療に専科した医師,がん看護師,がん専門薬剤師などのがん医療従事者の需要が増加した。しかし,がん罹患者数に比べ専門的にがん医療教育を受けた医療従事者が少ないという現状がある。そこには,がん専門病院に比べ,がん患者が初めに診断,治療方針に接する診療所や一般病院の専門医師が,がんに対する考え方,がん患者との接し方,診断告知,治療方針など多くの情報を整理できていない実情が存在する。患者のがんに対する情報や治療知識も年々増えており,がん治療の歴史,診断方法,治療知識が更新されていくなか,多くのがん治療に携わる医療従事者の知識が混乱したままの状態で,各分野の意見で各施設独自の治療を行っていることも少なくない。しかし近年,標準治療ガイドラインが医療全体に広がり,がん治療分野も倫理性,整合性,普遍性を背景に経験医療および基礎医学的考察や統計的解析で検討され,標準化された治療が推奨されてきた。各がん種の治療ガイドラインが示す標準治療法はがん医療の基盤となり,がん専門病院だけでなく,診療所や一般病院でもその方針に従い治療が行われるようになってきた。しかし実際,がんに対する新しい知識や考察などを刷新整理している診療所や一般病院の専門医師は限られるため,一元的に標準治療方針を与えられているとはいえない。2007 年 4 月に脂質異常症の基準測定項目にLDL コレステロールが推奨されると,ほぼ同時に日本全域にその情報は駆け巡った。一方,5月にわが国における胃がん標準療法の確立が米国がん治療学会で発表されたが,がん治療を行う医師にしか情報が広がっていない。このような医療情報格差がみられるのも,がん知識を基盤に診療している医師が少ないことが原因のひとつと考えられる。医療情報の格差が顕著なのは全身化学療法,特に外来がん化学療法(外来化学療法)を行う腫瘍内科学の分野である。今後がん専門病院もしくは大学病院などでがん医療を教育された医師,特に腫瘍内科学に精通する医師が,診療所や一般病院に勤務していく医療世界が重要である。将来,腫瘍内科医が診療所・一般病院においてがん治療を支えたときに初めて,二次,三次的な立場としてのがん専門病院や大学病院のがん治療ネットワークが確立し,研究の向上や進展がより期待できる世界となる。本稿では,診療所,一般病院の外来化学療法を中心に,萌芽的進展にがん知識が不可欠であることを述べ,がん医療教育の啓発を促したい。
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チーム医療としての外来化学療法
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治療学 41巻11号, 1123-1127 (2007);
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治療学 41巻11号, 1131-1135 (2007);
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わが国での死亡原因の第 1 位は悪性新生物(がん)である1)。社会的にもがんに対する関心が高く,がん医療の均てん化も含め,がん診療に関わる医療従事者の重要性が高くなっている2)。一方では,すべてのがん薬物療法専門医が,がんセンターや大学病院といった専門性の高い組織にのみいるわけではない3)。筆者は大学病院の関連施設に勤務しているため,各臓器に特化した専門家と共存するがん薬物療法専門医である。本稿では,上述したような状況下でのがん薬物療法専門医として,また外来化学療法におけるチーム医療のメンバーのひとりとして,がん薬物療法専門医の役割,チーム医療,リスク・マネジメント,コミュニケーションの重要性について概説したい。
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治療学 41巻11号, 1137-1140 (2007);
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近年わが国でも,外来がん化学療法(外来化学療法)が急速に広がりつつあり,がん治療の大きな柱のひとつとなってきている。このような状況のなかのチーム医療において,外来化学療法看護に関する理解が以前にも増して重要になっていると思われる。筆者は,がん化学療法看護をサブスペシャリティとしたがん看護専門看護師であり,現在は埼玉医科大学国際医療センター通院治療センターで外来化学療法看護を中心とした実践を行っている。したがって,本稿では,外来化学療法看護に携わっているがん看護専門看護師の立場からみた,外来化学療法における看護師の役割と看護をポイント別に分けて述べてみたい。
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治療学 41巻11号, 1141-1144 (2007);
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がん化学療法における薬剤部の役割は,安全にがん化学療法が施行されるために抗がん剤の正確な調製,レジメンの構築および管理,そして治療を受ける患者の薬物療法上の問題解決に向けた取り組みである。特にレジメンの構築とがん化学療法を受ける患者の薬物療法上の問題解決に向けた取り組みが中心となる。また,緩和医療におけるがん患者の苦痛軽減に対する薬物療法,その他合併症治療や抗がん剤による有害事象の軽減,未然防止に向けた診療支援を担っている。国立がんセンター中央病院では,抗がん剤調製部門にがん薬物療法に精通した薬剤師がおり,新レジメン管理ツールの開発および薬剤師レジデントなど,実際に調製を行うがん専門薬剤師をめざす若い薬剤師の教育を繰り返し,がん薬物療法の安全を確保している。さらに,がん専門薬剤師を含め,計 5 人のがん薬物療法に精通した薬剤師が,実地医療において多くの問題解決に従事している。それぞれの薬剤師が,乳腺・腫瘍内科,肺内科,消化器内科,血液内科/幹細胞移植科,緩和ケア科に専属として配備され,薬剤管理指導業務を施行している。
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治療学 41巻11号, 1145-1148 (2007);
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近年の治療技術の進歩により,化学療法は外来で行われるようになりつつある。この稿では,外来がん化学療法(外来化学療法)の際に生じる心理的状態,精神科医の介入が必要な不安・抑うつ,および外来化学療法における精神科医の役割などについて述べる。
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治療学 41巻11号, 1149-1152 (2007);
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医療現場では良質な医療の提供と在院日数の短縮化が求められている。そして,さまざまな治療においてクリティカルパスが用いられ在院日数の短縮化を担うとともに,主となる治療が終わると外来での継続フォローアップとなる。また,化学療法は外来にて実施されるケースが増えている。栄養療法に関しては在院日数の短い急性期入院で完結することは不可能であり,いかにして外来と入院をつないだ栄養管理が行えるかが重要である。本稿では,埼玉医科大学国際医療センター包括的がんセンターにおける入院患者への栄養管理を通して,外来がん化学療法(外来化学療法)患者の栄養指導(栄養管理)の必要性を考察した。
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治療学 41巻11号, 1153-1157 (2007);
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がん化学療法の進歩は著しい。分子標的薬の登場で抗がん剤も増え,治療成績は飛躍的に向上している。がん患者の生命予後,QOL(qualityof life:生活の質)を考慮すると化学療法は可能なかぎり外来治療が望ましい。外来治療の最大のメリットは患者の QOL の向上である。大腸がんの標準治療,FOLFOX 療法は 48 時間持続点滴を必要とする。この治療を入院で施行すると抜針まで 3 日間の入院が必要となる。2 週間ごとの治療で転移性大腸がんの生存期間が 2年とすると,限られた生命時間の 21%(3 日/14日),153 日を点滴のために消費することになる。ベバシズマブ,cetuximab など,分子標的薬が次々に登場し,有効な薬剤が増え,生存期間は 2 年を楽に超えたといわれる。しかし固形腫瘍では完全治癒し,治療を打ち切ることはまれで,本来の生活をしながら治療を継続する必要がある。入院を頻回に繰り返すより外来がん化学療法(外来化学療法)が合理的と考えられる。ポートの導入により長時間の点滴でも外来での治療が可能になった。ここでは癌研有明病院で施行している外来化学治療と安全対策を解説する。
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治療学 41巻11号, 1161-1164 (2007);
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がん化学療法は入院で行うことが一般的であったが,有効性の高い薬剤の開発,短時間で投与可能なレジメンの存在や経口抗がん剤の開発など抗がん剤治療に関連した治療法の進歩と,顆粒球コロニー刺激因子(granulocytecolonystimulating factor:G-CSF)薬による好中球増加や,5-HT3受容体拮抗薬などによる支持療法の進歩などから外来がん化学療法(外来化学療法)が行われるようになってきた。また,がん治療が長期化するため,在院日数の短縮化や病診連携の普及,外来化学療法加算,そして何より患者が日常生活や社会生活を営みながら治療ができるなどの理由から,ここ数年で外来化学療法を行う施設は急速に増加しつつある。医療提供者側あるいは患者側の要望など外来化学療法の需要は今後さらに増加するものと考える。それら社会の需要に応え,かつより効果的で安全,安楽な外来化学療法を実践するにはハード面,ソフト面などのさまざまな環境(条件)を整える必要がある。
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治療学 41巻11号, 1165-1168 (2007);
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がん対策基本法が施行されて半年が過ぎ,各地で多くの講演会や研修会が開催されている。現時点でがんであることの告知がされていないことはありえないが,今でも癌研有明病院(図1)に来院した患者でも告知を望まない場合がまれに見受けられる。しかし現在は,インフォームドコンセント(IC)ではなく,さらにインフォームドコミュニケーションとまでいわれる場合もある。外来がん化学療法(外来化学療法)における現時点での IC について考えたい。
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座談会
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治療学 41巻11号, 1169-1179 (2007);
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治療のピットフォール
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治療学 41巻11号, 1183-1184 (2007);
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近年のがん治療における特筆すべき変化のひとつは,入院から外来へと薬物療法の場が移行してきたことである。これが達成できた理由は,悪心・嘔吐などの有害事象の少ない有効な新規抗がん剤が開発されたことと,顆粒球コロニー刺激因子(granulocytecolony stimulating factor:G-CSF)や 5-HT3受容体拮抗薬などにより有害事象対策の進歩がみられたことによる。今までどおりの社会生活を送りながら至適な治療を継続するということは QOL や日常を重視した前向きな考え方であり,望むべき変化である。また,国-厚生労働省が推進する入院期間の短縮や包括医療の方針にも合致している。ただし,これには合理的側面もあるが,医療経済が患者利益よりも優先されているとすれば,必ずしも好ましい側面ばかりではないし,外来がん化学療法(外来化学療法)治療にはさまざまなピットフォールが存在する。
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新しい治療
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治療学 41巻11号, 1185-1186 (2007);
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治療の歴史
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治療学 41巻11号, 1187-1192 (2007);
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DI 室Q&A
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治療学 41巻11号, 1193-1194 (2007);
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suggestion
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治療学 41巻11号, 1129-1129 (2007);
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治療学 41巻11号, 1158-1159 (2007);
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治療学 41巻11号, 1180-1181 (2007);
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