ペリネイタルケア
Volume 27, Issue 3, 2008
Volumes & issues:
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特集
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- プロを育てる 自分を育てる いまこそ深めたい新人助産師教育
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新人助産師教育の現状と課題 —「新人助産師臨床実践能力向上推進モデル事業」から見えたこと—
27巻3号(2008);View Description Hide Description新人看護師がいかに挫折することなく一人前になっていくか,その期間が1 年なのか2 年なのか注目されている.新人看護師と聞くとすぐにつらい,苦しいという新人看護師の心の悩みが浮かび,早期離職の深刻さに悩む.「看護師になってよかったと心底から実感できるようになる」「自分が看護師であることを意識できる」という目標の喪失,学ぶ意欲の低下から「危機」状態へと追い込まれていく.それらの現状をどう解消するかが重要である. 厚生労働省が「新人看護職員の臨床実践能力向上に関する検討会」(2003 年)1)を開催し,新規事業として「新人助産師臨床実践能力向上推進モデル事業」(2005 年)2)を実施した.筆者も2005 〜 2006年の2 年間,前職場(日本赤十字社医療センター)でこのモデル事業に参加した.今回,このモデル事業を通して,新人助産師の助産技術の到達目標について解説する. -
新人助産師教育の実際(1) —産科の単科施設—
27巻3号(2008);View Description Hide Description医療を取り巻く社会情勢が目まぐるしく変化する中,「病院勤務助産師としての働き方」にも大きな変化が求められている.本稿では,産科の単科施設でありながら,総合周産期センターとしての役割を担っている病院で勤務する助産師の,助産師教育の実際について述べていきたい. -
新人助産師教育の実際(2) —総合病院における教育—
27巻3号(2008);View Description Hide Description北野病院は707 床ある総合病院で,産婦人科病棟は産婦人科診療相互援助医療システム(OGCS)の準機関病院の役割を担う,38 床の混合病棟である.2006 年度の分娩件数は650 件で,これ以外に切迫早産,妊娠高血圧症候群などの入院管理が必要な妊婦のケアや,良性婦人科疾患の術前術後ケアを行っている.病棟スタッフは,助産師26 名,看護師6 名,助手3 名である. 病棟業務は,分娩,新生児,褥婦,婦人科,妊婦チームを数カ月単位でローテーションし,チームごとに日々のケアを行っている.新人助産師は先輩のサポートのもと,1 年間ですべての業務に就けるようローテーションする.また,病棟看護以外に,母乳外来,妊婦保健指導,助産師外来,育児サークル運営を病棟助産師が実施している. -
人を育てるということ
27巻3号(2008);View Description Hide Description私たちは,どの分野で看護を行っていても,ケアを必要としているさまざまな人たちとかかわりながら,考え,判断し,時には迷ったり,立ち止まったりしながら,ケアをする相手と喜びや哀しみ,そしてささやかな達成感を分かち合いつつ,共に成長しているものである. -
新人教育担当者としてのジレンマ
27巻3号(2008);View Description Hide Description日本看護協会は,2003 年の新卒看護職員の入職1年以内の離職率は,9.3%であったと報告1)している.当院でもここ数年,毎年7 〜 13 人の新人が入職し,1 〜 2 名が退職していく.新人にかかわる現場のスタッフとしてはやり切れない思いでいっぱいだ.新人とのかかわりの中で理想と現実に葛藤する毎日である.新人も悩んでいるだろう.それと同じくらい私たちだって悩んでいるのだ. ここでは教育担当として日々感じるジレンマについて述べたい. -
指導者をどのように育成するか
27巻3号(2008);View Description Hide Description新人助産師の教育システムが構築されたとしても,おそらく指導する側に能力がなければ効果的な教育はできない.まして指導者教育をどのようにするかというたぐいの記事や本はあまり目にした記憶がない.新人がどうあるべきかばかりでなく,教える側がどうあるべきか,また働く環境がどうあるべきかについてこの機会に考えてみたい. -
座談会:私たちは何を学んだのか —いまだから言える新人時代—
27巻3号(2008);View Description Hide Description竹淵:皆さんは,助産師・看護師として入職してもう少しで3 年になります.今日は新人時代に何を教えてもらい,そこから何を学んだのか,入職当時の気持ちや大変だったことなどについて振り返っていただきたいと思います. - 第23 回 日本分娩研究会 シンポジウム「私たちの行っているお産時の工夫」
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総合周産期医療センターにおける工夫 —さまざまなニーズに応える取り組み—
27巻3号(2008);View Description Hide Description愛育病院のお産の考え方には,3 つのキーワードがあります.「安全」「快適」「自然」です.3 つのどれもが大事ですが,これらのバランスがとれた出産が母児にとって一番大切なことだと考えています.妊産婦とその家族にとって出産はそれぞれの人生の中でとても大きな出来事であるため,その気持ちや意向に添いつつ,安全で快適な出産となるようサポートしていくことが大切だと思います. 当院では,基本的には「自然な分娩」を大事にしています.母児の安全が保たれている限り,順調で自然なお産の経過には手を加えないで「見守る」姿勢を基本としています. -
助産師の主体的な取り組み —フリースタイル分娩における介助の要点—
27巻3号(2008);View Description Hide Descriptionスズキ記念病院でフリースタイル分娩を導入してから約6 年が経過した現在,さまざまな体位の分娩介助を行う中で,助産師の実践能力は格段に高まった.また,「会陰切開を行わない」「分娩第2 期の限界を2 時間と決めない」「薄暗い間接照明にしBGMに配慮する」などが当たり前となり,助産師の分娩介助に対する意識も変わった. 産婦主体の分娩にするためには,介助技術のみならず,産婦と助産師が語り合いながら,協同して分娩に取り組む姿勢が重要となる.専門職としてどのようにフリースタイル分娩をリードしていくべきか,望ましいお産のありようを探求している当院における取り組みを紹介する. -
チームで取り組む継続的サポート
27巻3号(2008);View Description Hide Descriptionいま,わが国は核家族化・少子化に加え,お金で何でもそろえることができる物の豊かさの影で,育児を学習する機会が少なく,情報は氾濫し,子どもへの虐待や尊属殺人の報道が続くような子育てのしにくい時代となっています.妊娠・出産・育児期は女性の一生涯の中でほんの数年にしか過ぎませんが,これは大変なイベントです.いま,私たち周産期スタッフの役割は,ただ無事に出産してもらうための手伝いをするというだけではないと考えます.人が人を人として産み育てられるように支援することが必要ではないでしょうか. 当院は年間1,000 件あまりの出産を取り扱う開業医施設です.当院では一人の女性に対し,妊娠・出産・育児期間中に,医師,助産師,看護師,臨床検査技師,管理栄養士,臨床心理士の多職種のスタッフがチームとなり継続的にかかわっています(図1).各職種の垣根を越えて連携を深めることで,患者に安心感を与え信頼関係を築くことができると考えます.お産に対して他施設に比べ特別な工夫があるわけではありませんが,チームで継続的にかかわる当院の取り組みを紹介させていただきます. -
病院内家庭分娩 —ハイリスク分娩もLDRで—
27巻3号(2008);View Description Hide Description福田病院は1907 年,産婦人科医療を通して,女性の幸福に貢献することを目的に設立され,2007年5 月に創立100 周年を迎えた.高い水準の医療の提供と家庭的な温かい環境での分娩を目指し1982年に開設したLDR(Labor:陣痛,Delivery:分娩,Recovery:回復の略語)は,出産する女性にとって,いまでは珍しい施設ではなくなったが,当院において現在のLDR に至るまでの経緯を病院の歴史と共に紹介する.
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連載
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- 何がわかる? どう使う? 画像でみる産科学
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第10 回 子宮筋腫合併妊娠
27巻3号(2008);View Description Hide Description子宮筋腫(以下筋腫と略)は子宮の平滑筋から発生する良性の腫瘍で,婦人科の腫瘍としては最もポピュラーです.妊娠中の人でも10 人に1 人くらいの割合で見られます. - これからのペリネイタルケア vol.1 地域周産期医療システムの再デザイン
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第9 回 地域における開業助産師の役割
27巻3号(2008);View Description Hide Descriptionピンチが生んだチャンスを生かす岩手県における取り組み 産婦人科施設の相次ぐ閉鎖や産婦人科医師不足が取りざたされています.そのような中,岩手県では産む場所を探すお母さんたちのため,地域周産期システムを再デザインし,助産師と医師が協働する体制を構築しています.岩手県におけるさまざまな工夫から,安心・安全・安楽なお産へのヒントを見つけてみましょう! - “災い転じて福となす”で妊産褥婦との信頼関係構築を目指す クレーム対応相談室
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第3 回 保健指導時の態度が気に入らない
27巻3号(2008);View Description Hide Description多くの妊産褥婦やその家族と接する以上,クレームを受けることもあるはずです.とくに産科では,妊産婦や家族の「安全に出産できて当然」という考えのもと,特有のクレームが寄せられるのではないでしょうか.さまざまな事例をもとに,クレームを妊産褥婦との信頼関係構築のチャンスに転じる方法を学びましょう. - 守る 鍛える 骨盤底筋群の再訓練法 フランスで発達した産後ケア
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第3 回「骨盤底筋群を鍛える —フランスの例—」
27巻3号(2008);View Description Hide Description「会陰部再訓練法」という言葉は,日本では聞きなれませんが,フランスでは産後のケアとしてたくさんの女性が行っています.この訓練には,弱った産後の骨盤底筋群の力を回復させる働きがあり,尿漏れや性器脱,性交痛などのセンシティブな問題を抱える多くの女性の悩みに応えるものです.周産期医療に従事しているからこそ重要なこのケア.まずは知ることから始めましょう! - 使える! 助産ケアのエビデンス
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第15 回 文献検索のヒント その3
27巻3号(2008);View Description Hide Description読者の皆様,こんにちは.るかデンス研究会です.臨床において慣習的に行われているルチーンを見直したり,新しいケアを提案したり,実践の変革を目指したとき,どのようにアプローチしていますか? 本連載では文献的検討によって,助産師をはじめ周産期に携わる医療者が日々のケアにおいて活用することができる助産ケアのエビデンスを紹介します.エビデンスを臨床で応用し,日々のケアの向上を目指しませんか? - 読んで即実践できる! 助産師が行う性教育講座
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妊娠の成り立ち
27巻3号(2008);View Description Hide Descriptionいま,10 代の人工妊娠中絶や性感染症が大きな問題となっています.そんな子どもたちに「性」と「命」の大切さを伝えるために,学校での性教育講座を始めている助産師の皆さんも多いのではないでしょうか? 学校との交渉の仕方やより効果的な授業の展開方法を,「いのち語り隊」のメンバーから学びましょう. - 助産婦の歴史(295)
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近代の助産婦(その265)
27巻3号(2008);View Description Hide Description20.明治・大正の産婆・村松志保子(17)志保子の家系 志保子の家系については原島早智子氏の詳細な調査研究があり,これに付け加えるべきことはほとんどない.そこでここでは簡略に紹介しておきたい.
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エッセー・読み物
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- Perinatal Food plan
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vol.3「カロチン編:緑黄色野菜をたっぷり使ったシェルのパスタ」(レシピはp.59)
27巻3号(2008);View Description Hide Description緑黄色野菜などに多く含まれているβカロチンは、体内で必要な分だけビタミンAに変えられて、目の網膜や口、鼻などの粘膜、肌、髪、爪などの機能を正常に保ちます。 - ちょっと脱線 思い出鉄道紀行
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「岩手県のローカル線」
27巻3号(2008);View Description Hide Description日々の仕事に追われ,忙しい読者の皆様,たまにはちょっと脱線して,旅に出ませんか? 鉄道好きの産科医,助産師が案内する,心を癒す鉄道紀行です. - 遠き国より
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マダガスカル シスター平間からの手紙(23)
27巻3号(2008);View Description Hide Descriptionアフリカ・マダガスカル,アシジの聖フランシスコ病院で働く助産師,シスター平間理子さんから,助産師,上林文子さんへの手紙を掲載しています. - いまでも使えるそのエッセンス 未来に伝えたい産育習俗
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第6 回 乳付け
27巻3号(2008);View Description Hide Description乳付けとは赤ちゃんに初めて母乳を吸わせることをいい,その方法は時代や地域により違います.その違いとは,①生後いつから飲ませるか,②それまで何を飲ませるか,③最初に授乳するのは誰か,の3 点です.
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CATCH THE NOW
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OGCS参加施設における新しい周産期医療体制の構築 〜「緊急搬送コーディネーター」の導入〜
27巻3号(2008);View Description Hide Description母体搬送受け入れ体制を整えるため,大阪府ではOGCS 参加施設において,夜間の搬送先探しを専任とする「緊急搬送コーディネーター」の運用が開始された.本事業の中心となっている大阪府立母子保健総合医療センター副院長・末原則幸先生にお話をうかがった.
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