ブレインナーシング
Volume 23, Issue 5, 2007
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特集
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- これが脳神経外科看護だ!2
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2.緊急事態発生!
23巻5号(2007);View Description Hide Description脳神経外科病棟でも,術前・術後を問わず入院患者の状態が急変し,生命にかかわるという事態が発生します.そんなとき,新人ナースの皆さんは緊張し不安を抱くことと思います.そこで大切なことは,まず何が緊急を要する事柄なのかを認識することです.いつ起こるかわからない緊急事態を見逃さずに,適切な行動が取れるように備えておきたいものです.そのためにまず,知識を整理しましょう. -
3.リハビリテーション
23巻5号(2007);View Description Hide Description脳神経疾患における症状は障害される部位によって異なりますが,身体運動障害や感覚障害,嚥下障害,意識障害などのさまざまな障害を呈します.脳腫瘍などの場合はその症状の進行が緩やかなこともしばしばあります.それに比べて脳梗塞や脳内出血,クモ膜下出血などの脳血管障害,いわゆる脳卒中は発症した時点でその部位が障害されるため,急激に症状が出ることが特徴と言えます.多くの場合,これらの症状が重複することがあり,ADLやQOLに大きく影響します.そしてこれらの障害は,発症時にどのような看護が提供されたかに大きく影響を受けるとも言われています.また,2006年度の診療報酬改訂に伴い,脳血管疾患における回復期リハビリテーション(以下リハビリと略)は2カ月以内が対象となり,リハビリの算定日数上限は180日となりました(医学的に判断され,改善の見込みのある場合は継続可能).そのため,私たち看護者は急性期(発症直後)から“今より障害を重くしない”,“少しでも早く機能を回復させる”ようにかかわる必要があります.つまり,生活行動の再獲得に向けて,早期離床を促し,ADLの拡大にすみやかに取り組める“身体作り”のための看護を実践する必要があります.それが入院中におけるリハビリです.
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巻頭カラー
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- 食べたくなる!食べさせたい!嚥下食
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病院でお花見を満喫
23巻5号(2007);View Description Hide Description5月の「ごちの日(ごちそうの日)」は,桜を咲かせたお手紙とともに『花見弁当』をお届けしています.“サーモンのゼラチン寄せ”はぎりぎりまで冷やしておくため,口当たりがよく滑らかです.ほんのりピンク色のお粥には桜の花を飾り,桜の香りをお届けしています.患者様は「お酒があれば,言うことないけどね!」とうれしそうです.これからも花見気分を満喫していただけるようなくふうをしたいと思います.
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カラー新連載
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- 短い時間で楽しく読める・じっくりわかる神経解剖ナビゲーション
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脳動脈・脳槽・後頭蓋
23巻5号(2007);View Description Hide Description今回から,今までに描きためたイラストをもとに神経解剖の旅に出ようかと考えています,前もって決められた旅もいいですが,ぶらりと思いつきでどこかに出かけるのも一興です.意外に思い出が詰まったいい旅行になるかもしれません.読者の皆さまには以前見たことがあるかもしれませんが,私にとっては思い出に満ちたイラストです.どうかお付き合いのほどをよろしくお願いいたします.
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メディカ・アワード受賞論文発表
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- 【看護実践部門】
- ●優秀賞
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頸動脈血栓内膜摘出術後の安全・安楽な頸部固定具の改良と効果〜第2報〜
23巻5号(2007);View Description Hide Description頸動脈血栓内膜摘出術(以下,CEA)とは,内頸動脈の狭窄が認められる患者に脳梗塞の予防的治療として行われる手術であり,術後,出血予防のために頸部の安静が必要である.当病棟では,CEA術後は,頸部固定のために2kgの砂餒のうを2段に重ね顔の両側に置く砂餒枕を使用していたが,重さとずれのために患者の苦痛が生じていた.そこで,患者の苦痛を軽減するために,昨年度新たな頸部固定具の改良を進め,発泡スチロール製の改良具を作成した(以下,旧固定具).結果,頸部の固定が確実になり,頸部の安静が無理なく保持でき,肩への負担が軽減されたことが,看護師の追体験により証明されたが,実際の患者への使用には至っていなかった.さらに,今後の改善点として,①耳への圧迫の軽減に対する工夫,②固定具をはがすときの音の解消の必要性があることが示唆された.今回,それらの問題点を解決したより安全・安楽な新固定具を考案し,効果が得られたので報告する. - ●BRAIN NURSING賞
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個々に合った食事形態の工夫〜チェックリストを作成して〜
23巻5号(2007);View Description Hide Description食べるということは,生命の維持に欠かせないばかりでなく人生の基本的な楽しみのひとつであるとされています.私たちの病棟では,疾患や加齢に伴う嚥下機能の低下により摂食・嚥下障害のある患者に対し半固形食から食事を開始しますが,その際とくに規定もなく食事を決定していました.しかし,それでは誤嚥性肺炎などの合併症を起こすリスクが高くなるのではないかと疑問を持ち,個々に合った食事形態を導き出すことで合併症を起こすことなく食事摂取が行えるのではないかと考え,この研究に取り組みました.
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お勉強
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- スッキリ解決!Q&A
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- 今日からできる!根拠がわかる!脳神経ナースがする呼吸理学療法
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基本の呼吸理学療法とケア(2)〜呼吸介助法〜
23巻5号(2007);View Description Hide Description前回は体位排痰について説明しました.今回は(用手的)呼吸介助法について解説します.呼吸介助法は胸郭を手で他動的に圧迫することで,目的とする肺区域の呼気を促進します.胸郭の弾性を利用することにより吸気量が増え,結果として換気量の増大や気道内分泌物の喀出を促進します.体位排痰時に呼吸介助法を併用することで,排痰の効果が増加します. - 完全マスター 脳卒中急性期の看護
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脳卒中クリティカルケアの概要 血栓溶解,rt-PAの薬剤
23巻5号(2007);View Description Hide Description一般的な薬物療法(抗凝固療法,抗血小板療法)に加え,症例により,経動脈的カテーテルによる血栓溶解療法(局所線溶療法)と,rt-PA静注による血栓溶解療法を選択し行っています.そこで,両者の適応と,どのような基準をもって選択しているのかをまとめました. - 病棟薬剤師に聞く 脳神経疾患ナースのためのくすりの知識
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ガバペンチン 抗てんかん薬
23巻5号(2007);View Description Hide Descriptionガバペンチンは1973年にドイツで合成され,1993年より英国および米国で抗てんかん薬として承認されました.それまであった抗てんかん薬とは異なる機序で作用を示す薬で,併用療法において効果を示すことが認められています.日本では2006年9月,「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作に対する抗てんかん薬との併用療法」が効能・効果として承認されました.
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エッセイ・読みもの
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- 探訪 世界のスカル-ミュージアム
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シリラート博物館
23巻5号(2007);View Description Hide Descriptionシリラート病院内にある.病院はマヒドン大学の前身で,1889年に創立され,1969年にマヒドン大学と名称を変更して現在に至っています.マヒドンの名称は,マヒドン王子(プミポン国王の父にあたる)から取られています. - 忘れ得ぬナース&ドクター
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- 脳をくすぐる一冊
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- ドラマ・映画にみる脳の疾患 シネマホスピタル
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モーツァルトとクジラ
23巻5号(2007);View Description Hide Description奇妙な題の映画です.モーツァルトとクジラにどんな関係があるというのか.クジラがモーツァルトを聴くというのか,モーツァルトがピノキオのようにクジラに飲まれるというのか,興味津々で映画館へ出向きました.超満員のなかでの立ち見.それも眼前のカップルの頭の間から,まるでのぞき見するように.徐々に空間が狭くなるという逆境のもとでの鑑賞でした.アスペルガー症候群の若い男女がそれぞれの分野に異常な才能を見せながらも,他人とのコミュニケーションが取れないという障害に立ち向かう.そして互いを傷つけ合いながらも理解し合って,愛情を深めるというラブストーリーです.ハロウィンの変装で彼女はモーツァルトを彼はクジラになることから,このタイトルがつけられました.美しい映画ですが私はその音楽に感動しました.「卒業」で聴いたサイモンとガーファンクルのメロディーをほうふつとさせます.
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全国施設情報
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- NURSE STATION
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朝日大学歯学部附属村上記念病院 脳卒中センター,5階北病棟,回復期リハビリテーション病棟
23巻5号(2007);View Description Hide Description朝日大学歯学部附属村上記念病院は村上外科病院を前身とし,今年で34年目を迎える.脳神経外科は脳神経内科も含めた幅広い治療を行い,脳卒中センター,5階北病棟,回復期リハビリテーション病棟のスタッフが一丸となって,急性期から回復期までトータルにケアしている.「倫理的配慮がなされ,状況に応じた効果的な看護の実践」をモットーに高い看護力を発揮し,地元岐阜市の地域医療を支える現場を取材した. (編集部:大谷・藤野) - おしえて!全国脳神経疾患病棟 看護のくふう
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術後創部の除圧と安楽を目的とした枕の作製
23巻5号(2007);View Description Hide Description当院では後頭部の手術後に,ドーナツ枕(図1)を使用しています.しかし,ドーナツ枕は薄くて弾力性がなく,頭を枕に乗せると創部がベッドに直接当たってしまいます.また,創部が下になり圧迫されることによる痛みや,創部を動かすことへの恐怖や不安によって寝返りがうてず,同じ体勢を取りがちになり,頸部から肩にかけて痛みを訴える患者が多くいます.このことから,現在使用しているドーナツ枕では,術後の安楽が保てないのではないかと考えました.そこで私たちは,創部が枕に当たったときの痛みが少なく,寝返りがうちやすい創作枕の作製(図2)を試みました.