ENDOSCOPIC FORUM for digestive disease

Volume 32, Issue 1, 2016
Volumes & issues:
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<巻頭言>
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<症例報告>
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- [胃]
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集簇した胃の多発過形成性ポリープに同時性に発生した多発胃癌の1 例
32巻1号(2016);View Description
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症例は74 歳,男性。胃体下部大彎後壁側に集簇した多発過形成性ポリープを認め,内視鏡所見より多発胃癌の可能性が高いと考えendoscopic submucosal dissection(ESD)を施行した。病理組織では,それぞれの過形成性ポリープ内に高分化管状腺癌を認めた。集簇した多発過形成性ポリープに同時性に発生した多発胃癌の症例報告はこれまで少なく,まれな1 例を報告した。 -
Helicobacter pylori 除菌により0-Ⅰ 型から0-Ⅱc 型に形態変化を来した過形成性ポリープの癌化の1例
32巻1号(2016);View Description
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症例は60 歳,女性。上部消化管内視鏡にて幽門前部前壁20 mm 大,山田Ⅳ 型の胃腺窩上皮型過形成性ポリープと診断され,Helicobacter pylori 除菌治療を施行された。8 か月後の経過観察において,ポリープは中心部に陥凹を来し平坦および縮小化していた。さらに6 か月後に再検したところ,わずかな陥凹を残すのみとなっていた。同部生検において高~中分化型管状腺癌と診断され,胃粘膜下層剥離術を施行した。最終診断は0-Ⅱc 型早期胃癌であった。免疫染色にて癌抑制遺伝子p53 が初回生検から陽性であり,当初から癌化を伴う過形成性ポリープであったと考えられた。除菌前後においても癌化を念頭に置いた詳細観察が必要である。 - [十二指腸]
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十二指腸Brunner 腺過形成に対しLaparoscopic and endoscopic cooperative surgery(LECS)が有用であった2 例
32巻1号(2016);View Description
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症例1: 55 歳,女性。心窩部痛を主訴に近医を受診。上部消化管内視鏡検査で十二指腸球部前壁に30 mm 大の粘膜下腫瘍を指摘され,当科紹介となった。 症例2: 52 歳,男性。数年前より健診の上部消化管内視鏡検査で十二指腸球部後壁に粘膜下腫瘍を指摘されていた。徐々に増大傾向であったため当科紹介となった。 2 例とも確定診断がついていなかったが,患者の切除希望が強かったため手術を行った。いずれもlaparoscopicand endoscopic cooperative surgery(LECS)による局所切除を施行し,欠損部の閉鎖は腹腔鏡下で体腔内縫合を行った。狭窄などの合併症はなく良好な経過をたどった。病理組織学的診断ではBrunner腺過形成の診断であった。 局所切除で根治可能な腫瘍においてLECS は機能温存が可能で低侵襲な治療法であり,われわれが治療した比較的まれな大型Brunner 腺過形成の2 例に対して非常に有用であった。 - [小腸]
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外国人若年女性の終末回腸結核および結核性腹膜炎の1 例
32巻1号(2016);View Description
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症例は29 歳,フィリピン女性。腹部膨満感を主訴にフィリピンで医療機関を受診し画像検査などでCrohn 病を疑われ,精査加療目的に当院受診となった。当院にて下部消化管内視鏡検査を行ったところ大腸には病変を認めなかったが,終末回腸の腸間膜付着側対側に不整形・溝状潰瘍と敷石状の残存粘膜からなる陥凹性病変を認めた。同部の粘膜は黄白色調で絨毛構造が消失した平滑な表面性状を呈し,パイエル板に多発のびらん性変化を伴ったものと思われた。同部位より採取した組織による病理学的検査にて,乾酪性肉芽腫およびZiehl-Neelsen 染色陽性桿菌を認めた。また粘膜培養では抗酸菌陽性であり,PCR にて結核菌と同定した。腹部造影CT では多発結節,リンパ節腫大や腹水を認め,腹水中のアデノシンデアミナーゼ(ADA)が高値であった。以上から内視鏡像としては非典型的であったが,終末回腸結核および結核性腹膜炎と診断し,肺外結核の標準治療が奏効したので報告した。 - [大腸]
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特発性を疑った横行結腸穿孔例の保存的治癒過程における内視鏡像
32巻1号(2016);View Description
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症例は72 歳,女性。右横隔膜下にfree air を認め当科へ紹介された。右季肋部に圧痛があるも腹膜刺激症状は認めず,上部消化管穿孔を疑った。陳旧性心筋梗塞などの併存症と抗血栓療法を施行中であったことを勘案し,保存的治療を選択した。肝周囲膿瘍はドレナージを必要としたが,保存的治療は成功し2 か月で自宅退院した。しかし,入院中の上部消化管検査には異常がなく穿孔部位は不明であった。外来通院中に下部消化管内視鏡検査を行ったところ,横行結腸中部ににじむような出血と粘膜襞集中を伴う径約5 mm 程度の丘状隆起性病変を認めた。8 週間後の再検査では,同病変は平坦化し治癒傾向を示した。病理所見は一般的な炎症性病変の治癒過程のみであった。以上,保存的に治癒し得た消化管穿孔の症例の治療を経験したが,原因は横行結腸の特発性穿孔が最も疑われた。通常得難い結腸穿孔の治癒過程と推測される内視鏡像を観察したので報告した。 -
Mucosal tear と縦走潰瘍瘢痕を同時に認めたCollagenous colitis の1 例
32巻1号(2016);View Description
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症例は70 代,女性。1 か月前から続く下痢,体重減少を認め近医を受診し,当院に紹介された。整腸剤の内服では下痢症状の改善を認めず,脱水と貧血のため10 日後に入院した。入院後,変形性膝関節症の疼痛に対して2 か月前からメロキシカム,ランソプラゾールの内服歴のあることが判明した。 大腸内視鏡検査にて肝彎曲部~左側横行結腸に縦走する明瞭なmucosal tears(横径5~8 mm 大,縦径50 mm 大)を散在性に複数認め,S 状結腸部には線状潰瘍瘢痕を認めた。mucosal tears 近傍と線状潰瘍瘢痕部からの生検で,上皮直下に帯状に沈着する好酸性の無構造物質を認めた。好酸性の無構造物質はアザン染色でcollagen band と同定し,collagenous colitis と診断した。下痢症状はメロキシカム,ランソプラゾールの内服を中止後,1 週間以内に軽快したことから原因薬剤と考えられた。本症例では,右側結腸に明瞭なmucosal tears をS 状結腸に線状潰瘍瘢痕を認め,内視鏡的に異なる縦走潰瘍所見が併存した興味深い1 例と考えられた。
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<学会報告>
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北陸地区におけるスクリーニング上部消化管内視鏡検査での咽頭観察の現状
32巻1号(2016);View Description
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[背景・目的]現在,スクリーニング上部消化管内視鏡検査における咽頭領域の観察が十分に浸透しているとはいい難い状況である。北陸地区における上部消化管内視鏡での咽頭観察の現状について調査した。[方法]日本消化器内視鏡学会専門医114 名にアンケートを送付し,回答のあった73 名を対象とし調査した。[結果]咽頭観察を全例に行っている医師は79.5%,スクリーニングに画像強調観察(image-enhancedendoscopy: IEE)を用いた(Ⅰ 群)のは61.6% であった。観察時間はI 群が白色光(W 群)と比べ有意に長く(p<0.001),1 年以内の癌の発見率はⅠ 群がW 群と比べ有意に高かった(p=0.007)。問題点として,観察の困難さ,苦痛増強の可能性などの意見が多かった。[結論]スクリーニングにおける咽頭観察において,癌の発見にはIEE にて時間をかけて観察することが重要である可能性が示唆された。今後,さらなる咽頭観察の啓蒙活動が重要と考えられる。
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<その他>
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<会告>
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<抄録>
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<その他>
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