オペナーシング
Volume 23, Issue 3, 2008
Volumes & issues:
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特集
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- 写真で学ぶ手術看護の落とし穴 絶対に見逃さないために
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1.局所麻酔手術
23巻3号(2008);View Description Hide Description局所麻酔とは,麻酔薬を用いて末梢神経の活動電位伝導を受容体から脊髄までの間のどこかでブロックし,知覚・運動・交感神経を遮断する方法である.局所麻酔の方法には,何種類かあり手術部位や範囲により使い分けられている. 局所麻酔手術において意識があるという特徴には,手術中医師・看護師との会話が可能であり,苦痛や不安を訴えることができるというメリットがある.しかし,医療者間の会話や体験したことのない感覚(手術室の環境や麻酔による身体的変化)を体験する患者の精神的負担は大きい. 手術室看護師は,患者の精神的支援や局所麻酔で起こりうる合併症について理解を深め,常に危険を予測・回避するリスクマネジメント能力が求められる. -
2.全身麻酔:開腹手術
23巻3号(2008);View Description Hide Description手術室での医療事故は,生命に関わる重大な事故に結びつく可能性が高い.また,同時にどんなに事故防止を心がけていても,ヒューマンエラーをなくすことは難しいと言われている.日常業務の中では,どんなに経験年数を重ねたベテランナースであっても,確認ミスや思い込みによってうっかりとミスを犯してしまうことがある.これを防ぐためには,手術室の中で起こりやすい“ ヒヤリハット” の場面をよく理解し,常に危険を予測した行動を取ることが必要である. 全身麻酔下の開腹手術は,多くの施設が新人に全身麻酔手術を導入していく場合に選択される症例である.それは,器械出しとしても,外回りとしても全身麻酔下の手術として基本的な手技が多く含まれているともいえる.ここではアクシデントとして最も基本的であり,起こりやすいと思われた場面を挙げて説明している.どんな手術室でも起こり得る事例として考えていただきたい. -
3.全身麻酔:開頭手術
23巻3号(2008);View Description Hide Description開頭手術を必要とする患者は,生体の命令中枢である脳が不安定な状態であることが予測され,意識障害やほかの神経学的異常だけでなく,自律神経を介して呼吸・循環・電解質などにも影響する可能性を認識しておく必要がある.したがって,脳神経外科手術の看護を行うにあたっては,神経学的異常の適切な評価を行うとともに,常に全身状態を正確に把握し,援助することが要求される. 一方で,開頭手術を受ける患者は,病変の種類・部位・大きさにより症状は異なるため,それぞれに適切な対応が要求される.実際の手術場面では,手術体位・開頭方法はさまざまであり,事前の情報収集,医師との情報交換とそれに基づいた手術の準備もまた重要な課題である.また,近年の補助診断装置や手術器械の進歩に伴い,さまざまな特殊機器が導入されている.取り扱いはもちろんのこと,顕微鏡下での細かい操作を妨げることのないよう,習熟した器械出し技術が要求される. 本稿では,脳神経外科の開頭手術について,周術期に注意すべき項目,見逃してはいけない注意点・落とし穴について解説する. -
4.全身麻酔:開胸手術
23巻3号(2008);View Description Hide Description開胸して行われる心臓外科手術を受ける患者は,心疾患があり,全身麻酔下で手術を行うことが多いため,術中の呼吸・循環管理が重要になってくる.特に人工心肺を用いた体外循環下の手術では患者への侵襲が大きい. 手術看護は患者の侵襲を最小限にとどめることであると言っても過言ではない.そのためには,患者の全身状態の把握を含め,手術室内の環境整備に努めなければならない.そして,術前から術後までの術式別の流れを熟知しておくことが大切である. 手術を行う心臓外科医,患者の全身管理をする麻酔科医,人工心肺を管理する臨床工学技士などと協力し,連携を図りながら手術を進めていくことで,患者は安全でスムーズな手術を受けることができる.本稿では,心臓外科手術で起こりうる危険を予測し,対応するためにはどのようにすればよいか考え,まとめた. -
5.全身麻酔:胸腔鏡・腹腔鏡手術/第30回日本手術医学会総会
23巻3号(2008);View Description Hide Description胸腔鏡手術は低侵襲性手術であり,開胸手術と異なって肋骨切除せず,1.5cm 程度の創(胸壁切開)から胸腔に内視鏡を挿入し,ビデオモニターを観ながら行う手術である. 手術の目的は,自然気胸,腫瘍性疾患(転移性肺腫瘍・良性腫瘍・縦郭腫瘍・胸壁腫瘍,肺癌)などの治療のため,びまん性肺疾患の肺生検(間質性肺炎,胸膜炎の診断)など検査のため,あるいはその両方である. 胸腔鏡の手術において,ポイントを挙げ,特に注意することを述べる
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連載
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- 器械出しの奥義 心臓外科編
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ファロー四徴症に対する手術(TOF)
23巻3号(2008);View Description Hide Descriptionファロー四徴症は,大動脈騎乗,肺動脈弁兼右室流出路狭窄,心室中隔欠損の複合疾患で,チアノーゼを持つ複雑心奇形手術の登竜門となる対象である.このため,心臓自体の修復場所と修復工程が多く,当然のことながら必要な器械・器具の種類が多くなる.しかも,手術時間を短縮するために術者も手術に集中するので,要求が高度になってくる.心房中隔欠損症,心室中隔欠損症などで開心術の流れをおさえたうえで,ファロー四徴症自体の修復方法と手順を勉強してから臨んでいただきたい. - これだけは覚えよう!ORナースのための解剖
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- 手順とコツが見てわかる! OPE室必須テクニック
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肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症予防対策
23巻3号(2008);View Description Hide Description今月のテーマのポイント 1. 肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症は予防対策が重要である.2. その予防対策には手術室看護師・病棟看護師・医師の連携が不可欠である. - 手術室ナースのスキルとマインド実践STORY
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帝王切開もお産と同じ喜びを
23巻3号(2008);View Description Hide Description新人ナースの亜紀は,オペ室にて大奮闘の毎日.本日もやる気満々で仕事に邁進中!! - 悩めるあなたをサポートします! ORナースのメンタルヘルス
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組織・業務に関する不満
23巻3号(2008);View Description Hide Description看護職は,ストレスが強い職業の一つに挙げられています.患者さんと接する時間が長いことや,チーム医療であるため,人間関係がストレスとなることが多くあります.本来の看護業務以外の雑用を多く抱えながら,患者さんの予期しない健康状態の変化や予定外の入院患者さんの受け入れなど的確かつ迅速な対応が求められます.このように仕事量の多さと役割の曖昧さ,専門職としての裁量権の低さなどもストレス要因となります.また,医師の指示と患者の要求が矛盾する場合の葛藤や,医師と看護師長などの複数の指示命令系統による混乱が生じやすい場合もあります. - ちょこっとアドバイスでらくらく覚える これ何? どうする? 手術器械
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消化器外科(1)
23巻3号(2008);View Description Hide Description■に入る言葉を考えよう! 何をする器械? 臓器や組織に対して圧迫あるいは①■を加えるための鉗子であり,縦軸方向に数本の浅い溝構造を持っています. - OR ナースが知っておきたい 一歩先ゆく情報コーナー
- OR Journal
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トピックス AORNの推奨業務基準2007より 環境の清浄化
23巻3号(2008);View Description Hide Description環境の清浄化に関する推奨業務は,手術室,救急病棟,医局,心臓カテーテル室,内視鏡室,放射線検査室,また,そのほかの手術や検査が行われるすべての領域でさまざまな状況に対応できる指針である. -
マネジメント 手術部位感染と手術室運営
23巻3号(2008);View Description Hide Description術後合併症の一つである手術部位感染(surgicalsite infection)を意味するSSI という略語は,医療従事者の感染対策に対する意識の高まりの中で,ここ5 〜 6 年で広く認知されるようになった. SSI にはいわゆる創感染と手術操作を直接加えた臓器/体腔感染とが含まれるが,その原因は患者皮膚の常在菌や腸管内細菌などによる術中の汚染である.SSI は術中に原因があるものだが,実際に発症するのは術後数日経過してからの外科病棟であり,そのため従来手術室看護師の関心はあまり高くはなかった.最近は,SSI サーベイランスを手術室看護師の協力のもとに行っている施設も増えてきていることなどにより,徐々に手術室看護師のSSI 予防に関する関心が高くなってきていると思われる. -
注目の研究 「ラビング法手術時手洗い後の手指付着菌数の変化」
23巻3号(2008);View Description Hide Description研究者の施設では,2004 年5 月から手術時手洗いにラビング法を導入しています.同年,従来のスクラブ法と比較してラビング法は有意に消毒効果があり,1 時間後にもその効果が持続すると発表しました.本研究では,ラビング法による手洗い3 時間後の手指付着菌数を調べ,手洗い後の手袋交換時期について考察を加えています1). - 根拠がわかる→だから身につく麻酔レクチャー
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麻酔機器の安全な取り扱い
23巻3号(2008);View Description Hide Description「この情報って,根拠はあるのかな??」と思ったことはありませんか? でも,一から根拠<エビデンス>を探すには,時間も手間もかかり,なんとなくそのまんま……そんなあなたのために,本連載は,根拠(エビデンス)を示し,ナースが注意すべきポイントと質問をまとめました.明確な根拠に基づいた麻酔の知識を得て,ステップアップしましょう. - 手術室で問われるナースの倫理
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術前訪問,どこで話す?
23巻3号(2008);View Description Hide Description看護師A さんは,検査データなどの情報収集を終え,翌日の担当手術の患者さん(B さん)の術前訪問に行きました.B さんは,6 人部屋の真ん中のベッドでした.同室の患者さんは在室していましたが,カーテンで仕切ることしかできません.A さんは手術当日に手術室で行われることの説明や患者さんの心配事などについて聞き取りを始めました.しかし,B さんは周囲が気になってあまり話せていないようです. - クイズで覚える手術室の略語
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術式に関する略語(脳神経外科)
23巻3号(2008);View Description Hide Description腫瘍マーカーと同じ略語で,頸部頸動脈狭窄症の有効な治療法(手術術式)は?水頭症の治療として最もよく行われる手術は,何シャント?
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エッセイ
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- Message for OR Nurses
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「『バリアンスが起こったらどうするの』,そんなあなたがバリアンス」
23巻3号(2008);View Description Hide Description先日,腰椎椎間板ヘルニア摘出術を行った患者さんとその家族からクレームがありました.手術後2 週で出現した手のしびれは,手術中に体位を変えた際に首を傷つけたからだろう,というものです. - 手術看護認定看護師Diary 伝えたい!広げたい!わたしたちの活動
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手術室看護師が抱くストレスと癒し
23巻3号(2008);View Description Hide Description手術室で働く私たちは,患者が安全で安心して手術を受けられるよう,日々の看護に努めていると思います.また,手術室看護師をめざした動機は人それぞれ異なると思いますが,多くの術式や解剖生理などの勉強に多大なる努力をしていると思います.そのような環境のなか,さまざまな理由から挫折しそうになったり,ストレスを感じたりすることはありませんか? そこで,今回は手術室看護師としてさまざまな立場のストレスとそれに対する癒しを考えてみたいと思います. - ナースに贈る良質選書
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「人は誰でも間違える より安全な医療システムを目指して」
23巻3号(2008);View Description Hide Description医療事故についての優れた指導書として,米国医学研究所の委員会がまとめた本書を推薦したい.