オペナーシング
Volume 24, Issue 5, 2009
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特集
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- 段取り表とチェックポイントで学ぼう! 麻酔超入門レクチャー
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1 カートの中をまず確認! 全身麻酔と局所麻酔の必要物品とその役割
24巻5号(2009);View Description Hide Description麻酔は,手術の内容や侵襲,また患者の全身状態などによりさまざまな方法で行われますが,大きくは全身麻酔と局所麻酔に分けられます. 全身麻酔は麻酔薬を中枢神経などに作用させて,「鎮静」「鎮痛」「筋弛緩」「有害反射の抑制」などの効果を得る麻酔方法です.麻酔薬の作用のため全身麻酔中は人工呼吸による管理が必要となり,気道確保の目的のため主に気管挿管が行われますが,マスクやラリンジアルマスクを用いる方法もあります. 一方,局所麻酔は痛覚伝道路を局所麻酔薬により可逆的に遮断して鎮痛を得る方法で,表1のような方法があります. 麻酔は単独で行われる時もありますが,併用されることもあります.たとえば,全身麻酔と硬膜外麻酔の併用,脊髄くも膜下麻酔と硬膜外麻酔の併用など選択方法もさまざまです.そのため,手術室看護師として麻酔の知識や麻酔の必要物品とその役割を理解し,麻酔導入が安全に行えるよう準備・介助していくことはとても大切です. ここでは,全身麻酔導入時の気管挿管・脊髄くも膜下麻酔・硬膜外麻酔での必要物品とその役割について説明します. -
2 これだけは覚えたい! 麻酔の4要素から学ぶ薬剤の必須知識
24巻5号(2009);View Description Hide Description近年,麻酔については,①意識の消失,②痛みの消失,③有害反射の抑制,④筋緊張の消失,の4 つの要素を組み合わせて行うバランス麻酔が主体になっています.もっとも,個々の薬剤がこれら①から④までの要素に明確に分けられるのではなく,複数の要素にまたがって作用が発現するものもあります. ここでは,薬剤を便宜的に4 つの要素に分けますが,薬剤には作用が混在していることもあることに注意して理解してください. -
3 全身麻酔における挿管の介助時の段取りと重要チェックポイント
24巻5号(2009);View Description Hide Description気管挿管は,患者にとっては侵襲的であり,麻酔科医にとっても高度な医療技術です.患者の生命に直結するため,気管挿管に関する知識や手順を熟知し,スピーディーな介助が必要とされます. 当院では,医師の操作と看護師の介助操作に分けた挿管介助のマニュアルを作成し,看護師の育成を行っています.手術時間や術式,患者の個別性に合わせてさまざまな挿管方法が麻酔科医によって選択されていますが,今回は当院での喉頭鏡を使用した経口気管挿管の手順について解説します. -
4 全身麻酔における抜管の介助時の段取りと重要チェックポイント
24巻5号(2009);View Description Hide Description麻酔覚醒時は,調節呼吸から自発呼吸への変化,手術侵襲による体液バランスの変化,種々の防衛反応の回復,さまざまな合併症からの影響などにより,患者は非常に不安定な状態です. 看護師による抜管時の直接的な介助は数多くあるわけではありませんが,十分な知識を持って麻酔科医と共に観察を行い,患者の安全に注意を払わなければなりません. また,それぞれの手術手技の影響も念頭に置き,異常の早期発見につとめ,いつでも迅速な対応ができるように,常に考えておくことが必要です. -
5 全身麻酔の観察項目チェックポイント
24巻5号(2009);View Description Hide Description手術患者は,麻酔導入時・挿管時・麻酔中・抜管時・覚醒期などの場面によって大きく状態が変化します.私たち医療従事者は手術中患者の代弁者となり,患者が手術を安全に受けることができるよう,常に観察を行い正確かつ迅速に対応することが求められます. また,病棟やICU へ手術中の患者の情報を申し送ることは,周手術期看護を継続するために大切であり,手術患者に関わる多くの項目を簡潔明瞭に申し送ることが望まれます. -
6 脊髄くも膜下麻酔介助の段取りとチェックポイント
24巻5号(2009);View Description Hide Description脊髄くも膜下麻酔(以下「脊麻」と略す)は一度の注射で強力な麻酔効果が得られます.強力な麻酔効果が得られるということは,患者に大きな変化が起こっているということです.患者と看護師,麻酔科医の準備を整え,脊麻を安全に行うことができるようになりましょう. -
7 硬膜外麻酔介助の段取りとチェックポイント
24巻5号(2009);View Description Hide Description硬膜外麻酔とは,硬膜外腔に局所麻酔薬を注入することによって,脊髄神経伝達を遮断する麻酔方法です.麻酔の効果は,交感神経線維遮断に始まり,冷覚,温覚,痛覚,運動,触覚の順に遮断されていきます1).頭部・顔面以外のすべての領域の手術に適応されます.硬膜外麻酔は単独でも手術は行われますが,全身麻酔との併用で多く行われています. 硬膜外麻酔の利点は,麻酔薬を追加投与することによって長時間の手術が可能であり,局所麻酔の濃度の調整により分離麻酔(交感神経,知覚神経,運動神経を別々に麻酔する)の状態を得ることができることです.また,呼吸抑制が少ないため,呼吸器疾患を合併する患者の麻酔にも有用です.術後に簡易型の持続注入器を接続して局所麻酔薬を持続的に注入することで,術後の疼痛コントロールもできます. しかし,広範囲の無痛域を得るためには,多量の局所麻酔薬が必要になります.硬膜外腔は血管が豊富であるため,局所麻酔薬中毒を起こしやすいという欠点があります. 本稿では,硬膜外麻酔の介助時の重要なチェックポイントや特に観察するべき項目,患者からのよくある訴えと対応について述べます.
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連載
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- 認定看護師直伝!器械出しのワザとワケ
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膀胱全摘・回腸導管術
24巻5号(2009);View Description Hide Description膀胱全摘は浸潤性膀胱癌,頻回に繰り返す表在性膀胱癌に対して行われる.膀胱摘出後は尿路変更を行わなければならない.再建には尿管皮膚瘻,回腸導管,インディアナパウチ,新膀胱などさまざまな方法があるが,今回は標準的な術式である回腸導管について解説する. - 達人のコツが写真でわかる さすが!といわれるマスターポイント
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- 何に注意したらいい? 手術に役立つ基礎疾患の知識
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甲状腺機能障害
24巻5号(2009);View Description Hide Description手術適応の拡大や高齢化社会に伴い,さまざまな基礎疾患を有する患者の手術が多くなってきています.術前情報収集の中で,患者の基礎疾患を知ることは円滑な手術看護の鍵になります.この連載では,手術室看護師が押さえておくべき基礎疾患について,知識を整理し,日頃の看護実践につなげてもらうことを目的としています.疾患のしくみや術前の情報収集,術中の観察ポイントなどをまとめてありますので,一緒に学んでいきましょう. - ちょこっとアドバイスでらくらく覚える これ何? どうする? 手術器械
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- 今こそ考えたい手術看護の現状と課題 手術看護に関するトピックス
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手術室看護師の適正配置要員調査の分析から見えたこと
24巻5号(2009);View Description Hide Description現行の医療法には病棟看護師配置基準が制定されているが,手術室については看護要員の算定基準が存在せず,過去に看護要員算定に関係する調査はほとんどされていない. また,診療群別分類包括評価(DPC)により入院日数を短縮させ,これにより手術件数は増加傾向の現状にある.しかし,看護の質を維持し安全な手術を提供するために必要な看護師配置基準がなく,配置方法も施設によりばらつきがある.安全を重視する手術室に配置すべき要員の基準がないことが,日本手術看護学会としての課題となっている. - 気になるニュースをズバッと解説! さぬちゃんの最新情報を斬る!
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- 知っていますか? OR最新トピックス
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知っておくと便利な「麻酔に関する保険点数」の知識
24巻5号(2009);View Description Hide Description診療報酬点数表の麻酔の項目には,「迷もう麻酔」や「開放点滴式全身麻酔」など,教科書に載っていない麻酔法の名前が記載されているのに加え,数年ごとに内容が変わる.よって,常に把握しておくことは困難であるのが実情である. 最近の麻酔に関する診療報酬の改定では,20分以上の全身麻酔では,パルスオキシメータによる経皮的動脈血酸素飽和度の監視,カプノメータによる終末呼気炭酸ガス濃度の監視,呼気麻酔ガス濃度の監視は算定できなくなった(局所麻酔では経皮的動脈血酸素飽和度の監視は算定できる).また,2006 年には「麻酔が困難な患者」における点数が加算されるようになり,2008 年には,側臥位や腹臥位で全身麻酔が行われた時や,低血圧麻酔,分離肺換気,硬膜外麻酔などが併用された時に,それぞれの実施時間に応じた算定が行われるようになった.さまざまな状況における実施時間の算定方法も細かく規定されるようになっている(詳しくは診療報酬点数表を参照していただきたい). 本稿では,2009 年現在において,手術室看護師がさまざまな状況における実施時間に応じた算定ができるようにするために,オペ室でチェックすべき項目を整理した.また,「麻酔が困難な患者」,深部静脈血栓症予防のための弾性ストッキングや間欠的空気圧迫装置の使用で算定される肺血栓塞栓予防管理料についても述べる. - エビデンスレベル付き 15分間で麻酔の疑問を解決します!
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縫合針付き持針器収納容器の作製
24巻5号(2009);View Description Hide Description持針器は,器具の入っているかごやシャーレなどに立てかけているため,針の先端は露出している.そのため,器械出し看護師は持針器の置き場所に困り,術者が必要な時に的確に持針器を渡しにくく,またガーゼなどに針が引っかかり縫合針を紛失したり,縫合針の先端で自分の手指などを刺すという事故による感染の危険があった. 現在,使用済みの針のみを収納できる容器が多く販売されている.これらの容器は,スポンジやコルク,磁石板などに番号が振られており,使用済みの針を迅速にカウントすることができる.しかし,これらの容器に縫合針を持針器につけたままで収納することは,縫合針の先端が劣化したり,持針器の安定性に欠けたりして不具合が生じている. そこで今回,持針器に縫合針をつけたままの状態で安全に保管できる容器(以下,縫合針付き持針器収納容器とする)を作製し使用を試みたのでここに報告する.
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- オペナースのほっとストーリー 忘れられないあの一言
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- わたしを変えた一冊 良質選書
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