オペナーシング
Volume 24, Issue 6, 2009
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特集
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- その瞬間,医師は何を求めてる? 消化器外科におけるテンポのある器械出しと外回り
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1 テンポのある器械だしのための準備
24巻6号(2009);View Description Hide Description消化器外科の器械出しについては,新しい器械や器具の導入,開腹手術に加えて鏡視下手術も必須であること,同じ消化器でも消化管と肝胆膵では使用する道具が異なること,そして術者の好みなどにより,準備は年々煩雑になっています.本稿では,よく使う器具・器械,物品の説明,次に略語やフレーズについて解説します. また,大きな手術(たとえば,膵頭十二指腸切除術)では,あらかじめ(できれば前日)手術手順や再建術式,多量出血時の対処法などについて,術者と話し合いを行っておくことが望まれます. -
2 器械だし時の基本手技と動き方
24巻6号(2009);View Description Hide Description近年の手術医療は,腹腔鏡手術をはじめ新たな術式の開発に伴い,手術器具や器械が多様化してきました.従来の基本手技に加え,新たな器械の用途と使い方の理解が必要です.器械出し看護師は常に手術の進行状況を把握し,医師が必要とする器械を迅速かつ正確に手渡せるよう準備し,器械を展開することが求められます.また,外回り看護師は,手術が安全かつ円滑に進行するようにサポートし,チーム内でお互いの情報を共有することが不可欠といえます. 本稿では,一般外科手術の基本操作における器械出し看護師と外回り看護師の動き方について述べます. -
3 胃(幽門側胃切除術,胃全摘術,腹腔鏡手術〔全般〕)
24巻6号(2009);View Description Hide Descriptionテンポのある器械出しと,スムーズとか上手な器械出しとは少し趣が異なる感じがします.テンポとはイタリア語で速度とか速さという意味があり,テンポのある器械出し,外回りという言葉からは,「きびきびとした活気のある」場面が想像されます.それでは,胃の手術ではどのような状況になるのでしょうか? 10 年前の胃の手術であれば,術者や助手の手に「小気味よく」かつ「迅速に」器具を手渡すイメージがありました.しかしながら,胃の手術も器具の進歩とともに多くの施設で操作そのものが様変わりしています.たとえば,血管の結紮回数は手術全般を通じてほんの数回となり,小血管はバイポーラシザーズや超音波凝固切開装置(以下,LCS)で凝固切離しています.消化管吻合も,手縫いに代わって器械吻合が随所に用いられるようになってきました.さらに,器具自体も変化しています.コード付きの長い器具が増え,従来の“ 術者の手への小気味のよい器械の受け渡し” は困難な状況です. 本稿ではまず,「上手な」あるいは「テンポのある」器械出しや外回りの必須条件を列挙し,次に当科で行っている胃切除術を例にとり,各場面でのテンポのある器械出しや外回りについて考えてみたいと思います. -
4 肝・胆・膵(肝切除術〔肝右葉切除〕,膵頭十二指腸切除術,生体部分肝移植術〔レシピエント手術〕)
24巻6号(2009);View Description Hide Description近年の医学の進歩はめざましく,消化器外科・肝胆膵移植領域においても,使用する手術器具や器械,各種手術材料は複雑になっています1).消化器外科手術におけるさまざまな場面において,テンポのある手術介助を行うためには,後述するいくつかの条件を満たすとともに,術者や助手(バックテーブルを含む),麻酔科医,器械出し看護師,外回り看護師,臨床工学技士などとの連携を密にすることが非常に重要です. -
5 大腸(右半結腸切除術,左半結腸切除術,低位前方切除術,腹会陰式直腸切除術)
24巻6号(2009);View Description Hide Descriptionテンポのよい器械出しの条件は,領域は異なっても共通です.最も必要なことは次の動作を予測できることであり,したがって手術の流れに習熟することが大切になります.大腸の手術は切除部位によって術式が大きく変わり,さらに腹腔鏡手術も普及し多様化しています.手縫い吻合,器械吻合,人工肛門造設など消化管再建にもバリエーションが多く,吻合に使用する器械も次々に新しいものが登場しています. また,大腸は創感染のリスクが高い領域で,術中汚染を最小限に留める注意がほかの手術よりも強く要求されます. 本稿ではテンポのある器械出しの条件を挙げるとともに,いくつかの大腸手術のなかでの代表的な場面における具体的な動きについて説明します.
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連載
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- 認定看護師直伝!器械出しのワザとワケ
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OPCAB(人工心肺非使用下冠動脈バイパス術)
24巻6号(2009);View Description Hide Description冠動脈バイパス術は,虚血性心疾患に対して冠動脈の狭窄または閉塞病変から離れた部位に血行路を作成し,その冠動脈支配領域の心筋への血流を保持させるのが目的である.その中で,人工心肺装置を使用せずに自己心拍動下で行う冠動脈バイパス術のことを,人工心肺非使用下冠動脈バイパス術(off pump coronary artery bypass;OPCAB)という.最近は,手術の低侵襲化を目的にOPCAB が一般的になっている. - 達人のコツが写真でわかる さすが!といわれるマスターポイント
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- 何に注意したらいい? 手術に役立つ基礎疾患の知識
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慢性閉塞性肺疾患(COPD)
24巻6号(2009);View Description Hide Description手術適応の拡大や高齢化社会に伴い,さまざまな基礎疾患を有する患者の手術が多くなってきています.術前情報収集の中で,患者の基礎疾患を知ることは円滑な手術看護の鍵になります.この連載では,手術室看護師が押さえておくべき基礎疾患について,知識を整理し,日頃の看護実践につなげてもらうことを目的としています.疾患のしくみや術前の情報収集,術中の観察ポイントなどをまとめてありますので,一緒に学んでいきましょう. - エビデンスレベル付き 15分間で麻酔の疑問を解決します!
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- 知っていますか? OR最新トピックス
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貸し出し手術器械の取り扱いの注意点
24巻6号(2009);View Description Hide Description貸し出し手術器械(loan instrument;以下,LI)は,インプラント製品を植え込むために数多く使用され,しかも各社ごとに使用する器械が異なるのが特徴である.多くの医療施設で,こういった多種多様な手術器械を常備することは困難であり,特に整形外科領域でのLI セットの使用はもっとも頻度が高く,一般化されているのが現状であろう.ほかにも,医師の試験的使用のための機器(いわゆるデモ機)や,ME 機器の故障の際の代替機器などが日常的に手術室に持ち込まれ使用されている. - ちょこっとアドバイスでらくらく覚える これ何? どうする? 手術器械
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- 気になるニュースをズバッと解説! さぬちゃんの最新情報を斬る!
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- 今こそ考えたい手術看護の現状と課題 手術看護に関するトピックス
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まかせて安心! 臨床工学技士との協働
24巻6号(2009);View Description Hide Description臨床工学技士は,1987 年の臨床工学技士法の成立により誕生した.医用工学の発展によってさまざまな医療機器が使用されるようになり,それらを専門に扱う臨床工学技士が医師の指示のもとに人工呼吸器・人工心肺装置・血液浄化装置などの生命維持装置の操作管理を行うものである.しかし,手術室においては多種多様な機器が混在し,生命維持装置よりそのほかの機器のほうがはるかに多く,特に内視鏡手術の進歩は手術室に大きな変化をもたらした. 従来の臨床工学技士の業務内容としては,麻酔器・手術台・無影灯・電気メス・患者監視モニター・自己血回収装置・レーザー装置などの大型機器,人工心肺・補助循環装置の操作が挙げられ,そのほかの機器に関しては看護師に依存していた.今回,臨床工学技士がもっと臨床に関与することにより,手術室全体を把握しチーム医療の一員として手術が円滑に実施されるよう,看護師との協働をもとに業務改革を行った.その取り組みを紹介する.
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投稿
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腹式呼吸法が意識下手術を受ける患者の血圧・心拍数・末梢皮膚温に及ぼす影響
24巻6号(2009);View Description Hide Description手術を受ける患者は,痛み・予後・未知の環境などへの不安や緊張・恐怖を抱いている1,2).こうした患者の不安・緊張・恐怖を緩和するために,術前の患者訪問,術中の視覚環境への配慮,音楽を流す・不必要な物音を避けるなど聴覚環境への配慮,タッチングなどが行われている. しかし,患者の多くは手術室入室時より苦痛表情や血圧・心拍数の上昇,末梢の冷感などの交感神経刺激症状がみられ,不安・緊張がうかがえる.特に意識下手術を受ける患者では,不安・緊張が持続・増強している症例が多くみられる.極度の不安・緊張は血圧や心拍数の上昇を招き,心筋虚血や出血量増加を引き起こす危険性がある3-5). 不安・緊張の緩和に効果があるものとして音楽療法や漸進的筋弛緩法,呼吸法などリラクセーション技法が着目されて久しい6).このうち腹式呼吸法は簡便であり,患者主導で行えるという利点からか,その適用範囲は広い.周手術期への適用では,術後疼痛の緩和7)や術前術後の不安の軽減8)に効果がみられたとの報告が散見される.しかし,意識下手術を受けている患者に腹式呼吸法を適用し,その効果を検証した先行研究は皆無であった.そこで本研究では,腹式呼吸法が意識下手術を受ける患者の不安・緊張の緩和に有効であるかを検証する目的で,血圧・心拍数・末梢皮膚温をリラクセーションの効果指標として実験を行ったので報告する.
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レポート
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- OPE ROOM
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国立国際医療センター戸山病院
24巻6号(2009);View Description Hide Description「患者さんの安全を守り,円滑に手術を進めるとともに,看護師が安心して安全に手術看護を行うことができる環境作りを大切にしています」と語るのは中村正美看護師長.看護師が安心して働き,実力を十分発揮するための環境作りを心掛けているという.その取り組みについて,おうかがいした.
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essay
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- Front Essay
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- オペナースのほっとストーリー 忘れられないあの一言
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- わたしを変えた一冊 良質選書
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