ENDOSCOPIC FORUM for digestive disease

Volume 31, Issue 2, 2015
Volumes & issues:
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<巻頭言>
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<会告>
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第27 回日本消化器内視鏡学会甲信越セミナ/第80 回日本消化器内視鏡学会甲信越支部例会/第24 回日本消化器内視鏡学会北陸セミナー/第107 回日本消化器内視鏡学会北陸支部例会
31巻2号(2015);View Description
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<特別寄稿>
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十二指腸内視鏡の開発と私の初めてのERCP
31巻2号(2015);View Description
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オリンパス社製十二指腸内視鏡(JF‒B)の開発は,1969 年になりようやく実用化できるようになり,十二指腸内の観察と内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)が臨床的に行われるようになった。そして,ERCPは急速に全世界に普及した。それは多くの日本人の業績の集合によるものであった。 この度,筆者も40 年余りの過去を振り返り,初期のころに行われた種々の努力の積み重ねを明らかにしてみたい。これらの歴史的な事実は,今までほとんど埋もれていたものではあるが,これらを知ることで将来の内視鏡およびその技術開発に役に立つことを願っている。 本文には,オリンパス社製十二指腸内視鏡の開発時の実用化に向けた種々の努力,またそれを使用したERCP の全世界への普及の経緯などについて述べる。
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<臨床研究>
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自己免疫性膵炎の診断におけるEUS‒FNA の有用性に関する検討
31巻2号(2015);View Description
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自己免疫性膵炎(autoimmune pancreatitis: AIP)における超音波内視鏡下穿刺吸引生検法(EUS‒guided fi ne needle aspiration: EUS‒FNA)の有用性に関する検討を行った。2009 年1 月~2015 年6 月まで1 型AIP が疑われ,EUS‒FNA を施行した21 例を対象とした。EUS‒FNA では,自己免疫性膵炎臨床診断基準2011 における四つの病理所見のうち二つ以上認めた症例は,21 例中11 例(52%)であり,19G 穿刺針を使用しにくい頭部病変では9 例中2 例(22%)のみであったが,19G 穿刺針を容易に使用できる体尾部病変では13 例中10 例(77%)であった(1 例では2 領域を穿刺)。AIP におけるEUS‒FNA の診断能は,体尾部病変では良好であったが,頭部病変では不十分であり,頭部病変にて診断可能な検体量を確保することが今後の課題と考えられた。EUS 所見では,linear or reticular hyperechoic inclusions,duct penetratingsign,peripancreatic hypoechoic margins はそれぞれ15 例(71%),11 例(52%),12 例(57%)に認め,EUS 像によるAIP 補助診断に有用と思われた。
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<症例報告>
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- [食道・十二指腸]
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ボノプラザンフマル酸塩が有効であったZollinger‒Ellison 症候群に伴う重症食道・十二指腸潰瘍の1 例
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逆流性食道炎に対するランソプラゾール(lansoprazole: LPZ)の長期維持療法中に発症し,常用量のボノプラザンフマル酸塩が著効を示したZollinger‒Ellison 症候群の1 例を報告する。症例は67 歳,女性。2010 年から胸焼け・呑酸症状に対してLPZ 15 mg/day を内服していた。2015 年3 月に下痢・嘔吐・黒色便が認められたため前医に入院となり,上部消化管内視鏡検査で食道および十二指腸に多発性潰瘍を認めたため当院へ転院となった。多発性食道十二指腸潰瘍に対して,絶食の上,LPZ 30 mg×2/day の点滴投与を開始し,経口摂取を再開した第6 病日にボノプラザンフマル酸塩20 mg/day の経口投与に切り替えた。第41 病日には潰瘍性病変は治癒していた。入院時血清ガストリン値が1,200 pg/mL と異常高値を呈しており,第8 病日に行った上部消化管内視鏡検査では,十二指腸球部に12 mm 大の粘膜下腫瘍様病変を認めた。生検組織の病理所見では腫瘍細胞は胞巣状に発育し,免疫染色ではクロモグラニンA,シナプトフィジンおよびガストリンが陽性であった。ガストリノーマに伴うZollinger‒Ellison 症候群と診断し,selectivearterial secretin injection test による局在診断を行った後,幽門側胃切除術およびリンパ節郭清を施行した。切除標本の最終的な病理診断は,十二指腸神経内分泌腫瘍,G1,pT2N0M0 であり,術後,血清ガストリン値は迅速に正常化した。ボノプラザンフマル酸塩は本邦で新規開発されたプロトンポンプ阻害薬であり,世界に先駆けて2015 年2 月に保険適用された。Zollinger‒Ellison 症候群に対して,本薬剤の有効性を示した報告はこれまでになく,本症例が最初の報告と考えられた。 - [胃]
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深達度SS で脈管侵襲陰性,リンパ節転移陰性のGastric Carcinoma with Lymphoid Stroma の1 例
31巻2号(2015);View Description
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症例は61 歳,男性。心窩部不快感を主訴に施行した上部消化管内視鏡検査にて,胃体中部小彎に30 mm 大の発赤調隆起性病変を認めた。生検にて Group 5( por1)と診断され,腹腔鏡下幽門側胃切除を施行した。病理組織学的に腫瘍細胞は粘膜下層を主体に膨張性発育を呈し,一部で筋層を破り漿膜下層に浸潤していた。間質には著明なリンパ球浸潤を認めており,Epstein‒Barr virus( EBV)‒encoded smallRNAs( EBER) in situ hybridization にて gastric carcinoma with lymphoid stroma( GCLS)と最終診断した。EBV 関連胃癌は通常の胃癌より予後が良好であることが知られている。本症例も深達度SS であったが,リンパ節転移,脈管侵襲ともに陰性であった。 - [小腸]
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タール便を契機に診断された小腸神経内分泌腫瘍の1 例
31巻2号(2015);View Description
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症例は64 歳,男性。間欠的なタール便を主訴に近医を受診した。上部消化管内視鏡検査では出血源が同定されず,精査治療目的に当科紹介となった。腹部造影CT 検査で小腸に動脈相で濃染する限局性の壁肥厚を認め,経肛門的シングルバルーン小腸内視鏡検査にて回腸に15 mm ほどの潰瘍を伴う隆起性病変を認めた。生検にて神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor: NET)が強く疑われ,腹腔鏡下回腸部分切除術を施行した。病理組織学的にはNET G1,T2N0M0,Stage ⅡA と診断された。特徴的な症状はないが,タール便を契機に発見された小腸神経内分泌腫瘍症例が散見される。術前診断は困難とされるが,本症例ではカプセルおよびシングルバルーン小腸内視鏡検査が有用であった。 - [膵]
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重症膵炎後膵石症に膵管不完全癒合を認めた1 例
31巻2号(2015);View Description
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症例は59 歳,男性。飲酒歴なし。重症膵炎を発症し動注療法を行うも膵周囲膿瘍を合併し,膵周囲脂肪壊死摘出術を施行した。6 年後,誘因のない上腹部痛が出現し,膵酵素上昇と腹部CT で膵頭部の石灰化および体尾部の主膵管拡張を認めた。膵石嵌頓による膵炎と診断し体外衝撃波結石破砕術を施行したが破砕片は残存した。破砕片の嵌頓による膵炎を再発し内視鏡的逆行性膵管造影(endoscopic retrogradepancreatography: ERP)を施行したところ,主乳頭からは蛇行した枯れ枝状の腹側膵管が造影され拡張した上流膵管に交通した。副乳頭からの造影では開口部より拡張した背側膵管が造影され内部に膵石を疑う陰影欠損を認めた。膵管不完全癒合と考え,副乳頭ステント留置にて症状軽快後,内視鏡的副乳頭切開術を施行した。バルーンカテーテルによる排石は困難であったが,幸い5 か月後に自然排出した。腹側膵管の狭細化は二次性の可能性もあるが,膵管不完全癒合が重症膵炎発症の背景にあった可能性がある。 -
スクリーニング検査で発見されたリンパ節転移を伴う非機能性膵神経内分泌腫瘍の1 例
31巻2号(2015);View Description
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症例は73 歳,女性。スクリーニング目的に施行した腹部超音波,腹部CT にて膵鉤部に14 mm 大の腫瘤と下腸間膜動脈左側に12 mm 大のリンパ節腫脹を認めた。両者とも腹部CT,腹部MRI のdynamicstudy の早期層で著明な濃染を示した。EUS,ERCP,血液検査などから非機能性膵神経内分泌腫瘍(pancreaticneuroendocrine tumor: pNET)が強く疑われ外科的手術を施行し,pNET G1,T1N1M0 と診断した。比較的まれな非機能性pNET の1 例を報告する。
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<抄録>
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<その他>
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