Volume 24,
Issue 12,
2008
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特集
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なぜする?どうする?シーン別 日常生活援助の方法とエビデンス
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ブレインナーシング 24巻12号, 1145-1145 (2008);
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ブレインナーシング 24巻12号, 1146-1151 (2008);
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脳神経疾患は,突然の発症で運動機能および認知機能障害をきたし,その回復には時間がかかるという特徴があります.また,機能障害を残したままで社会復帰する場合,患者の生活様式や生活の質は入院の前後で大きく変化するため,退院後の日常生活や社会復帰に対して患者や家族は大きな不安を抱えることとなります.急性期病院の看護師は,これらの不安に対して,発症直後から早期に患者・家族を心身両面で支援する必要があります.脳神経疾患患者の看護では,退院後の患者の生活を想像し,患者・家族と一緒に退院後の生活を想定したケアプランを作成することが重要です.
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ブレインナーシング 24巻12号, 1152-1157 (2008);
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脳神経疾患は急な発症で生命の危険や日常生活動作に支障をきたすので,回復後も患者のQOL が低下することが多いという特徴があります.発症から療養までの各段階での出来事は,患者や家族にとってはライフスタイルや役割,価値観の変化による葛藤を伴う予期せぬ出来事となります. 患者によってその疾患や病状,退院後の生活様式はさまざまですが,急性期看護では患者や家族の個別なニーズをとらえて適切に介入すること,合併症や事故を防いで患者にとって最良の状態で社会復帰できるように援助することが重要となります. つまり,意識障害や麻痺に伴う廃用症候群を予防し,医療事故を防いで安全に療養することは,退院後の患者のQOL を低下させないために重要です.危険回避のポイントは,意識障害患者の不顕性誤嚥を含む誤嚥性肺炎への予防的ケア,認知機能低下や運動障害,その他さまざまな要因によって危険回避能力の低下した患者の転倒・転落予防などが挙げられます. 当病棟では,患者の特性に加えて,新人や若い看護師たちが多いというチームの特性を考慮した安全態勢を整備しています.
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ブレインナーシング 24巻12号, 1158-1163 (2008);
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“ 口から食べること” は人間の基本的欲求です.食事はたんに栄養をとるだけでなく,多くの楽しみがあり元気の源です.また,摂食動作の改善はQOL を向上させると言われており,味覚の刺激は意識障害を改善させるという研究報告1)もあります.昨今では多職種で栄養状態を管理する栄養サポートチーム(NST:nutrition support team) が組まれるようになりました. 食事の援助は,日常生活援助のなかでも看護師が担うとても大切な援助です.摂食・嚥下障害のメカニズムは複雑で,嚥下障害の部位により援助方法が異なります.さらに,一度誤嚥性肺炎を起こすと,点滴や経管栄養で必要な栄養量を補うこととなり,食事を再開する機会が遅れてしまうこともしばしばです.介助者は患者の障害部位と原因をよく理解し,必要な栄養量をとること,誤嚥しないこと,楽しめることを念頭に置き,より良い介助ができるように努めましょう.今回は,症状に応じた食事援助について述べます.
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ブレインナーシング 24巻12号, 1164-1168 (2008);
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清潔援助の目的には,①全身の皮膚の清潔を保持する,②爽快感を得る,③血行を促進する,が挙げられます.さらに脳神経疾患患者に対する清潔援助は,筋肉の緊張を和らげ自他動運動を行う機会にもなり,残存機能を生かし,自立に向けてのかかわりを行うことも目的となります. 急性期で,安静臥床が必要または自分で体が動かせない患者は,環境からの刺激は閉ざされている状態です.温熱や全身のマッサージが感覚器への直接的な刺激となり,脳へ伝達されます.患者の全身の皮膚の状態を観察する機会は少ないため,清潔援助の場を活用して全身の観察を行います. 清潔援助の際も患者の反応を見ながら,援助の効果を判断する必要があります.患者の表情や,ベッドサイドにモニターがあるときは心拍数の変化などを見ながら援助します.援助方法が患者に苦痛を与えていないか,最大の効果を発揮できているかをつねに確認するために,看護師としての五感をフルに活用して援助するのです.そうすることで,言葉にすることができない患者の声も聞くことができます.
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ブレインナーシング 24巻12号, 1169-1173 (2008);
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脳神経疾患患者のなかには,障害があることによって日常生活に支障をきたしている場面は少なくありません.私たち看護師はそのような患者に対して,できる限りニーズに応じて介入していくことが求められます.そのなかの更衣は寝衣・衣服と言ってもさまざまな種類があり,方法や手順は多様であると言えます.しかし転倒や脱臼に注意するなどのポイントは共通しています.ここでは患者の自立度に応じた更衣の援助法を紹介します.
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ブレインナーシング 24巻12号, 1174-1182 (2008);
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排泄は,人間にとって生命維持に欠かせない機能です.そして,食事や入浴などの援助とは異なり,「待ってください」ができない生理現象であり,排泄の失敗は患者に与える心理的な影響も大きいです.脳血管障害など脳神経疾患患者では,排尿をつかさどる上位中枢や脊髄反射の直接的な障害,自律神経系の障害によって,正常な排泄機能を保てなくなることが多いです.排泄は羞恥心を伴うプライベートな行為であるだけにプライバシーに配慮し,安全で安楽な援助を提供しながら日常生活の自立や社会復帰を目指すことが重要です.
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ブレインナーシング 24巻12号, 1183-1191 (2008);
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口腔ケアは日常生活を維持していくために必要な清潔援助であり,基本的な看護技術です.しかし,対象個々による健康のレベル,自立度の程度,対象の持つ個別性の違いにより,ケアの方法はさまざまです.安全で患者に優しいケアを提供するためには,熟練した看護技術と患者の持つ問題を多面的にとらえ判断し適応していく能力が求められます.とくに脳神経疾患患者は,意識障害や麻痺などによりセルフケアが困難な場合が多いため,ケアの必要度は高くなります.
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ブレインナーシング 24巻12号, 1192-1196 (2008);
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脳神経外科病棟に入院している患者の多くは,意識障害,感覚障害,運動機能障害などにより思うように身体を動かせない,動きたいのに動けないという状況に置かれています. 看護師が当たり前のように毎日使用している車いすは,多くの患者にとっては人生で初めて乗る乗り物であり,どのように操作するのかわからない患者もいます. 移動とは,そもそも目的を持った動作であり,トイレに行きたい,外の空気を吸いたいという欲求を満たす手段にもなります.移動動作が拡大できれば,患者は回復しているという実感が持て,回復意欲の向上にもつながります.安全・安楽な移動の援助を身につけ,患者がベッドから天井を見詰めるだけの生活からの脱出を図りましょう. ここでは,シーン別に分けて説明します.
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ブレインナーシング 24巻12号, 1197-1203 (2008);
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脳神経疾患の患者は,麻痺や意識障害などにより運動量が低下するため,関節拘縮を生じる可能性が高い状況になります.また,長期臥床のため肺炎,循環障害および褥瘡発生のハイリスク状態にあります.たとえば,片麻痺のある患者では,関節拘縮に対するケアが十分でなければウェルニッケ・マン肢位(図1)という特有の姿勢となり,麻痺側の上下肢の動きが制限されます. このため,看護師は機能的に良好な予後を得るために良肢位を保持し,関節拘縮予防,褥瘡予防を行うことが求められます.具体的には超急性期から状態をアセスメントし,体位変換,ポジショニング,関節の他動運動などの看護ケアを患者の個別性を踏まえたうえで行い,最高の状況を維持することが大きな役割となります.
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巻頭カラー
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あなたがいたから頑張れたVer.2
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ブレインナーシング 24巻12号, 1133-1133 (2008);
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1970 年京都生まれ.2001 年10 月に脳梗塞で倒れ,一時は生死の境をさまよいながらも奇跡的な回復を遂げた.現在は失語症と言語障害,聴覚障害,右手麻痺の回復のためにリハビリを続けながら,絵と詩を描きためては京都の路上で販売している.お天気の土日に京都・四条小橋の上でする「ストリート」で,多くの人々と交流する.
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短い時間で楽しく読める・じっくりわかる 神経解剖ナビゲーション
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ブレインナーシング 24巻12号, 1134-1135 (2008);
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昨年5 月からふらっと出た解剖の旅.読者の皆様の応援のおかげで約1年半を無事に過ごせましたこと厚く御礼を申し上げます.なるべく成書に描かれていない図を心掛けて前回まで中枢神経系の要所を押さえながら大脳の構造から小脳の機能に触れた後,12 脳神経を概観したところです.途中から参加された方は頑張って追いついてくださいね. 今回は趣を変えて,ふだんあまり考えることの少ない外頸動脈にスポットを当ててみたいと思います.が,その前に頸部血管の走行の特徴について復習することにします.
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探訪 世界のスカル-ミュージアム
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ブレインナーシング 24巻12号, 1136-1137 (2008);
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25 万年前にヨーロッパに出現したヒトの祖先,“ ネアンデルタール人” は3 万年前ごろに絶滅したと考えられています.彼らは,なぜ絶滅したのでしょうか,その博物館を訪れ,彼らの発見場所にも行ってきました.
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拝見!ちょいわざくふうモノ
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ブレインナーシング 24巻12号, 1138-1138 (2008);
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介助入浴用車いすに患者を乗せる場合,全裸になるため浴室からの移動時のプライバシー保護を考えて作製した.普通のバスタオルでは背中から殿部が見えてしまうが,これは首から下をすべて覆うことができとても重宝している. さらに,患者の移動がスムーズに行え,作業時間の短縮にもなっている.
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エッセイ読み物
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忘れ得ぬナース&ドクター
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ブレインナーシング 24巻12号, 1139-1139 (2008);
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「青春とは人生のある時期ではなく,心の持ちかたを言う.……年を重ねただけで人は老いない.理想を失うとき初めて老いる.……」 これは幻の詩人サムエル・ウルマンの『青春の詩』の冒頭で,私の生き方を支えてくれた大切な宝物です.
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脳をくすぐる一冊
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ブレインナーシング 24巻12号, 1229-1229 (2008);
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春野台高校陸上部が舞台です.駆け抜ける爽快感が私を元気にしてくれます.さわやかな風と熱い感動をぜひ感じてください.
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編集室の本棚
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ブレインナーシング 24巻12号, 1236-1236 (2008);
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この度,「赤ひげへの道」という本を出版いたしました. 皆様は昔黒澤明監督のもとで三船敏郎さん,加山雄三さん主演の映画を覚えておられると思います.貧しい患者さん方に献身する主人公“ 赤ひげ” の姿は強く胸を打ちました.
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お勉強
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病棟薬剤師に聞く 脳神経疾患ナースのためのくすりの知識
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ブレインナーシング 24巻12号, 1205-1211 (2008);
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アルガトロバンはわが国で合成された選択的抗トロンビン薬で,アンチトロンビンⅢを介さずに抗凝固作用を示します.これまでアテローム血栓性脳梗塞,慢性動脈閉塞症,体外循環時の血液凝固防止に使用されてきました.ヘパリン起因性血小板減少症(HIT:heparin-induced thrombocytopenia)Ⅱ型に対して米国では2000 年より使われてきましたが,日本では2004 年に医師主導治験が実施され,希少疾病医薬品の指定を受け,2008 年7 月にようやくⅡ型HIT に対する効能・効果が取得されました.HIT の正しい診断とともに使われるべき薬です.
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スッキリ解決!Q&A
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ブレインナーシング 24巻12号, 1212-1212 (2008);
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くも膜下出血の術後の患者で髄液鼻漏に注意する患者と,とくに指示のない患者がいますが,その違いは何ですか?また,頭部外傷や術後の患者は鼻をかんではいけないですが,吸ってもよいのでしょうか?
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症例で見る看護計画
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ブレインナーシング 24巻12号, 1217-1228 (2008);
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全国施設情報
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おしえて!全国脳神経疾患病棟 看護のくふう
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ブレインナーシング 24巻12号, 1230-1235 (2008);
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1999 年に厚生労働省から介護保険施設などにおける“ 身体拘束禁止” の省令が出され,抑制しない看護の工夫が各施設で行われるようになりました. しかし,当院では脳神経疾患の特性から,生命維持のために避けて通れない状況においてリスクが高いと判断した場合には,患者・家族に同意を得たうえで,身体抑制を行っています. 術後,意識状態が清明ではなく,とくに不穏患者ではドレーン誤抜去のリスクが高くなるため,各施設においてさまざまな工夫をされていると思います.たとえば,くも膜下出血患者においてはスパズムによる神経学的変化の早期発見のために十分な鎮静処置が取られないことが多く,当院においてはドレーン誤抜去防止策には抑制が第一選択になっています. 今回は,身体抑制衣の改良によりドレーン誤抜去を防止し,さらにADL 拡大につなげる工夫をしたので紹介します.