ペリネイタルケア

産科領域では， ① 妊娠初期の診断（ 本連載Lecture 2〈2005年5 月号〉とLecture 3〈同6 月号〉参照），②子宮頸管の状態把握，③胎児先進部位の確認，④胎児脳構造の観察，などに用いられています．活用法の範囲は現在までに次第に広くなってきています．この中で，今回は頸管の観察法について解説します．

離乳食に関する相談には，①「食べてくれない」「いくらでも食べるので量がわからない」「日によって，メニューによって，食べたり食べなかったりする」などの量に関すること，②「同じものばかり食べる」「何々を食べない」などの質に関すること，③「何時に食べさせるべきか」など習慣に関することがあります．

結核予防法が廃止された．2006年12月6 日の参議院本会議で感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律（以下，感染症予防医療法）の改正法が成立し，その中に結核対策も取り込まれたのである．さらに，患者の人権を尊重することが大きくうたわれている．また医学知見の発展や国際交流の進展，生物テロや事故による感染症の発生などの防止などを含めて現実的かつ柔軟な感染症対策をとることを眼目にしている．結核は，かつては亡国病とまで言われ，1919年に旧結核予防法が制定され強力な対策が進められ，戦後も日本国民の最大の敵であった．1951年には新結核予防法が制定されて旧軍の病院や療養所を総動員してその撲滅に全力が挙げられるなど，結核対策は，ある面では戦後の厚生行政，衛生の歴史を表すものでもあった．それを象徴する結核予防法がなくなったのである．感無量である．ただ，ツベルクリン反応やBCG接種などはこれからも行われる．結核対策が重要であることに変わりはなく，今後は感染症対策の一つの柱として強力に進められる．

胎便による羊水混濁は在胎38週過ぎから起こり，42週を過ぎると分娩の30％に羊水混濁が認められる．胎便吸引症候群（MAS；meconium aspirationsyndrome）とは，読んで字のごとく児が胎便を気管の中に吸い込んだために起こる疾患である．胎児機能不全を認める場合や過期妊娠ではMAS発生頻度は高くなるので，注意が必要である．MASを起こす危険性の高い羊水混濁とは，胎便によるスープ状あるいは粥状の羊水である．羊水感染症を疑う黄色の混濁した羊水とは区別できる観察力を養っておかなければならない．

妊娠高血圧症候群は母体が高血圧状態にあり（ただし，胎児は高血圧ではないので，後述するような降圧療法に関する問題点が生じる），全身性の血管病変が基本病態である1 ）．病態が進行すれば母体ならびに子宮胎盤循環の障害に加えて，さまざまな臓器障害を惹起する．子2 ），HELLP症候群3 ）（妊娠高血圧症候群関連疾患），凝固線溶系の異常，胎盤早期餝離（妊娠高血圧症候群には含めないが関連性はある）などの重症疾患を合併することもある．重症高血圧が続くと動脈硬化症に類似した血管障害も起こってくる．母体合併症には妊娠終了後の永続的な後遺症のみでなく母体死亡や胎児死亡のリスクをも含む．妊娠高血圧症候群に対する私たちの対応としては，①予知・予防に努める，②食事療法，③薬物療法，④妊娠の終結（ターミネーション，termination）【解説1 】の4 つに集約される．これらのうち，予知・予防についてはすでに本連載第10回4 ），食事療法（栄養管理）については第13回5 ）で述べた．ターミネーションについては次号に譲り，本稿では薬物療法について解説する．ただ，妊娠高血圧症候群に対する薬物療法は複雑で議論が多く，必ずしもコンセンサスが得られていない．周産期医療従事者は，妊娠高血圧症候群における薬物療法の現状と問題点について理解を深めておく必要があると考えられる．

妊娠初期に起こる吐き気や嘔吐，食欲不振などの消化器症状は，つわりと呼ばれ，全妊婦の50〜80％にみられます．原因として，内分泌学的変化，すなわち妊娠8 〜12週頃にピークを示すヒト絨毛性ゴナドトロピンとの関連が高いと考えられています．その他，蛋白質代謝によるビタミンB6の欠乏や精神的要因などがあげられます．嘔気・嘔吐への対策に関しては，すでにRCT（ランダム化比較試験）が行われています．今回はいくつかの対処法を取りまとめたレビュー文献から，有効な対処法を検討してみましょう．

血液に曝露する危険のある分娩介助時，免疫機能が未熟な新生児でいっぱいの新生児室・NICUなど，周産期領域では，感染の危険に曝されることが少なくありません．あなたの何気ない動作が，院内感染や職業感染を引き起こすかもしれません．では，どうすれば感染は防げるのでしょう？ 新人助産師・うつるちゃんと一緒に，先輩助産師・まもるさんから，CDCガイドラインに沿った感染予防対策を学びましょう．