Volume 41,
Issue 12,
2007
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特集
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選択的 COX-2 阻害薬
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期待される選択的 COX-2 阻害薬
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治療学 41巻12号, 1205-1208 (2007);
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アスピリンなどの非ステロイド性消炎鎮痛薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs:NSAIDs)は,関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)および変形性関節症(osteoarthritis:OA)の歴史的治療薬として,長年臨床の場で使われてきた。近年,“有害反応の少ないことが期待される NSAIDs”として選択的 COX-2 阻害薬(COX-2 阻害薬)が分子設計された。本稿では,RA および OA における COX-2 阻害薬の位置付けを中心にまとめたい。
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治療学 41巻12号, 1209-1212 (2007);
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治療学 41巻12号, 1213-1217 (2007);
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がんは種々のがん遺伝子の発現やがん抑制遺伝子の異常が,多段階的に蓄積されて発生する疾患群である。動物実験の研究や分子生物学の進歩による発がん・進展のメカニズムに関する詳細な情報の蓄積により,これらの遺伝子の発現抑制や活性阻害,または発現誘導により腫瘍の退縮や進展抑制が可能になることが示された。このなかで,がん化学予防“chemoprevention”が臨床におけるがん治療の実践として注目されている。このがん化学予防が期待される標的遺伝子のひとつが,シクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase:COX)-2 である。この COX-2 による大腸がん予防は,最初に疫学的調査により非ステロイド性消炎鎮痛薬(non-steroidal anti-inflammatorydrugs:NSAIDs)を長期服用している患者群に大腸がんの発生頻度や死亡率の低下が報告されたことから始まった。NSAIDs には,COX を抑制することにより,腫瘍の進展に関与しているプロスタグランジン(PGs)の発現を抑える作用がある。臨床試験により,NSAIDs,特に選択的 COX-2 阻害薬は家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis:FAP)の腺腫や散発性大腸腺腫形成を抑制する効果が明らかにされ,これらのデータを基として大腸がん化学予防に対する効果的な薬剤として注目を浴びている。しかし不幸にも,選択的 COX-2 阻害薬のもつ重篤な心血管系障害のリスクにより,大腸がん化学予防薬として継続的な使用に制限が生じている。本稿では,主に大腸腺腫や大腸がんに対する選択的 COX-2阻害薬の効果に関して概説し,心血管系副作用が報告されたのちの COX-2 阻害薬のがん化学予防薬としての位置付けについて概括する。
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治療学 41巻12号, 1219-1222 (2007);
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非ステロイド性消炎鎮痛薬(non-steroidalanti-inflammatory drugs:NSAIDs)は,鎮痛,消炎作用を期待し,臨床現場でしばしば使用される。その作用機序は,シクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase:COX)阻害を介したプロスタグランジン(PGs)の産生抑制によるが,COXの亜型として,胃粘膜,腎,血小板などに恒常的に発現する COX-1 と,マクロファージなどで誘導性に発現されて炎症や細胞増殖に関わる COX-2 が知られている1)。この両者を抑制する非選択的 NSAIDs の投与では消化管病変が認められるため,「胃にやさしい」消炎鎮痛薬として選択的 COX-2 阻害薬が開発され,臨床応用されている。しかし他稿で述べられるように,一部の選択的 COX-2 阻害薬の長期投与により,心血管系の副事象が高まる懸念が指摘されるようになった。こうしたことから,消化管,心血管系への副作用を考慮した NSAIDs の選択が必要となる2)。最近の考え方として,COX-2 選択性が高いほど心血管系副事象の危険性が増加し,COX-1 選択性が高いほど消化管粘膜傷害への危険性が増加するとの理論が提唱されている(図 1)3)。
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治療学 41巻12号, 1223-1226 (2007);
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COX-2/PGE2合成経路の分子・生化学
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治療学 41巻12号, 1227-1233 (2007);
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シクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase:COX)は,膜リン脂質から遊離したアラキドン酸をプロスタグランジン(PG)G2という中間体を経て PGH2に転換する酵素である。この酵素はアラキドン酸を PGG2にする COX 活性と,PGG2を PGH2に転換するペルオキシダーゼ(POX)活性を併せもつ dual enzyme である。その意味から,COX-1,COX-2 遺伝子欠損マウスでは COX 活性のみでなく POX 活性も存在しないが,選択的 COX-2 阻害薬を含む非ステロイド性消炎鎮痛薬(non-steroidal anti-inflammatorydrugs:NSAIDs)では COX 活性のみが抑制され,POX 活性は残存することより,その発現系と効果に差が存在することはありうることである。一方,COX-1 と COX-2 の生理的・病理的役割の相違に関し,多くの報告がなされているが,依然として解決できない問題がある。それは,COX-1 からも COX-2 からも産生される PG には差がないにもかかわらず,なぜこのようなCOX-1 と COX-2 の役割に差が生じるかという点である。COX-1 は多くの細胞に恒常的に存在し,COX-2 は種々の因子が細胞に作用することで発現される。すなわち,多くの病的条件下においては,細胞内に COX-1 と COX-2 が存在することになる。その状態にアラキドン酸が遊離されれば当然,COX-1 からも COX-2 からもPG が産生されるはずである。にもかかわらず,実際にはこのような条件下では圧倒的に COX-2 により PG が産生される。その理由は,COX-1 と COX-2 の基質に対する Km値や Vmaxの違いで説明されるべきであるが,残念ながら精製された COX-1 と COX-2 を用いた実験で,両者にはこれらに差がないことが明らかになっている。本稿では,このことを含めて推論するとともに,COX-3 に関しても論述してみたい。
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治療学 41巻12号, 1236-1240 (2007);
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非ステロイド性消炎鎮痛薬(non-steroidalanti-inflammatory drugs:NSAIDs)は解熱鎮痛抗炎症効果を示し,広く臨床の場で使用されているが,すべてのプロスタグランジン(PGs)類の産生を一括遮断するための副作用の問題が深刻に議論されている。さらに近年,2 種のシクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase:COX)分子種のうち誘導型の COX-2 に対する選択的阻害薬が開発されたが,重大な心血管系への副作用が判明し,NSAIDs の安全性への懸念は依然として解消されていない。著者らはこれまでに COX の下流で PGE2産生を特異的に制御する PGE 合成酵素(PGES)を単離同定し,その機能解析を行ってきた。とりわけ COX-2 の下流で選択的に機能している膜結合型 PGES-1(mPGES-1)が,発痛,炎症性疾患,がん,虚血性脳疾患などの増悪因子として機能していることが明らかになってきた。これらの知見は,mPGES-1 阻害薬が NSAIDsに代わる効果的な医薬品となりうる可能性を強く示唆している。本稿では,著者らによるmPGES-1 遺伝子欠損(KO)マウスによる研究成果を中心に,他グループの知見をふまえ,mPGES-1 阻害薬の有効性,およびその問題点について概説する。
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治療学 41巻12号, 1243-1246 (2007);
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2007 年の 6 月よりわが国においても,選択的シクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase:COX)-2 阻害薬であるセレコキシブ(セレコックス)が関節リウマチと変形性関節症に対し保険収載されることとなり,一般臨床における非ステロイド性消炎鎮痛薬(non-steroidal antiinflammatorydrugs:NSAIDs)の歴史は新しい時代へと突入した。選択的 COX-2 阻害薬は,NSAIDs における COX-1 阻害に基づく消化管傷害を中心とした副作用の軽減を目的に,各企業において激しい開発競争が進められている。ここでは,選択的 COX-2 阻害薬開発の基礎についてアスピリンから始まり COX-2 の発見に至る消炎鎮痛薬の歴史と,選択的 COX-2 阻害薬開発の経緯について解説する。
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COX-2 の生理学・病態生理学
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治療学 41巻12号, 1247-1249 (2007);
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骨は,破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成とによる再構成を常に繰り返している組織であり,骨量はその 2 つの異なった細胞系列間の機能的平衡状態により維持されている。その調節機構にはさまざまな因子が関与しているが,プロスタグランジン(PGs)も以前から重要な調節因子として注目されてきた。PGs のなかで PGE2は骨組織において最も多量に存在し,最も強い生物活性をもち,骨代謝において重要な働きをしている1)。骨に対する PGE2の機能としては,当初,骨吸収作用が注目されていたが,その後,骨形成作用もあることが示された。また,PGs 合成の律速酵素であるシクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase:COX)の 2 つのアイソザイムのうち,炎症等の刺激により誘導されてくる COX-2 の骨代謝への関与が示されている。さらに,COX の下流に位置し,PGE2の最終合成酵素PGES(prostaglandin E synthase)の 3 つのアイソザイムのうち,COX-2 と同様に誘導性で,機能的にも COX-2 と連関する mPGES(microsomalPGES)-1 も骨代謝に重要な役割をもつことが明らかになってきている。本稿では,PGE2およびその合成酵素であるCOX-2,mPGES-1 の骨代謝への関与について,われわれが行った mPGES-1 ノックアウト(KO)マウスの検討をまじえて概説する。
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治療学 41巻12号, 1251-1254 (2007);
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1990 年代前半に,非ステロイド性消炎鎮痛薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs:NSAIDs)の服用者集団では,大腸がんや胃がんの発生頻度が有意に低いことが報告された1)。NSAIDs の標的酵素はシクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase:COX)であり,COX には COX-1 と COX-2 のアイソフォームがある。COX-1は恒常的に発現して,生理学的に重要なプロスタグランジン合成に関与している。一方,COX-2 は炎症局所やがん組織で発現誘導し,それに依存して合成されるプロスタグランジンが,それぞれの病態に重要な役割を果たしていると考えられている。NSAIDs の消化管に対する副作用は COX-1 阻害によると考えられたため,副作用のない消炎鎮痛薬として選択的 COX-2 阻害薬(COXIB)が開発された。COXIB は同時にがん予防薬としても期待されたが,心臓に対する副作用が明らかとなったため,新たな対応が必要となってきている。しかし,発がん過程における COX-2 の作用はきわめて重要であるため,がん予防薬としての COXIB の今後の方向性が注目される。ここでは,基礎研究の立場から COX-2 が大腸がん,胃がんの発生にどのように関わっているのか,明らかにされた研究報告について解説する。
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治療学 41巻12号, 1255-1258 (2007);
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治療学 41巻12号, 1259-1262 (2007);
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シクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase:COX)は,各種プロスタグランジン(PGs)などの生理活性物質の産生におけるアラキドン酸代謝の律速酵素である。これまでにも,PGs そのものや COX の阻害薬である非ステロイド性消炎鎮痛薬(non-steroidal anti-inflammatorydrugs:NSAIDs)の投与が,動物やヒトの生殖器系器官に与える影響を調べることにより,PGs が排卵,受精,着床,妊娠,分娩などの生殖機能に多面的に関係していることが解明されてきた。また,近年の COX-2 の発見と COX-2 に関連する新しい知見は,さらに詳細なメカニズムの解明に役立つことが期待される。
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治療学 41巻12号, 1263-1267 (2007);
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選択的 COX-2 阻害薬の開発やノックアウトマウスをはじめとした動物実験により,COX-2の生理的作用解明の重要性が明らかになってきた。一方,選択的 COX-2 阻害薬は期待どおりに従来の非ステロイド性消炎鎮痛薬(non-steroidalanti-inflammatory drugs:NSAIDs)と比べ消化器系への副作用をみごとに激減させ脚光を浴びたが,長期服用による心血管系障害の発症頻度の増加が大きな問題となっている。本稿では,腎臓および血管の生理機能における COX-2 の作用と選択的 COX-2 阻害薬がもたらす影響について述べる。
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治療のピットフォール
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治療学 41巻12号, 1271-1272 (2007);
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非ステロイド性消炎鎮痛薬(non-steroidal antiinflammatorydrugs:NSAIDs)は,シクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase:COX)阻害によるプロスタグランジン(PGs)産生低下や直接的な作用により胃粘膜傷害をきたすことは以前から知られている。NSAIDs による抗炎症作用を発揮するためのターゲットは COX-2 であり,NSAIDs による胃粘膜傷害は COX-1 の阻害を介した PGs 欠乏が原因であると解釈されてきた。つまり,選択的 COX-2 阻害薬は,胃粘膜の恒常性維持に必要な COX-1 への影響を回避し,炎症局所で発現する COX-2 のみを阻害することで抗炎症作用を最大限に発揮する薬剤として開発されてきた。実際,欧米の関節リウマチ患者を中心とした複数のランダム化比較試験(RCT)のメタ解析により,選択的 COX-2 阻害薬には,従来のNSAIDs と同等の抗炎症効果を発揮するとともに,消化性潰瘍およびその合併症(出血,穿孔および狭窄)に対する有意な予防効果が示されている1)。しかしながら,消化管粘膜の恒常性維持において,COX-1 のみが重要だとする考えに疑問を呈する報告がある。ここでは,選択的 COX-2 阻害薬の潰瘍患者における安全性のピットフォールとして,限界・問題点について概説する。
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座談会
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選択的 COX-2 阻害薬
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治療学 41巻12号, 1273-1280 (2007);
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新しい治療
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治療学 41巻12号, 1281-1284 (2007);
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アルツハイマー病(AD)は神経変性疾患のなかでは比較的罹患率が高く,高齢社会を迎え大きな問題となっている。その病態には,脳内での慢性炎症が関与していることが明らかになっており,近年それを裏付けるように非ステロイド性消炎鎮痛薬(nonsteroidalanti-inflammatory drugs:NSAIDs)長期服用者に AD 発症が有意に少ないとする疫学的報告が相次いでなされた。これにより,副作用が少なく長期服用が可能な選択的 COX-2 阻害薬が,AD 予防薬になるのではないかという期待が膨らんだ。しかし,最近の選択的 COX-2 阻害薬を用いた研究では,明らかな AD 予防効果は証明されず1,2),むしろ非選択的 COX 阻害薬である NSAIDs を含めた心血管イベントの増加が問題となっている3,4)。本稿では,COX阻害薬の AD 予防薬としての可能性を探る。
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症例
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治療学 41巻12号, 1285-1289 (2007);
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治療学 41巻12号, 1291-1294 (2007);
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アスピリンは 100 年以上にわたり解熱鎮痛消炎薬として利用されてきた非ステロイド性消炎鎮痛薬(non-steroidal anti-inflammatory drug:NSAID)であるが,1967 年に Weiss らがこれに抗血小板作用のあることを発見したことから1),現在では狭心症,心筋梗塞,脳卒中などの二次予防を目的とした抗血小板薬として利用されている。アスピリンの抗血小板作用機序は血小板上のシクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase:COX)-1 を不可逆的に阻害することによるトロンボキサン A2産生抑制である。しかし,同時に血管内皮に存在する COX を阻害し,血小板凝集抑制に関わるプロスタグランジン I2を阻害するため,低用量(約 100 mg/日)でのみ抗血小板作用を示し,高用量ではむしろ凝集を促進する働きをもつ2)。一方,それ以外の NSAIDs は可逆的に COX を阻害しプロスタグランジン類産生を抑制することで消炎鎮痛作用を示す。ところが,近年になってアスピリンと他のNSAIDs を併用すると,その投与順序によってはアスピリンの抗血小板作用が影響を受けるという報告がなされた。2001 年に Catella-Lawson らは,抗血小板薬としてアスピリンを服用している患者が,服用 2 時間前に NSAID であるイブプロフェンを服用すると抗血小板作用が抑制され,投与の順序を逆にすると抑制作用はみられず,また,アセトアミノフェンや COX-2 選択性の高いロフェコキシブではこのような抑制がみられなかったと報告している3)。本稿では,臨床的に見いだされているこのような現象について,その機構を明らかにする目的でヒト血小板を用いた in vitro の実験系で行った研究結果について解説する。
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治療学 41巻12号, 1295-1298 (2007);
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近年,胃粘膜傷害の発生要因として HelicobacterPylori 菌(H. P. 菌)と非ステロイド性消炎鎮痛剤(non-steroidal anti-inflammatory drugs:NSAIDs)が注目されている。前者においては一般人口におけるH. P. 菌の感染率の低下,さらには除菌療法の普及などにより H. P. 菌関連疾患の減少が示唆されている。しかし,後者においては高齢化社会の到来を迎え,整形外科,リウマチ科,膠原病内科領域で広く使用されており,さらに近年では神経内科,循環器内科領域を中心に低用量アスピリンの使用量が著明に増加している。NSAIDs は今日,最も臨床の場で広く使用されている薬剤の代表といっても過言ではないと思われる。これに伴い副作用としての胃病変が増加し問題となってきており,筆者ら1~3)も従来よりたびたび報告してきたが,本稿においては筆者らが経験したNSAIDs 胃潰瘍の 1 症例について呈示し,解説を加える。
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治療の歴史
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治療学 41巻12号, 1299-1304 (2007);
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非ステロイド性消炎鎮痛薬(non-steroidal antiinflammatorydrugs:NSAIDs)はステロイド以外で抗炎症作用をもつ薬物群を示した名称である。その主たる作用機序はシクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase:COX)の活性阻害である。かつて NSAIDsは関節リウマチ(RA)治療の第一選択薬とされていた。しかし,近年効果の高い抗リウマチ薬(DMARDs)や生物学的製剤が出現し,RA 治療のパラダイムが革命的に変わった。その結果,現在ではRA の初期治療における補助的な薬剤と考えられている。しかし,NSAIDs は即効性があり,患者の QOLの改善が期待できる薬剤であり,依然として最も頻用されているのは確かである。NSAIDs の歴史は古く,紀元前にさかのぼる。今日に至るまで,より強い臨床効果と副作用の軽減をめざして,多数の NSAIDs が開発されてきた。1991年には COX-2 が発見され,COX-2 選択性の強いCOX-2 阻害薬が理想的な NSAIDs として開発され,爆発的な売り上げを示した。その後,一部の選択的COX-2 阻害薬に心血管系イベントの副作用問題が生じた。個々の NSAIDs には特有の薬理作用があり,まだ未知の作用も存在すると考えられる。このように,NSAIDs はこれまで多くの話題を投げかけてきた。今回,NSAIDs の歴史と RA 治療における位置付け,さらに今後の展望について解説する。
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DI 室Q&A
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治療学 41巻12号, 1305-1307 (2007);
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NSAIDs は,ほかの薬剤との薬物相互作用が多く報告されている薬剤群のひとつといわれている。相互作用には,一方の薬物がほかの薬物の吸収,体内動態,代謝,排泄に変化をもたらす薬物動態的相互作用と,互いの薬物が作用する部位や受容体に影響を及ぼす薬力学的相互作用がある。そこで本稿では,NSAIDs の主な相互作用について述べることとする。さらに,わが国において 2007 年 6 月に発売されたコキシブ系消炎鎮痛薬,セレコキシブ(セレコックス錠)と従来の NSAIDs の相互作用の違いについても併せて述べることとする。
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suggestion
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治療学 41巻12号, 1218-1218 (2007);
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治療学 41巻12号, 1234-1235 (2007);
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治療学 41巻12号, 1268-1269 (2007);
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