Volume 22,
Issue 11,
2007
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特集
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『術前訪問の工夫 全国15施設大公開』
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オペナーシング 22巻11号, 1175-1175 (2007);
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〈術前訪問定着のための取り組み〉
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オペナーシング 22巻11号, 1176-1178 (2007);
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手術看護に求められるものは,手術における生命の安全を保障するための幅広い知識と熟練した技術である.現在では,手術室でのリスク管理の向上や効率性を高めるために,電子カルテが導入されている病院も多い.しかし,当院ではオーダリングシステムと看護支援システムを活用し,安全の確保と患者中心の看護をめざして術前訪問を定着させることができた.その経緯と実際を紹介し,取り組みを通してスタッフの意識がどのように変化したのかを報告する.
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〈術前訪問の現状〉
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オペナーシング 22巻11号, 1179-1182 (2007);
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近年,医療を取り巻く環境は著しく変化しており,看護においても質を問われるようになってきた.広島市立安佐市民病院(以下当院とする)手術部においても,1986 年より質の高い看護サービスの提供を目的に術前・術後訪問を導入している.当院は病床数527 床,年間手術件数4,600 件,手術室8 室で,手術部のスタッフ構成は師長・主任を含む看護師32 名と看護助手3名,クラーク1 名で,二交代制の勤務体制を取っている.2003 年に術前・術後訪問の基準および手順を文章化し,現在はそれに基づいて実施している.2005 年には電子カルテの導入とともにNANDA 看護診断も導入され,術前・術後訪問の情報収集および看護記録の方法を改善しながら現在に至っている.そして,2007 年4月よりクリニカルラダーが開始された.当院の周手術期看護の実際の紹介とともに,術前・術後訪問の現状を振り返り,今後の課題も含めて報告する(図1).
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〈対象・方法に関する工夫〉
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オペナーシング 22巻11号, 1184-1185 (2007);
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従来の術前訪問は白衣で行っていたが,当日,印象の違いにより,患者に戸惑いや緊張・不安の増強の言動・表情がみられることがあった.また,白衣・術衣への着替えも含め,「術前訪問は時間がかかる」「余裕がないと行けない」という看護師の術前訪問に対する消極的な意識もあった.そこで,印象の違いを小さくし,患者の不安を軽減することと,術前訪問の時間短縮・看護師の意識改革を目的に術衣での術前訪問を導入した.
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オペナーシング 22巻11号, 1186-1187 (2007);
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筆者らは,こどもが手術を乗り越えるうえで,自分がこれから体験することを知ることは重要だと考えている.これまでは外来で手術についてのビデオを上映していたが,それだけですべてのこどもが本当に理解できるのか疑問であった.そこで,術前訪問でプレイプレパレーションを行い,遊びを通して説明を行うことで,こどもの対処能力を引き出せる環境を作ることを考えた.
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オペナーシング 22巻11号, 1188-1190 (2007);
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当手術部では,子どもの手術に対する不安を軽減するために親の同伴入室や術前オリエンテーションを実施しているが,オリエンテーションは親を中心に行っていることが多い.そのために子どもは手術室内で戸惑いを見せたり激しく抵抗することも多く,不安や恐怖が軽減されているとはいえない現状がある.そこで,筆者らは,子どもが自分の身に起こることを正しく理解することにより治療や処置に対して主体的に取り組めるよう,プレパレーションを導入した.
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オペナーシング 22巻11号, 1192-1193 (2007);
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アメリカから医療スタッフを招いて開院された当病院は,1929年の開院当初より主に英語を話す外国人患者が多く来院される.このような環境下では,日本語力に乏しい患者に対する英語でのコミュニケーションは必須であり,そのための術前訪問も自然と行われることとなった.また,こうした患者の立場を考慮した術前訪問という考えが,近年の聴覚障害を持つ患者への配慮を取り入れた術前訪問という新たな取り組みへと発展している.
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オペナーシング 22巻11号, 1194-1195 (2007);
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当院の外来手術は,年間150 〜180 件(全体の16 %)行われている.以前は外来手術患者に対し,外来看護師が術前パスを使用して手術前日から当日までの流れを説明するのみで,手術室内での具体的な流れや手術室の様子を説明するツールや機会がなかった.そのため,患者が更衣・四肢の固定・点滴・手術体位に戸惑うことがあり,手術室看護師として何らかの介入が必要ではないかと考えていた.そこで,外来手術の術前オリエンテーションツールを作成することとなった.
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オペナーシング 22巻11号, 1196-1200 (2007);
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当手術室では1986 年に術前訪問を開始した.全症例に術前訪問を行うことは困難なため,当初から手術室看護師が訪問する患者を抽出する方法を取っていた.しかし,病棟看護師からの申し送りだけでは患者の不安や身体的な情報が得られにくいため,1989 年に手術室からの情報提供と,患者の情報収集ができる用紙「手術を受けられる方へ」を作成した.また,患者のニードに応じられるように,患者が術前訪問を選択する方式とし,希望者全員に術前訪問を行うことにした.
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オペナーシング 22巻11号, 1202-1203 (2007);
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従来,全身麻酔予定の患者への術前説明は,手術室看護師が病室に出向き,ベッドサイドで行っていた.2005 年8 月に常勤麻酔科医が就任し,手術室に併設の麻酔科説明室で診察および麻酔に関する説明と同意取得を行うようになったのを契機に,看護師による術前説明も同時に行うシステムに変更した.患者が独歩または車椅子での移動が困難な場合には,従来どおりベッドサイドでの説明を行っている.
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オペナーシング 22巻11号, 1204-1205 (2007);
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当院では,原則的に患者の術前訪問から術中看護,術後訪問までを一人の外回り看護師が担当している.担当看護師は収集した情報を責任を持って管理し,不必要な情報の流出を防ぐ努力をしているが,術前訪問は入院患者の病室で行っており,その大半が多床室である.そのため,患者が多床室という環境で,個人情報に関することを多く含む術前訪問を受けることに対し,どのように感じているかを調査した.
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〈ツールの工夫〉
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オペナーシング 22巻11号, 1206-1207 (2007);
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当院では緊急手術・外来手術以外の全症例の術前訪問を実施している.多忙な日常業務において,稼動可能な人員・時間は限られており,術前訪問の実施調整には苦慮するところであるが,現在,対象症例には100 %術前訪問を行えている.2006 年に,病院全体の取り組みとしてビデオを活用した広報・患者教育が検討された.手術部としては,麻酔と手術当日の流れに関して,患者の理解を深める手段とするとともに,業務の効率化が図れると考え,ビデオ制作に参加した.
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オペナーシング 22巻11号, 1208-1209 (2007);
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手術前の患者は,未知なるものである手術に対し,漠然とした不安を抱くものである.筆者らはこの不安に対して,術前訪問で処置や麻酔の導入・覚醒時の状況など具体的な説明を行うことにより,不安の耐性を強め,起こりうる状況に対処する手助けを行っている.術前訪問を導入した当初は,全麻・硬麻・脊麻・局麻の4 種類のオリエンテーション用紙を用いて行っていた.その後,手術室スタッフより「患者へ視覚的情報として写真の提示が効果的ではないか」という提案があり,オリエンテーション用紙だけでなく手術室内写真(以下写真ファイル)を用いた術前訪問を導入した.
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オペナーシング 22巻11号, 1210-1211 (2007);
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当院では,これから手術を受ける手術室での経過を説明することで患者の手術への心配・不安が少しでも緩和することを目的に,術前訪問を実施している.短時間でも患者に効果的な術前訪問になるように,2005 年より①イラスト入りのパンフレット(図1)と,②写真を使用したパンフレット(図2)の2 種類を使用した術前訪問を行っている.
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〈術前訪問の評価〉
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オペナーシング 22巻11号, 1212-1214 (2007);
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当院での術前訪問率は年々上昇の傾向にあったが,実施率の評価のみに留まり,手術室看護師が行っている術前訪問の質について評価をする機会がなかった.これまで,術前訪問に対する患者の評価や,術前訪問の現状はいくつかの研究で明らかにされている.しかし,一人の患者に対して実施した術前訪問を,病棟看護師と手術室看護師それぞれの立場から評価する研究はなされていない.そこで,当院における病棟看護師と手術室看護師の術前訪問に対する評価の比較を行った.
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オペナーシング 22巻11号, 1215-1219 (2007);
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手術室ナースによる術前訪問は,「術前患者の精神的・肉体的健康の保護」と,「術直前および術中(術後)患者の精神的・肉体的健康の保護」を目的とする.これは,手術室ナースによる術前訪問が,患者に対する術前看護と術中看護の二つの看護過程を目的に実践されることを意味する.術前訪問が手術看護である以上,それぞれに看護計画と看護評価が必要である.看護計画は患者の健康の保護を保証する行動計画であり,看護評価は看護計画の妥当性や信頼性を判断する指標となるものである.これは,術前訪問(看護計画)を手術看護として価値づけるものが看護評価であることを意味する.しかし,術前訪問が二つの看護過程を目的に実践されているにもかかわらず,術中看護を目的とした術前訪問のみに看護評価が加えられ,術前看護としての術前訪問に対しては看護評価が加えられない傾向にあるのが実際である.そこで,筆者らは術前訪問の目的を術前看護,術中(術後)看護の二つに区別し,各々に看護計画基準と看護評価基準を定め,術前訪問を手術看護として価値づける努力をしているので紹介する.
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連載
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器械出しの奥義 心臓外科編
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オペナーシング 22巻11号, 1146-1149 (2007);
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今回は,大動脈瘤の手術のなかでは最も頻度の高い腹部大動脈瘤手術について概説する.アプローチとしては,開腹法と後腹膜到達法があるが,今回提示する症例は,開腹法からのY 型人工血管置換術症例で,同時に左総腸骨動脈瘤も認めたために左内腸骨動脈再建も併せて施行した.
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これだけは覚えよう! ORナースのための解剖
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オペナーシング 22巻11号, 1150-1151 (2007);
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手順とコツが見てわかる! OPE室必須テクニック
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オペナーシング 22巻11号, 1152-1156 (2007);
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手術室における看護の重要な役割は,安全に手術が行われるように援助することです.気管挿管が安全に終了するためには,患者から目を離さず,不足のないように予測し準備することが大切です.近年,さまざまな気管挿管用具や気道確保用具が増えています.その中で,患者の状況に応じた気管挿管用具や術式に合わせた気道確保用具(気管チューブ)の準備が大切です.また器具の点検も事前に行い,安全に使用できるように準備する必要があります.
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重症患者の麻酔と看護 ORナースの目のつけどころ・気をつけどころ
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オペナーシング 22巻11号, 1166-1173 (2007);
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播種性血管内凝固(DIC : disseminated intravascular coagulation)は,微小血栓による多臓器への循環不全による機能障害,および消費性凝固障害が強く出血傾向や創部からの再出血,注射部位よりの異常出血・出血斑が現れやすい症候群です.バイタル・サインを頻回にチェックしながら,これらの早期発見,治療に努めることが大切です.
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ORナースのためのストレスマネジメント
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オペナーシング 22巻11号, 1236-1237 (2007);
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同僚や上司は,ストレスを与える存在にもなりますし,反対にストレスを緩和する力も持っています.チームリーダーによってメンバーのストレスも左右されます.チームリーダーとは,オペ室であればDr.や看護師長でしょう.リーダーシップのタイプには,P(パフォーマンス;目標達成機能)とM(メンテナンス;集団維持機能)の2 つがあるといわれています(図1).
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クイズで覚える手術室の略語
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オペナーシング 22巻11号, 1238-1238 (2007);
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最近流行の心肺蘇生アルゴリズムに似ている膝の靱帯の手術術式は?
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手術室ナースのスキルとマインド実践STORY
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オペナーシング 22巻11号, 1241-1247 (2007);
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新人ナースの亜紀は,オペ室にて大奮闘の毎日.本日もやる気満々で仕事に邁進中!!
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レポート
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OPE ROOM
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オペナーシング 22巻11号, 1229-1232 (2007);
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神奈川県北部の中核病院として地域医療に貢献している相模原協同病院.2007 年から常勤の麻酔科医が増え,それに伴って手術件数も増えてきている.スタッフ間のコミュニケーションを大切にしながら,よりよい手術室を模索している手術室を取材した.
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エッセイ
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Message for OR Nurses
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オペナーシング 22巻11号, 1141-1141 (2007);
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手術看護認定看護師Diary 伝えたい!広げたい!わたしたちの活動
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オペナーシング 22巻11号, 1160-1162 (2007);
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手術を受ける受療者は「創痛に対する不安」「麻酔に対する不安」「入院費用に関する不安」「入院期間に関する不安」などさまざまな不安を抱えています.当院では手術を受ける受療者の不安が少しでもやわらぐように,外来手術と緊急手術を除くほぼすべての受療者に対して術前訪問を実施しています.しかし,手術前日の15 〜 20 分という短時間の関わりで,受療者と信頼関係を築き,その人の抱える不安を取り除くことができるのだろうかという疑問から,試験的に術後訪問を実践してみました.その結果,受療者は手術前日にはほとんど具体的な不安を訴えることはなかったにも関わらず,術後訪問を行うと「麻酔が効くか心配だった」「痛みが心配だった」など術前に抱いていた不安について話してくれました.手術を必要とする受療者は,生きたいという望みを抱いて手術をされる方,傷害された身体の機能を取り戻すために手術をされる方など背景はさまざまです.受療者にとって「手術」とは人生最大のイベントであり,それを乗り切り不安から解放された時,はじめて本音を話す心のゆとりができるのだと感じ,その時の経験から術後訪問の重要性を確認しました.
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ナースに贈る良質選書
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オペナーシング 22巻11号, 1174-1174 (2007);
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本書は大学の一年生向けに著者が行った「人間と文化」という講義をまとめたものである.「17 歳のための」とあるが,広く勤め人を含めた若い人たちに読んでほしい.松岡も指摘しているように,多くの日本の若者たちはいつのまにか,日本のこと,日本文化についての知識をほとんど持たなくなってしまった.そして,本当に日本のことを知るためには,世界を知ってその脈絡のなかに日本を置かなければならない.この意味で本書は,世界とのコントラストのなかで日本という国がどういった特色を持っているのかを明らかにしてくれるまれにみる良書である.