ブレインナーシング
Volume 26, Issue 2, 2010
Volumes & issues:
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特集
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- ここまでできる! 合併症を起こさない術後看護〜あなたの看護技術のみせどころ〜
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脳神経疾患患者に起こりうる合併症
26巻2号(2010);View Description Hide Description合併症が起こると患者にどのような影響が出るでしょうか. 脳神経疾患はいったん症状が出現して固定してしまうと,何かの薬を使って改善できるというような疾患ではありません.合併症を起こさず,または悪化させずに治療が進められるよう看護ケアを行うことは早期離床につながり,患者の予後に大きく影響します.そのため,急性期の治療では,看護師は合併症のリスクを予測し,異常の早期発見に努め,合併症が出現または増悪しないようにすることが大切です. 本稿では合併症がどういったときに起こりやすいのか,また観察のポイントや看護ケアについて解説します. -
呼吸器合併症を起こさない呼吸・循環管理
26巻2号(2010);View Description Hide Description脳卒中の急性期や術後では,呼吸器感染など合併症の頻度が高く,これによって死亡率だけではなく機能的転帰も悪くなってしまいます.しかし,急性期から呼吸リハビリテーションを積極的に行うことで肺炎の発症を少なくできると報告されている1)ように,急性期からの積極的な呼吸ケアは脳卒中患者の呼吸器合併症を予防できると考えられます. この稿では,脳神経領域でよく見られる呼吸器合併症とその予防のための看護技術について述べます. -
廃用症候群を予防する看護技術
26巻2号(2010);View Description Hide Description脳神経系疾患を発症すると,意識障害・運動障害・言語障害・排泄障害・嚥下障害などの多様な身体機能障害を伴い,さらに情動障害・性格変化・記憶や認知の低下など精神機能障害などをきたすことも少なくありません.それらのさまざまな機能障害により臥床状態が続くと,廃用症候群(身体全体のあらゆる臓器機能・精神機能の低下)を引き起こし,さらに残存機能も低下し,結果として重度の障害を抱え寝たきりとなってしまう場合もあります.そのため,急性期管理をしながら廃用症候群を予防することは私たち看護師の役割として重要であり,早期介入が必要とされます. -
術後せん妄を予防する看護技術
26巻2号(2010);View Description Hide Descriptionせん妄と聞くと“ 点滴のチューブを抜く”,“ 大声を出す”,“ 暴れて騒ぐ” など看護師にとっては非常に対応が難しいというイメージがあるのではないでしょうか.とくに脳神経外科の手術後は,ドレーンや点滴など治療上重要な役割を果たすものが多く挿入されています.それらが抜かれることは生命にかかわる危険性があり,術後の合併症を併発してしまう可能性もあります.そのため,せん妄を予防することは重要です.それでもせん妄になった場合には,患者の安全を守るとともに現状を的確にアセスメントし看護介入していくことが大切です. 今回は,「せん妄とは何か」から「せん妄を予防するための看護」までを解説します. -
創・カテーテルに関連した感染症を予防する看護技術
26巻2号(2010);View Description Hide Description脳神経外科における術後感染症の発生頻度は比較的低いと言われています.しかし,感染症を起こしてしまうと,重大な後遺症を残したり致命的になることがあります.感染症を予防することは私たちにとって重要な看護と言えます. -
合併症を予防し回復を促す栄養管理
26巻2号(2010);View Description Hide Description脳血管障害や外傷による緊急手術では,発症から入院・手術までの経緯が早急であるため,入院時の栄養状態は正常であることが多いです.しかし発症後,意識状態の低下や頭蓋内圧亢進に伴う嚥下反射・咳嗽反射などの気道防御反応の低下により誤嚥を招く危険性があるため,経口摂取が見送られることがあります.また,術後では全身麻酔の影響で腸蠕ぜん動が抑制されます.悪性腫瘍では,腫瘍の進行により食欲不振・吸収不良・代謝異常から悪液質となり,栄養状態の低下をきたすことがあります. このように,栄養管理においてさまざまな弊害を抱えやすい脳神経疾患患者への,安全な栄養管理について述べます.
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緊急リポート
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脳卒中治療ガイドライン2009 −改訂のポイント−
26巻2号(2010);View Description Hide Description脳卒中診療の現場で働く私たちのmissionは“ 脳卒中医療の向上” にあると思います.現場ではまず脳卒中医療を標準化し,さらにチーム医療を実践しなければなりません.以前は主治医,病院,あるいは地域が違えば,同じ疾患・病態に対して違った診療が行われることが多々ありました.そのようななかで脳卒中治療を標準化するために,『脳卒中治療ガイドライン2004』が発刊されました.さらに今回5 年ぶりに改訂され,『脳卒中治療ガイドライン2009』が2009 年11 月30 日に発刊されました( 図, 協和企画, 定価4,830 円).2004 年版の234 ページから比べると2009 年版は358 ページで約1.5 倍と内容が増加しています.この1 冊で脳卒中治療全般が理解できますので,一読をおすすめします.
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巻頭カラー
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- いのちの輝き〜脳腫瘍の子どもたち〜
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- 短い時間で楽しく読める・じっくりわかる 神経解剖ナビゲーション
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- 拝見!ちょいわざくふうモノ
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エッセイ・読みもの
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- 忘れ得ぬナース&ドクター
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- 脳をくすぐる一冊
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第2特集
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- 回復期リハ病棟を知ろう
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回復期リハ病棟とは
26巻2号(2010);View Description Hide Description回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期リハ病棟)は,介護保険制度と同じ年の平成12(2000)年の診療報酬改定で制度化されました.その後9 年間(平成21〔2009〕年10 月現在)で全国に56,000 床を超えるまでに増床されています1).その目的は,次の3 点です. ㈰良くなる時期に集中的にリハビリテーション(以下,リハビリ)を行う. ㈪自宅退院の増加. ㈫急性期病院の在院日数の短期化. 急性期病院のDPC ※化も手伝って,発症後平均31.6 日で急性期病院から回復期リハ病棟へ転院しており2), 今後も転院はより早期化し, 回復期リハ病棟数も増加していくと予想されます. -
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回復期リハビリテーションQ&A
26巻2号(2010);View Description Hide Description回復期リハ病棟には,急性期病棟にはない仕組みが幾つかあります.ここでは,回復期リハ病棟への理解を深めていただくために,“ 日常生活機能評価”,“ 入院・転院” に関する決まりごとを,Q&A 方式で説明します.
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お勉強
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- 看護に生かせる海外文献この1本!
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- 病棟薬剤師に聞く 脳神経疾患ナースのためのくすりの知識
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ポリピル(Polypill)
26巻2号(2010);View Description Hide Description脳梗塞をいったん発症すると,年間5 〜 10%の再発リスクを背負ってその後の生活を送らなければなりません.脳梗塞を起こしてから頑張るよりも,起こさないように生活習慣の改善(食事,運動,禁煙,節酒など),危険因子(高血圧,糖尿病,メタボリックシンドローム,脂質異常症,心房細動など)の治療を積極的に行い,発症を予防したほうがよいと考えられます.脳梗塞予備軍の多くは幾つかの危険因子を持っており,それに対して複数の薬剤による治療が必要です.最近,複数薬物の合剤が登場し,“ ポリピル(Polypill)” の時代になりました. - 知らなきゃソンソン!やらなきゃドンドン!高次脳機能障害の看護〜急性期から回復期まで〜
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- スッキリ解決!Q&A
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全国施設情報
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- NURSE STATION
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交雄会グループ医療法人愛生会病院特殊疾患病棟
26巻2号(2010);View Description Hide Description愛生会病院は,1978 年に特例許可老人病床27 床で開院した.2003 年に現在の場所に移転し,60 床の特殊疾患病棟と内科を中心とした外来から成る.特殊疾患病棟は,JCS30 以上またはGCS8 点以下の状態が2 週間以上持続している重度の意識障害患者,多発性硬化症・筋萎縮性側索硬化症・筋ジストロフィーなどの神経難病患者,脊椎損傷患者などが対象の長期療養型病棟である.同院は地域に根差した療養型病棟として,旭川地区の脳卒中地域連携パスにも参加し,脳卒中発症後の重度意識障害患者も受け入れている. 意思の疎通が困難な患者のわずかな変化から患者の要求をくみ取り,患者のQOL を高める看護を提供している病棟を取材した. - おしえて!全国脳神経疾患病棟 看護のくふう
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脳卒中教室の開催による病識の向上
26巻2号(2010);View Description Hide Description当脳神経外科病棟は,脳内出血・脳梗塞の入院が約5 割を占めます.私たちは,脳神経外科急性期病棟での日常のケアやかかわり,患者の会話を通して患者の疾病に対する理解に不安を感じていました.たとえば「トイレに行く回数が増えるので水分は控えているんです」,「糖尿病と言われていたが,まさか脳梗塞になるなどと思ってもいなかったので,とくに病院にも行っていなかった」などの言葉が聞かれ,既往歴との関連に対する知識も不十分ではないかと思い,病棟内で脳卒中教室を開催しました.