ENDOSCOPIC FORUM for digestive disease

Volume 31, Issue 1, 2015
Volumes & issues:
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<巻頭言>
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<甲信越支部50周年記念特別寄稿>
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<臨床研究>
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センチネルリンパ節陰性SM 胃癌に対する新たな治療戦略:In Vivo モデルを用いた腹腔鏡補助下内視鏡的全層切除術の検討
31巻1号(2015);View Description
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4 cm 以下cT1 胃癌に対しセンチネルノード(sentinel node: SN)理論が成り立つことが示され,SN陰性早期胃癌において,basin 以外のリンパ節郭清を省略した縮小手術が可能となると考えられる。そこで最小限の切除マージンで切除可能な腹腔鏡補助下内視鏡的全層切除術の安全性と妥当性を検証するため,生体ブタを用いた基礎的実験を行った。30~40 kg の生体ブタを用い,全身麻酔下に腹腔鏡下センチネルリンパ節生検(lymphatic basin dissection 法)および内視鏡的全層切除術を行った。仮想病変の位置とSNの個数,所要時間,切除標本の粘膜と漿膜のサイズについて検討を行った。仮想病変の位置によらずSNの同定,basin の一括郭清が可能であった。腹腔鏡鉗子によるカウンタートラクションにより,内視鏡下での正確な全層切除が可能であった。SN 理論に基づく縮小手術の一つとして,内視鏡的全層切除術は有用な手技であると考えられた。 -
早期胃癌に対するESD 後に発生した遅発性穿孔の検討
31巻1号(2015);View Description
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当施設で治療した早期胃癌に対するendoscopic submucosal dissection(ESD)1,611 例中6 例(0.37%)の遅発性穿孔について原因と治療経過を検討した。基礎疾患をもった高齢の男性に多く,2 例で抗血栓薬を内服していた。局在はすべて体中部であり,術時間に一定の傾向は認めなかった。過凝固が原因と考えられた症例が4 例,残胃内への胆汁の逆流が原因と考えられた症例が1 例であった。手術を要した3 例は穿孔径が10 mm 以上で,手術時期が遅れた残胃の1 例では術後長期の経過をたどった。穿孔径が大きい場合や残胃症例に対しては迅速な手術を考慮するべきである。 -
ESD を契機に発症した赤褐色尿についての検討
31巻1号(2015);View Description
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[背景・目的] われわれの施設では,endoscopic submucosal dissection( ESD)施行中ないしは施行後数時間以内に一過性の赤褐色尿を時に認める。そこでESD を契機に発症した赤褐色尿の原因について検討した。[方法] 2008 年8 月~2013 年7 月の5 年間に施行した食道,胃,大腸ESD 症例283 例を対象とし,赤褐色尿の危険因子を検証した。また,前述の283 例のうちESD 前後に尿定性検査を施行していた77 例において,潜血反応の変化について検討を行った。[成績] ESD 症例の11.7(33/283)% に赤褐色尿を認め,女性,食道病変,広範囲切除が赤褐色尿の危険因子と考えられた。尿検査施行例のうち44.2(34/77)% がESD 後潜血: ≧2+を示していたが,そのうち赤褐色尿を呈した症例は半数の17 例であった。[結論] 赤褐色尿の原因の一つとして,局注液内のグリセリンによる溶血が疑われた。ESD を契機に赤褐色尿を認めた場合には,溶血の可能性も考慮して対応することが望ましいと考えられた。
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<学会報告>
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<症例報告>
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- [胃]
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粘膜下腫瘍様に発生し内視鏡的に6 か月間経過観察した胃低分化型腺癌の1 例
31巻1号(2015);View Description
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症例は72 歳,女性。心窩部不快感にて当科初診。胃体上部大彎にびらんを伴う径10 mm に満たない粘膜下隆起を認めた。生検では悪性所見を認めずラベプラゾール処方。約2 か月および4 か月後の内視鏡検査にて病変は増大したが,生検では診断に至らず。6 か月後の超音波内視鏡検査時に施行した生検にて悪性腫瘍が疑われ噴門側胃切除術を施行。低分化型腺癌と考えられた。粘膜下腫瘍様に発生し内視鏡的に形態変化を観察した胃低分化型腺癌の1 例を報告する。 -
胃GIST に対する非穿孔式内視鏡的胃壁内反切除術(NEWS)
31巻1号(2015);View Description
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症例は59 歳,男性。以前から指摘されていた胃粘膜下腫瘍が増大したため,開窓生検を施行したところ胃gastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断され,手術加療目的にて当科紹介となった。腹腔鏡・内視鏡合同手術(laparoscopic and endoscopic cooperative surgery: LECS)の適応と判断した。適応拡大に向けて,LECS の新たな術式である非穿孔式内視鏡的胃壁内反切除術(non‒exposed endoscopic wall‒inversionsurgery: NEWS)を施行した。手術時間は195 分,出血量は少量であった。術後経過は良好で第8 病日に退院となった。胃内腔と腹腔内を交通させないNEWS は,腫瘍の腹腔内への散布を防ぐことができ,早期胃癌などへの適応拡大に向けて期待できる術式であると思われた。 - [小腸]
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腸管穿孔後,カプセル内視鏡で小腸病変の経過を観察し得た好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EPGA)の1 例
31巻1号(2015);View Description
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症例は34 歳,女性。先行する気管支喘息に加え,紫斑,四肢のしびれ感を認め,皮膚生検により好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EPGA)と診断された。ステロイドパルス療法,ステロイド内服,γ ‒グロブリン療法,シクロホスファミドによる加療で改善した。腰痛に対し非ステロイド性解熱鎮痛薬(NSAIDs)の内服開始後第41 病日に急激な腹痛,下血を認めた。腹部CT 検査でfree air を認め腸管穿孔と診断され穿孔部閉鎖,腹腔洗浄ドレナージ術が施行された。穿孔後第50 病日に施行したカプセル内視鏡検査で小腸にoozing を伴うびらんを認めた。NSAIDs を中止し穿孔後第80 病日のカプセル内視鏡検査でその改善を認めた。本症例はEPGA の経過中に消化管穿孔を認め,その後の粘膜病変の経過を確認し得た1 例であり,NSAIDs の関与も含め若干の文献的考察を加え報告する。 -
経肛門的小腸バルーン内視鏡が診断に最も有用であった成人メッケル憩室出血の3 例
31巻1号(2015);View Description
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消化管出血を主訴に精査し,成人メッケル憩室を発見した症例を3 例経験した。いずれも経肛門的小腸バルーン内視鏡が診断確定に最も有用であった。症例1 は21 歳,男性,症例2 は36 歳,男性,症例3は21 歳,男性である。全症例に上下部消化管内視鏡検査が行われたが出血源は同定し得なかった。全症例に小腸カプセル内視鏡,メッケル憩室シンチグラム,経肛門的小腸バルーン内視鏡を行った。症例1 は3検査のいずれでもメッケル憩室の指摘が可能であったが,症例2 は小腸カプセル内視鏡で病変が指摘できず,また症例3 はメッケル憩室シンチグラムで所見が得られなかった。経肛門的小腸バルーン内視鏡は全症例において診断に有用であった。基礎疾患をもたない若年成人の消化管出血の原因がメッケル憩室である頻度は高い。かかる症例には積極的に経肛門的小腸バルーン内視鏡を試みることが診断確定に有益と考えられた。 - [大腸]
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全大腸内視鏡検査中断後引き続き行った CT colonography(CTC)にて発見された横行結腸進行癌の1 例
31巻1号(2015);View Description
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症例は72 歳,女性。主訴なし。既往歴に子宮筋腫,帝王切開の手術歴あり。検診で便潜血反応陽性となり,polyethylene glycol(PEG)法2L 内服による前処置を当日朝に行い大腸内視鏡検査を行った。スコープを肛門輪から20 cm 挿入したところで疼痛が出現し,全大腸内視鏡検査(total colonoscopy: TCS)不成功となり,同日CT colonography(CTC)を追加検査した。CT air enema image ではA/V より99 cmの位置(横行結腸)に全周性狭窄を認めた。virtual endoscopy(VE)像では周堤を伴う潰瘍性病変を認め2型進行癌が疑われた。紹介医ではPQ260L を用いてTCS が施行され,CTC で指摘した横行結腸に全周性狭窄を示す2 型病変を確認し,腹腔鏡下横行結腸切除術が施行された。CTC 展開図と同様に全周に及ぶ潰瘍性病変を認め,病理組織学的にはadenocarcinoma(tub2),深達度はSS,pN1 を認めpStage Ⅲa であった。TCS 不成功例において内視鏡検査に引き続きCTC を施行し,全大腸を検索することは精度の高い有用な検査法と思われた。
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<会告>
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第79 回日本消化器内視鏡学会甲信越支部例会/第106 回日本消化器内視鏡学会北陸支部例会/第27 回日本消化器内視鏡学会甲信越支部セミナー
31巻1号(2015);View Description
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<抄録>
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<その他>
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