Volume 28,
Issue 10,
2009
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特集
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自然に裂れても,切らないお産をめざす 会陰保護を再考しよう!
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ペリネイタルケア 28巻10号, 983-983 (2009);
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ペリネイタルケア 28巻10号, 984-989 (2009);
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産科医が,はじめて先輩から教えられる手術手技が会陰切開縫合法である.かつては会陰切開縫合がきれいにできてはじめて助産師や看護師に一目置かれたものである.一方,助産師にとって産科医の基本術式の習得にあたる最も大切な手技の一つは会陰保護であろう.もし会陰保護に失敗し,第3,4 度裂傷をつくってしまうと,その産婦の予後は極めて悲惨な経過をたどることは周知の事実である.助産師にとっての精神的トラウマも計り知れない. そのため,これまで幾多の会陰保護法が考案され,実地臨床の場で実践されてきた.かつて共に働いた産婆たちは指の先に眼がついているのかと思えるほど,指先の操作は微に入り細に入っており,お産は芸術の域に達しているかのようであった.しかし,最近では明治以来の仰臥位分娩だけでなく,自由な出産スタイルでのお産がたくさん行われるようになった.そのため,会陰保護においても,一つの決まった型にこだわることなく,新しい考え方が取り入れられるようになった.本稿では,会陰保護にかかわる出口部産道と会陰の解剖に焦点を当てて話を進めてゆく.児のスムーズな娩出に少しでも役立てば幸いである.
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ペリネイタルケア 28巻10号, 990-994 (2009);
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ペリネイタルケア 28巻10号, 995-999 (2009);
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筆者の最初の就職先は大学病院の産婦人科病棟であり,当時そこでは初産婦のほぼ100%,経産婦の80%以上に会陰切開を行っていた.切開の先に裂傷ができ,産褥期を過ごす母親が痛そうに歩いていると,とても申し訳なく思った.分娩時の会陰切開・裂傷による傷は,女性のその後の生活に大きな影響を与える.確かにお産のときに傷をつくらないことは理想であり,どの助産師も女性に傷をつくり痛い思いをさせたいとは思ってはいない.筆者はその後,助産院に就職したが,そこではまったくの自然分娩が行われており,切開はもちろんなく,会陰が伸びるということを体験した.裂傷ができてもほとんどが正中にまっすぐ入る1 度裂傷で,縫合が不要なこともあった. 裂傷を予防するために,助産師は日々試行錯誤を繰り返していると思う.本稿では,自然な分娩でも裂傷ができることがあるということと,どのようなときに裂傷が生じ,どのようにすれば予防できるのかを考えてみたい.
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ペリネイタルケア 28巻10号, 1000-1004 (2009);
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出産の歴史は,人類の歴史と同じだけの長さがある.それでは,会陰保護はどうだろう.また,1980年代に提唱された「アクティブバース」は,国内における会陰保護のあり方を変えたのだろうか.本稿では,日本におけるアクティブバースと会陰保護との関連を探る.国内外における会陰保護の歴史をたどることで,アクティブバースが会陰保護にもたらした影響を概観する. 一体いつから,どのように会陰保護が行われていたのか.結論から述べると,約1,000 年前には道具による会陰裂傷の予防が試みられ,約250 年前には現形態に近い会陰保護が行われていたようである.概して出産介助者の中には,古いにしえより会陰裂傷を予防する,すなわち会陰保護の必要性を認識する者が存在していた.以下,会陰保護に焦点をあて,出産の歴史を海外,国内の順に述べていく.
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ペリネイタルケア 28巻10号, 1005-1010 (2009);
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多くの施設では,初心者(助産学生や新人助産師)は先輩から教わるという方法で,助産技術の習得を行っている.技術指導は指導者の熟練度に影響され,若い指導者は,母子の安全や満足感と学習者の教育効果のはざまで悩むことも多い.ここでは,初心者が行う分娩介助の特徴や,若い指導者が戸惑うフリースタイル分娩の指導法を臨床現場での経験から述べる.
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ペリネイタルケア 28巻10号, 1011-1017 (2009);
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正常な分娩経過をたどるためには,胎児と胎児付属物・産道・娩出力(子宮の収縮力と腹圧)の3 要素のハーモニーが大切である.そして,正常で急がせる必要なく順当に進行している分娩第2 期では,会陰部の筋肉がゆっくり,少しずつ薄く伸びて児頭が娩出される.1816 年にMerriman は,「自然の分娩には,産科医の手出しの余地があまりないものである.羊水の満ちた卵膜の,子宮と腟を押し広げる力に助けられながら,自然な陣痛で徐々に産道は開いていく.この自然な過程のほうがどんな人工的な手段よりも安全で楽なのである」1)と述べている. 日本の助産師は,会陰切開と縫合が業務範囲として許されていない.そのため「女性にとっての会陰」ということを常に意識し,長年分娩に携わる中で損傷を起こさないよう,自然の現象である分娩に対して知識と技を磨き, 長年の経験からくる実践知を生み出してきた.その技の一つが会陰保護法である. しかしながら,Page は,助産師が臨床で行っている判断やそれに基づく行為は,多く見積もってもその15%しか科学的な証拠を持っておらず,残りの85%は完全に科学的な探索がなされていない2)と述べている.口頭では伝えにくい日本の助産師の熟練した技,とくに会陰保護法の安全性と最適性とを検証し,客観的指標として目に見えるかたちで表していくことが必要だと考える. 筆者も長年臨床に従事し,どのように保護すれば裂傷を起こさないか,常に考えながら分娩介助を行ってきた.そして,助産師は会陰の損傷を予防するために児頭娩出から肩甲,躯幹娩出の一連の流れの中で手指・手掌の使い方を工夫していると考え,圧力という視点で,とくに熟練者と初心者との比較をもとに,会陰保護の際の工夫を目に見えるかたちで説明しようと考えた.
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連載
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何がわかる? どう使う? 画像でみる産科学
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ペリネイタルケア 28巻10号, 976-979 (2009);
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自然分娩のメカニズムを解明する アクティブバース・サイセンス
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ペリネイタルケア 28巻10号, 1020-1025 (2009);
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アクティブバースでは自然分娩に最も適した体位として蹲踞姿勢を推奨しているが,その主な理由として,蹲踞姿勢が重力効果により娩出力を増強するだけでなく,股関節が過屈曲されることにより骨盤が出産に有利な形状に変化するという長所を挙げている.蹲踞姿勢は胎児を娩出することにおいて最も効果的な分娩体位ではあるものの,妊婦の体力を消耗しやすく長時間の姿勢保持は困難であるという欠点もあわせ持っている.
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使える! 助産ケアのエビデンス
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ペリネイタルケア 28巻10号, 1026-1029 (2009);
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前回帝王切開であった場合,今回は経腟分娩を試みず選択的帝王切開を行うという方針の施設があります.帝王切開を計画するとき,その時期は正期産であることが必須条件であると考えられます.しかし陣痛が来てしまう前にという理由で,妊娠37 週にて帝王切開を行った場合はどうでしょうか.新生児の呼吸状態が安定しないなどの印象を経験的に持っている方も多いのではないでしょうか.今回は,妊娠39 週以降の選択的帝王切開と,それ以前に実施した選択的帝王切開(妊娠37 〜 38 週)で生まれた新生児の状態を比較し,その影響を検討したエビデンスを紹介します.
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変わるアジアの妊娠・出産
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ペリネイタルケア 28巻10号, 1030-1033 (2009);
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現在,日本では少子化が重大な社会問題となり,いかにして安心して産み育てることのできる社会をつくるかが,皆で取り組むべき重要な課題となっています.では日本の女性は,いつから,どんな方法で,子どもをたくさん産むのを避けるようになったのでしょうか.また,アジアの他地域ではどうでしょうか.ここでは,各国の避妊と家族計画について見てみたいと思います.
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助産婦の歴史
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ペリネイタルケア 28巻10号, 1036-1037 (2009);
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エッセー・読み物
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Story of Colors
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ペリネイタルケア 28巻10号, 975-975 (2009);
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コウノトリ 再び大空を飛ぶ
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ペリネイタルケア 28巻10号, 1043-1043 (2009);
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遠き国より マダガスカル シスター平間からの手紙
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ペリネイタルケア 28巻10号, 1048-1050 (2009);
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施設レポート
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わたしのまちのいきいきスタッフ
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ペリネイタルケア 28巻10号, 1044-1047 (2009);
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できるだけ医療介入しない,自然なお産を目指す市立輪島病院産婦人科は,少人数でありながらもBFH を取得し,「母親,赤ちゃんにとって本当に必要なケアの提供」をいつも念頭に置いて行動している.
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投稿
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ペリネイタルケア 28巻10号, 1051-1058 (2009);
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韓国では,文化に根ざした「産後の養生」を大切にしてきた経験を具現化したものの一つとして産後調理院なるものが,1997 年あたりから開院されてきている.調理とは韓国語漢字の直訳で養生の意味を持ち,産後ケアセンターと言い換えることもできる.韓国保険社会研究院保健福祉部によると2001年には韓国全体で304 カ所存在し,それ以後も増加し続け, 2008 年には402 カ所となっている.今回われわれは,韓国の全州市とソウル市近郊の産後調理院を視察した.ここでは,その制度と現況とを報告する.