ブレインナーシング
Volume 24, Issue 5, 2008
Volumes & issues:
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特集
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- 看護に生かす!画像診断の基本〜疾患・病態を理解する〜
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1.画像検査の基本
24巻5号(2008);View Description Hide Description生体にX 線を照射すると一部は生体に吸収され,残りが透過X 線として生体を通過します.CT は,このX 線吸収値のわずかな差をコンピューターで処理し画像化する装置です. 吸収の程度は組織によって異なり,骨が最も吸収度が高く,副鼻腔内などの空気が最も低くなります.つまり,骨は白,空気は均質な黒,水は黒,脳実質はやや黒みがかった灰色で表示されます(図1) -
2.画像でみる解剖
24巻5号(2008);View Description Hide Description画像検査のなかで,日常的に行われる検査としては頭蓋単純X 線撮影,脳血管撮影,CT およびMRI などが挙げられます.それぞれの画像を元に病変を診断するにあたり,画像により構造物の見え方が異なるため,その画像に対応する解剖の理解が必要となってきます.頭蓋単純X 線撮影,脳血管撮影,CTとMRI 画像の順に,解剖と比較しながら画像をみていきましょう. -
3.病態と画像
24巻5号(2008);View Description Hide Description脳出血や脳腫瘍などの頭蓋内を占拠する病変が存在すれば,その周囲の脳は圧力の勾配に従って圧迫されるため圧が高いほうから低いほうに移動しようとします.しかし,脳は硬い頭蓋骨と髄膜によって囲まれているので外側に向かって押し出そうにも出るところがないために,結果として周囲の脳に圧力がかかり続けることになります.これを頭蓋内圧亢進症状と言います. -
4.おもな疾患と画像の特徴1 (1)クモ膜下出血(破裂脳動脈瘤),(2)高血圧性脳出血,(3)脳動静脈奇形
24巻5号(2008);View Description Hide Descriptionこの項では,頭蓋内の出血性病変であるクモ膜下出血(破裂脳動脈瘤),高血圧性脳出血,脳動静脈奇形のCT および脳血管撮影画像について解説します. -
5.おもな疾患と画像の特徴2 (4)脳梗塞,(5)もやもや病
24巻5号(2008);View Description Hide DescriptionCT では,梗塞巣は低吸収域(low densityarea:LDA)を呈します.しかし発症直後はまだLDA は出現しません(図1-A).通常発症12 時間以上経過するとLDA が明らかになりますが(図1-C),内頸動脈や中大脳動脈などの主幹動脈の閉塞による広範な梗塞の場合は,それより早期に脳溝の不明瞭化(“ しわ” の消失)などが見られることがあります(図1-B,図6-A).またこれらの梗塞で閉塞した血管が再開通した場合,梗塞巣に出血を伴い病状が悪化することがあります.これを出血性梗塞と言います(図2) -
6.おもな疾患と画像の特徴3 (6)良性脳腫瘍,(7)悪性脳腫瘍
24巻5号(2008);View Description Hide Description脳腫瘍には全身の臓器から脳に転移する転移性脳腫瘍と,原発性脳腫瘍とがあります.この項で扱う原発性脳腫瘍(今後,たんに“ 脳腫瘍” と呼びます)は最初から頭蓋内に生じる腫瘍を指し,人口10 万人当たり8 〜 10 人程度,発生します. 脳腫瘍は,大きく良性と悪性に分けられます.両者に共通する症状には,けいれんと頭蓋内圧が高くなることによって見られる頭痛,嘔吐があります.けいれんは脳の特定の部位が刺激されることにより生じる症状ですので,腫瘍だけでなく脳血管障害,頭部外傷,脳炎などでもしばしば見られます.脳腫瘍による頭痛や嘔吐は,頭蓋内圧が上昇しやすい朝方によく見られます.嘔吐は食事に関係なく悪心を伴わない噴出性嘔吐が特徴です.その他,腫瘍が発生する場所によってさまざまな症状を呈しますが,多くは脳の大切な機能を担う部分を障害することによる,局所機能の脱落症状です(図1).そのため,腫瘍の存在部位を知ることは,患者の症状を理解するための大切な手掛かりとなります. -
7.おもな疾患と画像の特徴4 (8)頭部外傷,(9)脳膿瘍
24巻5号(2008);View Description Hide Description重症頭部外傷患者は病院へ搬送された後も病態が刻々と変化し,状態が悪化していくことがあります.そのため,早期に診断し適切に治療を進めることが肝要です.また,頭部外傷単独であることは少なく,全身状態の把握も重要です.最近は画像診断機器の進歩により,短時間で診断を得ることができるようになってきました.ここでは代表的な頭部外傷疾患と脳膿瘍の特徴的な画像所見を中心に述べます.
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巻頭カラー
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- あなたがいたから頑張れたVer.2
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「難」が「有る」から「有難う」ですね 苦しい時こそ「ありがとう」ですね
24巻5号(2008);View Description Hide Description河村武明(かわむら・たけあき)1970 年京都生まれ.2001 年10 月に脳梗塞で倒れ,一時は生死の境をさまよいながらも奇跡的な回復を遂げた.現在は失語症と言語障害,聴覚障害,右手麻痺の回復のためにリハビリを続けながら,絵と詩を描きためては京都の路上で販売している.お天気の土日に京都・四条小橋の上でする「ストリート」で,多くの人々と交流する. - 短い時間で楽しく読める・じっくりわかる 神経解剖ナビゲーション
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嗅神経( I ),視神経( II )
24巻5号(2008);View Description Hide Description錐体外路や小脳から脳幹に話が進みました.前回では脳幹:中脳,橋,延髄を後方から眺めた図で12 脳神経の動眼神経核から舌下神経核までを描きました.今回は各論の初めとして嗅神経,視神経を述べ,補足的に動眼神経,滑車神経,三叉神経について描いてみました.さらに神経の出入りする孔との関係も理解していただければ幸いです. - 探訪 世界のスカル-ミュージアム
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イカ考古学博物館
24巻5号(2008);View Description Hide Description1946 年にパラカス文化, ナスカ文化, ワリ文化時代の貴重な出土品として, 土器, 織物, そして頭蓋骨を展示するために, 開設されました.リマからイカに行くには荒涼とした砂漠の中をバスで数時間走ります. - 拝見!ちょいわざくふうモノ
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転落防止のためのベッド柵固定ベルト
24巻5号(2008);View Description Hide Description患者がベッド柵を引き抜いてしまい,ベッドから転落することが予測される場合に,ベッド柵を固定することが多くある. これまではさらしで作製したひもを使用していたが,固定や取り外しに時間がかかり見た目も悪かったため,簡単に着脱でき,なおかつ見た目もすっきりする固定ベルトを考えた.
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マンガ連載
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- あなたならどうする?先輩・後輩ナースの脳神経疾患看護計画Ver.2
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リスクマネジメント看護〜転倒・転落防止編〜
24巻5号(2008);View Description Hide Description危ないじゃない!どうしたの! 車いすを取りにK さんのそばを離れてしまったのでK さんが1 人で立とうとされて…… K さんは座位保持もまだ不十分だし,そばに付いていないと転倒の可能性があると思わなかったん? 少しだけなら大丈夫かと思って……,すみません
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エッセイ読みもの
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- 忘れ得ぬナース&ドクター
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ほんとうにお世話になりました
24巻5号(2008);View Description Hide Description先生との出会いは私がまだ脳神経外科急性期病棟でスタッフとして勤務しているときでした. 私の看護経験は脳神経外科急性期病棟で7年,同科慢性期病棟に主任として2 年,そして,2002 年12 月,同科急性期病棟の師長となり,先生とまた一緒に働かせていただくことになりました. - ドラマ・映画にみる脳の疾患 シネマホスピタル
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潜水服は蝶の夢を見る
24巻5号(2008);View Description Hide Descriptionファッション雑誌の名編集長ジャン・ドーは,子どもと車の運転中に脳幹梗塞で倒れる.3週間の意識消失の後,意識が戻るが四肢はまったく動かず言葉も出ないという“ 閉じ込め症候群” に陥り言語療法士(日本では言語聴覚士と呼ぶ)にアルファベットを使ったコミュニケーション法を指導される. - 脳をくすぐる一冊
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ゴールデンスランバー
24巻5号(2008);View Description Hide Descriptionこの本の著者の伊坂幸太郎さんは,私が一番好きな作家です.ミステリーに分類されていますが,私が今までに考えていたミステリーの分野とは少し違った作品を書いています.今まではミステリーと言えば,“ 事件が起こり,その謎を解く” というそれだけのイメージでした.またその状況の描写も生々しく,読み終わった後も不気味さが残るものが多いと思っていました.
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お勉強
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- 病棟薬剤師に聞く 脳神経疾患ナースのためのくすりの知識
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ドパミンアゴニスト・非麦角系 パーキンソン病/症候群治療薬
24巻5号(2008);View Description Hide Description日本では現在,ドパミン受容体作用薬(アゴニスト)が6 剤あり,麦角アルカロイド誘導体が3 剤,非麦角系薬剤が3 剤あります.非麦角系薬剤は心臓弁膜症や肺線維症の副作用を持つ麦角系に比べ,比較的使いやすいものですが突発性睡眠が問題となります.とくに近年,服用後に自動車事故を起こした症例などが報告され,使用上の注意が改訂されるなど正しい使用と注意が喚起されています. - スッキリ解決!Q&A
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弾性ストッキングの使用法
24巻5号(2008);View Description Hide Description深部静脈血栓症の予防に弾性ストッキングを使用しますが,ストッキングは何日同じものを使用するのでしょうか?また,先生によって「脱がせるな」という場合があり,いつまでどうしておくべきかがわからず困っています.
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全国施設情報
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- おしえて!全国脳神経疾患病棟 看護のくふう
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尿漏れを防ぐアコーディオン式パッドの使用
24巻5号(2008);View Description Hide Description当病棟では,遷延性意識障害による機能性尿失禁のため,おむつ内排泄の患者が多くを占めています.以前は尿がおむつから寝衣・シーツへ漏れ,看護業務の大半を寝衣・シーツ交換に費やしていました.2006 年6 月まではパッドを2 〜 4 枚重ねて使用していましたが,ただ重ねるだけではおむつからの尿漏れを減少させることはできませんでした.そして,夜中でも頻回に患者の寝衣・シーツ交換を行っていました.そのため,1 日に使用するおむつとパッドの枚数が増え,患者・家族の経済的負担も大きいため,何か工夫できないかと思案していました. そこで,本誌22 巻4 号(2006 年4 月号)同連載第6 回「脳障害患者におけるおむつでの排尿援助の取り組み」に掲載された先行研究を基に,2006 年より通常のパッドを三つの山ができるようにアコーディオン状に折ったアコーディオン式パッド(図1)を使用したところ,寝衣・シーツへの尿漏れは減少しました.しかし,パッドからおむつへの尿漏れは頻回に見られたため,この尿漏れをなくしたいと考えました.そこで,パッドを当てる位置やおむつの当て方を工夫し,おむつへの尿漏れを減らすことができたので紹介します.